荷造りしているのを姿を見るだけで具合が悪くなる!

プン助の荷造り。

明日からプン助は修学旅行。

旅行の保護者説明会で貰った書類には

「荷造りから旅行は始まっています。必ずお子さん自身に荷造りをさせてください」

と、書いてあった。

最もだとは思った。だが、プン助は小学生になって以来、時間割でさえ自分でやれたことがない。

最初のうちは親がつきっきりで、支度を手伝っていたが、連絡帳に持ち物を書いてこないので、推測で入れたりしていた。

次第に、「これはいる?」と聞いたりするだけで、癇癪を起すようになり、こちらが折角入れても、「重い!」と、出したりするようになってしまった。

そして、ここ1、2年のほぼ最後の30分くらいしか登校しないようになってからは、身一つでも登校すればいいだろう・・・といった状態になっている。

大好きなお友達に、誘われた遠出でも、荷造りが無理だから迷惑をかける・・・という理由で断わることもある。

ただでさえ、修学旅行には

「行きたくないなぁ・・・家にいたら、ずっと休んでいられるのに」

と、気が乗っていない様子。

「行ってみたら案外楽しいかもしれないよ」

と、行く気持ちになるようにこちらも努力をしているが、当日になってすっぽかす可能性も高い。

荷造りなんて、夢のまた夢。

しかし・・・おそらく遺伝なのだが、実は私も超絶荷造りが苦手なのだ。

私の場合、プン助よりは嫌なことも我慢してやる性質なので、幼いころより、忘れ物はたくさんしていたが、一応自分で時間割や荷造りはやっていた。

だが、稽古場などでも、いつも帰り支度に異常に時間がかかり、どんな現場でも、いつも一番最後になってしまう。

旅行の前日はほぼ一日中荷造りをしているのに、必ず忘れ物をしてしまう。

そして、荷造りはいつもとても苦痛。

誰でも荷造りは苦痛だと思いながら、頑張っているのだと思っていたが、そうではない人間がいることを最近知った。

荷造り超絶苦手な私の娘のニンタマは「荷造りって楽しいよね~」と、いつもルンルンしながら、支度をしているのだ。

あんな苦痛な作業を好きな人間がいるなんて…!しかも、私の娘が・・・!と、大層驚いたのだが、それならば・・・と、最近は私の旅支度などはニンタマに手伝ってもらっている。

「そんなに服はいらないよ」

「歯ブラシとかはこういう場所に入れた方がいいよ」

「これ、もう少し小さく入れられるよ」

「〇〇日間だったら、服は〇着あれば大丈夫」

と、的確なアドバイスをしてくれる。そんなわけでも、

「プン助の荷造りするんだけどさぁ、ニンタマ手伝ってくれない?」

と、お願いすることにした。

ちなみに、本来なら二人とも学校にいるはずの午前10時頃から支度を始めた。プン助はただの学校嫌い。ニンタマは、学校嫌いもありつつ一応起立性調節障害で調子が悪い…ということで家にいたのだった。

「プン助、長ズボン、これでいい?」

「敷物はこれに入れておくからね」

「お風呂はこのカバンに入れて、汚れた服はここに入れてるビニールに入れるんだよ」

私とニンタマがプン助に質問したり、確認をするのだが、プン助はゴロゴロ転がるばかりで、ほとんど返事をしない。たまに口を開くかと思うと、

「絶対その服は着ない」

「あ~!行きたくない!」

みたいなことばかり。

 

以前、空手を習っていた時の合宿では、着替えを何着も入れていたのに、一度も着替えていなかったり、スキー合宿でも予備のマスクを沢山いれていたのに、三日間同じマスクをつけていたり、自分の持ち物を全然把握できていなかったので、すべてわかるようにジップロックに入れて、マジックで「パジャマ」「マスク」「下着」「お風呂セット」などと、書いていると

「荷造りしている姿をみるだけで、具合がわるくなる!」「マジックでそんなの書かないでよ!」

と、プン助は怒り始めてしまう。

「だって書かないとわかんないでしょ?」

「わかるよ!」

「だって、空手の時だって全然着替えなかったし、スキー合宿でもずっと同じマスクしてたりしてたじゃん!」

「なかったから!」

「あったよ!入れてたよ!」

「マジで?!あったの?ないと思ってた…」

ちなみに、その当時も全部わかるようにマジックで書いていた。

きまり悪そうな顔をしつつも、

「でも、マジックで書かないでよ~~~~!そんなの書かれたら、僕が支度したように見えないじゃん~~~~!」

 

私もニンタマも絶句をした。

 

「え?・・・もしかして、自分で支度をしたって思われたいの?」

「当たり前でしょ!人に支度してもらったと思われるの嫌だよ、僕!」

 

支度の為に靴下一枚、引き出しから出したりもしていなかったというのに・・・。

 

そうか・・・毎日、最後の30分くらいしか登校しないし、時間割をまともに持って行ったこともないので、そういうことは超越しているのかと思っていたのだが、そういう気持ちは残っていたのか・・・。

 

「いやぁ・・・でも、多分誰も、プン助が荷造りするとは思ってないよ。先生だって、一応荷造りは自分でって言ってるけど、荷造りが無理で来られないよりは、手伝ってもらっても来てくれた方がいいって思ってるって。大丈夫だよ~~~、そんな見栄張らなくても大丈夫だって」

「僕だって見栄くらい張りたいんだよ」

「まあ、そういう気持ちは大事だけどさ、この荷造りが自分でできると思われたら、今、遅刻しても忘れ物しても登校してるだけで、頑張ってるって思ってもらえてるのが、時間割もできるだろって思われちゃったりして、大変だよ?」

 

本来なら、自分でちゃんとやれ…というべきなのかもしれないが、家族そろってよくわからないアドバイスをしてしまう。

 

私が、出した荷物をニンタマがきれいにパッキングしたので、荷物は整然として美しい。

「頼んでもないのに、ニンタマの野郎が勝手にやりやがって…!」

と、毒づくプン助。

「そんなこと言わないでよ。ママがニンタマにお願いしたんだもん」

「私はね、お前の手伝いをしたんじゃないんだよ!ママが困ってるからママの手伝いをしたんだよ!」

「このズル休み野郎!」

「お前だってそうだろ!」

 

なんと、平和じゃない家なのだろう・・・、疲れる。

プン助が協力的じゃないので、荷造りは12時近くまでかかったが、私一人だったら、終わらなかっただろう。登校しないことは気になるが、ニンタマが家にいてくれてすごく助かった。

あとはプン助が無事に修学旅行へ行くことを祈るだけだ。

明日は7時に学校集合。

そんなに早く起きられるのだろうか?そして、やっぱ休む…と言いだすかもしれない。

そうなると、荷造りを手伝ったことが無駄になり、親である私のメンタルにも影響を及ぼすのだろうな…。

そうなっても、なるべくイライラしないで、淡々と過ごしたい。

できるかな…。というか、やっぱり修学旅行には行って欲しい。

参加しないで、「つまらない」と言うよりは、参加してから「つまらない」と言う人間でいて欲しいし、欲を言えば、少しでも「楽しかった」と思ってほしかったりする。

 

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不登校の館

昨日、プン助の担任の先生から、電話があった。

「明日、3時間目くらいから登校するように言ってほしいのですが…」

とのこと。

聞けば、5時間目には年に一度のスポーツテスト。6時間目には修学旅行の班決めがあるとのこと。スポーツテストは1,2年の時はひどいものだったが、3年生くらいから活発になり、目に見えて能力が向上していた。それがうれしくて楽しみにしていたのだが、5年時は全く登校せず、結果はすべて斜線。6年時ではなんとかテストくらいは受けて欲しいなと思っていた。修学旅行は6月後半にある。だが、今の様子を見ていると、旅行も行かないのではないか・・・という気もしている。

「プン君は3時間目から登校すると約束はしてくれたのですが、それが無理でも5時間目のスポーツテスト、それも無理なら6時間目からだけでも登校してほしいんです。それも無理だとなったら、6時間目、班決めだけでもオンラインで参加してほしいので、ご協力お願いします」

「…わかりました。なるべく給食からだけでも行くように、伝えます」

そう言ったものの、全く自信はなかった。ご協力できるものならば、したいのだが・・・。

 

朝、5時に起きた時点でプン助は起きてゲームをやっていた。ゲームと動画の時間併せては一日3時間までプン助と旦那さんが決めていたのだが、早起きした場合は7時までの間は、その3時間にカウントしない…という変則的なルールが生まれていた。前はそれで早起きができるようになったのだが、だからと言って登校するわけではないので、ここ最近、結局7時になると二度寝をするというおかしな事態になっていた。二度寝は無し!と、いうルールも加わったのだが、「今のは二度寝じゃない、目をつぶっていただけだ」「いや二度寝だ!」という不毛な口論もセットで起き、疲れ果てて二度寝も8時半までは許容する…というダブルスタンダードな状況に陥っている。当然遅刻は当たり前のことで、給食前に登校したら、「頑張ったな」みたいな感じなのだ。

 

そんなプン助を日々みていたことと関係あるのか、昨年まで一人だけ早寝早起きをして、きちんと登校していたニンタマが、今年の1月くらいから、熱がある、ふらふらする・・・と、学校を休み始め、いろいろ調べた結果、起立性調節障害と診断される。

ニンタマが、普通に登校していたので、それまで、どんなにプン助が休んでも遅刻しても、それはプン助個人の特性・・・と思っていられたのだが、起立性調節障害と診断を受けようとも、ニンタマまでもが、休むようになってしまうと、やはり親に問題があるのではないだろうか・・・と、いう気分にもなって来た。

 

昨年度から、小学校も中学校も親がスマホアプリで、体温を毎日入力し、遅刻や欠席もアプリに入力することになっている。ニンタマが寝込んでいても、体温を測って、今日は登校できそうか、遅刻の感じなのか、欠席するのか、8時頃までに確認しなければならない。

「行けるかわからない」

と、言われると、なんて入力をしていいのか、とても困る。ニンタマの欄には、遅刻と入力をして、

「今日も頭がふらふらしているようで、起きられないようです。行けたら行くと言っていますが、欠席になるかもしれません。すみません」

といった文面を、毎日微妙にアレンジして、送信する。

プン助の欄には

「朝、起きていたのですが、まだ行く気力がわかないようです。すみません」

「昨晩、なかなか寝なかったので、今、どんなに起こしても起きる気配がありません。遅刻になります。すみません」

「今も、押し入れにこもって声掛けしても、返事をしないので、多分遅刻になるかと思います。すみません」

みたいな内容を、ローテーションで送信。

淡々と送信していたつもりだったのだが、毎日確実に「すみません」という謝罪を二件入力し、ほぼ毎日、担任の先生から、電話がかかってきて、「すみません」を繰り返していると、思った以上に、すり減るようだ。

「すみません」を「こんにちは」と、同じつもりで言えばいいのだ!と、切り替えたり、いい匂いのアロマオイルの匂いでリフレッシュしたりが欠かせない。

 

仕事をするときなど、不登校の館から脱出して、明るい気持ちで取り組んだりするのだが、先生からの電話で、5時間目までには登校させねば…というミッションができてしまい、今日は逃げるわけにもいかない。

 

30分置きに、プン助に

「先生と約束したんでしょ?」

「給食は食べるんだよ」

「スポーツテストの結果、ママ楽しみなんだけどな」

「たまには、給食くらい食べたら?」

などと、声掛けするが、ほとんど無視をされる。

次第にこちらも苛立って来て、

「なんで無視するの?」

「返事くらいしてよ、いくらなんでも失礼だよ」

「給食費払ってんだから、昼は給食食ってくれよ」

「そうやって、約束をやぶって、信頼を失い続ける人生を、自ら選択しているわけだね、君は」

「無視すんじゃねーよ!腹立つなぁ、もう!」

「そんなに一緒に住んでいる人をないがしろにするんだったら、もう無理だからさ、15歳までは面倒みてやるけど、あとはこの家出て一人でなんとかしろよ!もう、知らねーからな」

と、徐々に激しい言葉になって行ってしまう。

不登校の館から脱出するのは、自分がこの状態になるのが、嫌だということもあるのだった。同じ空間に居続けると、見たことのない鬼のような新キャラの自分が出てきてしまうのだ。

プン助は、時折、うなり声を上げる。ああ、先生から無理なミッションを授けられてしまったせいで、仕事は捗らないは、鬼キャラが出てくるは、プン助もますます意固地になってしまうは、悪循環になってしまったじゃねーか。もしかすると、私が脱出した方が、プン助の精神状態も悪化せずに、登校できたのかもしれない。

そんなこんなで、結局、昼になってしまう。

私が、奥の部屋にこもっていると、プン助とニンタマは楽し気に、昼食を勝手に作って食べている。覗いてみると、ニンタマは制服を着ている。

ニンタマの遅刻の連絡を入れた後、実際に登校したことは殆どないので、「登校する気になったんだ」と、少しだけ明るい気持ちになる。

だが、13時直前に急に、お腹を押さえて私のことろにやってきて、

「やっぱりお腹が痛いから、欠席にする」

と、報告に来た。

本来なら「大丈夫?」と、心配するべきなのだが、先ほどまでプン助ときゃいきゃいはしゃいでいた声が聞こえていたので、痛そうな顔つきまで、わざとらしく見えてしまう。

「あ、そう・・・。で、なに?」

と、不機嫌な対応になってしまう。

その勢いで、プン助に「スポーツテスト、行きなよ!先生と約束したんでしょ?約束したのに、行かないかったらウソつきになっちゃうよ!」

と、きつい口調で注意しに行ってしまう。

「先生は、そう言ってるけど、約束はしてないよ。それに僕は、元々スポーツテストあんまどうでもよかった」

というではないか。

 

カーっと頭に血が上る。だったら、なんで、昨日、そんな約束はしてない、僕は行きたくない!って言わないのだ!昨日じゃなくてもいい。今朝5時から13時過ぎまでの間、一言もそんなこと言わなかったではないか!

ギャーっと叫びたくなる。だが、冷静な自分もいた。

そうだった・・・昨日、先生から電話がかかって来た時点で、こうなることはわかっていたではないか・・・。本当は、こうしかなりえないことを、わかっていたではないか・・・。私がどんなに良い言い方をしたり、良い対応をしたとしても、(全くできてはいないが)プン助の中で、これは決まっていることが、私はどこかでわかっていたではないか・・・。プン助は一度だって、前向きな返事はしなかった。行かないのはわかっていた。私はただ、威圧したり、プレッシャーをかけたりして、「行く」という言質をとって、言うことを聞かせようとして、失敗しただけなのだ。

・・・徒労感。

 

「修学旅行も、行きたくないの?」

黙っているプン助。

修学旅行とか、運動会とかを楽しんで参加してほしい・・・というのは、ただの親のわがままなようにも思えてきた。自分がそこそこ楽しんで良い思い出があるような行事に参加しないのは、凄い損失のように思っているだけでそうではないのかもしれない。修学旅行を楽しまなかったり、拒否をする子がいたって、別に構わないのだ。それが困るとしたら、他の親たちと話すときに、全く話がかみ合わず、孤立感を覚えるというだけのことだ。ならば、孤立感を覚える場所に参加しなければいいだけのことだ。

そう思いながらもイライラが収まらない。

「こんなことなら、ママ、外に仕事しに行けばよかった。プン助のせいで、全然仕事がはかどらなかったよ」

言わなければいい余計なこととわかりつつも吐き出さずにはおられない。

「人のせいにしてるけど、それはママの個人の問題でしょ!」

正論を返され、ますます頭に来る。

すごすご奥の部屋に逃げ帰る。

スポーツテストのある5時間目が終わり、どうせ6時間目も、もう無理だろうと、オンラインでつなげようとするが、「6時間目にはいくから」とタブレットを抱え込んで、私に触らせないようにするプン助。

いつものように最後の15分くらいの登校をするのでは、班決めに参加できない。今すぐ行くか、オンラインでつなぐかしないと・・・と、説得するが、唸り声でこちらを威嚇するプン助。嫌になって、奥の部屋で作業をしていると、担任の先生から電話。

「説得していますが、学校行くと言いながら、なかなか行く気にならないようで・・・」と、へどもど言い訳をすると、プン助に替わってほしいと言われる。

先生「プン君、今から決めるから、すぐに来るか、オンラインで参加するかどっち?」

プン助「(聞こえないくらいの小声で)行く」

私「行くって言ってます」

先生「どのくらいで来られる?10分で来られるなら待つけど」

小さくうなずくプン助。

私「10分で行ける?」

プン助「(小声で)行くって…」

先生「どうする、プン君」

私「行くそうです」

先生「じゃあ、待ってるから、すぐ来てね」

電話が切れても、しばらくプン助は寝転がっている。先生がすぐ来てねと言っているのに、寝転がっている姿に気が狂いそうになる。

だが、まもなく

「ああもう~~~~~!!!」

と、叫び、プン助は面倒くさそうにランドセルを背負って、登校したのだった。

 

仕事がはかどらなかったが、15時から体育館で卓球場が解放されていて、人と約束をしていたので、体育館へ行く。全然卓球の気分ではなかったが、やはり体を動かす効果はすごい。

くさくさした気分は洗い流され、すっかり良い気分になり、帰宅した。

 

プン助はとうに下校して、遊びに行っていたが、旦那さんが、

「ああ、やっぱ、学校つまんなった!最悪だよ~~~!」

と、怒鳴りながら戻って来たそうだ。

 

夜、聞いてみると、

「面白くないのはいつものことだけど、ママが嫌なことばかり言うから、学校でも、誰とも話す気分になれなくて、ずっと気分が悪かったんだ!ママのせいだからね」

とのことだった。

「本当?ママはプン助のせいで、一日気分悪かったけど、卓球やったら、気分よくなったよ。プン助も、ママのせいで気分悪かったり、学校でつまんなかったら、友達と話したりして気分よくすればよかったじゃん」

と、言うと、

「ママは、そういうので気分よくなるかもしれないけど、僕はならないの、

一緒にしないでよ」

とのことだった。

 

いちいちごもっともなことを言うプン助に今日もタジタジだった。

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ある春のレアな日

今日から、一応春。

 

昨日、期末テストが終わった。

 

1月末から、ほとんど学校を休んでいたニンタマは期末テストだけは受ける・・・と先週の金曜日から三日間登校した。

テストの翌日の今日、どうなるのかな?と、様子を見ていた。

一応、着替えて準備をして登校するつもりのようだが、今までも玄関まで行って、「お腹痛い」「ふらふらする」と言いだすこともあるので、まだわからない。

私が渡した体温計では、36度8分だったが、「別の体温計がいい」と、別の体温計を持ってしばらく姿を消した。そして、37度2分と表示された別の体温計を黙って私に見せた。

「行かなくていいよ」

と、言って欲しいのかもしれない。でも、黙っていた。

その後、玄関から出ようとする前に、2回ほどお腹を押さえて苦しそうな顔をして、何かを言いかけてはやめ、登校した。

 

「大丈夫」「しんどいなら、休んでいいよ」

などと、声をかけるべきだったのだろうか?

 

しかし、学年末テストの三日間、普通に登校したことで、ずっと休んでいた後より、違和感なく教室に入りやすくはなっているだろう。

休み続けてしまったことで、行きづらくなっているのであれば、今日はキツく感じても行けるタイミングで登校した方が気持ち的に楽になるかもしれない。

でも、本当に登校が無理なのであれば、行かない方がいい。

 

背中を押したほうがいいのか、止めてあげたほうがいいのかは、まだよくわからないが、本人が模索して学校との関わり方を決めていくしかないのだろう。

無理強いせずに背中を押す…のが良いのだろうが、なかなか難しい。

 

ニンタマが登校した後、家にはまだ寝ているプン助がいた。

常に遅刻が常態化しているプン助だが、水曜日は大好きな通級教室がある日。

毎日、通級だったら毎日行くのに!と、言うほど楽しみにしているのだが、昨晩、親が寝た後もしばらく起きていたプン助は中々起きられない。

 

何度起こしても、起きなかったのに、目が覚めた途端、「なんで起こしてくれなかったの!」と、切れ気味。

「パン食べる?」

「カレー食べる?」

と、面倒を見てあげている旦那さんに、罰を与えるかのように

「いらない!」

「食べない!」

と、怒鳴るのだった。

 

通級の連絡ノートに

「プン助君、タブレット持ってきてね」

と、書いてあった。

学校から支給されたタブレットは基本、毎日持参しなければならないのだが、ここ最近プン助は重いと言って、持っていかなくなっていた。当然、タブレット経由で出されている宿題なども無視している。

「いつも5,6時間目からしか行かないからって言っても、タブレットないと困らないの?」

と、聞いても

「困らない!」

と答えるだけ。

おそらく授業をまともに受ける気はないのだろう。こうなると何を言っても無駄なので、こちらもそれ以上言わなかったが、連絡ノートに書いてあった以上、持たせない訳にもいかない。

 

「通級の先生がノートに書いていたんだから、通級で使うのかもよ」

「違う、通級で使うわけないじゃん。多分担任の〇〇先生が、『私が言っても持ってこないので、通級の先生の方から言ってください』って頼んだんだよ、絶対」

なんと、鋭いのだろう。

私も薄々そうかな・・・と思ってはいたが。

 

「そうかもしれないけど、Y先生(通級の先生)が、わざわざ書いてるんだから、プン助がもっていかなかったら、Y先生が悲しむしさ、持っていきなよ~」

などと、苦し紛れの説得をすると、プン助はニヤニヤ笑って、

「かなしい~~~」

 

と、裏声で歌い始めた。

 

思わず吹き出しつつも、プン助の目を盗んでランドセルにタブレットを忍び込ませておいた。

だが、玄関から出ようとした瞬間、プン助は立ち止まりランドセルを開けて、

「重い!」

と、タブレットを出してしまう。

 

「お願い、持って行ってよ」

「やだ!」

「Y先生が、ノートに書いてるのに、持ってこなかったら、それはプン助の失敗じゃなくて、ママの落ち度だって思われる!ママがダメママだって思われるの嫌だから、ママの為にも持って行ってよ~~お願いお願い」

プン助に正論は効かないので、情に訴える方法しか思い浮かばない。

「やだ~!!!」

「ママのせいになるの嫌なの~!ママのお願い聞いてよ~!」

「やだ~~!」

などともめていると、旦那さんが

「お母さんかわいそうだろ!持って行ってやれよ!」

と、参戦してくれた。

本当はそこじゃないのだが、旦那さんが来てくれて、助かった。

「だって重いんだもん」

「じゃあ、他のもの出せ。お前どうせ、筆箱とかつかわないんだろ!筆箱出せばいいじゃん」

旦那さんが、筆箱を出す。

「筆箱は通級で使う」

プン助は慌てて、筆箱をランドセルに戻した。

「じゃあ、他のもの出せよ!」

旦那さんは、算数や漢字の教科書やドリルやノートをドサドサ出して、タブレットと筆箱だけをランドセルに入れた。

旦那さん、なんて大胆なんだ…。

「ほら、軽くなっただろ!」

「……」

プン助はまだ不満気で何か言いたげだったが、諦めて玄関から出て行った。

 

一件落着…と言った感じに、渋い笑顔を浮かべている旦那さん。

 

よくわからないが、とりあえず一心地ついた。

 

「数年前まで、子供が学校に行ってしばらく家にいないって言うのが、当たり前だったけどさぁ、二人とも登校してるのって、久しぶりだね」

「そうだね」

「すっごいレアじゃん、今日」

「本当だね」

 

などと言い合い、二人ともPCに向かってお仕事タイムに入った。

久々に平和だ。

子供が普通に登校するって、子供の為じゃなくて、親の為なんだなぁと実感した。

そう思うと、少し申し訳ない気持ちになったが、今度いつあるかわからないレアな日かもしれないので、申し訳ないとか思う無駄に時間に費やすのはやめようと思った。

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慣れ親しんだオタオタする人生

稽古前に、早めに家を出て、カフェなどで仕事をする予定だったが、いざ家を出ようとしたら、PCの充電がゼロ。

私が作業をしているテーブルの下がプン助の巣のようになっていて、そこでYouTubeを観たり、漫画を読んだり、なんなら食事までしてしまうのだが、その時プン助の足が私のPCの電源コードに当たって、抜けてしまうということがよくあるのだ。

仕方なく、稽古前ギリギリまで、家で作業。

早めに稽古に行くつもりが、またまたギリギリになってしまう。

稽古場へもうすぐ着く…という時に、今度はプン助の担任の先生から電話。

 

「学校や授業に積極的になれない感じがある中、毎日少しでも登校頑張ってくれてありがとうございます」

先生のお礼がもう、無理やりいい所を拾ってくださってる感じで、本当に申し訳ない。

プン助は、登校をしても算数以外は、殆ど授業に参加していないらしく、時々人の注意を引くために、誰かのシャーペンなどを取っては追いかけっこになっている…とのこと。

「それは、欲しくて取るっていう感じなのですか?それとも、ちょっかいって感じなのですか?」

「ちょっかいですね」

欲しくて取る…というのではないところで、少々安心しつつも、ちょっかいで人のものをとるのも困りものだ。

「生徒達から、何度か報告を受けていて…」

何度も、報告を…。わかってはいたが、本当にクラスの問題児なのだな…。

学校がつまらないのだろうが、退屈さは一人で耐えて欲しいところでもある。

「学習面も、前はドリルとかやって来てくれたのですが、最近はそれも全然やらなくなっていて」

「学校のものが全て嫌みたいなので、家でも別のドリルを渡したりしていたのですが…」

「別のドリルでもいいです。別のドリルを持ってきて学校でやってもいいので、ちょっとずつ学習をして行けないでしょうか?」

え?別のドリル持って行っていいの?先生、どこまで譲歩してくれるのだろうか。しかし、プン助は載ってくれるのだろうか…。

 

気持ちを切りかえて、稽古。

始めての本立ち。

 

この本立ちが一番苦手。相手を見たり、また本を見たりをやると、一体どこを読んでいたのか分からなくなったり、何かとても不自由なのだ。

とっとと、セリフを入れなければならないのだが、うろ覚えで立って迷惑をかけるのも心配で、スタンスが定まらない。早く口から勝手に出るような状態にしたいのだが、最近ちょっと認知に自信がない面もあるので、30代のころのように体に染みる状態になるのか、ちょっと心配。

まあ、心配するくらいならやれよという話だ。

 

作業しようと思ったら、PCの電源が足りず、家でやっていたら、遅刻しそうになり、慌てているところに、先生からの電話、そしてもう少し準備してから臨もうと思っていた稽古でも、オタオタ…。

若い頃は、何かが整えばもう少しちゃんとやれるはず…と思っていたが、もう少し整うことがないままの人生なのだろうなぁ。

一々オタオタしない人間になりたいと思っていた。

でも、もう慣れ親しんだオタオタなので、いつものことだ…とオタオタしながらも、自己嫌悪を引きずらなくなって来た。

これが、いいことなのか悪い事なのかはわからないが、残り時間が少なくなっていく中、無駄に凹むのも効率悪いっていうことなのだろう。

 

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体操教室体験

プン助の体操教室体験。

ここの所、家でバク転の練習をして、下の階から苦情が来たりしていたのだが、仲良しの●●君が通っている体操教室へ一日体験入所することになった。

 

YouTubeで観たパルクールに憧れていたのだが、バク転までは我流で頑張る・・・と、言い張っていた。だが、仲良しの●●君が習い始めてから、めきめきうまくなったのを見て、自分も行ってみたいと思ったようだ。

 

G体操教室には、小学校低学年から中学生くらいまでいた。

小さい子も、綺麗に勢いよく側転やハンドスプリングをしていてびっくり。

プン助は学校では、マット運動が上手な方とされていると自慢をしていたが、ここではプン助よりも上手な小さい子が沢山いる。ショックを受けていないだろうか?

  • ●君は、上手なグループに入っていて、補助が付いているとは言え、前方転回やバク転、前宙の練習、どれもかなり様になっていた。

 

私はあまりにも運動神経が悪かったので、小学校低学年の時に体操を習っていたのだが、かなりスパルタで、拷問のような柔軟体操で泣かされたトラウマ的な思い出があった。マット運動も、週1しか通わないクラスの子達はいつまで経っても、バク転の練習をさせて貰えず、2年通っていたのにハンドスプリングまでしかできるようにならなかった。

 

この教室は、初日からバク転の練習をやらせてくれている。教え方も私の子供時代のような体育会系ではなく、理に適っているように見えた。

素晴らしい!・・・と、私の気持ちは先走ったが、プン助に練習どうだった?と聞くと、

「よくわからん」

とのこと。

自分が意外とできない方だとショックを受けたのだろうか?などと心配したが、

「やってみたい」

との言葉を聞き、ちょっと嬉しくなった。

「皆もっとうまいかと思ってたら、そうでもないなって、ちょっと残念だった」

と、私の予想と逆のことを言っていた。

 

続くかどうかわからないが、「やってみたい」頂きました!・・・と、嬉しい気持ちになった。だが、習い事にはお月謝問題がつきもの。

ちゃんと実現するお仕事して、今年は収入アップさせねば・・・。

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フライヤー撮影に行って来た!

 

プン助は安定の行きしぶり。

私は朝11時からzoom会議。

プン助がコーヒーを淹れてくれた。

 

Zoomはさくっと退出させて頂き、お昼から、1027日(木)~31日(月)に出演させて頂く、24/7lavo 4回公演 「インディビジュアル・ライセンス」のフライヤーの撮影へ。

 

新宿シアターミラクルで集合して、車で小一時間で移動しながら、三箇所くらいで撮影。主宰で演出家の池田さんが凄い勢いでバシャバシャ撮影し、素晴らしい段取りの良さで、またシアターミラクルへ戻って来て、しばし談笑し、親交を温める。

 

子供を産んでから…というか、30代半ばから、出演する方は、ほんの時たまな感じで、出演するにしても、それほど出番も多くなく、気楽な出演をさせて頂いていた。

 

今回は、割とガツンと出演することになるので、楽しみな反面、ドキドキなのだ。

 

まだコロナ禍になる前の宝船公演で、終演後対談させて頂いた、米内山陽子さん脚本の作品。

 

米内山さんの本は、ちゃんとキツイ現実にぶち当たっている人達の等身大の悩みがきちんと描かれているのに、米内山さんの中のポジティブなエネルギーが観ている側にジワジワ伝わってきて、何故か癒されてしまう素敵な作品が多い。

 

対談させて頂いた時も、凄く楽しく、その時間は私にとってキラキラした時間になっていた。

 

…ということで、不安に思っている場合ではない、やらねば!と、何か必然的な流れを感じて、出演させて頂くことにしたのだ。

だが、ご一緒する共演者の方は立派な方々ばかり・・・。

 

早くも、ひえ~っと尻込みしそうになったのだが、もう尻込みとかしている無駄の時間はないのだ。

稽古をやっていくうちにそれほどのひえ~じゃなかったな・・・と思えるように、沢山恥を掻いて、ぶつかって行かねば・・・。

 

明日は稽古初日。

出来上がっている分の脚本はとてもポップで面白く、まだ自分がその世界の一部になる現実感は無いのだが、その世界で生きられるのがとても楽しみ。

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白いマスクがない!

月曜日は学校公開の振り替えで、プン助はお休みだった。

なので、今日は休み明け。

休み明けは中々登校できない。

 

いつでも送れるように待機していると、今行くと言っては行かないで、午後までかかってしまうこともあるので、午前に婦人科へ注射を打ちに行き、その後、マイナンバーカードの暗証番号を忘れたので、再設定しに役所へ行き、その後、ドトールで作業。

何度かプン助から電話が掛かってきた。

出てみると、

「暇~」

と言っている。

「作業ケリがよくなったら戻るけど、どうせ暇なら公文の宿題とかやってたら」

と、言うとそれには何も答えず

「暇だよ~」

と、言い続ける。

「ママ切るね」

と、電話を切り、しばらく作業に没頭。

 

作業を終え、買い物をして帰る途中、またプン助から電話。

出てみると、何やらキレ散らかしている。

「うう~~~!ああ~!もう~!」

と、癇癪を起している。

「どうしたの?大丈夫?」

「白いマスクがない!」

「え?この前買ったばかりだよ」

「ないの!」

「薄い緑のマスクとかもあったでしょ?」

「あれはインクの匂いがするからヤダ!」

「新しいマスクは白くても臭いよ。インクの匂いじゃないよ!」

「白じゃないとダメなの!」

恐らくやっと登校する気になったら、白いマスクが無くて、出かけられなくなった・・・白いマスクをどうしてマスク置き場に置いてないんだ!…行けないのは、ママとパパのせいだ!…というやり場のない怒りで一杯の様子。

「何、どうしたらいいの?マスク買ってこいってこと?」

「うわ~~~!そういうことじゃない!」

「ゴメン、ちょっと切るね」

白いマスクを買って帰宅すると、家は静まり帰っている。

あちこち探すと、フローリングの床にうつ伏せで、ピクリとも動かない。

「マスク買って来たよ?」

と、声をかけるも、無言。

 

手を洗ったり、荷物を下ろしたりしていると、いつの間にか傍へやってきて、マスクを開けようとしていた。

「開けられない!」と、苛々していたが、こちらが手を出そうとすると、自分で開けたい!と、強引に引っ張り、箱は破れてしまったが、無事にマスクを取り出すことが出来た。

「ママ、卓球に行くから、ちょっと待っててくれたら、一緒に行けるよ?」

と、言うも、そのままマスクをして、私を待たずに登校した。

その時点で14時15分。

「本当はもっと早く行けるはずだったのに!マスクが無いから!」

と、プンプンしていたが、とりあえず良かった。

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まねきねこの日、そしてトランクの行方

朝からやるべきことをやらねば・・・と、カラオケボックス「まねきねこ」へ。

よし!今日のノルマにかかるぞ!と、思った瞬間に、母から電話。

小一時間、話してしまう。

お金払って、場所台まで支払って電話をするのは勿体ないことではあるが、実は家ではおちおち電話もできない。

静かな時もあるのだが、電話をかけてようがなんだろうが、どこでもかしこでも、大きな声で歌うニンタマ。

「水を入れて」「パンを焼いて」と、自分で出来そうな用事を好きな時間に言ってくるプン助。

デュオリンゴという英語学習アプリにハマっているので、最近は「スーツケースって何?」という質問に、「エス、ユーアイ、ティー、シー、エー、エス、イー」と、色々な単語に対してスペルで答えないといけないノルマも課されている。

旦那さんは旦那さんで、大きな声でセリフの練習をしていたりする。

ウチの人間は皆、悪気はないのだが、私のような周囲が気になる人種には、落ち着かない環境なのだ。

母との電話は長くなるので、いつも「ちょっとしか話せないよ」と、言ってしまうのだが、話しているとこちらも、昨日ニンタマのトランクを選んでいたら、可愛い服があった…みたいな話もしたくなってしまい、母がもう切るよと言っても私が話続けてしまい、長くなってしまうのだった。

 

しかし、ニンタマの服が可愛かったけど、全部買う訳にも行かないし・・・みたいな話をしていたら、母が「私、もうそんなに海外行けるかわかんないし、ウチのトランク送ろうか?」と、言ってくれた。

前のニンタマの赤いトランクも母から貰ったものだった。ニンタマなりに、今度は黄色がいい!などと夢を見ているうようでもあったが、実際素敵なトランクを持つよりも、(母のトランクもニンタマ好みではないかもしれないが、十分素敵なのだが)服の方が日常的に着用するし、優先度が高いのではないだろうか?

「ちょっとニンタマに相談してみるね」

と、いうことになり、その後、しばらく作業。

カラオケボックスで仕事をする時には、休憩に1,2曲歌う時もあるのだが、この日は歌わずに作業をした。

 

帰宅後、母から送られたトランクの写メを見せた。

喜ぶかと思いきや、最初は「やだ!」と、拒絶反応を見せたニンタマ。

「でもさ、新しいトランクを買うと、服は買えないよ?このトランク、モノは多分今日見ていたトランクよりいいトランクみたいなんだけど・・・」

と、言い終わらないウチに

「じゃ、それで!」

と、即決した。

 

きっと、欲しいトランクの事だ頭を駆け巡っていたのだろう。その夢をぶった切られたきがして、拒絶したが、服の話が出た途端、「じゃ、服!」と、なったのだろう。

判断の早いニンタマに、感心する。

52年生きて来た私より、13年しか生きていないニンタマの決断の速さに感動。

 

一方プン助は、今日は、昨日遊べなかった●●君と遊べたらしい。

「△△君は大丈夫だった?」と、聞くと、

「うん、どうしても無理なんだ~って繰り返したら、大丈夫だった」

とのことだった。

「どうしても無理って繰り返すと、家の用事か何かだって思うみたいだね~、ああ、遊び過ぎて、筋肉痛だよ~」

ちゃんと断れたのか・・・良かった、良かった。

 

子供らは二人とも、私が小学生の頃より、今の私の基準では立派な気がする。

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娘とデート

長女ニンタマとデート。

7日に誕生日だったニンタマが、誕生日プレゼントはトランクが欲しいと言っていたので、吉祥寺へトランクを見に行くことにしていた。

どうせなら、映画も観る?というと、「ジュラシックワールドが観たい!」

とのことだったので、11時20分の回を観に行った後、トランク探しをしようということに。

ジュラシックパークやジュラシックワールドはプン助も大好きなので、誘ってみたが、

「友達と遊ぶ約束をしているから・・・」

と、断られた。

 

「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」は2時間27分もあったが、これがシリーズラストだと思うと、まだ終わらないで・・・と願うほどで、全く長さを感じなかった。

恐ろしいシーンになると、ニンタマと手を握り合ったりして、娘と同じ映画を観る幸福感を満喫。

一応、シリーズを全て見て入るのだが、系統立てて理解をしていないので、誰が誰だったか、誰と誰は知り合いだったかなど、色々うろ覚えだったが、十分楽しめた。

1993年にジュラシックパークが公開された時には、こんな風にシリーズラストを観る未来を全く想像していなかった。面白いとは思っていたが、好みの映画でもなかった。

だが、子供が観たがる度に観ていたおかげで、すっかりこのシリーズが大好きになっていた。

プン助のお土産として、パンフレットも買う。

 

その後、ちょっとしたスイーツを食べ、ヨドバシカメラのスーツケース売り場へ。

昔、安いからとネットで8,000円くらいのトランクを買ったことがあるのだが、中身が段ボールでヘナヘナだった。

そんなこともあり、そこそこちゃんとしたモノを買った方がいいと思ったのだが、今一つ相場がわからない。

「ウチは貧乏」と、言い過ぎていたので、ニンタマが値段に臆して好きだと思うものを言えないとまずいと、

「まずは値段は見ないでいいから、どんなのが好きかで選んで?」

と、伝えた。

元々おばあちゃんから貰っていた赤い可愛いトランクがあったのだが、それがニンタマのスキーブーツを入れるには少し小さすぎるということと、ちょっと中の布が破れたり、取っ手がぐらつき始めたので、新しいのが欲しくなったらしい。

 

大体、50ℓ~70ℓのもので、売り場に置いてあるものは19,000円35,000円位のものが多かった。

「黄色がいいと思ったけど、このサーモンピンクも可愛いな」「ああ、でもこういう方がいいかな(シャンパンゴールド)?」「これ、凄い、めっちゃ持ちやすい!軽いよ!」と、テンションが上がっているニンタマ。

値段を気にするな・・・と言ってみたものの、やはり6万円を超えているようなものに関しては、気に入った反応を見せた瞬間に、しまったというような顔をして引っ込めていた。

私も、その時は「そうね、それはさすがにね」

みたいな顔で無言の圧をかけてしまった。

 

どれでも良さそうではあったが、それほど急ぐわけでもないので、アトレと東急デパートでも探してみることに。

アトレにあるのは素敵だったが、品数も少なく一番安いものでも3万超えだったので、サラっと流して、東急へ。

だが、東急はヨドバシのように沢山のトランクが雑多に並んでいる感じではなく、美しい店舗に大層美しく陳列されていた。

「なんか、場違いな感じ・・・」

と、ニンタマが尻込みしている。

可哀そうに、そんな尻込みする必要なんかないのに…と、本当は私も若干尻込みしていたのだが、

「大丈夫大丈夫」

と、マダム面をして店舗へ入っていった。

オススメされたのは、66,000円のトランク。

美しい・・・。

やっぱ、モノが違うな・・・。

「凄い、可愛い~持ちやすい~、ストッパーがついてる・・・」

と、頬を昂揚させているニンタマ。

「いいわね。凄い、いい!」

 

こういうものは中途半端に臨時収入なんかがあったら、その場の雰囲気に飲まれて一瞬気が狂ってしまって、買ってしまったりする時があるんだよな。

 

時折、そんな風に気が狂ってものを買っては後悔することがあるので、買い物に行くこと自体を減らすようにしているのだが、今日はニンタマも一緒にいるから冷静。

 

「自分の持ってるトランクの大きさとちゃんと吟味したほうがいいから、家でサイズ計ってからがいいね。ちょっと写真撮らせてください」

 

「こっちのトランクも持ってみて」

と、何枚か写真を撮って、

「いいねぇ。ちょっと考えよっか」

と、マダムモードを崩さないまま、売り場を後にした。

 

それほど頻繁に旅行をするわけでもないので、こんな高級品は必要ないのだが、美しいものに触れるのは、いいなぁ。

 

でも、私のいかにも買いそうな態度に、ニンタマが「もしかしして、これ買えるのかな?」と、期待させてしまうかもしれず、即座に

「あれはさすがに高すぎだね、でも可愛かったね」

と、言う。

「うん、素敵だった~」

高そうなお店だから入れない・・・という卑屈な気持ちには、させたくなかった。

買えなくても、ちゃんと見て慣れておかないと本当にちょっとお高いものを買う時に、舞い上がっておかしな買い方をするようになってしまう。

 

その後も、色々な食器や調理品などを見て、じゃあソフトクリームでも食べてから帰ろうということになり、二人でソフトクリームを食べていると、視線の先に、普段だったら全く目に止めない、黒いデニムのシャツが目に入った。

 

この服、自分だったら、買いたいと思わないけど、ニンタマに似合いそう・・・。

 

ニンタマより先に食べ終わったので、その服を見に行ってしまう。

傍で見てもやはり可愛い。

食べ終わったニンタマは

「黒は可愛いけど、私が普段きるんだったら、ブルーの方が合わせやすい」

と言う。確かにそれはそうだ・・・。そして、その流れで何故か、グリーンのストレートのデニムも試着させたくなり、

「これ、着て観なよ!」

と、薦めてしまい、ニンタマが試着している間に、インディゴブルーのワンピースシャツも見初めてしまい、

「これも二人で一緒に着れそうだし、着てみて!」

と、試着させる。

一応私も羽織るものだけは試着。

どれもニンタマの方がよく似合う。

が、私も着れなくもなさそうだった。

 

やばい・・・可愛い。

 

「私的には、緑のデニム、ワンピース、デニムのシャツという順番」

と、ニンタマ。

 

ああ、気が大きかったら、「全部買います!」って言ってしまう。

しかし、

「じゃあデニム取り置きにしてください。他の二点は、追々考えます」

と、言って、とりあえず買わずに帰って来た。

その日は何も買わずに帰って来たにも関わらず、ニンタマは

「今日、プン助が来なくてよかった~、アイツいたら、絶対こんな風に色々観られなかったもん~」

と、楽しかった様子。

ニンタマには今まで素敵なお下がりをくれる親戚のお姉ちゃんがいたのだが、今ではそのお姉ちゃんよりも大きくなってしまって、お下がりがあまり頂けなくしまった。

 

素敵なお下がり達は、かなり上質な服も多かったが、ウチで自腹で買ってあげる服は、最近専ら、ユニクロ、GU、ギャップ、ザラ、時々メルカリ・・・という具合。

 

デパートという夢の国で服を見ること自体がキラキラしていて楽しかったようだ。

 

しかし、当たり前かもしれないが、ちょっとお高いものは、ニンタマの器量までアップさせてしまう。

ああ、着飾らせたい!

可愛い服着せたい!可愛いバッグを持たせたい!

 

そんな自分の中の暴れ馬をどうどうと宥めるのがちょっと大変だった。

 

夜プン助が、

「あ~あ、僕も映画行けばよかった。午前中は●●君と遊んだんだけど、午後も本当は●●君と遊びたかったけど、別の△△君から電話かかってきて、遊ぼうって言われて、●●君と遊べなかったんだよ~、こんなことなら、ジュラシックワールドに行けばよかった~~~」

と、漏らしていた。

プン助は●●君が大好きなのだが、一人の人としか遊ばないと、その子が忙しくて遊べない時に困るから、手持ちの遊べる友達を確保したいらしいのだが、今度はその子達に誘われると、断れずに大好きな●●君と遊べなくなる・・・という悩みがあるらしい。

●●君は、少人数で遊ぶのが好きらしく、プン助も●●くんとは極力二人で遊びたいとのこと。

他の人が混ざると、どうも●●君テンション低くて、自分もどうしていいかわからなくなるという。

「遊べない時は、断っていいんだよ」

「でも、なんで?え~いいじゃんって言って、断っても△△君は来ちゃいそうなんだもん」

確かに△△クンはぐいぐい来るタイプの子だ。                                                                

ああいう子はああいう子で面白いのだが、私も、子供の時も、今も全然断れない人間なので、気持ちはよく分かる。

 

大人になった時に、私よりはガツンと断れる人間になれればいいのだが・・・。

 

しかし、今日はニンタマとデートが出来てよかった。

プン助ともデートしてくれるウチにデートをしたいのだが、遊び命だからしてくれるかなぁ。

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オンライン学校公開 教室を練り歩く我が子をちょっとだけ参観

今日は土曜日だが、学校公開の道徳の授業があり、プン助は登校せねばならなかった。プン助の授業は11時からリモートで親が見られる予定になっていた。

だが、7時半に起こし、8時半に起こし…をしていたが、中々起きない。

9時頃やっと起きたが、英語のゲームアプリのデュオリンゴをやり始め、のんびりしている。

「行かないの?」

「行くよ~、今、Xブースト来ちゃったんだよ!」

(得点が15分間だけ2倍になる時間帯)

「じゃあ、それ終わったら行きなね」

「わかった」

 

だが、終わった後も、メロンを食べたり、キウイを食べたり、ポテチを味見したいと言った後、またデュオリンゴを始める。

「デュオちゃんもいいけど、どうせ行かないならさ、公文とかの宿題やったら?」

「行くよ!わからず屋だなぁ、ママは!」

「ママ、今日は12時から卓球だから、11時から支度始めるし、10時くらいまでしか学校送れないからね」

「わかってる!」

私が、はっぱをかけても、経験上何一ついいことはないことを実感しているので、後は片付けやら、洗濯物干しやらをやり、自分の作業をしていた。

11時過ぎになり、私は自分の卓球の準備を始めた。もうリモートも始まっているが、プン助がまだ家にいるので、下手にオンラインを繋げてしまうと、プン助が面白がって授業に参加する側ではなく、眺める側に回りそうなので、繋げずにおいたのだった。

すると急に、登校する気になったプン助が「じゃあ行ってくるね」と、家を出て行った。身支度を一通りした後、タブレットでミーティングルームに入ると、まさに教室にプン助が入って来るところだった。

なんと、一番カメラが近い席だった。

「アイツ、今来たよ!」

と、ニンタマと旦那さんと、ついコメディをみているかのようにゲラゲラ笑ってしまう。

まるで主役のように一番大きく姿が映っている。到着するなり、ランドセルを置くために後ろのロッカーへ行くのだが、やたらゆっくり、机の間をフラフラと練り歩き、時々掲示板を眺めたりしながら、やっとランドセルを置いたら、また違うコースを練り歩きながら、戻って来た。

「授業の準備してるよ!凄いゆっくりだよ!」

と、ニンタマはすっかり面白がっていた。私も最初は面白かったのだが、段々不安になってきた。

これ、他の親御さんも皆見ているわけだよね・・・。一番目立つところに、このような生徒がいるのを見たら、びっくりするのでは?

そして、こんな生徒に殆どきつい注意をできない先生も、とても可哀想・・・。(昔が良い訳ではないが、昔だったらゲンコツを喰らっている)

面白くはあったのだが、観ているのが、ちょっと辛くなってきた。

卓球にも遅れてしまうので、ニンタマに「授業終わったら、退出してね」

と、言って体育館へ向かった。

 

猛烈しごき教室のような卓球の練習を終え、戻って来たらニンタマが

「ママが行ってからまた凄かったんだよ~~~!」

と報告してくれた。

 

プン助は、ランドセルを置きに行った後も、フラッと立ち上がって歩き回り、掲示板を眺めたりしていたのだが、その後急に、練り消し制作に勤しみ始めたらしい。

日々、鉛筆で塗りつぶした紙を消しゴムで消して、その消しカスを集めては丸める…を繰り返し、育てて来た割と大き目な練り消しを、授業中にもまた育てていたのだが、しばらくして、近くの生徒にそれを差し出して見せ、その生徒が困惑していると、また自分の席に戻り、今度はその練り消しを机に置いて、バン!と叩いて平たくしたりしていたと言う。

「タブレットからもバン!って凄い音聞こえたから、びっくりしたよ~~ヤバいってあれ~~」

ヤバいといいながら、妙に嬉しそうなニンタマ。

 

大丈夫かな・・・。私は最早、慣れてしまっていて、それほど気にならないのだが、これを見た他の親御さんから苦情とか来たりしないだろうか・・・。

5年生なので、お受験を考えているご家庭の親御さんなどは、うちの子の勉強の妨げになる・・・と思ったりしないだろうか・・・。

何故、このような言動をしているのに、野放しにしているのだ…などと言われないだろうか?

私も、お子さんをもっとなんとかして欲しいと、言われてしまう事態になったりはしないだろうか・・・。

 

言われてしまっても、そこをなんとかする自信は全くない。私じゃない親であればできるのかもしれない。でも、私なりに無理強いしたり怒ったり闘ったり諫めたりを数年やってきた結果の今だったりする。

プン助の精神状態は、ここ数年の中で今はかなり安定している方なのだ。

ほぼ不登校の昨年からすると、本当に休むのは二週間に一日くらいになり、どんなに遅刻をしても6時間目の30分だけでも、とりあえず形だけでも登校するようになっている。こちらから、行け行けと言わなくても最後の30分だけでも行った方が、どうやら自分にとって生きやすいことが分かってきているのかな?と思う。

遊ぶのが命のプン助なのだが、妙に律儀なところもあり、学校を休んだ日に遊びに行くことはできないらしく、遊びに行くためだけにでも学校へ行くようなのだ。

これも一緒に遊んでくれる友達がいるお陰なのだ。

そういうお友達がいてくれるのは、本当にありがたい。そして、こんな状態のプン助を怒りすぎないでくれている先生も本当にありがたいのだ。

 

来週あたり、お詫びの電話を入れなければなぁ・・・。

遊びから帰って来たプン助に、授業中、何故彷徨い歩いたり、練り消しを作ったり、授業に殆ど参加していないのかを聞いた。

「だって、退屈じゃん学校って」

とのことだった。

うん、わかるよ。わかるんだけどね・・・。私も退屈だった。一生懸命聞いても、気が付くとぼーっとしてしまったりして、いつの間にか何の話をしているのかわからなくなって、早く時間過ぎないかと、ずっとずっと我慢していた。

辛かった。

辛いので、先生に見つからないように、漫画や絵を描いていた。

 

私が我慢したからと言って、我慢しろというのが正しい訳でもない。私が絵を描いて気を紛らわしていたのと同じような意味で、教室を練り歩いたり、練り消しを作っているのだろう。

私の心の中には、プン助に出来れば我慢をして欲しい、そして気を紛らわすことをするなら、先生に見つからないように上手く胡麻化してやって欲しい・・・という気持ちがあるのかもしれない。

でも、それは言いたくない。

 

自分がした我慢を正当化して人に押し付ける人間にだけはなりたくないのだ。

 

だからと言って、このままでいいのかもわからない。

迷うことばかりだ。

 

オンライン参観、最後まで見続けなくてよかった。

そんな状態の子供を見続けないなんて、怠けていると思われようと、最後まで見続けていたら、きっと悩み過ぎて、へこたれしまったり、怒りすぎてしまったりで、プン助を傷つけてしまったりしてしまったかもしれない。

他の人に迷惑をかけていたら、申し訳ないのだが、気にし過ぎない程度に気に掛けて、本人が楽しそうならよしとしようと思っているのだが、今後どうなっていくのかはさっぱりわからない。

なるようにしかならない…というのは逃げなのだろうか。

 

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