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荷造りしているのを姿を見るだけで具合が悪くなる!

プン助の荷造り。

明日からプン助は修学旅行。

旅行の保護者説明会で貰った書類には

「荷造りから旅行は始まっています。必ずお子さん自身に荷造りをさせてください」

と、書いてあった。

最もだとは思った。だが、プン助は小学生になって以来、時間割でさえ自分でやれたことがない。

最初のうちは親がつきっきりで、支度を手伝っていたが、連絡帳に持ち物を書いてこないので、推測で入れたりしていた。

次第に、「これはいる?」と聞いたりするだけで、癇癪を起すようになり、こちらが折角入れても、「重い!」と、出したりするようになってしまった。

そして、ここ1、2年のほぼ最後の30分くらいしか登校しないようになってからは、身一つでも登校すればいいだろう・・・といった状態になっている。

大好きなお友達に、誘われた遠出でも、荷造りが無理だから迷惑をかける・・・という理由で断わることもある。

ただでさえ、修学旅行には

「行きたくないなぁ・・・家にいたら、ずっと休んでいられるのに」

と、気が乗っていない様子。

「行ってみたら案外楽しいかもしれないよ」

と、行く気持ちになるようにこちらも努力をしているが、当日になってすっぽかす可能性も高い。

荷造りなんて、夢のまた夢。

しかし・・・おそらく遺伝なのだが、実は私も超絶荷造りが苦手なのだ。

私の場合、プン助よりは嫌なことも我慢してやる性質なので、幼いころより、忘れ物はたくさんしていたが、一応自分で時間割や荷造りはやっていた。

だが、稽古場などでも、いつも帰り支度に異常に時間がかかり、どんな現場でも、いつも一番最後になってしまう。

旅行の前日はほぼ一日中荷造りをしているのに、必ず忘れ物をしてしまう。

そして、荷造りはいつもとても苦痛。

誰でも荷造りは苦痛だと思いながら、頑張っているのだと思っていたが、そうではない人間がいることを最近知った。

荷造り超絶苦手な私の娘のニンタマは「荷造りって楽しいよね~」と、いつもルンルンしながら、支度をしているのだ。

あんな苦痛な作業を好きな人間がいるなんて…!しかも、私の娘が・・・!と、大層驚いたのだが、それならば・・・と、最近は私の旅支度などはニンタマに手伝ってもらっている。

「そんなに服はいらないよ」

「歯ブラシとかはこういう場所に入れた方がいいよ」

「これ、もう少し小さく入れられるよ」

「〇〇日間だったら、服は〇着あれば大丈夫」

と、的確なアドバイスをしてくれる。そんなわけでも、

「プン助の荷造りするんだけどさぁ、ニンタマ手伝ってくれない?」

と、お願いすることにした。

ちなみに、本来なら二人とも学校にいるはずの午前10時頃から支度を始めた。プン助はただの学校嫌い。ニンタマは、学校嫌いもありつつ一応起立性調節障害で調子が悪い…ということで家にいたのだった。

「プン助、長ズボン、これでいい?」

「敷物はこれに入れておくからね」

「お風呂はこのカバンに入れて、汚れた服はここに入れてるビニールに入れるんだよ」

私とニンタマがプン助に質問したり、確認をするのだが、プン助はゴロゴロ転がるばかりで、ほとんど返事をしない。たまに口を開くかと思うと、

「絶対その服は着ない」

「あ~!行きたくない!」

みたいなことばかり。

 

以前、空手を習っていた時の合宿では、着替えを何着も入れていたのに、一度も着替えていなかったり、スキー合宿でも予備のマスクを沢山いれていたのに、三日間同じマスクをつけていたり、自分の持ち物を全然把握できていなかったので、すべてわかるようにジップロックに入れて、マジックで「パジャマ」「マスク」「下着」「お風呂セット」などと、書いていると

「荷造りしている姿をみるだけで、具合がわるくなる!」「マジックでそんなの書かないでよ!」

と、プン助は怒り始めてしまう。

「だって書かないとわかんないでしょ?」

「わかるよ!」

「だって、空手の時だって全然着替えなかったし、スキー合宿でもずっと同じマスクしてたりしてたじゃん!」

「なかったから!」

「あったよ!入れてたよ!」

「マジで?!あったの?ないと思ってた…」

ちなみに、その当時も全部わかるようにマジックで書いていた。

きまり悪そうな顔をしつつも、

「でも、マジックで書かないでよ~~~~!そんなの書かれたら、僕が支度したように見えないじゃん~~~~!」

 

私もニンタマも絶句をした。

 

「え?・・・もしかして、自分で支度をしたって思われたいの?」

「当たり前でしょ!人に支度してもらったと思われるの嫌だよ、僕!」

 

支度の為に靴下一枚、引き出しから出したりもしていなかったというのに・・・。

 

そうか・・・毎日、最後の30分くらいしか登校しないし、時間割をまともに持って行ったこともないので、そういうことは超越しているのかと思っていたのだが、そういう気持ちは残っていたのか・・・。

 

「いやぁ・・・でも、多分誰も、プン助が荷造りするとは思ってないよ。先生だって、一応荷造りは自分でって言ってるけど、荷造りが無理で来られないよりは、手伝ってもらっても来てくれた方がいいって思ってるって。大丈夫だよ~~~、そんな見栄張らなくても大丈夫だって」

「僕だって見栄くらい張りたいんだよ」

「まあ、そういう気持ちは大事だけどさ、この荷造りが自分でできると思われたら、今、遅刻しても忘れ物しても登校してるだけで、頑張ってるって思ってもらえてるのが、時間割もできるだろって思われちゃったりして、大変だよ?」

 

本来なら、自分でちゃんとやれ…というべきなのかもしれないが、家族そろってよくわからないアドバイスをしてしまう。

 

私が、出した荷物をニンタマがきれいにパッキングしたので、荷物は整然として美しい。

「頼んでもないのに、ニンタマの野郎が勝手にやりやがって…!」

と、毒づくプン助。

「そんなこと言わないでよ。ママがニンタマにお願いしたんだもん」

「私はね、お前の手伝いをしたんじゃないんだよ!ママが困ってるからママの手伝いをしたんだよ!」

「このズル休み野郎!」

「お前だってそうだろ!」

 

なんと、平和じゃない家なのだろう・・・、疲れる。

プン助が協力的じゃないので、荷造りは12時近くまでかかったが、私一人だったら、終わらなかっただろう。登校しないことは気になるが、ニンタマが家にいてくれてすごく助かった。

あとはプン助が無事に修学旅行へ行くことを祈るだけだ。

明日は7時に学校集合。

そんなに早く起きられるのだろうか?そして、やっぱ休む…と言いだすかもしれない。

そうなると、荷造りを手伝ったことが無駄になり、親である私のメンタルにも影響を及ぼすのだろうな…。

そうなっても、なるべくイライラしないで、淡々と過ごしたい。

できるかな…。というか、やっぱり修学旅行には行って欲しい。

参加しないで、「つまらない」と言うよりは、参加してから「つまらない」と言う人間でいて欲しいし、欲を言えば、少しでも「楽しかった」と思ってほしかったりする。

 

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