8才にして大人買い?
夕方、外に遊びに行っていたニンタマとプン助が、
「楽しかった~!」
と、息を弾ませて帰って来た。
同じノリで、
「お金もいっぱい使っちゃった~」
と、言うプン助の声が聞こえ、ギョッとした。
家では、お手伝いや宿題や勉強をポイント制にしていて、ポイントが溜まると旦那さんが、ポイント分のお金をあげることになっていた。
プン助は、ポイントをコツコツ貯めて、先日旦那さんから五千円札を貰っていたのだ。
旦那さんとしては、千円札や小銭で渡すと、すぐに使ってしまうと思い、
「使うなよ、ちゃんと貯めておけよ」
という意味と、お金を眺めるのが大好きなプン助へ、観賞用として、渡したのだろう。
まさか…その五千円に手を出したのだろうか…。
「え?お金って?あの五千円?」
「そう」
「いくら使ったの?」
「全部」
「え?!え?!何に?!!!!」
仰天している私に、ぐしゃぐしゃのレジ袋を見せるプン助。
中には、何やらトランプのような大量のカードが無造作に入っていた。
時々見ていたアニメの「デュエルマスターズ」のカードらしい。
「え?こ、これが五千円もするの?!」
こんなもんが五千円?!どう遊ぶのかもわからない私にとっては、紙くずのようにしか見えない。
この紙くずみしか見えないものが五千円?!ということにも衝撃を受けたが、一気にそんなに大量に買って来たことにも、言い知れない不安を感じた。
「ちょっと待って!これは買いすぎ!ダメだよ!そんな使い方しちゃ。五千円稼ぐのって大変なんだよ?一時間働いても、千円にならない仕事沢山あるんだよ?!」
と、ニンタマが
「知ってる。生協で時給千円って募集してた」
と、口をはさむ。
「うん、時給千円の仕事もあるけど、もっと少ない仕事もいっぱいあるし、貰う時は色々差し引かれたりして、15万円分働いたとしても、手元には13万円分くらいしか、入らないんだから!お金は大事に使わないと!それに、小学生が一度に五千円も使ったら、お店の人も怪しいなって思うよ!」
どんどん横道にそれた説教をまくしたてていると、プン助の表情がどんどん暗くなっていった。
いかん…やみくもに怒ると、今度は使っても言わないようになってしまう。興奮を押さえなければ…。
「このカード、凄く欲しかったの?」
「凄くってワケじゃないけど、みんな持ってて、俺だけもってなかったから…それにみんなだって自分で買った訳じゃなかったりでさ、だから・・・俺は自分の金で買ってみようかな・・・って」
うーん、何言っているのかさっぱりわからんぞ。
「欲しくはあったんでしょ?」
「そうとも言える」
そうとも?会話がかみ合わない…。
「まぁ・・・欲しいと思ったのはわかったよ。でも、これ、一カ月後、二か月後にも買ってよかったって思えるかな?これでずっと毎日楽しく遊べていたりするなら、生きたお金の使い方になるけど、数日で散らかし放題にして、いつの間にか紙ごみとかになってたら、本当に無駄な使い方だよ?ずっと大事にこれで遊ぶと思う?」
と、尋ねると首を傾げ
「やっぱり、買いすぎかな?とは思ったんだよね」
またもや、聞かれたこととは違う事を答えるプン助。
「うん、買いすぎだね。最初、10枚くらい買って、やっぱりもう少し欲しいってなったら、別な日に買うとかさ・・・そうだ。300円くらいだったら、自分の采配で買ってもいいけれど、それより高いけど欲しいと思ったら、パパにでもママにでも電話して、買っていいか聞いてよ」
「わかった」
「あ、あとさ、これ、プン助がすぐ人に暴力をふるうのと、同じだと思うんだよね。叩きたくなったりするのを、ちょっとの間、本当に叩くほどのことなのか、立ち止まって考える練習しようって言ってたでしょ?買いたい気持ちがワーってなったら、一回、ちょっと落ち着いて、考えてそれでも欲しかったら買うことを考える・・・これも同じだからさ、そういう練習しよう?!」
と、言うと、プン助はハッとしたような顔をして
「そうか!それができたら~、いっせき~」
と、言って私を指さした。
「にちょう?」
戸惑いつつ、私が答えると、
「そう、一石二鳥~」
と、うまいこと言った感満載の笑顔を見せるプン助。
その後、テーブルの上にカードを広げて、一人で何やら対戦のような事を始めたり、カードの分類をしたり。
夕食が乗せられないから、どけてくれと言っても、全く聞こえていない様子。
旦那さんが、ルールを教えてくれたら一緒に遊んでやると言ったらしいが、教えるのが面倒くさいと、一人で二役やりながら、何時間も遊んでいた。
見ている方は全く何が行われているかわからないが、修行僧のような真剣な表情でなにやらブツブツつぶやいたり、考え込んだり、集中している様子。
このハマりぶりはいつまで続くのだろうか・・・。
数か月前、狂ったようにベイブレードを欲しがっていたが、今は全くやっていない。
その事をプン助に言うと
「だって、どこにあるのかわからないんだもん」
と、言う。
一応、プン助用の棚があって、そこに置いてあるのだが、何度言ってもそれを忘れてしまう。
「あそこの棚にあるっていつも言ってるでしょ?」
というと、
「あそこにあるのか~、知らなかった。でもさぁ、最近ベイブレードやってる人少ないんだよね」
と、棚を見にも行かなかった。
「あ~、しかし、やっぱり買いすぎだよな~、もうゲームはサンタにお願いするしかないな。ママたちには悪くて頼めないもんな~」
ああ、もう聞こえない振りをしよう・・・。
ママたちには悪くて頼めないお願いをサンタにはいいと思っているのか。そして、お願いするくせにサンタと呼び捨てなのか…。
クリスマスの時期が近付いたら、なんとか誘導尋問的に違うものをお願いするように仕向けてみよう。
| 固定リンク
「育児」カテゴリの記事
- 荷造りしているのを姿を見るだけで具合が悪くなる!(2023.06.27)
- 不登校の館(2023.05.25)
- ある春のレアな日(2023.03.01)
- 慣れ親しんだオタオタする人生(2022.09.21)
- 体操教室体験(2022.09.17)