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タオル3枚で幸せになる

明治座にて、脚本打合せ。早めについたので、旦那さんとアイスコーヒーを飲む。

打合せは、滞りなく進み、早めに帰宅。

歩き足りないので、一駅手前で降りて歩こうと思ったが、仙腸関節の辺りに不穏な気配があったので、断念。

 

旦那さんと駅で別れて、駅構内の無印良品店でフェイスタオルを3枚買う。

 

ゴワゴワしていたり、シミが取れないタオルをずっと使い続けていたのだが、実は10数年それがずっとストレスだった。ヘタったタオルの方が好きな旦那さんの目を盗んで、こっそり雑巾にしたり、揚げ物の後の油を吸い取ったりして着々とヘタったタオルを減らして行った。

その甲斐あって、数日前に、旦那さんが「あれ?タオル少ないよね」と、言い出した。

ぼんやりしていると、気を利かせた旦那さんが、100円均一でどっさりタオルを買って来てしまうかもしれない。その前に、なんとしても私が買ってしまわねば。

 

どうせ買うなら、高すぎないけれども、心地のいいタオルがいい。そして、ちょっとの汚れも目立たないタオルがいい。

 

と言う訳で、駅によることがあったら、無印良品のグレーのタオルを買おうと決めていた。殆ど貰い物でサイズも色もガチャガチャのタオルを使っていたのだが、3枚同じタオルが揃うだけで、思った以上のワクワク感。

 

帰宅後、早速タオルの入っていた引き出しに入れる。

グレーのタオルが3枚並んでるだけで、なんて素敵なのだ・・・!

 

風呂上りのニンタマが早速使う。

「ふわふわで気持ちいい~~~~!」

 

私も、使ってみる。本当にふわふわだ・・・!

ゴワゴワしていないタオルで、顔や体を拭くだけで、こんなに幸せな気持ちになれるなんて・・・半世紀生きて来て、ちっとも知らなかったよ。

 

もちろん、ホテルに泊まった時や、頂き物でもっといいタオルを使ったことはある。

でも、貰い物でふんだんに貰うことの多いフェイスタオルを3枚とは言え、自分で揃えて買ったのは、初めてだった。

 

人から頂いたものが沢山あるのに、素敵だからとか、気持ちがいいから・・・という理由で、好みのタオルを買ったりしたら、なんとなく贅沢だ!と、誰かに怒られる気がしていた。30代の頃からずっと、好きなタオルを買って暮らしたいと願っていたけれど、実際、身近にそんな贅沢を批判しそうな人も多く、波風を立てるのもよくないと、その夢を封印していた。

 

タオル3枚でこんなに幸せな気持ちになれるなら、もっと早く買えばよかった・・・。

いや、そうでしゃない。

ずっと我慢していたから、この幸福感があるのだ。

当たり前に、好きなタオルを揃えて買っていたら、こんなに感動しなかった。

逆に、ふかふかタオルばかり使っていたら、こんなに全部ふかふかしてなくていいやって思ったり、一々揃える必要とか全然ないな、バカくさい・・・って思うようになる気もする。

 

でも、とりあえず290円のタオルを3枚買ったことで、こんなに幸福感を味わえたのは、かなりお得だと思う。

 

好きなタオルを揃えて暮らしたいっていうのは、私にとっては、二十歳になったら、振袖を着たい…というのと同じような夢だったのかもしれない。

 

3枚買ったことで、ちょっと気が済んだ。

今後ずっと好きなタオルを揃えて買うかどうかは、3か月くらい、使ってみたり、洗濯してみたりしながら考えようと思う。

 

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35年ぶりに出場した卓球の試合

プン助、合宿。

私は卓球の試合。

ニンタマは一日中ダンス。

 

朝5時に起きて、私とプン助とニンタマの分の弁当を作る。

合宿の集合は朝6時半に小学校の校庭。プン助が間に合うよう行けるのか、不安だったが、旦那さんが自分のお仕事ついでに送ってくれ、

一安心。

あとは、自分のことだけやればいい。今日は、参加させて貰っている卓球のチームのメンバーとして、団体戦に出場することになっていた。

試合に出るのは高校生以来。ルールも昔とはかなり変わっていて、ろくに把握もしていない。大丈夫なのだろうか。かなり心配。

今日出場するメンバー達と、分倍河原駅で待ち合わせて、バスで府中の体育館へ。

Kさん、Fさんとはよく一緒に練習しているのだが、他のHさん、Tさんとは殆ど話したことさえない。

Tさんとは、過去2度程練習相手になって貰ったことがあったが、明らかに70代を超えて、お元気だな・・・という印象くらい。試合に出まくってるとは聞いていたけれど、正直それほど強いとは思っていなかった。

Hさんとは、打ち合ったことも無いので恐らく上手なのだろう・・・程度の認識。

どのみち、一番下手なの私…ということだけは確実なので、酷すぎる負け方だけはしないように、頑張らねば。

と、最早、負ける気満々。

 

体育館へ行くと、皆凄い勢いで卓球台を取り、練習を始めていて、私達のチームは台を取りそびれてしまった。かろうじて、他のチームに半面を借りる形で練習をする。

 

どうやら今日は3チームと対戦するらしい。

団体戦では一試合目、二試合目、四試合目、五試合目はシングルス。三試合目のみダブルス。三試合を先に取ったほうが、勝ち…というルール。

なので、三試合目までで、勝負がついてしまえば、四試合目、五試合目は無しということになる。

最初の試合では私は五試合目のシングルスに出ることになったので、勝負がついてしまっていれば、試合に出なくて済む。

出てみたい気持ちもあったが、出ないで済みますように…!と、こっそり願ってしまう気持ちもあった。

最初の対戦相手との一試合目は70代のTさん。

最初の1,2点は取られていたが、その後、すぐに調子が出てきて12―10で1ゲーム先取。その後は、11-2、11―5と軽く下してびっくり。こんなに強い人だったのか…。小柄であまり動いているようにも見えないのに、漲る闘志。ビシバシ決まる攻撃。そうか・・・打たれたり、コースを振られたりする前に、攻撃で決めてしまうのか・・・。カッコいい!点を取る度に拍手する手に力が入り、手がジンジンして来てしまう。

しめしめ…!この分だったら、私の五試合目に行かずして勝てるのでは?

だが、二試合目にHさんが、破れてしまう。対戦相手の方が、強かったりうまかったりしたわけではないのだが、ちょっとした調子やミスで、破れてしまったのだ。何かはっきりとした要因を探そうとすれば、執着心と闘志の差なのかもしれない。

 

三試合目。ダブルス。こちらは2セット取って、相手チームも2セット取って、最後の試合ジュースで有利な展開になっていたので、勝てる!と思ったのだが、相手が盛り返してきて負けてしまった。

今回は執着心と闘志の違いもあるけれど、場数がものを言うのかな・・・と思った。ダブルスに出ていた、KさんとFさんは、私よりはちょっと先輩だが、グループの中では若手で、とても上手ではあるけれどまだ試合慣れはしていない感じがした。

 

四試合目はダブルスにも出ていたFさんが出ることになり、私は応援する気満々だったが、隣のコートに空きが出たのか、私の試合も並行して行うことになってしまった。

 

なんと・・・出ないで済むと思っていたけれど、出ることになってしまった。

 

1セット4-11、2セット7-11、3セット6-11・・・。

当然のようにボロ負けしてしまった。ただ、もっとボロ負けすると思っていたので、マシなボロ負けではあった。

 

そして、言わなくてもいいのに、わざわざ

「今日、試合でるの初めてだったんです!勉強になりました!ありがとうございます!」

と、言いに行った。

初めてが負けた言い訳には全くならないし、言わない方が人間としては断然スマートなのだが、この言い訳は今日しか使えない。わざわざ言いに行くのはみっともないけれども、言った方が自分がスッキリする。色々葛藤の末、みっともないけれど、気が済む方を選んだ。

 

「いやいや、危なかったっすよ」

 

と、対戦相手は、笑顔で返してくれた。全然危なくなかったのだが、いい人だ。

四試合目のFさんは、勝っていたのだが、私が負けてしまったので、団体としては3―2で負けになってしまった。

 

2チーム目との試合も、私は五試合目。

 

Tさんは、凄まじい気迫で勝ち、ダブルスも勝ったのだが、二試合目は負けてしまい、私はまたもや五試合目に出場することに。この試合、最初の1ゲームは落としたのだが、何故か2ゲーム目は取れてしまったのだった!奇跡か?!この波に乗るぞ!と、調子に乗って3ゲーム目に臨んだものの、負けが濃厚になって来た頃、四試合目のHさんが勝ったので、私の試合は中断という運びになった。

1セット取れたのはびっくりだ。

 

3チーム目の対戦相手は勝ち目のないほど強いチームだったようだ。色々経験したほうがいいからと、今後は五試合目ではなく、二試合目に出ることになってしまった。

この試合では、連勝していたTさんが、初めて負けてしまった。でも、1ゲーム、2ゲーム落とした後、戦略を変えて、3ゲーム、4ゲームを取り、5ゲームはジュースに持ち込むという、凄い接戦だった。

Tさんも対戦相手も、MAXで楽しそうだった。打たれているのに、「うまいな…!」と、言いながらニヤリとしたり、2セットとられた後、形勢逆転している際には、「これが卓球よ」と、目キラキラさせたり。試合を通じていつの間にか仲良くなり、セットの合間にはきゃぴきゃぴ盛り上がったり。なんて素敵な二人。。。

二人の良い試合を見た後、二試合目の私。

相手は、上手な人ではあったのだが、何故かサービスが打てない・・・という謎の病にかかっていた。私が何もしないのに、2点連続ミスサーブをしてくれたりするのだが、たまに入って来るサーブが、本人にも予測不可能な位置に落ちて来るので、異様にやりづらい。しかも、レシーブは普通にとてもうまく、こちらがスマッシュをしても、ほぼほぼ打ち返されてしまう。

結局1セットは取れたのだが、3セット取られて負けてしまった。

「ごめんなさい」

と、チームメイトたちに謝ると、

「楽しんだらいいの!謝っちゃダメ」

と、Tさん。

やべぇ、かっこいい。

その後、皆で弁当を食べ、府中の物産展で野菜を買ったり、お菓子を買ったりして、府中を満喫した。

 

試合になんかでなくても、軽く卓球で運動できれば・・・と思っていたのだが、やはり出ると、ちょっと火がついてしまう。

 

下手なら下手なりに、作戦を立てるべきだった。下手なりの方法でベストを尽くすべきだった。

今までは、練習の為の練習をしてきた気がする。試合の為の練習もしなければ、試合でベストを尽くすのも無茶な話だ。

練習のための練習しかしていないので、ミスをするとつい謝る癖がついていた。今日も、試合で相手の得点になる局面で、なんども「すみません」と、謝ってしまった。高校の卓球部時代では、試合中に相手に点を取られているのに、謝るみたいなことはしたことがなかったのだが、頭がバカになっているのだろうか?

これを直すには、普段の練習で、謝るのをやめるのが一番なのだが、失敗して自分よりも年上の人にボールを拾いに行かせているのに、謝らないでいるのも、中々心苦しい。

どうしたものか…。

練習の前に、一々相手に

「私、試合で謝る癖があるのを直したいので、失敗しても謝らないことにしょうと思ってるんですが、本当は、悪いと思ってますし、先に謝っておきますね。すみません」

とでも、言えばいいのだろうか?

いや、それは凄い変な人みたいだ。

何か良い方法を考えなければ…。

色々悩ましい。

 

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息子からの呼び出しののち、レンジ爆発

プン助、朝から不穏な雰囲気。

「パン食べる?」「牛乳飲む?」

などの声かけに対して、すぐ返事をしない時は、登校したくない日のようだ。

ただ、最近は丸一日休むことは殆どない。

最低、6時間目の最後の30分程度は、行く。

謎に律儀な面があり、登校していない日には友達と遊びに行けないのだ。こちらとしては、休んでも遊びにだけは行った方が、まだしも健康的だと思うのだが、休んでいるのに、遊びにだけいくのは、違う・・・と、感じるているようだ。

なので、遊びに行く為だけにでも、登校する。

 

1時間目に間に合うように登校することは、殆どないので、8時半に登校したら、早いくらい。10時に登校でも、平常運転。12時過ぎると、ちょっと、ダウナーな日。13時過ぎると、逆に確信犯での遅刻なので意外と元気・・・みたいな感じ。

 

小学校からは、遅刻をする時には必ず、保護者が付き添うようにと言われている。これを忠実に守るには、必ず無職な保護者がいる前提。徹底するのは無理だと思うが、今のご時世、学校としてはそういうルールを提示するのは仕方がないことなのだろう。

 

家は、旦那さんも私もフリーランスなので、お勤めの方に比べると比較的付き添いやすいが、それでも無理な日もある。

 

そして、いつ登校するか分からない子供と一緒に家にいると、本当に仕事にならない。

行こうかな・・・というので、待っていると、些細なことで、「やっぱり行かない」ってなったり、作業がすすみ始めた時に、行くと言われたり、お仕事モードになり辛い。

 

今日は旦那さんはお仕事で朝10時に家を出る予定。

私は、外に行く必要はないのだけど、進めたい作業があるので、やはり朝10時に家を出て、カフェへ行くことにした。

10時前なら、送りに行けるけど、その後は無理だよ・・・と、プン助に伝えていたが、全然登校する気配はない。

作業が進んで、14時くらいに戻ってくれば6時間目に連れて行けるだろう。だが、作業が進むかはやってみないとわからない。

「ママ、もう送れないからね!」

 

と、言い残して家を出た。

 

銀行へ行ったり、些末な用事を済ませて、カフェへ。

ちょっと一心地ついて、よし、作業をやるぞ!と、思った瞬間に、プン助のキッズ携帯から電話がかかって来た。

 

休んでまで、家でYouTubeを観られても困るので、プン助がいつも使っている、古いスマホは電源を切って隠して来た。

スマホはどこだ?といいう用件か、学校行く気になったから帰ってきて…という用件かのどちらかだろう。

 

とりあえず、「ただいま電話に出られません」

というメッセージを送った。

すると、

「早く帰ってきてね!の!の!の!」

と、メッセージが戻って来た。

「の!」?・・・の!ってなんだろう?

私「仕事でなかなか帰れないの?どうしたの?」

プン「の!の!の!の!」

だから、「の!」ってなんなのだろう?

私「の?」

プン「の」

私「?」

プン「はやめにね」

「の」はやめたらしく、会話らしい内容。

私「戻るのは16時くらいかなぁ。ごみんね」

プン「帰って来るのよ」

私「仕事中なのよ~~なんかあった?」

プン「行こうとおもった」

学校へ行こうと思ったのか・・・。

私「ママ、出かける時言ったよね。ママがいる時は送れるけど、出かけたら送れないよ」

プン「早く帰ってきてねただいま電話にでられません!」

ただいま電話にでられません・・・ってなんだろう?さっき私が送ったメッセージの引用か?

ああ、どうしたものか。戻ればとりあえず、学校へ行くだろう。しかし、私の作業は全く進まない。そして、気ままにこんな風に作業を中断しても親が帰って来ると思わせていいのだろうか?いや、こういう時こそ、帰って満足感を与えるべきなのだろうか?

しかし、帰らなかったら、延々と、この調子で電話やメールが来て、結局作業にならない。そして、帰らなかったら、「ママのせいで休むことになった!」と、「ママのせいで遊びにもいけなかった!」と言い、欲求不満で一日不機嫌に過ごすのは分かりきっている。しかし、こんな風に自分の作業が中断されたら、私も、今日一日イライラして、明日にも引きずるかもしれない。どちらの道をとっても、どちらかが、嫌な思いをする一日になる。私の精神を大事にするか、プン助の精神を大事にするか。私の精神を大事にすれば、プン助に優しくできるが、プン助が不機嫌だと、やはり私の精神状態は悪くなる。

プン助の精神状態を大事にすれば、私の精神状態が悪くなり、プン助に酷い態度をとってしまうかもしれない。そして、プン助の精神状態も悪くなる。どちらにしても、やはり悪循環だ。どうしよう・・・どうするべきか・・・。

私「20分後に戻るから、すぐに学校行ける準備して。20分後に家出られるように出来る?」

プン「うん」

仕方がない。戻るか。

 

帰宅途中で、今日はニンタマが期末テストだったことを思い出した。そうだ・・・もう、ニンタマが帰って来てるかもしれない。

 

とにかく一度戻って、即座にプン助を学校へ連れて行こう。ニンタマは自室で一人でいることも多いし、ニンタマがいても作業は出来る。

 

家へ戻ると、すぐにプン助がはしゃいだ様子で出て来た。

「ねえねぇ、ニンタマが電子レンジ爆発させた~~~!」

 

プン助は、まだ裸足で、ランドセルも準備していなかった。

「すぐ出られるようにって言ったでしょ!」

と、イラついていると、ニンタマも出てきて、

 

「電子レンジ壊したかも~」

 

と、二人してへらへら笑っている。

何か食べ物を加熱しすぎて、爆発させたのだろう。そういわれてみると、確かに何か、香ばしい匂いがする。

 

「爆発したなら、ちゃんと拭いておいて。ほら、行くよプン助!」

だが、プン助は全然行く姿勢をみせない。

テーブルに置かれていたニンタマが作ったらしい、ラーメンの麺をつまみ食いしたりしている。

戻ったらすぐに出られるようにと伝えていたのに、これから何かを食べるつもりなのだろうか?

「電子レンジ壊れたかも~」

ニンタマの声もあまり耳に入らないが、爆発したならちゃんと拭いてもらわなければ、とレンジを見に行って、愕然とした。

うちの電子レンジは、オーブンレンジで、ターンテーブルではなく、フラットテーブルなのだが、そのフラットテーブルが石でもぶつけられたかのように、割れて、ヒビだらけになっていた。

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「何をレンチンしたの?」

「卵」

「え、卵をそのまま?」

「うん」

 

信じられない。時々「この器、レンチンできる?」と、明らかに無理な容器を出してくることがあったが、ニンタマが電子レンジを使うようになって、既に数年経っていた。

 

使う度に、「それは30秒ずつくらいで、様子見たほうがいいよ」「ワット数、600じゃなくて500でやったほうがいい」などと、声掛けをしていたので、そこそこ電子レンジの使い方を理解しているものと思っていたのだが・・・。

このオーブンレンジは、7,8年前に購入したものだが、吟味に吟味を重ねて、かなり奮発して購入したものだったのだ。

今、うちの経済状況を考えるととても同等の機種は購入できない。

 

え?なんで、卵をそのまま?針で穴をあけるとか、割り入れて容器にラップをかけるとか、普通するんじゃないの?

卵をそのままレンチンしても、見た目からどのような状態になれば完成なのか、わからない。何も考えずに爆発するほどの高いワット数で、長々レンチンしたのだろうか?

 

プン助は全然学校へ行く気配も見せないし・・・ああ、もう・・・・。何、なんでこのタイミング?

 

 

「え?考えれば、わかるでしょ?なんで、そのままレンチンしたの?何秒やったの?バカじゃないの?!」

 

怒りとショックの余り、溜まらず、つい、そんなことを口走ってしまった。

言い過ぎたかかもしれないと思いつつ、もう引っ込みもつかなくなっていた。

 

それまで、へらへら笑っていたニンタマだったが、私の一言で真顔になり、そっぽを向いて、私から離れて行った。

 

「プン助!急いで!」

 

一刻も早く、ニンタマから離れたかった。側にいると、しつこく怒ってしまいそうだったのだ。

プン助は私の怒りの矛先がニンタマに移ったのを感じてなのか、割と上機嫌に登校した。

プン助を送った後、家へは戻らず図書館へ。数時間距離を置いて、自分も淡々と別の作業をやって精神を落ち着けたほうがいい。

 

しかし、ハプニングは重なる。一つだったらまだ持ちこたえられるのだが、二つ重なると、ヤバい。

 

考えてみると、電子レンジは必需品だと思っていたけれど、いらないのかもしれない。

ちょっと不便でも慣れれば、なんてことはないのかもしれない。

私が一人暮らしだったら、電子レンジ無しでも全然大丈夫だ。

 

旦那さんや子供らが無いと困ると言わない限り、使わない生活を頑張ってみるいい機会かもしれない。

 

何故あんなに腹を立ててしまったのだろう…。ああいう時、秘密の小部屋に駆け込んで、皿を10枚程叩き割れたらいいのに。そうすれば気持ちも落ち着いて、何食わぬ顔で出てきて、笑顔で「これからは気を付けようね」って言えるのに。実際に皿なんか叩き割ったら、片付けするのも自分で自分の首を絞めるだけなのでやらないのだが。

 

とりあえず、帰ったら、ニンタマに優しくしよう。

その為には、作業を捗らせなければ、ならないので、仕事の為というより、精神状態の為に黙々と頑張った。

 

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故障したスティッククリーナーを巡る、葛藤。

旦那さんから「これ、全然吸い取らないんだけど」と、言われたアイリスオーヤマのスティッククリーナー(MC-B20JP)。元々は、感動的な軽さと取り回しの良さ、吸引力で私を魅了していたのだが、今は見る影もなく、新しいクリーナーの買い替えも検討していた。だが、この掃除機ほど気に入るか確信が持てず、試せることをやってみることにした。

吸わなくなった一番の原因はパワーヘッドが回らなくなったことだ。

 

パワーヘッドが5000円で売られているのを、発見し、注文していたのが、昨日届いた。

まだ、登校していなかったプン助が

「一番に試すのはプンだからね!」

と、嬉々として布団に掃除機を当て始めた。本来なら、気のすむまでかけさせてやりたいのだが、一刻も早く試したかったので、奪い取る様に「ママにもやらせて!」

と、交替。

「おお~!」

 

自走式が売りのパワーヘッドが、2年ぶりにちゃんと自走している!

 

自走式ってこんなに気持ちよかったのね。快適だ!

 

でも、やはり吸引力は全盛期の7割程度な気がする。

壊れたパワーヘッド装着時には、落ちている髪の毛などは全く吸わない状態で、吸引力は3割程度だった。

倍以上はアップしたとは言え、ちょっと物足りない。

でも、これは昔は良かった・・・的な記憶の捏造で、元々こんなものだったのかもしれない。

そんなモヤモヤを抱え、本日も掃除機をかけた。

快適だけど、もっと床に吸い付く感動が欲しい!

 

考えられるもう一つの要因として、バッテリーの老朽化もあるかもしれない。

バッテリーを交換すると吸引力はあがるのだろうか・・・。

 

今度のパワーヘッドは長持ちさせたいので、さっそく軽く分解して、髪の毛を取り除いたり、微妙に付着した埃を綿棒で取り除いたりという作業をしてみた。

分解してみると、古いパワーヘッドと何が違うのか、何が原因で動かないのか調べてみたくなった。

古いパワーヘッドも分解して比べてみると、パワーブラシを回転させるために嵌めこまれている、ギザギザのゴムが若干緩んで、しかるべき場所にハマっていないように思われた。

ここときちんと嵌めれば、修理できるかも?!

老眼で細かい作業が難しいのを、100均で買った老眼鏡を嵌めて、ピンセットやら棒やらをつかって、なんとか頑張ってみた。

「はまった!」

これで、故障が直ったら、壊れたパワーヘッドは捨てずに済むし、予備のパワーヘッドがあると何かと安心できるではないか。

 

そんな希望を持って、古いパワーヘッドを装着してみたが、ヘッドはピクリとも動かなかった。

まあ、そんなに簡単じゃないか。

 

パワーヘッドの故障を自力で修理する方法はないだろうか?と、調べてみると、モーターの断線か、スイッチ部分の故障の場合が多いらしく、部品を購入して半田ごてて取り付けて直す方法を見つけたのだった。

 

素敵だ!やってみたい。そんな風に電化製品を直す人間になってみたい…!

 

いや、でもさすがに、これは、自分には無理だ。

 

アイリスオーヤマの修理センターへ電話してみる。

 

・パワーヘッドのみの修理は受け付けているのか?

・新しいパワーヘッドを付けても、吸引力が弱いのはバッテリーが原因なのだろうか?

・バッテリー交換をしたら、吸引力は復活するのだろうか?

 

というポイントで質問をしてみると、

・パワーヘッドのみの修理は受け付けていない。

・吸引力の弱い原因はバッテリーが原因かもしれないが、そうとは言い切れない。きちんと調べるためには、本体ごと修理に出したほうがいい。その価格は8,000円ほど。

・バッテリーを交換しても、吸引力は復活しないかもしれない。バッテリーの価格は6,000円程。

 

との回答を得た。

 

悩ましい。

私の買っている機種は、2019年当時は27,000円程だったのだが、アイリスオーヤマは進化していて、同じ性能を持つ機種は今、15,000円程度で買えるのだった。

 

既に5,000円でパワーヘッドを購入したので、バッテリーまで購入すると11,000円。それでも、吸引力が戻らなかったら、なんだかとても残念だ。

 

15,000円出せば、あの夢の吸引力と使いやすさが取り戻せる。でも、安易に買い替えをするのはなんとなく好きではない。しかも、既に5,000円でパワーヘッドを購入してしまった。買ったパワーヘッドが無駄になってしまう。

これを無駄にしない方法としては、7割の吸引力で我慢し、寿命まで使うのが一番だろう。でも、もしかするとバッテリー交換で、夢の吸引力が取り戻せるかもしれない。バッテリー試してみたい。でも、試すのに6,000円か・・・。

そこまで、古いものをなんとか使うことにこだわるなら、もうそういう人間として、半田ごても買って、使いこなす人間になって、古くなってもとことん使う派の人間になるべきではないだろうか・・・。しかし、部品だけとりよせても、中々直す気にならず、直さなきゃとプレッシャーを感じている間によくわからなくなって、結局ゴミを増やすだけにならないだろうか・・・。

そして、私はもう50歳を過ぎている。そんなことに手間暇をかける程、時間は残っていない。ただでさえ、時間を食うと家族に不評なのに、着物を着たり、腸の調子を整えなきゃと、日々甘酒を作ったり、ホームベーカリーでパンを焼いていたり、自分で作ったノルマが多すぎて、日々大変なのだ。

そこに半田ごてまで増やせないだろう。

 

それに、家電好きなので、金額が許すなら、他にも色々素晴らしそうなクリーナーを試してみたい…という夢もあるのだ。

私がアイリスオーヤマを好きなのは、私の偏見かもしれないが、金額をかけなくても金持ち気分になれる、高性能っぽい機種が多いからなのだ。

頭がパツパツして、思考が堂々巡りになって来た。

とりあえず、掃除機のことを考えるのは、一旦お休みしよう。

 

来月まで、バッテリーが欲しい情熱が続いていたら、本気で考えてみよう。

そして、半田ごてについては、3か月気持ちを寝かしてみよう。

その前に断捨離心に火がついて、パワーヘッドを捨ててしまうかもしれないが、それならそれで、いいではないか。

 

しかし、ものを処分したり、家の中から無くす方法ってどうしてこんなに難しいのだろう。無の心でゴミ袋に入れられればいいのに。

 

掃除は嫌いではないのだが、片付けやモノの処分や分類がとても、とても、とても、苦手なのだ。

 

早くものを減らして、掃除機をかけるのももっと楽しい生活にしたいものだ。ということは、やはり、一刻も早くパワーヘッドを捨てるべきなのだろうか?

 

しかし、それはただ、パワーヘッドを捨てるということではなく、半田ごてで電化製品を修理して使ったりする、ちょっと憧れの未来の自分・・・という夢を捨てるということになるのだ。

一つのものを捨てる度に、未来の自分を捨てる…という感覚に陥ってしまい、色々ため込んでいることが、今の自分を象徴している。

自分をパソコンやスマホに例えると、あれこれデータを捨てなさ過ぎて、フリーズばかりする現象に陥っている気がする。

やらないことを決めるのが、大事…ということはわかるのだが、それが決められない。

かといって、誰かに、こうしなさいと言われても、絶対に聞く気にならない。

結局、自分で決めるしかない。

そいう時に、瞑想や座禅がいいと聞き、一時期やっていたこともあったのだが、続かなかった。

瞑想や座禅がただ、やることを増やすノルマになっていたからなのだろう。

迷走しているなぁ…。

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制服のシャツを白くキープする のがこんなに大変だとは…

4月から中学に上がったニンタマの制服のシャツを毎日洗っている。はじめのうちは、衿裏や袖口が思いの外汚れるのに驚き、毎日石鹸で擦ったり、漂白剤をつけたりしていたのだが、長続きせず、しばらく放置していた。

 

6月に入り、大分汚れてしまっただろうなと見てみると、衿や袖口の汚れは思ったより気にならなくなっていた。全体的にうすら汚れた結果、袖口や衿の汚れが目立ちにくくなったのだろうか?

雑な性格なので、それならそれでいいか・・・と、思っていたところ、先週、ニンタマに

 

「なんか、脇の辺りだけ黒くなってるの」

 

と、シャツを見せられた。

 

「うわ、何これ」

 

脇の辺りだけ、明らかにグレーっぽく、色が変わっているのだ。

袖と衿ばかり見ていて、脇はノーマークだった。

 

「自分が汚いみたいで、嫌だ・・・」

 

と、悲しそうに言うニンタマ。可哀そうに・・・!

私も中学になった時、制服の汗ジミにショックを受けたことを思い出して、なんとしても解決せねば!という気持ちになった。

 

汗で黄ばむのは分かるのだが、何故黒いのだろう・・・。

汗の成分によって、黒くなるタイプの汗もあるのだろうか?

それとも暑くなってきたので、使うようになった制汗スプレーなどの成分のせいなのだろうか?

とりあえず、軽い漂白剤を塗って、石鹸で擦り洗いをしてみると、汚れの半分くらいは消えたのだが、変なまだら模様になってしまった。

しかも、右側だけ、まあまあ綺麗で、左はまだ黒い。

 

とりあえず、日々ちょっとずつ、漂白したり擦ったりして、少しずつ白を取り戻していくことにしよう。

 

制服のシャツは長袖2着、半袖2着・・・計4着。

色々頑張っても汚れが落ち切らなかったら、半袖しか着ない時期になった頃、長袖をクリーニングに出し、シミが落ちた段階で、シミが付かない策を講じたい。

 

防水スプレーをするというのはどうだろうか?ネットで検索してみると、効果あり・・・と、載っているページがあった。

翌日、一度も着ていない半袖を初めて着るというので、試してみることにした。

着る前のシャツに、ベランダで脇や衿に向けてスプレーしてみた。まだ半乾きのせいか、ニンタマと旦那さんにスプレー臭い!と、不評ではあった。しかし、効果があるなら、やる価値はある。だが、段々心配になって来た。

ニンタマはとても肌が弱い。あんなスプレーをした服を直に着たら、痒くなったり、かぶれたりしてしまうかもしれない。よく考えずに、実験してしまった・・・。

 

その日、帰宅したニンタマに、どうだった?と聞くと、

「別に」

と、どうでもよさそうな返事。とりあえず、かぶれたりはしていないらしい。

衿と脇を確認してみる。

全く汚れていない。

衿汚れには確かに有効なようだ。脇に関しては、一日で汚れる訳でもないので、よくわからない。とりあえず、洗濯機にいれる前に、漂白剤を塗って、揉み洗いでもしようとしたところ、漂白剤が全くしみこまず、服の上をコロコロと転がって、私の足元にピシャっとかかってしまった。

 

そうか…防水スプレーだもんな。そりゃ、水をはじくよね・・・。

となると、折角スプレーした箇所を必死に揉み洗いするとかは、スプレー効果を半減させるだけで、よくないのではなかろうか・・・。

しかし、やり始めてしまったので、もう無理やり石鹸をこすりつけたり、オキシクリーンをこすりつけたり、漂白剤を薄めたお湯に、つけこんで、ジャバジャバ洗ってしまった。

 

なんとなく、防水スプレーの線は無しな気がして来た。

 

他の方法を調べてみると、シッカロールを塗る…という作戦もあった。

シッカロールに含まれているでんぷん質(コーンスターチ)とタルクという成分が、皮脂を吸収してくれる…とのことだった。コーンスターチとタルクの両方が入っている方が良さそうであったが、ウチにあったシッカロールは、コーンスターチは入っておらず、タルクのみだった。まあ、いいや。試してみよう。

 

翌日、ニンタマは半袖ではなく、私が中途半端に汚れを落とした、長袖のシャツを着るという。またベランダへ出て、シャツの衿、袖口、脇へシッカロールのパウダーを叩いた後、

「はい、これ着て!」

と、手渡した。だが、凄く面倒くさそうな顔をしている。

ニンタマの為にやっているというのに、何故か、母親のよくわからない趣味に付き合わされているかのようだ。

「お母さん、色々考えてくれて、ありがたいよなぁ~」

気を遣った旦那さんが、フォローしてくれたが、ニンタマは心底ウザそうな顔。

 

やってやんないぞ、ちくしょ~!と、思いつつ、確かに、私のよくわからない趣味になってきているのかもしれない・・・とも思う。

 

「シャツさぁ、綺麗にしてほしかったら、洗濯カゴに直接放り込まないで、洗面器とかバケツに分けて取っておいてね」

と、声をかけると、最低限の労力を使ったようなトーンで

「は~い」

と、答え、登校した。

 

夜、シャツはどうなったかと見に行くと、案の定、洗面器やバケツに分けてはおらず、

洗濯カゴにぐしゃっと入っていた。

 

どれどれ、シッカロール対策は有効かしら?

 

と、確認して、愕然とする。

 

「何これ?!却って汚れてるじゃん!」

 

中途半端に汚れを落とした、長袖のシャツの脇の部分が、薄いネイビーみたいな色になり、明らかに朝より、色濃くシミになっているのだ。

なんだろう・・・。何かの化学反応・・・?

 

「これさぁ、色濃くなってるよね!」

 

旦那さんとニンタマに見せるが、なんとなく反応が薄い。

 

「でも、これはさすがに着てたら、目立つよね・・・!」

 

今度は漂白剤と石鹸をシャツに直塗りし、薬缶で熱湯を沸かし、漂白剤とオキシクリーンを入れた洗面器に水と熱湯を混ぜて、熱々な感じの液体にシャツをぶっこんだ。

そして、30分置きくらいに、ブラシと洗濯板で擦ることを繰り返した。すると、透明だった洗面器の液体が、最終的にはピンクグレーみたいな色に変化。なぜにピンクグレーなのか…?

 

その後、普通に洗濯をしたら、見違えるように白くなったのだった。

今までは白く見えても、光に当てると、影になっているように斑なシミがあったのだが、もう光にかざしても白い。

干した後に確認しても、やはりちゃんと白くなっていた。

凄い・・・!やってみるものだな。

 

その日も、帰宅帰りのニンタマに、真っ先にシャツを見せる。

「見て見て!こんなに白くなったよ!凄くない!」

 

ニンタマは、しばらく手にとってじっと見ていたが、

 

「そもそも、そんなに汚れてたっけ?」

 

と、首をかしげている。

 

嘘でしょ?「自分が汚いみたいでやだ~」って悲し気に言ってたから、頑張ったんですよ・・・?

 

こういう事をサラって簡単に当たり前にできる、親御さんもいるかもしれないけれど、私はどちらかというと、そういう能力無いほうで、そんな私が頑張ったのですよ?!って思うのは、大人気ないのだろうか?

 

私の先走りだったのだろうか・・・。

 

汚れてる、どうしよう?って言われた時に、本当だね、嫌だね~って、返事するくらいで、何もやらなくてもよかったのだろうか・・・。

 

もう、いい。

明日からは、そんなに頑張らないことにしよう。

 

 

とりあえず、落とし方はわかったし、もう、本人に任せよう・・・。

 

しかし、私は一体何の見返りを望んでいたのだろう。

「ママ、ありがとう!こんない綺麗になるなんて・・・!凄い~!嬉しい~!」

 

って言って欲しかったのかな・・・。いや、そうではない。それも欲しくは合ったけれど、そういう訳でもない。

 

この度の、汗ジミに対しての私の試みや実験が、どの程度効果を産んだのか、どこまでやれば、シミは落とせるのか・・・もしくは予防できるのか・・・という事を、一緒に驚いたり喜んだりして欲しかったのだ。

 

そして、苦手なことを、こんなに頑張った・・・ということに対しても多少の評価が欲しかったのだ。

 

なんて面倒くさい人間なんだ…!

 

勝手に「頼りにされた!」と、張り切って、頼まれてもいないことを、「ほらほら、頑張ってるでしょ?」「あなたの為にやってるのに、なんでもっと関心もってくれないの?」「反応薄い~」

 

ということではないか・・・。

 

日々、自分の人間性の下らなさに幻滅しているのだが、まあ、本当に進歩とかしないもんだなぁ。

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3月30日 苗場スキー旅行②

午前中、ニンタマのためにレンタルしたスノボセットが、午後まで使えるということで、急遽、十数年ぶりにスノボをやってみることにして、ブーツを履いて、そのまま板も履いた。

 

すると、ニンタマに「どっちの足が前なの?」と、聞かれて、さっぱりわからなかったのに、いざ自分が滑ろうとしたら、先ほどのニンタマの足と逆の左足前のスタンスで板を履いて、滑り始めたのだった。

 

そうだ、さっきは全然わからなかったのに、板を履くと瞬時に思い出した。私は、15年ほど前まで左足を前のスタンスで滑っていたのだった。

 

改めて周囲を見回すと、左足前のスタンスでスノボに乗っている人の方が圧倒的に多かった。おそらく、左足前の方が滑りやすい人の方が多いのだろう。

午前中、たまたま目の前の二人の女のコが右足前のスタンスで滑っていたばっかりに、午前中、ニンタマに右足前だよ!と言ってしまった。

あれは、若干レアな二人だったのかもしれない。

 

考えてみると、ニンタマは私よりは筋が良さそうだったが、去年滑った時に比べて、パッとしない滑りをしていたように思える。昨年は私の補助なしでも、リフトに乗れていた気もする。

 

左足前だったら、もっと楽に上手に滑れていたのかもしれない。

ごめん、ニンタマ…!

 

そんな風に詫びる気持ちはすぐに忘れ、私はスノボに魅せられていった。

 

最早滑れない・・・と、思っていたのに、意外と体は覚えていて、初めてスノボをやった時のような地獄のような思いはせずに、ゆっくりではあるが、すんなりと滑れてしまったのだった。

 

楽しい…!

 

結局一回だけどころか延々とスノボをやり続けたのだった。旦那さんとも別行動でスノボをやり続けていたが、ふいに子供らに「ママが意外にやれている」ことを目撃して欲しくて堪らなくなった。

 

ニンタマやプン助がレッスンしている所を見つけては、わざとらしく、近くを滑った。

コーチが一人一人の滑りを見ている間、待っているプン助の側に、スノボで近づいて、手を振ったりしたのだが、プン助は、面倒くさそうに小さく手を振り返すだけだった。

自分のことに精一杯で、いつもはスキー板を履いている母が、スノボを履いていることにも気づいてなさそうな反応の薄さだった。

ニンタマに至っては、ほんの一瞬すれ違う程度だったので、母が側にいることにさえ気づいていなさそうだった。

半世紀生きても、カマってちゃんモードが抜けない私は、旦那さんに遭遇して、溜まらず「私、数年しかスノボやっていなかったのに、十数年ぶりにしては、まあまあ滑れてると思わない?」

と、聞いてみたのだった。

これは、「本当だ!凄いね!」という褒め言葉のわかりやすい催促だった。

旦那さんはちょっと面食らった顔をしつつも「ああ…上手だと思ったよ」と、言ってはくれた。だが、旦那さんは旦那さんで、自分の滑りで頭が一杯でそれどころではないと言った様子であった。

「凄い!一応滑れてるじゃん!十数年ぶりにしては、上手いよ!思ったより、全然滑れてるじゃん!よかったね~~~!」

程度でいいので、誰か褒めてくれないかなぁ・・・。催促しないでも、誰か褒めてくれたら気が済むのに・・・。リップサービスで全然いいのだ。いや、もうリップサービスに飢えているんだ・・・!

私が、スノボをやるなんて、人生最後の可能性、大なのに・・・、最後の瞬間を誰かの記憶にとどめて貰いたい…!

ああ、来年はもう、来られないかもしれないし、来られたとしても股関節の調子が悪かったりで、全然滑れないかもしれない・・・。人生最後かもしれない、この瞬間・・・。

 

旦那さんとリフトに乗っていると、昨日絶叫していたカラフルウェア―の少年が、昨日のような絶叫ではなく、「ヒャッホー」的な叫び声をあげて、滑り降りて来た。あれ?もう、ボーゲンじゃない。両足のスタンスは広いけれど、平行で、腰も引けておらず、綺麗に板の上に立っている。

 

「凄い!あの子、昨日とは別人だね。凄い上達してる!筋がいいのかもしれない!」

「ああ、そうだね。ちょっとうまくなったね」

 

ちょっと?いやいや、ちょっとどころじゃないよ、凄いうまくなっているよ!

 

「だって、昨日はあんなにお尻突き出してたのに、今日はまっすぐ立ってるよ!叫び声にも余裕が出て来たし」

「あの年頃は、あんなもんだよ」

 

なんて、点が辛いんだ、旦那さん。

 

「おー、凄い!うまくなってんな~!」

くらいの反応があっても良さそうなのに。

 

そうか・・・。だから、私のこともうまくなったと褒めてくれないわけなのか・・・。

「いや、でもさ、私、スノボ始めた時なんて、3日間地獄を見たよ!転んだところから立ち上がる動作で、手がボタンを嵌められないくらい、筋肉痛になって」

「それは、特別だと思うよ。そんな人はあんまりいないよ」

確かに私は特別に筋が悪かったかもしれない。

「私はさ、飲み込みは悪いけど、一回、こういうことか!って自分の中で腑に落ちると、スッとできるようになるタイプなんだよね」

「俺、割と一日でうまくなったよね、スノボ」

 

しまった・・・俺の話になってしまった・・・。

「そうだね、割とすぐできるようになったよね」

そうなのだ。3日の地獄を見てから、急にコツがわかり、スノボにのめりこんだ私は、旦那さんにもスノボを勧め、「最初は地獄を見るけど、楽しいよ!」と、したり顔で言っていたのだが、旦那さんは一日で滑れるようになったのだ。しかも、私のように、転びまくらなかったし、起き上がれずにそのまま滑り落ち、入ってはいけなコースに落ちてしまって、柵にしがみついてもがいたりという地獄も味わっていなかった。

割と運動神経が良いのだろう。そして、3日も地獄を見た私は一般的に、運動神経が悪いと言われるタイプなのだろう。不本意だけど。

「凄くない?俺」

「いや、凄いなって思ったよ」

確かに凄いなと思ったけれど、3日地獄を見ても、くらいついて頑張る私も、凄くない?嫌になって諦める人だっていると思いますよ・・・?筋のいい人が、普通にやってちゃんと上達するのも凄いけれど、筋の悪い人が、一日100回以上転んでもめげずに頑張るのも凄くない?

あの時、一緒に行った友達達は、「あんなに転んでるのに、頑張っててスゲーよ」って、言ってくれた気がする。

そうだ、だから、頑張れたのだ。

あの仲間達、最高だったな・・・。あの時の仲間達に今更ながら、感謝。あれも青春だったな。30代半ばだったけど。

 

50代の今も、15年後くらいに「あれも青春だったな」って思えるといいな。

 

「ニャーちゃん(旦那さんのこと)も凄いけど、私も凄いよね。50過ぎて、こんな股関節も悪くて、もうスノボは絶対無理だって思ってたけどさ。致命傷追うかもしれないスレスレなのに、やっちゃうんだよ?凄くない?」

 

「・・・まあ、凄いんじゃない?」

無理やり言わせた感満載だけれども、一応「凄い」を貰ったぞ・・・。

大人になるにつれ、誰にも褒めて貰えなくなったので、こうやって、自画自賛したり、無理やりでも人に褒めてもらって、気分を上げて行くのだ。

子供らもいないので、早めに上がろうとおもっていたのに、スノボを満喫しすぎて、やはり5時ぎりぎりまで滑ってしまった。

 

夜ごはん。

昨日の居酒屋Aの大失敗があったので、今日こそは失敗したくなかった。負のオーラに満ち満ちた、居酒屋Aの雰囲気がちょっとでも漂っている店には行きたくなかった。昨日見て歩いた限り、一番活気がありそうな店は、「雪国に来てまで沖縄料理もね~」と、スルーした店、「琉球酒場H」に行くことにした。

 

店に入った途端に「いらっしゃいませ~!」と、元気な掛け声。検温と消毒を経て、中へ。沖縄音楽が鳴り響いている。ホールのお兄さんは、見るからに美味しいお店にいる人・・・と言った顔だった。

頼むものの半分は、売り切れだったりしたが、居酒屋Aのようにやたら種類が多いのに、全て冷凍な上に、出されたものは酸化した油の匂いがする店に行った後だと、それもまた信用できるような気さえした。

 

頼むものが、全ておいしい・・・。全然沖縄料理ではないけれど、舞茸の天ぷらは、ちょっとジャンクな味とサクサク感が最高で、食べたことのないようなおいしさだった。

昨日のことを思うと、天国と地獄のようだ。

食べ物がおいしくて、感じの良い場所にいるということが、ここまで、幸せに満ちたものだとは・・・。

「おいしかったね」を連呼しながら、ペンションへ戻り、ネットフリックスで何か映画を観ようということになった。

 

私は色々観たい作品があったが、旦那さんが最近の風潮を鑑みて、もう観られなくなるかもしれないから、「新宿スワン」を観よう!と、言い出した。

 

「そうだね、いつみられなくなるかわからないね!よし!観よう!」

 

と、観始めたのは良いのだが、いい感じに酔っぱらいすぎていて、「豪華!あらら、危うい人がいっぱい出てる!」「あれ?この人は敵だっけ?、味方だっけ?」「いつの間にこんなことになったの?」などと、言っているうちに眠くなってしまった。

映画は素面で観ないとダメだな。。。

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3月30日苗場スキー旅行①

※最早6月になったというのに、3月29日のスキー旅行①②に引き続き、3月30日スキー旅行のことを書きました。ずるずる引っ張ってしまいますが、せめてスキー旅行二日目までは書いておきたいと今更ながらのアップです。

 

3月30日苗場スキー旅行①

苗場スキー二日目。

でも、子供らは今日の午後からスキー合宿参加なので、午後からは旦那さんと二人ぼっち。

しかも旦那さんは、お仕事のzoom研修で午前中はペンションに残ることになっている。

そのまま3人で滑れれば良いのだが、ニンタマは合宿に参加する前の午前中だけでも、スノボがやりたいと言う。

スノボをレンタルしたりするのも、何気に小一時間くらい時間がかかる。その間、プン助をどうしたらいいのだろう。不本意に時間が取られるとキレるに決まっている。かといって、一人で滑りに行ったりするとも思えない。

「ニンタマのせいで、滑る時間が減った!」とか、レンタルスキーのお店でずっと騒ぎ続ける可能性を考えて、ちょっと不安になった。

だが、「お姉ちゃんが、スノボの板をレンタルしている間、一人で滑ったりできるかな?」

と、プン助に言う前に、

「俺、一人で滑って来るから」

と、ちょっとの待ち時間も勿体ないと言わんばかりに、プン助は凄い勢いでリフトへ向かったのだった。アイツ・・・いつの間にか立派になりやがって・・・。

考えてみたら、4月から小5。

一人で滑るくらい当たり前なのだが、ちょっと胸アツな気持ちになる。

 

ニンタマのスノーボードセットはプリンスホテルでレンタルした。苗場で少しでも安上がりでスキーをするために、プリンスカードを作って、せっせとポイントを溜めていたのだが、そのポイントでレンタル料金は賄えた。

 

いざ、スノボ!へGO

 

「ねえ、ママ、どっちの足が前なの?」

そう聞かれて、すっかり戸惑った。

そういえば、昨年もニンタマがスノボをレンタルした時、どちらの足を前にします?って聞かれた気がする。どっちだったっけ?

 

私も、30代のほんの数年、スノボをやっていたけれど、全然思い出せない。

 

「去年ちょっとやった時、どっちだった?」

と、ニンタマに聞くが、ニンタマも前年に半日だけやったスノボの記憶は定かではない様子。

すると、目の前でスノボをやっている若い女子二人が、右足を前にセットして左足で雪面を蹴って、リフトへ向かっていた。

 

「右足だよ!右足が前だよ!」

 

と、ニンタマに言う。ニンタマも、私の言うとおりに、右足をスノボに固定。

 

「怖いから、リフト乗るまでママにつかまっているね」

と、私にしがみつくようにしながら、リフトに乗るニンタマ。

 

昨年ちょっとスノボをやっていたはずだが、1年ぶりでは無理もないのだろう。

リフトの度に介助をしつつも、ニンタマは、初心者コースを3回転ぶ程度で滑っていた。

私がスノボを始めた当初、3メートル移動する度に転び、ほぼ転がりまわりながら降りていたことを思うと、その100倍は筋がいい。

ニンタマも最初は「私天才じゃない?」と、言いながら楽しそうに滑っていた。

だが、転ぶたびに手袋の隙間から氷が入ったり、お尻がつめたくなっていくらしく、次第にテンションが低くなって行った。

ゴンドラを滑り飽きた、プン助も合流し、

「ニンタマ、下手くそ~」

と、言ったりして、ニンタマもすっかり不機嫌に。

そうこうするうちに、zoom研修が終わった旦那さんが合流し、午前中の滑りは終了した。

 

午後からは、子供らはスキー合宿。宿泊しているペンションAから、徒歩5分の山荘へ荷物を運んで合流。

 

午後からは旦那さんと二人きりなので、のんびり滑ろうと思っていたのだが、レンタルしていたニンタマのスノボの返却時間は17時。さっさと返却してしまおうと思いつつ、午前中滑っていたニンタマを見て、もう一生滑らないし、滑れないだろうと思っていた燃えカスのほうなスノボ熱にちょっとだけ火がついてしまった。

「一回だけ、簡単なコース滑ってみたいんだよね」

別に旦那さんに許可を取る必票もないのに、そんなことを言ってしまう。

「骨折するからやめたほうがいいよ」

と、止めて欲しいのか、「やってみたら」と、言って欲しいのか、自分でも

分からなかった。

「17時まで使えるなら、滑ればいいじゃん」

キョトンとした顔でそう言う旦那さんの言葉に、まだ私は即座に止めなければいけないと思われる程、ポンコツには見えないということか…!と、謎の自信を得て、早速スノボの準備をしたのだった。

 

3月30日苗場スキー旅行②へ続く

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