刺客として放たれた旦那さん
朝、目を覚まし、何故か現実とは違う世界にいた。
旦那さんが、何者かに私と子供らを殺すように指令を受けた…と言う事だけ、分かって、私はとても慌てていた。
旦那さんは、まだ指令を知らずに「うーん」などど言いながら眠っていた。
逃げなければ。目を覚ます前に子供らを連れて逃げなければ…と、物音を立てないように準備をしていると、私の母がやって来た。
子供らの顔を見たくて立ち寄ったと言う。
「ニンタマや〜!プン助や〜」
と、ハイテンションの母に
旦那さんの指令の件を説明しようとするが、中々理解してくれない。
旦那さんは屈強なので、戦士としては最強だろう。
殺そうと思ったら、私らなんて一溜まりもないだろう。
「うーん」
と、もぞもぞしている旦那さん。
やばい、目を覚ますまでに逃げなければならないのに。
でも、ハタと気付いた。
旦那さんは、そんな指令聞かないんじゃないだろうか?
普通に考えて、命令や仕事でも自分の奥さんや子供、殺すのは辛いはず。
そうだ。
指令を知ったとしても、ちゃんと考えて、そんな指令は聞かない筈だ。
そう思って、ちょっと安心したら目が覚めた。
「いや〜、めっちゃ怖かったよ。でも、ママわかったよ。これは物事をよく考えないで、なんでもかんでも怯えるなって言う事なのかな?って思ったよ」と、
ニンタマに得々と語ったのだが、
「あ、そう」
と、言う気のない返事。
「どうでもいいって思った?」
続けて、そう聞くと
「うん!」
と、力強く答えたニンタマ。
ニンタマは、「黒魔女さんが通る」を読んでいて、私の夢の話など煩くて仕方が無いと言う様子だった。
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