鎖骨骨折 手術当日
朝6時以降は飲み物も禁止。
点滴が始まる。
間違えで朝食が運ばれて来た。
え?食べていいの?
と、 食べたくなったが、喜んでウホウホ食べて手術中止になっても困る。
確認して貰うとやはり、食べてはダメとの事。
点滴をされているからか、さほど喉は乾かない。
シナリオ年鑑を作る委員をやることになった為、シナリオ作家協会から送られた脚本を二つ読んでおく。
手術後は、痛みなどで辛すぎて読めないかもしれないと思ったのだ。
早く手術済ませたいような怖いような。
考えれば考えるほど怖い。
金属のプレートを鎖骨にくっつけてビスで固定することのだ。
劇場の仕込みなどで、たる木にビスを打つ光景はよく目撃している。
あんな凄い音をたてて、打ち込むビスを、鎖骨に打ち込むなんて…
想像するだけで、怖い。
全身麻酔も怖い。二度と目覚めない確率もゼロでは無いのだ。
深く考えないようにしてるうちに旦那さんが来て軽くて雑談。
間も無く呼び出され手術室へ入る。
台の上に乗り、軽く固定され、息を吸うように言われる。
二回目の深呼吸の後に、全く意識がなくなる。
目が覚めると、もう自分の入院している部屋に戻っていた。
看護師さんや、旦那さんに話しかけられるが、全く動けないし、口も回らない。
数年前に全身麻酔の手術を受けた時は、痛みはつらかったが、もっと体は自由に動いた。
痛みが抑えられている分だけ、体が動かないのだろうか・・・。
最も苦手なタイプの不快な感覚。
旦那さんがいるから話したいが、話すのもままならない。
動けないのに、眠れもせず、辛い時間が続く。
やっと意識が遠のいてよかった…これで数時間やりすごせる・・・と思うとすぐに、血圧だの体温を測ると、 起こされてしまう。
発狂しそうなしんどい時間をなんとかやり過ごし、明け方には、少し動けるようになって来た。
動けるようになると、しばらくしたらペットボトルの水なども飲めるようになってきた。
点滴が外れ、尿道の管も抜かれると、やっと一安心。
これ、骨がくっついて一年後くらいに、プレート外す時もやるのだろうか…。
ずっと体の中に金属があるのも嫌だが、もう一度全身麻酔をかけられて、同じような思いをするのかと思うと、早くも気が重い。
--
新井友香
| 固定リンク