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テストを巡る母娘

早朝、旦那さんはお仕事で出かけて行った。

 

私は、7時頃から起きていたが、布団でゴロゴロして、8時過ぎにベッドを出たら、ニンタマは既に起きていた。

 

プン助は、熟睡。

 

ソファで漫画を読んでいるニンタマ。

 

昨晩もテストには行かないと言っていたし、もう行く気はないのだな・・・と、思いつつ、一言だけ声を掛けた。

 

「テストは行かないんだよね」

 

「行かない」

 

顔も上げずに漫画を読みながら答えるニンタマ。

 

一言だけのつもりだったのだが、モヤモヤが止まらず、その後も、つい色々言ってしまう。

 

「なんで行きたくなくなったの?最初は、テスト受けたいって言ってたよね」

 

「忘れちゃってたの」

 

「忘れちゃってた?何を?テストを?」

 

「そう」

 

忘れてたのか・・・、びっくり。いや、いやなことは考えたくない・・・ということで、気付かないようにしていたのかな・・・

 

「うーん、でも、最初、受けたいって言った時は、受けたいって思ってたわけでしょ?」

 

「そうだけど…」

 

「塾にも行きたいって言ってたのは、授業でわからないことが増えたりしてきて、わかるようになりたいと思ったり、勉強できるようになりたいって思ったからでしょ?」

 

「うん」

 

「じゃあさ、なんで勉強できるようになりたいって思ったの?」

 

「・・・」

 

黙った!・・・もしや、理由が思い浮かばないのか?

 

一瞬驚いたが、よく考えてみると、そういうものかもしれない。

 

出来たほうがいいらしい・・・と、漠然と思うだけで、自分だってわからなかった気がする。

 

今だって、勉強できた方がいい理由を、聞かれると、よくわからない。

ただ、勉強不足だったことは後悔している。

今からでも、色々な知識を得たいと思っている。

知識を得るには時間が足りなさすぎる・・・と、悶々としている。

今、知識を得る効率をあげるためにも、あの頃に戻れたとしたら、もっとちゃんと勉強しておけばよかった・・・と、思っている。

そのことをどうやって伝えればよいのだろう…。

 

テストは9時開始。

今は、8時20分。

もう、テストには行けないだろう。

ならば、勉強というよりも学ぶ…ということの意味を、せっかくだから、ちゃんと話し合ってみよう。

 

「勉強できるようになりたい理由・・・わからないかな?」

 

「うん」

 

「なんとなく、できたほうがかっこいいって感じかな?」

 

不機嫌そうな顔で頷くニンタマ。

 

「まあ、そうだよね。ママも、そうだったと思う。でもね・・・今は、もうちょっとやっておけばよかったなって、思…」

 

そう言いかけた矢先に、ニンタマに遮られた。

 

「わかったよ!いくよ!」

 

親身な親子の話合いをするつもりだったが、ニンタマは私にこれ以上何も言わせぬぞ!という感じで立ち上がったのだ。

 

「え?行くの?もう、無理じゃないかな・・・」

 

一瞬戸惑い、ついそう言ってしまった。

 

 

無言でソファにドスっと腰を下ろすニンタマ。

 

怖い、その顔、スケバンみたいだよ・・・。いやいや、折角行くって言ったんだし、行ける方向で考えてみよう。

 

テスト開始まで、あと40分弱。

 

会場は、歩いて20分程。

 

急げば、無理ではない。

 

 

「いや、無理じゃない。大丈夫。とりあえずバナナでも食べて、今から支度したら、大丈夫」

 

スケバンのような顔のまま、ニンタマは急ぎ、身支度を整えた。

 

バナナも食べないし、牛乳も飲まないで大丈夫だと言い張るので、とりあえず私も急いで、支度を終え、一緒に開場へ向かった。

 

 

開場近辺に、8時50分に到着。

 

時間にまだ余裕があったので、コンビニへ入り、お茶とウィダーインゼリーを買い、ニンタマに渡した。

 

休憩時間に、少しでも口にできれば良いと、カロリーメイトやおにぎりも勧めたのだが、いらないと却下された。

 

そのまま、開場へ行くと、明らかに小さい子ばかりだった。

 

小学校2、3年くらいの子ばかり。

 

そうなのか・・・。

 

無料のテストを受ける子の大部分はこれから塾などを検討していて、塾を検討するのは、こんな低学年の子ばかりなのだ・・・ということに、今更ながら、驚いた。

 

5の中でも発育がよく、中学生にしか見えないニンタマは、かなり浮いていた。

熱心な親は、低学年からちゃんとやっているのだ。

仕事が立て込むと、昼も夜もなくなり、子供に全く時間が割けなくなってしまい、時間がある時にだけ、思い立ったように親身になったり、教育熱心みたいになったりする自分の中途半端さを、申し訳なく思った。

 

 

数時間後、迎えに行くと、ニンタマは、朝の不機嫌さとは打って変わって、テンション高めだった。

 

「わかんなかったところは全部適当にやったから、全部最後までやれたよ~!」

 

マークシート式は、わからなくてもとりあえず、埋められるので、テスト当日にできなかった挫折感はあまり感じないものだ。

その分、結果が出た時に、ギョッとしたりするのだが…。

 

だが、とりあえず、面倒なことを済ませてすっきりしたように明るい表情を見せていて、安心した。

 

「ニンタマちゃん、お茶、全然飲まなかったよ~。ゼリーも、まだ蓋もあけてない」

 

 

緊張で、それどころじゃなかったのだろうか。

 

帰宅後、生ハムパスタを食べさせた後、ニンタマは友達と遊びに行った。

 

私は、ニンタマが持ち帰ったテスト問題を眺め、試しに算数の問題を解いてみた。

 

最初の数問は、スイスイ解けた。

 

よかった。

 

5程度の算数はまだできるのね・・・と、得意な気持ちになっていたが、途中から突然、難易度が上がった。

 

何これ?どうやって解くの?

 

さっぱりわからない。

 

大人の意地をかけても解きたい!と、思うのだが、30分くらい、うんうん唸ってもわからない。

 

マークシートだし、とりあえず、回答の中の1~4のどれかを選べばいいのだ。

 

回答の中の数字のどれがそれっぽいか・・・という逆算で、これかな?と、あてずっぽうで回答した。

 

まあ、この問題は、難しかったけど、次は大丈夫だろう・・・

 

と、次に問題にとりかかった。

 

「・・・」

 

これ?情報が少なすぎて、わからないよ?本当に、解けるの?

 

いいや、これもとりあえず、適当に回答選んでおいて、次だ、次!

 

そして、次の問題を見ると・・・

 

問題が日本語として理解ができない。

 

どういうこと?これ?何がどうなっているの!?

 

問題がわからない・・・という事態が起きるとは予想もしていなかった。

 

頭がプシュ―っとしてきて、吐き気がしてきた。

 

 

やめだ・・・やめ。

 

これは、明日解こう。

 

他にもやらなきゃいけないこといっぱい溜まっているしね・・・

 

まだ、国語、理科、社会と問題はあったが、もう見るのも嫌だった。

 

偉いな、ニンタマ。

 

こんな問題、わからなくても、ちゃんと向き合って、答え全部書いて来たんだ。

 

おかしいな・・・私、一応、ちゃんと大学出てるのに・・・。

受験は散々やってきたのに・・・。

 

脳も根気も衰えてしまったのだろうか・・・。

 

もう、あまり偉そうなことは、子供に言えないな。

 

でも、言わないといけないんだよな・・・。

 

中身も伴っていないのに、伴ってるふりして、偉そうなことを言うの、苦手だな。

 

策がなくても、あるふりをして、堂々としていられる政治家さんとか、ちょっとは見習った方がいいのかも。

 

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風呂で号泣する娘

夜、ニンタマが風呂で号泣していた。

 

何で泣いているのか聞くと、旦那さんが

 

「日曜日、テストなんだろ」

 

と、聞いたことがきっかけだったらしい。

 

 

コロナで学校が休校になったことがきっかけで、某塾が無償で全国テストを受けさせてくれたり、登録したら算数だけオンライン授業をやっていたり、したので、本人に

聞いてみたら、やってみたい…ということだったので、申し込んでいたのだ。

 

オンライン授業の方は、タブレットなどでやればいいかと思っていたのだが、私がITオンチのせいか、PCでしか受講できず、私か旦那さんのPCを貸さなければできない状態で、頻繁に貸すこともできずにいた。

 

本人もそれほど、思い入れがあったわけでもなかったので、授業もテストも忘れていたらしい。

 

先週も、来週テストだからね・・・と、伝えていたのだが、その時はまだ現実感がなかったようで、普通に「はーい」と、答えていたのだが、今日は急にビビり始めたらしい。

 

 

 

「バカだから、どうせいい点が取れない~~~いい点とれなくても、怒らないでね」

 

と、大口を開けて泣いている。

 

「怒らないよ。怒らないけど、自分のことをバカだって言うのはやめなよ。」

「だって、本当にバカなんだもん」

 

「バカじゃないよ。点が悪かったとしても、それは勉強してないだけだから。自分をバカって言って終わらせるのは怠けるための口実だよ」

 

と、ついムキになって言ってしまったら、余計に激しく泣かせてしまった。

 

いかんいかん・・・あまり、追い詰めてはダメだ・・・。

 

「ママは、別に泣かせたり、辛い思いをさせたいと思った訳じゃないし、受けたいって言ってたから、申し込んだだけだし、本当にイヤなら、受けなくてもいいよ。でも、自分がどれだけできないか、知るってすごく大事なことだよ。それがわからなければ、どう、頑張るかもわからないし、大人になった時、あれは受けておけばよかったな・・・と、思うような、結構大事な局面だと思うよ」

 

優しく言いつつも、暗に受けろ・・・と言っているのと同じだよな、これ・・・と、自分が無理やりにでも受けさせたいと思っていることにも気づいてしまった。

 

勉強を頑張れるか、頑張れないかはさておき、現状を把握しておきたかった。

 

ニンタマは低学年の時は、映画「ビリギャル」に憧れて、

 

「よし!私は、いい学校へ行く!」

 

と、言ってみたりもしていたのだが、高学年になるにつれ、授業がわからないことが増えて、自信を失った来たらしく、

 

「ニンタマちゃん、バカだから、塾に行きたい。友達は皆、行ってるんだよ」

 

と、言い始めた。

 

塾か・・・。

 

既に、ミュージカルや、ロボット教室にも通っている。

その他に塾・・・。

 

金銭的にもきついし、本人も忙しすぎやしないだろうか・・・。

 

どれも、辞めるのはイヤだという。

 

旦那さんに相談してみると、

 

「本人がどうしても行きたい…って、ことで、その為に、何か頑張るとか、そういう姿勢を見せていないのに、やりたいって言ったら、こっちがどんどんおぜん立てするのは、良くない。ちゃんとニンタマが、頭下げて行かせてくれって言うんじゃないと、ダメだと思うし、こっちも協力できない」

 

と、最もな意見。

 

その旨を、ニンタマに伝えたら、面倒に感じたのか、

 

「だったら、いいや」

 

と、その時は、あっさり引き下がった。

 

まだ、コロナ休校になる前のことだった。

 

 

だが、本人の意欲というのも、何の情報もなければ、上がるワケもない。

 

一応、こちらとしては、近辺の塾情報は調べておいた方がいいだろう・・・、仕事が落ち着いたら、塾の資料を集めよう・・・・などと、思っていたら、休校になり、塾どころではなくなってしまった。

 

こちらも家にいるから、ちゃんと学習習慣を身に着けさせたい…と、思っていたが、自粛期間こんなに工夫して子供に勉強させてます…という感じの家族がよくテレビに出ていたが、あのような立派な親と違って、初っ端から、挫折してしまっていた。

 

こちらも、実現するかしないかはわからない企画ながらも、一応仕事を抱えて、テンパっていて、子供はYouTube見放題みたいな状態になってしまった。

 

ニンタマにパソコンを貸してオンライン授業をさせてあげようとすると、必ずプン助がやってきて、自分ばかりがやってしまう。

 

プン助も一応、3年の算数で登録していたのだが、張り合ってニンタマの5年生の授業を受講するので、なんとなくニンタマの意欲が削がれてしまったのだ。

 

そのまま、6月に突入し、学校も始まっていたので、オンライン授業よりも、目の前の宿題に追われるようになってしまった。

 

こちらとしても、無理に催促して勉強させるよりも、テストを受けてみて、自分の実情を知れば、本人もそれなりに何かを考えるだろうと・・・どこかテストを受けさえすれば…と、テストを心待ちにしていた節もあった。

 

しかし、テストを受けなかったら、ニンタマは自分の実情を知ることもできず、なんとなく勉強はできたほうがいいと思いつつも、

 

「まあ、いいや。私、バカだし、どうせ受けてもできないもん・・・」

 

というテンションのまま、夏休みを迎え、二学期に突入してしまう。

 

しかも、ニンタマは、最近やたら鏡ばかり見て、こっそり化粧をしたり、自分は太っていると気にし始めては、体重が増えたと大泣きしたり、何かと難しい感じになってしまった。

 

私が、自分の体重の増減を意識し始めたのは、中二くらいで、高校2年の頃に、一カ月程、絶食に近いダイエットをして、拒食症のようになってしまって大変だったことを思い出す。

ニンタマは今現在小学5年生だが、私の中二の時と、ほぼ同じ身長で、おそらく精神の発達もその頃に近い気がする。

 

半世紀生きてみて、自己肯定感が低い時期ほど、体重や見た目を気にしてストレスを溜め、悪循環に陥って来た。

 

とりあえず何かを頑張り、頑張ったことで自分を信用して、目に見える成果が出始めると、精神状態は落ち着く。

 

勉強や、楽器演奏などは打ち込んだ分、成果が見えやすいので、私はそういう方法で、精神の安定を測って来た。

ダイエットは、成果が出やすいが、出た分、体も壊してしまうことも多く、結果的に精神状態も悪くなってしまう。

 

おしゃれに興味があるのは、良いが、こちらに走りすぎるよりは、今自分をバカだと思っていることが解消される方がよいのではないだろうか?

 

 

そんな思いもあり、最近また旦那さんと、話し合って、授業がわからないことで自信を失っているように思うので、本人が行きたいというのなら、塾のことも前向きに考えよう・・・ということになっていた。

 

それもあって、旦那さんもテストの話をしたのだろう。

 

しかし、ニンタマは急にテストを意識して、怖くなり、号泣。

 

 

お風呂から出ると、

 

「やっぱり、テストは受けない」

 

と、言って来た。

 

私の、受けさせようという意図見え見えな説得は、逆効果だったようだ。

 

絶対受けたほうがいいよ!

 

と、言いたくてうずうずしたが、そこはグッと堪えた。

 

「そっか、まあ、テストは日曜日だから、土曜日までゆっくり考えて。今決めなくていいよ」

 

と、結論を先延ばしにした。

だが、

 

「ママは受けたほうがいいと思うけど」

 

と、ついついプレッシャーを与える一言も付け加えてしまった。自分のこういう所が、親として、あまりよろしくないのだろうな・・・と、思うのだが、抑えられなかった。

 

ダメ親だなぁ。

 

ああ、私も自己肯定感が低いな。

 

最近、コロナ太り抜けないを気にしているばかりか、ほうれい線が深くなっていることばかり気にしているし。

 

娘を心配することは、大体自分に当てはまる。

 

 

 

 

 

 

 

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家族そろって「愛の不時着」最終回

家族そろって「愛の不時着」の最終回を観る。

 

面白い作品は多々あるが、家族全員で楽しめるのが、このドラマの凄いところだ。

 

なんと至福な時間だったのだろう。

 

ただ、家族の手前、思う存分泣いたりは出来ず、涙ぐむと、バレないようにごまかしたりしてしまう。

ニンタマが、抜き打ちで、私が泣いているかチェックするために、いきなり顔を覗き込んで来たりする。

 

「泣いてないよ!」

 

泣いてもいいのだが、何故か恥ずかしい。

 

すると、今度は旦那さんが、ニンタマが泣いているのに気づいてニヤっと笑う。

 

「泣いてない!」

 

自分は抜き打ちで、私や旦那さんの「泣いてる」チェックをするくせに、泣いたところを観られるのは、猛烈に嫌らしい。

 

尋常じゃないほど、プリプリしている。

 

「泣いた方が得だぞ~」

 

と、旦那さんに言われても、

 

「泣いてないって言ってるでしょ!」

 

と、スケバンのように怒っていた

 

そんな最中、カードをなくしたショックから抜けていないプン助は、観ている最中も

「カード買って!」

 

と、何度か騒ぎ、

 

「うるせーぞ」

 

と、怒られたりしていた。

 

だが、いつもカードのことばかり考えている訳でもなく、ピョ・チスのシーンなどでは、

ガハガハ笑っていたり、別の回のことを思い出して

 

「血のにじむ努力め!」

 

 

と、叫んだりしていて、楽しそうではあった。

 

同じ脚本家さんの、「星から来たあなた」も、とても面白かったが、こちらはもう、ラブコメの最高峰というか、殿堂入りというか、人の心を揺さぶる技を熟知していて、神がかっている作品だと思った。

 

ツンデレ男子のようでもあり、子犬男子のようでもあり、男性からも反感を持たれない新手の理想の男子像もお見事だったし、女性はこうあらねば…という像から、完全に抜け出したヒロインには胸のすく思いだった。

 

そして、一部のキャラを覗いては、大体皆、愛らしくて間抜け。

 

間抜けって、大切な要素なのだな…。

 

ああ、夢のようだった。

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カード見つからず、不機嫌、案の定遅刻

朝、5時17分に、旦那さんがプン助を起こしている声が、聞こえた。

 

アイツ、起きられるのかな・・・と、思いつつ、再びうとうとと寝てしまい、7時過ぎに起きた。

 

鎖骨を骨折した後、背中を強打して痛めてしまい、人と一緒に寝て、蹴られでもしたら、大変なので、私だけ、いつも別の部屋で一人で眠っているのだが、既にニンタマもプン助も旦那さんも起きて、朝ごはんを食べていた。

 

以前は、私もいつも6時半頃に起きて、朝食の支度をしていたのだが、ここのところ、旦那さんがきちんと起きて、支度をしてくれているので、非常に助かっている。

 

プン助は、いつも寝起きが悪いから、朝公園にカードを探しに行くのは、無理だっただろうな・・・と、思いつつ

 

「カード、探しに行けた?」

 

と、聞くと、プン助はプイっとそっぽを向いた。

 

「カードなかったから、不機嫌なんだよ、コイツ」

 

と、旦那さん。

 

「え!起きられたの?凄いじゃん!頑張ったね~!!!」

 

と、プン助を撫でまわしていると、旦那さんが、クラークゲーブルみたな微笑みを浮かべ、

 

「俺が頑張ったんだよ。」

と、得意顔。

 

「そうだね・・・、俺が頑張ったんだよね~。大変だったね。そうなんだ、カードなかったんだ・・・」

 

「もうさ、カードの事思い出すと、また不機嫌になるから、忘れさせようと必死に他の話題にしたり、してたのに・・・言わないであげて」

 

私が寝ている間に、公園で捜索して、気落ちしたり不機嫌だったのを、頑張ってフォローして、気を取り直したかな・・・というタイミングで、私が起きてきて、余計な話を蒸し返してしまったらしい。

 

学校へ行かせようとしても、プン助の支度は中々進まない。

 

お姉ちゃんのニンタマは、支度が早く、さっさと登校してしまった。8時に行くことになっているのだが、8時15分に行けばギリギリ間に合う・・・などと、隙あらば、転がったり漫画読んだり。

 

歯を磨かせて靴下を履かせる・・・ということが、大変なのは、4歳くらいまでかと思っていたが、プン助に関しては8歳になっても大変なのだ。

 

「遅刻するから、ほら、靴下履いて」

 

と、こちらがせかしても

 

「カード、買って」

 

ばかりを繰り返す。

 

なんとか、玄関まで連れて行っても、どうしても傘を持って行こうとしない。

 

「ほら、傘持って」

 

「カード買って」

 

「傘、ささないと、雨降ってるし」

 

「カード、欲しいんだけど」

 

「ほら、傘!」

 

という押し問答をしていると、

 

「もう、傘持たないでいいから行け!」

 

と、旦那さん。

 

「カード・・・」

 

と、繰り返すプン助を遮り

 

「うるせー!行け!」

 

と、旦那さんが、どやしつけるとやっと出かけて行った。

 

しばらくして、担任の先生から、「プン助君、学校へ向かったでしょうか?」と、

電話が掛かって来た。

 

 

やっぱり遅刻したんだな・・・。

 

 

 

 

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大人買いしたカード、紛失!!!

 

先日、デュエルマスターズのカードを買うために、5千円分も使ってしまったプン助が、早くもカードを紛失してしまった。

 

7時過ぎても、帰ってこないプン助を心配して、旦那さんが近所を探しに行っていた。すっかり明るくなったので、5時に帰るように言っても、6時過ぎくらいまで帰ってこないことはよくあったのだが、これは遅すぎる・・・。

 

自分も、子供時代、楽しくて絶対遅いと怒られると思う時間だとわかっているのに、気付かないフリをして、7時過ぎてしまったことは度々あった。

 

きっと楽しいのだろうな…と思いながら、待っていたら、旦那さんから電話。

 

「アイツ、カード、公園でなくして、ずっと探してみたい」

 

「え?なくした?」

 

5千円つぎ込んで、買ったカードを?!

まだ、2週間くらいしか経ってないよ?

 

「俺もしばらく一緒に探すから、ちょっと遅くなるわ」

 

そんなに広い公園でもない。

 

あれば、すぐに見つかるだろうに・・・。

 

だが、諦めが付かず、しばらく探さないと納得がいかない気持ちも分かる。

 

こういう事は、度々あった。

 

昨年も、プン助に持たせたおにぎりがなくなったことがあった。

 

だが、おにぎりを包んでいたアルミホイルが、くしゃくしゃにされて公園に捨てられていた。

 

本人の言い分では、鬼ごっこをしていたら、リュックのファスナーが開いて落としたんだと思う・・・とのことだった。

 

まあ、おにぎりは、よく他人の作ったおにぎりを食べるなと思いつつ、誰かが腹を減らしていて、食べたのなら、いいや・・・と思った。

 

次は、ベイブレードだった。

 

誕生日や何かのご褒美でコツコツ増やしていたベイブレードを全てなくして帰って来た。

 

その時は、不注意で落としたのを誰かが拾ったのかもしれない・・・と、思った。

 

それほど、悪気なくても公園で自分が欲しいと思っていたおもちゃが落ちていたら、持って帰ってしまう人もいるだろう・・・。

 

そして、今日はカード。

 

前回、156枚購入していたのだが、旦那さんにプラス6枚分買ってもらって、今162枚持っていた。

それを全て、紛失。

 

やはり、鬼ごっこをしている間になくしたらしい。

 

本人は落としたのか、入っていたリュックをそこらへんに置いている間になくなったのかわからない・・・とのことだった。

 

これは、盗まれたのかもしれないな・・・と思った。

 

いい悪いということでもなく、集団にはそういうモノを持って帰ったり、取ってしまう人は一定数いる。

 

しかも、プン助はいつもランドセルやリュックが半開き。

 

どんなに閉めるように言っても、

 

「いいの!」

 

と、うるさそうに逃げていく。

 

元々、細かいところに注意がいかない性質で、どんなに注意をしても、料理の入った皿を片手で適当に持ち運んでは零したり、皿の位置をよく見もしないで食事をしているウチに皿ごと床に落としたり、モノを取り出すときも何でも無理やり取り出そうとして、破いたり壊したり・・・ということが、日常茶飯事なのだった。

 

可哀そうだが、何度かなくす、という痛い思いをしないと、気を付ける感覚は身につかないのかもしれない。

 

これを機会に、少しでも自分のモノをちゃんと管理できるようになると良いのだが・・・。

 

「暗くてよく見えなかったから、明日、朝になったら5時に起きて、公園に探しに行く」

 

と、言っていた。

 

「じゃあ、宿題さっさとやって、早く寝ないとね」

 

だが、10時過ぎても、全然宿題をやらない。

家族全員が風呂に入っても、中々風呂にも入らない。

 

やっと風呂に入っても、中々歯を磨かず、立体迷路で遊んでいる。

 

立体迷路がうまく行かず、かんしゃくを起こして、何故か

 

 

「もう、ママのバカーーー!」

 

と、私の肩を蹴り始めた。

 

何度も、蹴ってくるので、やめて欲しい、やつあたりで蹴られるのは、すごく気分が悪い!

 

と訴えても、やめてくれず、私が怖い口調になったことに、余計苛立ったのか、

 

「あっちいけ!バカ!」

 

と、罵り続ける。

 

こちらも、腹が立ち

 

「今、何時だと思ってんの?こんなんじゃ、絶対、朝5時になんか起きられないからね!ママ、怪我しているのに、蹴るっていうことは、ママなんか死んでもいいって思ってるってことだと思うよ!ホントやめて!」

 

と、こちらもキレ気味に怒鳴ったら、しばらく迷っていた様子だが、言う事を聞いて、蹴るのを止めるのも、屈辱を感じたらしく、再びチョンチョンと、私の肩を蹴って来た。

 

大して痛くはなかったが、意地でも言う事は聞くものか・・・という態度にうんざりして、

 

「もう、12時だよ?!今から、宿題なんかできるわけないじゃん、ママはもう寝るからね!」

 

と、寝室へ向かった。

 

それから、しばらくしてトイレに起きてきたついでにリビングを覗いたら、プン助は先ほどと同じソファーの上で座りながら、スース―寝息を立てていた。

 

ちくしょう、寝顔可愛いじゃねーか・・・。

 

うとうとしながら、ラジオを聞いてた旦那さんに、プン助を布団に運ぶようにお願いすると、旦那さんは、

 

「コイツ、さっきまで宿題頑張ってたんだよ。」

 

と、抱き上げ

 

「まあ、やりとげようとして、エライよ」

 

と、ほおずりしながら、布団へ運んでいった。

 

もっと早くやり遂げようと思ってくれたらいいのに、中々うまく行かないものだ。

 

あの後、宿題をやったのならば、寝たのはどう考えても12時過ぎだ。

 

明日、5時には起きられないだろうな・・・。

 

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除湿機…その後。

 

先の土曜日に購入した、除湿機、すばらしい…!

 

前日、浴室乾燥機を使わずに、浴室に除湿機を置いて、室内干しをしたのだが、かつて、これほど洗濯物がさわやかだったことが無いようなレベルに乾いていた。

 

部屋干しの匂いなんて、まるでしない。

 

 

今日は旦那さんが、浴室で洗濯物を干し、

浴室乾燥機と除湿機を並行して使っていた。

 

電気代がかさむ可能性はあるが、短時間で済むのかもしれない。

 

結果、除湿機だけよりは、短時間で乾き、そしてやはり、部屋干しの匂いは全くなし。

 

洗濯物はさわやかな感じ。

 

ナノイーの効果なのだろうか・・・。

 

ナノイー無しでも、このレベルになったのだろうか・・・。

 

冬も窓の結露対策にも使えると言われたし、なんと良い買い物をしたのだろう…

 

と、ホクホクして、まだ夏も本番ではないというのに、早くも冬の結露対策の仕方をネットで検索してみた。

 

すると、コンプレッサー式は、冬には不向き・・・という記入を見つけて、衝撃を受ける。

 

え?あの店員さん、この除湿機で結露対策できるって言ったではないか‥・。

 

マジか・・・。

 

じゃあ、結露対策したかったら、もう一方のデシカント式が必要だということなのか・・・。

 

どうしよう・・・。格安のデシカント式とかあるのだろうか・・・。

 

いや、それは諦めて、結露は地道に自分拭くか・・・。

 

こんなことなら、贅沢と言われようがハイブリッド式を買えばよかったのだろうか…。

 

いやいや、買ってしまったものは仕方がない。

 

これは宿命として受け入れよう。

 

もしかしたら、店員さんも結露にバッチリだといってくれたのだし、これはコンプレッサー式でも、結露対策できるタイプなのかもしれない。

 

結露について記載されていないか、カタログを見ると、特に結露に関しての記述はない・・・。

 

 

やはり、結露には不向きということなのだろうか・・・。

 

と、パラパラ捲っていると、

 

「デシカント式」

 

という文字が目に入った。

 

 

あれ?これコンプレッサー式って言ってたけど、何故に「デシカント」って書いてあるのだろうか?

 

ああ、除湿機には、コンプレッサー式と、デシカント式があって…これは、コンプレッサー式です・・・という、除湿機一般の説明?

 

と、その箇所を熟読するが、コンプレッサーという文字は全く出てこない。

 

あれ?これ、コンプレッサー式と、思い込んでいたけれど、デシカント式だったのだろうか?

 

店員さんは、コンプレッサー式と言ったような気がするのだが・・・。

 

だが、

 

「結露対策ができるのは、使用中温度が上がってしまうのですが、部屋の温度上昇しても大丈夫ですか?」

 

と、質問された記憶もある。

 

「ああ、部屋干ししている時は、別にその場にいなくても大丈夫ですし、暑かったらクーラーつけるのでそれは平気です」

 

と、答えた記憶もある。

 

調べてみると、コンプレッサー式であろうが、デシカント式であろうが、どちらも部屋の温度は上昇するのだが、デシカント式の方が、より温度が上がるとのことだった。

 

だから部屋の温度が上昇するのが大丈夫ですか?という質問を受けたのか・・・。

 

ネットで買った機種をネット検索してみると、バッチリ「デシカント式」と、書かれていた。

 

結露対策にも向いている・・・と、明記されていた。

 

 

除湿機のことは一通り調べたつもりになっていたが、わかっていたつもりになっていただけで、全く理解していなかった…ということが、分かった。

 

とはいえ、店員さんが「コンプレッサー式がお勧めです」と言っていたのは、何故だろうか。

 

純粋な言い間違い?

 

それとも、私が勝手に聞き間違えていただけなのだろうか?

 

一緒にいた旦那さんに聞いても、全く記憶にないそうだ。

 

まあ、梅雨時にも役に立ち、結露対策にも使えるのならば、結果的には良かったのだ。

 

だが、コンプレッサー式とデシカント式の違いを熟読していると、デシカント式の方が電気だいが、高い・・・ということが書かれていた。

 

 

やっぱり、購買価格は高くても、ハイブリッド式が良かったのではないだろうか…?!

 

と、思いつつも、いやいや、洗濯物がこんなにさわやかなのだから、もうヨシとしよう!

電気代のことは跳ね上がったことが判明してから、考えよう・・・。

 

と、干し終えたタオルに顔を埋めて、ふんわりとしたいい匂いを嗅ぐのだった。

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父の日だから、餃子焼いた

父の日。

 

カーネーションなど、定番の贈り物などもないので、旦那さんの好物の餃子を作ることにした。

 

久々に、ホームベーカリーで餃子の皮から作る。

 

皮から作ると、段違いに旨いのだが、餡を詰める前から皮同志がくっついてしまったり、餡をつめた後も、皿に張り付いてしまったりで、見た目はぐちゃぐちゃになってしまう。

 

それを解消すべく、餡も水っぽくならないように、いつもより手間をかけた。

 

まず、みじん切りのキャベツとニラに、塩をまぶしておく。

30分くらい置いて、水気を絞るのだが、その間に、ホームベーカリーに強力粉、薄力粉、塩、水などをセット。

 

そして、ひき肉を徹底的にコネ、ある程度まとまって来てから、ラードや、酒、砂糖、醤油、すりおろしたニンニク、ショウガなどを足して、肉にきっちり味をつけておく。

 

肉にきっちり味をつけておくと、野菜から水分が出ないらしい。

 

キャベツとニラを絞ってみたら、びっくりする程、小さくなってしまった。

そして、ある失敗に気付いた。

 

野菜にまぶす塩の分量を間違えたのだ。

 

明らかに、大量に入れすぎて、絞り汁もかなりしょっぱい。

 

本当は、この絞り汁を肉にしみこませるという手法もあるようなのだが、こんな塩辛いものを混ぜることは出来ない。

 

野菜も絞ったら、少なくなりすぎてしまった。

 

うちはいつもボールに二つくらいの餡で、餃子を100個くらい焼くのだが、ひき肉と野菜を混ぜてみてもボールに半分くらいなのだ。

 

ひき肉700グラムと、ニラ2把、キャベツ4分の1使ったのに、何故こんなに少なくなってしまったのだろう…。

 

プン助に20円あげると金でつって、ひき肉を買ってきてもらうことにした。

 

その間、再びキャベツとそして、ニラはもうなくなってしまったので、玉ねぎをみじん切りにした。

 

しょっぱすぎるので、もう、塩を振ってしんなりさせる技は使えない。

 

とりあえず、2分レンジにかけてみた。

 

夕食の時間も迫ってきている。

 

冷めるのも待っていられないので、レンジでチンした、キャベツと玉ねぎを水で洗って冷やして、ザルに空けて、水気を絞った。

 

それを、ボールの半分程しかない餡に足して、混ぜてみた。

 

とりあえず、ボールは満杯になった。

 

プン助はまだ帰ってこない。

 

ボール、もう一つ分の餡をつくるには、プン助を待って、また野菜のみじん切りなどをしなければならない。

 

どうしよう・・・。

 

悩んでいる間に、ホームベーカリーから、出来上がった餃子の皮の生地を取り出し、適当な大きさにちぎっては、丸めて綿棒で伸ばして形を整えながら、皮を作成することにした。

 

ニンタマもやりたいと参加。

 

中々綺麗な形にはならないが、手作りの味という大義名分で、今日はヨシとしよう。

 

やっと最後の一枚の皮を作成しようとした時に、プン助が帰って来た。

 

「えーなにそれ、俺も俺もやりたい!」

 

と、手も洗わずに生地を丸めようとするので、なんとか手を洗わせたのだが、今度は手が湿っていて、皮がぐちゃぐちゃに。

 

そして、手の汚れも落ち切っていなかったのか、なんだか薄汚い色の皮ができあがった。

 

「こんな汚い餃子、食べたくないな…」

 

と思ったが、焼いてしまえば、なんとかなってしまうのだろうな…。

 

プン助の買って来た新たなひき肉でもう一度、餃子の種を作るか、少な目でもボール一杯で焼き始めるか悩む。

 

この時点で、既に7時過ぎていた。

 

 

「もう、いいんじゃない、これだけで」

 

 

と、旦那さんが言ってくれて、ほっとした。

 

じゃあ、餡を詰め始めよう・・・と、ボールをテーブルへ持って行こうとして、そのズシリとした重みにびっくり。

 

今まで、こんなにボールが重かったことはない。

 

量が少ないと思ったけれど、水分を絞ったり、こねたりした分、傘がへっただけで、かなり密度の濃い餡になっているのかもしれない。

 

 

「俺も手伝おうか?」

 

と、旦那さんも、餡を詰める作業に参加してくれた。

 

父の日だから、旦那さんには寝て待っててもらおうくらいのつもりだったのだが・・・このままでは、夕食を食べ始めるのが、8時過ぎになってしまうので、手伝ってもらうことにした。

 

ある程度餃子が出来上がった段階で、焼こうと思ったのだが、餡を詰めている最中に餃子が焼きあがっても食べられないと、旦那さんに言われ、それもそうだと、とにかく詰めるのに専念した。

 

手作りの皮の餃子は30個程度。市販の皮は100個。

 

少ないと思っていた餡は、みっちり詰まっていたのか、いつものボール二個分よりも、沢山の餃子が出来てしまった。

 

 

やっと焼き始めたのは、鉄腕ダッシュも終盤の頃。

 

 

あれほど気を付けていたのに、手作りの皮の餃子は既に皿にくっついたり、餃子同士がくっついていたりで、焼く前に大分形が崩れてしまった。

 

 

だが・・・焼き上がりの味は、尋常じゃない程美味かった。

 

しょっぱ過ぎるかもと思って、やみくもにレンチンした野菜を足したり、訳が分からないことになっていた餡の味も、絶妙な感じ。

 

見た目は悪いけれど、味だけは本当に旨くできた。

 

プン助の作った薄汚い餃子は、どれだったか、全くわからなかった。

 

その後、家族そろって「愛の不時着」を見始めている最中も、餃子を焼き続けた。

 

餃子を焼いたり食べたりしながら、愛の不時着を観る・・・。

 

なんとも幸せな時間であった。

 

その後、旦那さんにプレゼントタイム。

 

普段は特に、父の日だからと言って、何か買ったりしていなかったのだが、今年は私が、鎖骨を骨折したり、やっと動けるようになったと思ったら、肋骨を痛めて動けなくなったりと色々迷惑をかけてしまったので、風水的に良き日に買っておいた財布と、財布を選んでいる時に便利そうと思った名詞入れを贈ることにした。

 

何か欲しいものある?と聞くと、即答で

 

「いらない」

 

と、言うのだが、

 

「やったー!」

 

と、喜んでくれた。

 

しかし、餃子はもう少し研究をしなければならない。

 

いつの日が、見た目も美しい餃子を焼きたいものだ。

 

 

 

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エアコンと除湿機購入!

花粉症が辛いのと、家事を少しでも楽にしたい…ということで、昨年、11月に洗濯機と同時に、衣類乾燥機を購入した。

 

だが、搬入する際、設置できると思っていた台が、ウチには入れられないことが、判明し、別なタイプの金具を使うことになったのだが、そのタイプにするにも色々障害があることがわかり、乾燥機は搬入できないことになってしまった。

 

壁についている水道の蛇口が飛び出していて、壁ピタ水洗という工事をしないと無理なのだと言う。

 

だが、宝船の公演もあり、工事できる日程が決められず、年末年始もバタバタしたまま、劇団竹の稽古に突入。

 

舞台の本番が終わって、もう一度業者に連絡すると、なんと購入した電気屋は配送業者を替えていて、一から見積もりのやりなおし。

 

今、混んでいる・・・と、言われこちらの予定とも中々合わず、工事は4月2日に決まった。

だが、その間に鎖骨を骨折し、4月2日から入院することになり、またもや延期。

 

コロナ自粛も続いていたので、家に業者を入れるのも少し待つことにして、6月に来てもらう事にした。

 

すると、

 

「工事をして、取り付けることは可能ですが、サイズがギリギリです。壁ピタ水洗にしても、乾燥機が揺れる度に、金具が蛇口が当たって、壁にめり込んだり、水道の栓が壊れることもある…ということを、ご了承ください」

 

と、言われ、衝撃を受ける。

 

やっと、乾燥機が入れられる!梅雨の前でよかった!

 

と、ウキウキしていたというのに・・・。

 

「壊れる可能性が高いのですか?!壊れないで済む可能性もあるんですよね?」

 

「それはつけてみないと、わかりませんね。でも、間違いなく乾燥機を使って揺れる度に金具が蛇口には当たると思います。」

 

その後、洗濯機の上ではなく、乾燥機が設置できる場所はないか聞くと、

 

「後はベランダですね」

 

と、のことだった。

 

「ベランダって隣の人とかにうるさいとか、雨ざらしになったり、とか色々問題はありますよね」

 

「そうですね。ある程度の音はしますし、屋内に設置するより、劣化は早いと思います」

 

屋内にしても、屋外にしても、全然気持ちよく設置できないではないか・・・。

 

数日、悶々としたが、結局購入を取りやめた。

 

洗濯乾燥機があれば、ダニが発生した場合も、心強いと思ったのに。

 

うちはとにかく、洗濯物が多い。

 

こうなったら、除湿機はどうだろうか?

 

洗濯物を干す手間は省けないが、湿気の多い北向きの部屋や、押し入れ、クローゼットの湿気にも対応できるではないか!

 

電気屋へ行くことがあったら、除湿機を見てみよう・・・と、決めていた。

 

そして、今日、子供部屋にエアコンを購入することになり、旦那さんと一緒に吉祥寺へ向かった。

 

「乾燥機やめたから、除湿機買いたいんだよね。一応、今日は説明だけ聞くつもりなんだけど…」

 

と、言ったら、

 

「除湿機って、口ほどにもなかったりするかもしれないよね。その場合は、買うのをやめることも考えないとだよな」

 

と、端から否定的。

 

自分の中では、悩みに悩んで、乾燥機のことを諦め、除湿機に切り替えるのに、それなりに検討を重ねていたつもりだった。

 

なんなら、旦那さんにも相談していたつもりだったのだが、夫婦の会話というのは、大体あまり印象に残らないのだ。

 

せっせと洗濯物を畳んでいる旦那さんに、向かって

「やっぱり、除湿機がいいと思うんだよね」

 

 

みたいな話をしたような気がするのだが、

 

旦那さんにとっては、仕事の段取りを邪魔する雑談のようにしか聞こえていなかったのかもしれない。

 

私は、既に相談していて共通認識のつもりであったが、旦那さんにとっては、浪費好きな私が、また欲しい物を我慢できなくなって、買おうとしているようにしか、映らなかったような雰囲気。

 

「欲しくなっちゃったのは、わかるけれど、本当に必要なのか、ちゃんと考えないと」

 

と、かなり後ろ向き。

 

「必要だって思ってるから、言ってるんじゃん!」

 

「買うのありきみたいになってるのは、どうなのって言っただけなのに、なんで、そんなに腹立ててんの」

 

え?私、腹立ててる?いやいや、そっちが頭ごなしに、言ってるんじゃん!あれ?本当に、ちゃんと相談してたっけ?してたような気がするけど、自信がなくなってきた…。相談してなくて、今初耳だったら、まあ、びっくりするよね。

いや、話していたとしても、ちゃんとは話していなかったのかな・・・。

 

色々な考えが、頭の中を駆け巡る。

 

「腹なんか立ててないよ・・・だから、ちゃんと話を聞きに行くって言っただけなのに、そっちがさぁ・・・」

 

それから、しばし無言。

 

 

15分後くらいに、吉祥寺の電気屋前に12時集合する約束をして、私は散歩がてら、一時間くらいかけて、徒歩で、旦那さんは後で自転車で行くことに。

 

待ち合わせをして、子供部屋用のエアコンは速攻で決めた。

 

その後に、

 

「どうする?あれ、買うの?」

 

と、聞いて来た旦那さんに

 

「とりあえず、お昼ご飯食べよう。お腹減った。それから私だけ電気屋、戻ってもいいし、

一緒に行ってもいいし、食べながら考えよう」

 

と、答え、韓国料理屋へ向かう。

 

 

旦那さんと外食するのは、3月半ば以来だ。

 

ユッケジャンと、チャジャン麺、カムジャタンを注文し、満腹。

美味しかったが、お店もかなり混んでいて蜜な感じで少し心配になった。

 

私一人で、電気屋へ戻ってもいいと思っていたが、旦那さんも、まだ時間は大丈夫だと言うので、再び電気屋へ。

 

店員さんに、除湿機の説明を求めた。パナソニックのメーカーの人だと明らかにわかる、ジャンパーを着ていた。しまった、電気屋の店員に聞けばよかった…と、後悔したが、声を掛けてしまったのは自分なので、仕方がない。

 

「デシカント式、コンプレッサー式、ハイブリッド式と、色々あるようですが、どうなんでしょうか?デシカント式は冬はいいけど、夏はあまりよくない、コンプレッサー式は夏はいいけれど、冬はあまりよくない、ハイブリッド式は両方大丈夫だって聞いたんですけど、高いですよね?。夏によくないとか冬によくないとか、本当にその季節では全く使えないんですか?そこらへんがよくわからなくて…」

 

と、俄か知識で色々不安を訴えると

「部屋の温度があまりあがらないのは、コンプレッサー式ですね。デシカント式の方が暑くなります。温度が上がらない方が良ければ、コンプレッサー式をお勧めします。」

 

「冬でも、ある程度は使えるのでしょうか?あと、あんまり大きくないのがいいのですが…」

「大丈夫です。コンプレッサー式で、あまり大きくないのとなると、こちらになります」

 

 

と、アイリスオーヤマとパナソニックの商品を勧めて来た。

一応他のメーカーのも勧めるんだと、感心していると、

 

「ですが、水を溜められる容量がアイリスオーヤマさんは、1リットルなですよ。パナソニックの方は2リットルなんで、容量が多い方が使い勝手がいいですよ」

 

と、やはりパナソニック製品を推し出してきた。

 

パナソニックの方が、値段は高めだったが、水を沢山溜められる方が使い勝手がいいのは確かだ。

まあ、いいか、パナソニックで。

 

 

パナソニックの商品も、ナノイーがあるのと、ないのとでの価格の差は1万円以上だった。

 

ナノイーは、衣類乾燥において、生乾きの匂いなどに効果を発揮するという。

「でも、ナノイーが無くても、そんなに臭くはならないんですよね」

 

元々、除湿機の購買に意欲的ではない旦那さんにとっては、少しでも安い方がいいだろう・・・と、ナノイー無しを買う意図を固めようとしていたら、

 

「ナノイーがあったほうがいいよ。俺、生乾きの匂いだけは本当にイヤなんだ。そのためだけにでも、これ、買った方がいいと思う!」

 

と、旦那さんのまさかのナノイー推し。

 

そうだった。旦那さんは、浴室乾燥機でさえ、生乾きの匂いが嫌だと、嫌っている。

あんなに後ろ向きだったのに、いきなり前向きになってしまった旦那さんを見て、急に心配になってきた。

 

除湿機使っても生乾きの匂いしたら、どうしよう。

 

旦那さんは、普段部屋干しの時は、扇風機を当てる角度をこまめに変えたり、工夫を凝らしている。

 

私が、普通に部屋干ししていると、必ず、洗濯ものの配列を変えたり、扇風機の角度を替えたりと、かなりこだわっている。

 

「除湿機高いの買ったけど、俺が扇風機当てて干している方が、全然乾くじゃん!」

 

 

という事態になってしまったら、どうしよう。

 

除湿機購入できたのは、良かったが急に不安になって来た。

 

それは、ここ数日で判明する。

 

今日はおくびにも出さなかったのだが、私が本当に欲しかったのは、ハイブリッド式の新機種だった。

店員さんが、こちらの懐事情を察したのか、全然ハイブリッド式を勧めて来なかった。

店員さんが、ハイブリッド式を勧めてきて、「生乾きにはこれが一番です」なんて言ってくれたら、流れ的にあれ、買えたかもしれないな…。

 

でも、やはり高いから、これでよかったのだ・・・。これで十分のはずだ・・・と、自分に言い聞かせ、帰宅。

 

 

 

 

 

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あみだくじで決めるのかい…

 

昨日、夜の10時過ぎまで、ダラダラしていて宿題をやらなかったプン助に、

 

「宿題は忘れて行っていいから、早く寝なさい」

 

と、何度も言ったのだが、全裸のまま寝てくれなかった。

 

こちらが先に眠くなり、寝てしまったのだが、

 

12時くらいまでかけて嫌々宿題を終わらせたらしい。

 

だが、案の定朝起きられず、布団から中々出てこない。

 

なんとかなだめすかし、バナナやヨーグルトを与える。

 

時間割や宿題など、当事者意識を全く持てない性質で、

 

長年両親共に格闘して来たが、それがあまりにも大変だったので、観念してこちらが

 

「宿題は、これだよ」

 

と、ノートを出してやったり、

 

「算数と、国語と理科、体育だね」

 

と、本人が梃子でも動かない時には、こちらが準備するようなってしまった。

 

ある意味、プン助にしつけらたようなものだ。

 

持ち物全部準備して玄関に持って行き、見送りろうとするのだが、

 

廊下に転がったまま、動かない。

 

「行きたくない」

 

ああ、また始まってしまった。

 

昨年末から、不登校気味だった。

行きたくないなら、行かなくてもいいと、気持ちを汲んだこともあれば、

無理やり引っ張って行ったこともあり、私も校門で説得しながらキレて

泣いてしまったこともある。

 

数か月、プン助の登校拒否と付き合って、わかったのは、

行きたくないことに、さしたる強い理由がある訳ではないということだった。

 

先生が嫌だとか、友達にいじめられているとか、とにかく学校が辛い…

という理由ならば、こちらも無理に行かせようとは思わないのだが、

 

行くと大体、帰宅後には

 

「行ってみたら、楽しかった」

 

と、言うのだ。

 

私も、しばしば、やらなければいけないとことや、やったほうがいいと分かっていることが、

嫌で嫌で仕方がないことがある。

 

電話一本かけるのに、午前中ずっと悶々としたこともある。

 

でも、かけてみたら、

 

「なんだ、さっさと掛ければ、良かった」

 

と、思うことが殆どだった。

 

私自身も、不必要に大したことない山が、高くみえて動くけない…というような症状が、

幼少期からあって、自分の人生において、非常にマイナスだったと思っていた。

 

嫌だと思うことは、本当に嫌なことと、やってみたらそうでもないことも多く、

そうでもないことに関しては、自覚的に敢えて先にやる、もしくは誰かに協力を頼む、

強制的にやるハメになるよう自分を追い込む…

 

などである程度克服できると、大人になってから分かって来た。

 

プン助の場合、12月になんとなく面倒で、学校へ行かなくなり、

 

休んでいたら、学校へ行く度にクラスで

 

「今日は来たんだ」

 

と、注目を浴びたりするのが、煩わしくなってますます行かなくなってしまったように思える。

 

学校からも心配され、担任の先生やカウンセラーの先生が迎えに来たりしてくれるようになり、

 

こちらはありがたかったが、本人的には嬉しいような、困るような…複雑な気持ちだったのではないだろうか?

 

学校でも配慮してくれて、教室へ行かなくてもいい、保健室にいてもいい、

 

職員室にいてもいい…と、特別に配慮して貰ったのだが、

 

ますますクラスから浮いた存在になっていまい、クラスには入るハードルが上がってしまった。

 

そして職員室で、傍若無人なふるまいが波紋を呼んだらしく、再び教室へ戻ることに。

 

今度は担任の先生が、授業に参加しなくていいし、寝てもいいからと、

 

教室の後ろにピクニックシートを敷いて、段ボールで囲いを作った段ボールルームを作ってくれた。

段ボールルームができてからは、学校へ行くようになったのだが、人目につくのが嫌だと、

 

皆と同じ時間には登校せず、ホームルーム終わりで、一時間目が始まる前の微妙な時間に登校するようになった。

 

2月半ばには、段ボールが劣化で壊れ、本人もほとぼりが冷めたのか、

普通に後ろの席で、時折授業に参加したり、しなかったり…というスタンスではあるけれど、

 

普通に通えるようになった。

そんな折に、コロナで休校。

 

次に登校する時は、クラスも担任の先生も変わってしまう。

折角馴染んできたのに、いきなり違う環境になったら、どうなってしまうのだろう?

 

4月は、教科書を取りに行くだけ、5月半ばから週に2、3回数時間の登校から始まり、

少しずつ増えて行き、今は午前クラス、午後クラスに別れて週に4回になった。

自粛でずっと家にいて、公園でも遊べなくなっていたので、久々の学校はとても楽しかったらしい。

前の先生や、クラスメートたちには、こんな状態のプン助を思いやってくれて、本当に感謝しているのだが、

プン助にとっては、それまでのことがリセットされて、

新しいクラスの方がやりやすいのかもしれない…とも思っていた。

 

ここで、また、なんとなく休む・・・を始めてしまうと、ヤバイ・・・。

 

「なんで行きたくないのか、説明して?いじめられたり、嫌な思いしてるの?」

 

「そんなことはない」

 

「なんで嫌なの?」

 

「なんか・・・」

 

「なんか、イヤだってことはあるけど、やってみると、そうでもないことが多いんだよ。

 

今日行ってみて、やっぱりイヤだったら、言って」

 

こちらが真剣に話しても、漫画を読み始めたり、遊び始めるプン助。

 

「人が一生懸命話しているのに、失礼でしょ!そういう失礼なことするんじゃない!」

 

と、漫画を取り上げ、こちらを向かせて、話し合う。

 

だが、気付くと、横を向いて、足をパタパタしたり、遊び始める。

 

その度に、

 

「姿勢とかはいいから、顔だけでもこっちむけて、話聞いて」

 

などと、説得をしていると、学校から電話が掛かって来た。

 

「すみません、今、行かないって言い始めて、説得中なのですが…」

 

「わかりました。できれば、来てください」

 

遅刻する度に、電話をかけて来なくてはならない先生も大変だ。

こちらも、説得中に電話をかけると、逃げられてしまうので、中々電話ができなかった。

 

プン助に、以前からの経緯を含めて話す。

 

去年から学校へ行かなくなった時、クラスメートから「ああ、学校休んでいる人」ってことで、

 

ちょっと浮いたり、行く度に「今日は来たんだ」みたいな扱いにならなかったか?

 

いい意見を言ったとしても、どこか茶化すような雰囲気になったり、変わり者扱いされたり、

 

それが嫌で行きたくなくなった面はないのか?

 

人目につくのが嫌だって、隠れるように学校へ行っていたのも、

 

そういう目で見られるのが嫌だったりするんじゃないの?

 

という旨を伝えると、

 

「そういう側面はあった」

 

と、ポツリと言うプン助。

 

「なんとなくイヤだって、行かなくなると、どんどん休みたくなって、

どんどんそういう扱いになったりするよ。いっつも休んでる人と、友達だって、

中々普通には付き合えないよ。ちょっと遅刻してもいいから、なるべく毎日行きなよ。

あと、たまには休んでもいいけど、それは、当日突然っていうのは、やめて。

ある程度、ちゃんと通って、前日とか、前の週とかに、この日は休みたいって、

言ったら考えるからさ。あと、今日、どうしても学校行きたくないって言うんだったら、

今日学校でやる国語、算数、理科、社会…学校でやるのと同等か、

それ以上、ちゃんと自分で教科書読んだり、問題解いたりしなね。

それができるんだったら、今日、休んでもいいよ!」

 

と、まくしたてるとプン助はしばらく考え込み、こう提案してきた。

 

「じゃあさ、あみだくじで決めるっていうのは?」

 

 

へ?あみだ?

 

私のまくしたてた演説に関しての返答は一切なしですか?

 

私が必死で語っていた間、あみだのことを考えていたのですか?

 

「…まあ、いいや。じゃあ、あみだにしよう。

 

でも、あみだで行かないことになったら、ちゃんと家で、

 

学校の授業と同じように教科書読んだり、問題解くんだよ!」

 

私のダメ押しは聞かずに、あみだくじを作り始めるプン助。

 

「学校に行かないをアタリにしたら、ダメだよね。

行く…をアタリ、行かないをハズレね。

僕があみだの線を書くから、アタリとハズレはママが書くんだよ。

でも、アタリばっかり沢山書いちゃだめだよ。

アタリとハズレは二つずつね」

 

プン助は、一生懸命あみだくじを書き始めたが、うまく書けないと、

何度も書きなおし、やたらと時間がかかっている。

 

もう、一時間目終わってしまうよ・・・と、焦る気持ちを抑え、

プン助のペースであみだくじに付き合う。

 

運動会でおなじみの「天国と地獄」を口ずさみながら、あみだの線をたどって行くと、

 

結果はハズレ。

 

ああ・・・学校休むのか…。家で、勉強させるの大変だな・・・と、私が意気消沈していると、

 

「もう一回やろうか・・・」

 

と、再び「天国と地獄」を口ずさみ、あみだくじにトライ。

 

二度目の結果は、アタリだった。

 

「じゃ、行って来るよ」

 

と、自らランドセルを背負うプン助。

 

なんだろう、これ。

 

結局、「あみだくじ」する前から、

 

行くと決めてたってこと?

 

親の説得を聞いて行く・・・という筋書きは、なんとなく屈辱的な気がして、

 

あみだくじで決めたなら、仕方がないって自分を納得させるためだったの?

 

拍子抜けしつつも、学校まで送りに行く。

 

遅刻をすると、学校まで連れて行かないといけないのだ。

校舎につくと、先生や生徒に出迎えられ、ニヤニヤ笑いながら、教室へ入って行った。

 

数時間後、帰宅し、

 

「行ってみたら、案外楽しかった!」

 

と、言ってオヤツのアイスを食べて、プン助は元気いっぱいに外へ遊びに出かけて行った。

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家族そろって「愛の不時着」

 

Huluを解約して、Netflixに加入した。

 

一番安いコースだったが、特に画質にこだわりが無い方なので、

 

全く問題なかった。

 

今日から、家族で話題の

 

「愛の不時着」

 

を見始めた。

 

実は一人で、密かに先の方まで観ていたのだが、

それを目撃した子供達が、面白い!と、最初から観たがったのだ。

 

今までどんな映画も字幕ものは嫌がり、

日本語吹き替えにしなければならなかったのだが、

これは大丈夫だと言う。

子供らも小学校3年と、5年。

私が初めて字幕で映画を観たのは、

 

「奇跡の人」

 

で、小学校4年の時だったことを思うと、

十分字幕で年齢を観られる年齢なのだろう。

 

だが、私やおばあちゃんが観ていた韓国時代劇には、

必ず戦のシーンなどがあったせいか、怖いというイメージがあったらしく、

 

「韓国のは怖い」

 

と、嫌がっていたので、密かにこっそり観る予定だった。

 

でも、折角気に入ってくれたのなら、

家族でイベントのように観られたら、その方が楽しい。

 

1話は一度観ているが、皆で見ていると、

自分以外の反応も混みで楽しめた。

 

私は、出産、子育てが始まった2009年以降、

仕事で勧められたドラマ以外、ほとんど観る時間がなくなっていて、

最近の韓流の俳優さんにはなじめないところがあった。

 

でも、ソン・イェジンと、ヒョンビンは、

 

「夏の香り」や、 「私の名前はキムサムスン」など、

私が観ていた時代にも馴染みがあった。

 

その人達がまだ主役を張っていて、評価されていることも嬉しかった。

 

序盤から、子供達もケタケタ笑っている。

 

セリが逃げているシーンで、勤務中にドラマを観ていたり、

手紙を読んでいて気付かなかったりする第五中隊の隊員達に、

 

「ダメじゃん」

 

「仕事のできない人だ…」

 

とヤジを飛ばしたり。

 

プン助は地雷について、

 

「それは機械なの?なんで踏んだら、

 

動けないの?踏んだ時に爆発はしないの?」

 

と、こだわったり。

 

一話最後のシーンで、リ・ジョンヒョクが、

セリをチョ・チョルガンに見つからないように、

門に引き入れて壁ドンのような体制になった時に、

 

ニンタマが

 

「イヤーン!」

 

と、言ったり。

 

一人で没頭して観るのもいいが、皆で観るのも楽しいものだ。

 

十数年前、家で親友達と「バリでの出来事」

 

のお気に入りシーンを、皆で観ては、盛り上がったことを思い出した。

 

スジョンが他のイヌクとキスしているシーンを目撃したジェミンが、

 

隠れて号泣するシーンなど、一人で観ていたら、

 

普通に切なくなるようなシーンを、皆で観ると

 

「ジェミン、やばい!首絞められた猫みたいな顔だよね~」

 

 

などと、モノマネしたり、ロマンチックなシーンでは全員で

 

「キャー!」

 

と、叫んだり。

 

そういえば、いつか子供と

 

「バリでの出来事」を観る、

 

もっと大人になったら、

 

「SATC」を観るのが夢だったなぁ・・・。

 

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お金のお勉強を日記に記す…

昨日宿題をやらなかったので、今日の午前中に宿題をやると言っていたプン助だったが、

 

いやだいやだと、ゴロゴロ転がってごねていた。

 

「日記」を書く宿題がとにかく嫌らしい。

 

こういう時は、私がプン助の日常を想像して、

見本の日記を書いて見せることにしている。

 

「このままま丸写しをしてもいいし、こんなんじゃないと思ったら、

 

それを書けばいい」

 

字を書くことに極度の嫌悪感があるらしく、

連絡帳などにも明日の持ち物などを一切書かないので、丸写しであろうと、

字を書くのに慣れるのが大事だと思って始めたことなのだが、

丸写しの時もあれば、全く違う内容を書くこともある。

 

全く違う内容を書いた時の方がやはり、面白い。

 

「じゃあ、昨日のカードの大人買いの事、書けば?

 

『八歳にして大人買い』とかさ」

 

と、言っても気乗りしない様子。

 

そんなプン助にはお構いなしで、書き始めたが、色々疑問が出て来た。

 

「ちょっと待って?どういう買い方したの?五千円札渡して、

これで買えるだけくださいとか、言ったの?」

 

「そのカードは何枚単位で売ってるの?」

 

などと質問すると、色々な事実が判明した。

 

最初は、6枚で190円のパックを1セット買ったが、もっと欲しくなって、

 

次に190円のパック3セット、5枚で151円のセット2セット、

次に190円パックを、2セット、もう一度190円パック4セットを買い、

ついには52枚セットまで買ってしまったらしい。

 

なんというランダムな買い方なのだろうか…。

 

「52枚セットっていくらなの?」

と聞くと

「わからないけど、900円くらいだった」

とのこと。

 

「あれ?五千円ぴったりだったの?おつりとかないの?」

 

「ぴったりじゃなかった。残ったお金でジュース2本買った。それは210円」

 

「じゃあさ、数式作ってみよう」

 

190円のパック×10セット=1900円

151円のパック×2セット=302円

?円のパック   1セット=?

ジュース2本         210

 

「五千円から、1900円と、302円と210円引いたら、

いくらかわかるでしょ?」

と、言うと

 

「本当は14円あったんだけど、それはポイしていいから

 

と、謎の事を言う。

 

「え?何?14円?ジュース買った後に14円あったの?」

 

「うん、でもそれはポイしていいから

 

「何?ポイってなくしたの?」

 

と、問い詰めると、なんとなくバツの悪い顔になり、

 

 

「5000円使っちゃったから、いっそのことゼロからのスタートしようと思って、置いて来た

 

え???

 

何を言っているのだろうか?

 

ゼロからスタート?

 

意味がわからない・・・

 

置いて来た?

 

「どこに置いて来たの?捨てたってこと?」

 

「うん。まぁ、捨てたっていうか・・・誰か使うかなぁと思って、自動販売機の前に置いて来た

 

ダメだよ!置いて来ちゃ!

14円足りなくて困ることすごくたくさんあるんだよ?!

ママ、何度もあるよ!スーパーとかで、足りないから、

じゃあこれ買うの辞めます…ってレジで戻したこと。

絶対ダメ!二度としないで!

ゼロからスタートするなら、ママとかパパに頂戴よ!」

 

「・・・ハイ」

 

これ、日記を書こうと事細かに聞かなかったら、全くわからないままだったのか・・・。

言わないだけで、こういうことを沢山やらかしているのかもしれない。

 

いや、確実にやっているのだろうな・・・。

 

いつまでも怒っていても仕方が無いので、ポイした14円も入れて、計算式を作り直す。

 

5000-{(190×10)+(151×2)+210+14}

 

この計。算をプン助に解いてもらっている間に、私はプン助に成り代わって日記を書き進めた。

 

(プン助が解き次第、金額なども入れて行った)

 

「8才にして大人買い」

学校から帰った後、一人でサミットの二階のコジマへ、

デュエルマスターズのカードを買いに行きました。

みんなはもっているのに、ぼくだけ一枚ももっていなかったので、

欲しかったのです。

コツコツ五千円ためていたので、最初6枚190円のセットを一組買いました。

それだけにしておけばよかったのですが、一時間位悩んでチョコチョコ5枚セット、

6枚セットを買い、とうとう52枚セットまで買ってしまいました。

カード153枚分で4776円使ってしまいました。

この5千円は絶対に使ってはダメとお父さんに言われていたので、

どうしようと悩みましたが、いっそのことゼロからスタートしようと、

ジュース2本買って、残った14円は自動販売機の前へ置いて帰りました。

帰ってその話をしたら、お父さんにもお母さんにもものすごく怒られました。

カード大事にしようと思います。」

 

数式を解き終えたプン助は、しぶしぶ私の日記を見本にして、書き始めた。

 

「大人買い」

学校から帰った後一人でサミットの上にあるコジマ電気に行って

デュエルマスターズのカードを買いました。

さいしょは1パック買う予ていでしたが、1時間くらいなやんで

2パック3パックとどんどんふえて153枚かってしまいました。

なぜ買いに行ったかと言うとみんなもってたので僕もほくて買いました。

それでのこりが224円になったのでいっそ0円からスタートしようと思ったので

2本ジュースを買あまりの14円はおいていきました。

その事を話たら父におこられました。

大切にします。(原文ママ)

 

 

原稿のマス目の問題もあり、私の書いた日記は長すぎると、

プン助なりに不必要なものを省いたり、伝え方を工夫して短くしたようだ。

私としては、小学生が五千円使ってしまったという事に対する言い訳として、

 

「コツコツ五千円ためていた」、

「ぼくだけ一枚ももっていない」、

「大事にしようと思います」

 

をポイントにして、大人や先生からそれは仕方がない…

 

と、思ってもらえるようにしたつもりであったが、

プン助はどうしても、五千円使ったと知られたらマズイ・・・

 

と、思ったらしく、コツコツ貯めたエピソードごと省いてしまった。

 

意外と人目を気にするタイプらしい。

 

8才が、色々悩んで五千円使ってしまったという話が

 

私的には、インパクトが強くて面白いと思ったので、

書けばいいのに…と勧めてみたが、

 

当事者の危機意識の方が正しいのかもしれない。

 

それにしても、お金を使ったことに関しては、

旦那さんよりも私の方が長時間説教していたはずなのに、

何故「父」のみにしたのだろう。

 

少しだけ、面白くない気持ちになった。

 

「だってさ、パパは怒ったけどさ、ママは普通に説明してたって感じだったじゃない」

 

プン助的にはそう感じていたらしいが、私的には十分怒っていたつもりなのだが・・・。

 

にしても、5枚セット、6枚セットをちょこちょこ買うより、

 

こんなことなら、52枚セットを三つかったほうが、よほど安くついたはずなのに。

 

「買い物が下手だなぁ」

 

と、旦那さんもゲラゲラ笑っていた。

 

どれだけ損だったのか、計算しようとして、プン助の解いた数式を見て見ると、どうにも数字がおかしい。

 

プン助の申告通りの値段と買ったパック数を計算すると、まだ2574円余っていることになる。

 

そして、カードの枚数も153枚にはならない。

 

122枚にしかならない。

 

見た感じ、カード数は明らかに122枚より多い。

 

「レシートはないの?」

 

と聞くと、

 

「あってもゴミだから、いりませんって言った」

 

と、のこと。

 

「ダメだよ!レシートは家まで持って帰らないと!

 

万が一、買ったものが間違えてたり、壊れたりした時、

 

レシートが無いと交換してもらえないんだよ!」

 

本当は、買った数や値段がわからないことが忌々しかったために、苛立ったのだが、

 

恐らくプン助には、無意識に証拠隠滅をしたい…

 

という気持ちがあったようにも感じられ、

 

今後レシートを貰うようにさせるには、

 

持って帰らないと損をするという認識を植え付けなければならないと思った。

 

帰宅後、日記帳を見せてもらうと、

 

「今日はちゃんと日記書いてくれたんだね。うれしいよ。お金の使い方の勉強したんだね」

 

というような先生の感想が書かれていた。

 

本当に勉強になっているといいなぁ・・・。

親の方が勉強させられたような気もする。

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私の雑な字の日記と、まだしもまともな字のプン助の日記。

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8才にして大人買い②

先日にプン助が5,000円使って、買ったという

デュエルマスターズのカードの枚数と、金額が合わないことが

気持ちが悪くて、きちんと検証してみようと思った。

 

プン助のカードの枚数を数えると、全部で156枚だった。

 

カードは、5枚パックを2セット、6枚パックを10セット、

52枚パックを1セット買ったと申告していたが、

それでは122枚にしかならない。

 

34枚も齟齬ある。

 

おそらく、ちょこちょこ買いすぎて、

何セット買ったのかが曖昧になっているのだろう。

 

52枚パックは、金額も大きいし1セットしか買っていない

というのは信憑性があるが、5枚パックと

6枚パックの買ったセット数が違うのでは?という推測を立てて、

計算してみることにした。

 

156枚―52枚=104枚

 

5枚パックをXセット、6枚パックをYセットと考え、

 

5X+6Y=104

 

という数式が成り立つ。

1の位が4。

 

 

5の倍数の1の位は5か0にしかならないので、

4という数字はは6枚パックの倍数の1の位でしかありえない。

 

そこから、算数の苦手な私が、なんとか導き出した数字が、

 

X=14 Y=4

 

であった。

 

6枚パックが190円、5枚パックが151円

というプン助の報告をもとに計算すると

 

190円×14+151円×4=3264円

 

となる。

 

元々使った金額は5,000円。

 

おつりで買った210円のジュース、それでも残ったけれど、捨てたという14円を差し引くと、4,776円

 

4,776円-3,264円=1,512円

 

52枚パックの値段は1,512円となるはずだ。

 

 

だがプン助は、52枚パックは924円とか964円とか、

そんな感じの金額だったという。

 

そうなると、500円以上、謎のお金がでて来てしまう。

 

これは、もしかすると、そもそも151円とか190円

などという金額がそもそもおかしいのかもしれない

 

金額を数式から編み出せないだろうか?

 

金額をX,Y,Zとして数式を作ってみた。

 

14X円+4Y円+Z円=4776円

 

だた、さっぱり解き方がわからない。

 

私よりはずっと理系の旦那さんに聞いてみたが、

これはもう少し手掛かりの数式が無いと、無理だとのこと。

 

これは、実店舗に行って、値段を確認するしかない。

 

買い物のついでに、店に立ち寄ってみる。

 

ふんふん、確かに190円、151円のカードはある。

 

だが、5枚入り162円、6枚入り268円、何枚入りかわからないけれど、

188円、そして、40枚入り、924円のカードなどもある。

 

あれ?52枚パックなんてないようなのだけど・・・。

 

帰宅後、プン助に

 

「40枚入りで924円はあったけど、52枚入りなんてなかったよ?!

40枚入りの間違いだったんじゃないの?他にも、

268円と、あ162円とか188円とかのもあったよ?」

 

と、問いただしたのだが、

 

「いや!52枚のパックはあったよ!それに、

俺は151円と190円のパックしか買ってないし」

 

と、きっぱり断言。

 

「税込みだと値段変わるんじゃない?」

 

と、急に旦那さんが割って入って来る。

 

「いやいや、そこはちゃんと確認したよ!

シールに税込みって書いてあったもん」

 

旦那さんとしては、良かれと思って意見を言ってくれていたのだが、

何故かカチンと来て、攻撃的に言い返してしまう私。

 

 

そうだ…そもそも、私が数えた156枚っていうのも、怪しいのかもしれない。

 

あの時点で、購入してから、2日程経過していた。

 

すでに、どこかで落としたりなくしたりしている可能性だってある。

 

もしかすると、お金だって、落としているのかもしれない・・・。

 

真相が気になって仕方がないが、これ以上、どのように探ればいいか道が見えなくなってしまった。

 

ああ、モヤモヤする。

 

青色申告で、数字が合わなくて苦労する時も、粘ればミスを見つけたりして、

なんとかなってきたのだが・・・。

 

私が、あれこれ計算していると、プン助が

 

「何の計算やってるの?」

 

と、身を乗り出してきた。

 

それで、数式を見せながら、どうしても500円以上の差額が

出てしまうことを説明した。

 

すると

 

「500円くらいの何か、買ったかもしれない」

 

 

と、言い始めたのだ。

 

え?

 

「なんか、カードだと思って買ったんだけど、

カードじゃなかったのが、500円ちょっとだったと思うんだよね」

 

 

「え?それはどこにあるの?」

 

黙り込むプン助。

 

「・・・捨てたの?」

 

小さく頷くプン助。

 

「え?どこに?お店に?」

 

また、小さく頷くプン助。

 

どうやらカードを入れるケースのようなものを間違って買ってしまい、

 

いらないので、捨てた・・・

 

というのだ。

 

バカな…。

 

 

「捨てちゃだめじゃん!いらないと思ったものでも、

レシートがあったら、お金返金してくれたりするんだよ!」

 

「え、そうなの?」

 

「そうだよ!」

 

 

「なんだよ、ママが教えてくれないから・・・」

 

「だから、今教えてるでしょ!」

 

14円をゼロからスタートしようと思って、捨てたと聞いたときも

 

たまげたが、500円以上したものを買って、

 

いらないと即座に捨てるなどとは、こちらも全く予想できなかった。

 

「もうしないで。500円あったら、色んなことできるんだよ!」

 

「そうだよな~、まだカード買えたかもしれないし」

 

まだ買う気なのか…!

 

「それに、前も言ったけど、5枚パック、6枚パックをちょぼちょぼ買うより、

 

52枚パックを買った方が、全然得だったんだからね

 

「1500円くらいのパックもあったんだよなぁ。あっちにしておけば…」

 

この期に及んで、まだそんなことを・・・。

 

無力だ…言葉が通じない…。

 

「これから、カード買っても、気に入らなかったらすぐに返品しよう」

 

「え?!」

 

商品を観に行って分かったのだが、万引き防止の意味もあるのか、

 

売り場には現品が置いていない。

 

商品の名前の書いてあるカードをレジカウンターへ持って行き、

そこで商品を出してもらうのだ。

現品を見て、カードが気に入らないから、返品というのは通用しないのだ。

 

「それは、無理だって!」

 

「なんで?レシートあったら、返品してくれるんでしょ?」

 

「いやいや、カードを見て、気に入らなかったから

返品っていうのはダメなんだよ。

4セット買うつもりが、間違えて5セット買ってしまったとかだったら、

1セット返品するのは可能かもしれないけど、それはダメなの!」

 

と、説明するも、全く腑に落ちていない様子。  

 

まあ、いいや。

 

私が口で説明するより、現場で返品に行って、

 

断られた方が、身に染みた経験になるだろう・・・。

 

「店員さんにもいろいろ悩んで迷惑かけたから、

ママ、一緒に謝りにいってくれる?」

 

何か謝るようなことをしたのかと、困惑しつつも

 

「いいよ」

 

と、答えると、

 

「ていうか逆に、なんでママが

 

謝りに行くんだって話だよね、あははは」

 

と、笑っていた。

色々なことをわかっていないようで、わかっている面もあるのだった。

 

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8才にして大人買い?

 

夕方、外に遊びに行っていたニンタマとプン助が、

「楽しかった~!」

 

と、息を弾ませて帰って来た。

同じノリで、

 

「お金もいっぱい使っちゃった~」

 

と、言うプン助の声が聞こえ、ギョッとした。

 

家では、お手伝いや宿題や勉強をポイント制にしていて、ポイントが溜まると旦那さんが、ポイント分のお金をあげることになっていた。

プン助は、ポイントをコツコツ貯めて、先日旦那さんから五千円札を貰っていたのだ。

 

旦那さんとしては、千円札や小銭で渡すと、すぐに使ってしまうと思い、

 

「使うなよ、ちゃんと貯めておけよ」

 

という意味と、お金を眺めるのが大好きなプン助へ、観賞用として、渡したのだろう。

 

まさか…その五千円に手を出したのだろうか…。

 

え?お金って?あの五千円?」

「そう」

「いくら使ったの?」

「全部」

「え?!え?!何に?!!!!」

 

 

仰天している私に、ぐしゃぐしゃのレジ袋を見せるプン助。

中には、何やらトランプのような大量のカードが無造作に入っていた。

 

時々見ていたアニメの「デュエルマスターズ」のカードらしい。

 

「え?こ、これが五千円もするの?!」

 

こんなもんが五千円?!どう遊ぶのかもわからない私にとっては、紙くずのようにしか見えない。

 

この紙くずみしか見えないものが五千円?!ということにも衝撃を受けたが、一気にそんなに大量に買って来たことにも、言い知れない不安を感じた。

 

「ちょっと待って!これは買いすぎ!ダメだよ!そんな使い方しちゃ。五千円稼ぐのって大変なんだよ?一時間働いても、千円にならない仕事沢山あるんだよ?!」

 

と、ニンタマが

「知ってる。生協で時給千円って募集してた」

 

と、口をはさむ。

 

「うん、時給千円の仕事もあるけど、もっと少ない仕事もいっぱいあるし、貰う時は色々差し引かれたりして、15万円分働いたとしても、手元には13万円分くらいしか、入らないんだから!お金は大事に使わないと!それに、小学生が一度に五千円も使ったら、お店の人も怪しいなって思うよ!

 

どんどん横道にそれた説教をまくしたてていると、プン助の表情がどんどん暗くなっていった。

いかん…やみくもに怒ると、今度は使っても言わないようになってしまう。興奮を押さえなければ…。

 

「このカード、凄く欲しかったの?」

「凄くってワケじゃないけど、みんな持ってて、俺だけもってなかったから…それにみんなだって自分で買った訳じゃなかったりでさ、だから・・・俺は自分の金で買ってみようかな・・・って」

 

うーん、何言っているのかさっぱりわからんぞ。

 

「欲しくはあったんでしょ?」

 

「そうとも言える」

 

そうとも?会話がかみ合わない…。

 

「まぁ・・・欲しいと思ったのはわかったよ。でも、これ、一カ月後、二か月後にも買ってよかったって思えるかな?これでずっと毎日楽しく遊べていたりするなら、生きたお金の使い方になるけど、数日で散らかし放題にして、いつの間にか紙ごみとかになってたら、本当に無駄な使い方だよ?ずっと大事にこれで遊ぶと思う?」

 

と、尋ねると首を傾げ

 

「やっぱり、買いすぎかな?とは思ったんだよね」

 

またもや、聞かれたこととは違う事を答えるプン助。

 

「うん、買いすぎだね。最初、10枚くらい買って、やっぱりもう少し欲しいってなったら、別な日に買うとかさ・・・そうだ。300円くらいだったら、自分の采配で買ってもいいけれど、それより高いけど欲しいと思ったら、パパにでもママにでも電話して、買っていいか聞いてよ」

「わかった」

「あ、あとさ、これ、プン助がすぐ人に暴力をふるうのと、同じだと思うんだよね。叩きたくなったりするのを、ちょっとの間、本当に叩くほどのことなのか、立ち止まって考える練習しようって言ってたでしょ?買いたい気持ちがワーってなったら、一回、ちょっと落ち着いて、考えてそれでも欲しかったら買うことを考える・・・これも同じだからさ、そういう練習しよう?!」

 

と、言うと、プン助はハッとしたような顔をして

「そうか!それができたら~、いっせき~」

 

と、言って私を指さした。

 

「にちょう?」

戸惑いつつ、私が答えると、

 

「そう、一石二鳥~」

 

と、うまいこと言った感満載の笑顔を見せるプン助。

 

その後、テーブルの上にカードを広げて、一人で何やら対戦のような事を始めたり、カードの分類をしたり。

 

 

夕食が乗せられないから、どけてくれと言っても、全く聞こえていない様子。

旦那さんが、ルールを教えてくれたら一緒に遊んでやると言ったらしいが、教えるのが面倒くさいと、一人で二役やりながら、何時間も遊んでいた。

 

見ている方は全く何が行われているかわからないが、修行僧のような真剣な表情でなにやらブツブツつぶやいたり、考え込んだり、集中している様子。

 

このハマりぶりはいつまで続くのだろうか・・・。

 

数か月前、狂ったようにベイブレードを欲しがっていたが、今は全くやっていない。

その事をプン助に言うと

 

「だって、どこにあるのかわからないんだもん」

と、言う。

 

一応、プン助用の棚があって、そこに置いてあるのだが、何度言ってもそれを忘れてしまう。

 

「あそこの棚にあるっていつも言ってるでしょ?」

というと、

「あそこにあるのか~、知らなかった。でもさぁ、最近ベイブレードやってる人少ないんだよね」

 

と、棚を見にも行かなかった。

 

「あ~、しかし、やっぱり買いすぎだよな~、もうゲームはサンタにお願いするしかないな。ママたちには悪くて頼めないもんな~」

 

ああ、もう聞こえない振りをしよう・・・。

 

ママたちには悪くて頼めないお願いをサンタにはいいと思っているのか。そして、お願いするくせにサンタと呼び捨てなのか…。

 

クリスマスの時期が近付いたら、なんとか誘導尋問的に違うものをお願いするように仕向けてみよう。

 

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