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スキー旅行一日目

一月二日から五泊六日で苗場にスキーに行くことにしていた。

若い頃はそうでもなかったが、年を取ってから遠からぬ日にスキーが出来なくなるという不安から、ここ数年スキー熱が高まって来た。

子供達に対しても、普段は宿題や勉強に関しては放置しているのに、スキーに関してはアンバランスなほど教育ママになっている。

その甲斐あってか、子供はすくすくスキー好きな子供に育っている。

父が所有していた苗場のリゾートマンションはもうないので、ここ数年はどこで滑るか悩んでいた。

とりあえず、安いペンションや民宿で、電車で行けて、スキー場まで歩いていける宿を予約しよう…と、宝船の稽古が始まる前に宿を探すが、これが意外とない!

旦那さんは公演後もすぐ公演の稽古に入るので、私と子供らの3人。

仕事も何もかも忘れて滑りまくりたい…と思っていたが、子連れで5泊となると、どこも空きがなかった。

やっと見つけた所をとりあえず予約。

すると、公演中に助っ人に来てくれた母が、

「あんた一人であの子達をみるのは大変でしょ」

と、二日から五日まではつきそってくれることになった。

バスに乗り、中央線で東京駅に向かう時点でプン助が大騒ぎして、へとへと。

自分がいらないと言っていたのだが、いざ越後湯沢駅に降りて雪をみると、

「手袋!手袋!」

と、お姉ちゃんのニンタマの手袋を奪い取ろうとして、ニンタマが嫌がると、なぐりかかり大ゲンカ。

やめなさい」

と百回くらい怒鳴りながら、宿へつく。

宿では優しそうなおじいさんとおばあさんが歓待してくれた。

3時にならないとチェックインできないので、サロンのようなところに母を残し、私と子供らはスキーの支度。だが、プン助はかくれんぼを始めたり全く支度をしない。

今日はもう疲れたから、スキーに行かないで休もう…と、言い始める。

「じゃあ、ママとお姉ちゃんだけで行ってくる」

と、言うと、

「オラも行く!」

と言いつつ、サロンのソファの上を飛び跳ねたり、テーブルの下に隠れたり…。

苗場スキー場が目の前だと思い込んでいたホテルは、意外と遠く送迎バスに載せて貰い南ゲートまで。

そこから、スキー場まで、5分ほど板をかついで行くのだが、子供にとっては結構な苦行なようで、合宿などで慣れているニンタマは板とストックをかついでついてくるが、プン助は

「ママ、持って~」

と、座り込んでしまう。

「自分の物は自分で持ちな」

などと正論を言うと、そこで30分ほど時間を食ってしまうので、仕方なく板を持ってやり、プン助にはストック係になって貰った。

だが、ストックを振り回しているので、危険極まりない。

ハラハラしながらもやっとスキー場に辿りつき、念願の初リフトに乗る。

ああ、やっと滑れる…と、わくわくしていると、

「ママ、お腹減った~」

と、子供ら。

昼には旦那さんが握ってくれたおにぎりを食べたはずなのに、もうお腹が減ったのか…。

私は全くお腹が減っていなかったが、子供を空腹にしておくわけにもいかない。

無料休憩所へ行き何か食べることにした。

無料休憩所はその時乗ったリフトからかなり遠い位置にある。

降り場からまっすぐ滑るのではなく、広い苗場スキー場を横切るように下って行かないと到着しない。

私とニンタマにとってはそれほど大変ではないのだが、プン助にとっては下らずに横に進むのが、かなり難しいようだった。

しかも雪が降り積もっているので、整地されてない場所を通ると新雪に埋もれてしまう。

普通に行けば5分で行けるコースを30分くらいかかりながら、休憩所へ。

無料休憩所とは書いてあるが、軽食も売っている。

その時点で3時過ぎだったので、夕ご飯のことも考え、タコ焼きとかポテトフライを皆で分ければいいかと思っていたが、

「ハヤシライス!」

と、プン助。

「そんなもん食べたら、夕ご飯入らなくなるよ」

「入る!」

「じゃあ、ホットドッグにしたら」

「ハヤシライス」

「ニンタマは?」

「私はなんでもいい」

「ハヤシライス!」

「タコ焼きにしなさいよ?タコ焼き大好きじゃない!」

「ハヤシライス!」

揉めに揉めていると、店員さんが

「今限定商品のアップルパイがありますよ」

と提案してくれた。途端に

「プン君、アップルパイとホットドッグ」

「ニンタマはアップルパイだけでいい」

と、あっさり決まった。

ホットドッグにつけるケチャップやカラシは自分でつけるシステム。

「ママ、ケチャップとカラシ同じくらいね」

と、セレブのような口ぶりで私に言いつけ、ペロリと平らげた。

「あと、フレンチトーストも食べたい」

まだ、食べたいらしい。

「帰ったら、おばあちゃんと晩御飯食べに行くんだから、もうやめときなさい」

「大丈夫!入るから」

「アップルパイもホットドッグも、フレンチトーストも小麦とか砂糖とか油ばっかりだよ!全然栄養ないもんばっかりでお腹膨らませたら、キレる子供になるんだよ!」

全く響かないであろう、演説で言い聞かせるが、案の定聞く耳は持ってもらえない。

子供に小麦製品ばかり食べさせるためにここまで来たワケでなないのに…。

疲れ果ててしまい、

「じゃあ皆で分けて食べるんだよ」

と、結局フレンチトーストを頼んでしまう。

フレンチトーストを見て、ニンタマも

「ニンタマちゃんもちょっと食べたい!」

と、食べようとすると

「これプン君のだよ!」

と、切れ端のようなモノしか分けてあげないプン助。

「ニンタマちゃんだってもうちょっと食べたいんだよ」

と、私に泣きながら訴えて来るニンタマ。

だが、その不平等の為に戦う元気はなかった。

「ああ…もうさ、送迎バスが来るまで時間なくなってきちゃったよ。今日は、もう滑らないってことかな?」

諦め気分になってそういうと、急に焦り出す子供ら。

「ヤダ!滑る!」

「じゃあ、お迎えバスの来るとこに近い方へもどりながらすべろう」

またもや、リフトで登ってはスキー場を逆の方向へ横切って進まなければならない。

すでに薄暗くなり、雪は一層激しく降っている。

ちょっと進むごとに雪に埋まって転ぶプン助。

転んでいるプン助を待つのに疲れ果てるニンタマ。

こんなに転んで埋もれては、もう滑りたくなくなるのでは?と、心配になるほど。

これから、このコースは二度と来ないようにしようと、決意していると

「プン君、明日もここ滑りたい。沢山ころぶと、転び方の練習にもなると思うんだよね…」

と、思いがけない前向き発言。

雪に埋もれる度に重なった板をなんとかしてやったり、起きられる態勢にしてやったり、脱げた板を拾いに行ったりするので、こちらは汗だくで、息切れしまくり。

なんとか、南ゲートに近いリフト乗り場までたどり着き、1本だけ安心して落ち着いて滑ることが出来た。

ジュニア一級の検定試験に合格したニンタマの滑りを初めてきちんと見る。

確かにうまくはなっていたが、ターンの後半にはまだまだ雑さがある感じ。

勝手な認識だが、このレベルまでは誰でも行けるという上手さ。

おそらくそこを超えるのが、大変なのだろう。

私自身も、その壁の前でずっと止まったままなので、そこを超えたいと思い続けて10年くらい経ってしまった。

ニンタマは小学生なので、私よりも軽々とその壁を超えるのだろう。

関心していると、プン助が

「オラのパラレルも見て~」

と、大股開きでの滑りを見せて来た。

新雪に埋もれなければプン助は、割と自在に曲がるし、どこでも降りて来られるのだが、説明できない下手オーラが出ている。

理由は分からないのだが、実力以上に下手に見える。

絶叫しながら滑るからだろうか…。

なんとか一日目を終え、送迎バスで宿まで戻る。

すると、プン助が東京から履いてきたスノーブーツが見つからない。

スキーブーツに履き替えた乾燥室をくまなく探すがない。

誰か間違えて履いて行ってしまったのだろうか…。

受付で先ほど歓待してくれたおばあさんに

「子供のブーツが無いのですが、どこかにおちてませんでした?」

と、たずねる。

だが、

「おちてないですね~」

の一言で相手にしてくれない。

勿論、こちらが悪いのだが、普通は「どの辺でしょうか?こちらでも気を付けてみてみます」くらいはあるかと思い、途方に暮れる。

そういえば、プン助はずっとかくれんぼをしていた。隠れていたと思われる、トイレやサロンを探し回ると、ソファの下の、割と目立つ場所にスノーブーツが落ちていた。

靴はそれ一足しか持ってきていなかったので、ホッとした。

夕食はつけなかったので、雪の中、母と共に外食できる場所を探す。

一番近い場所に前にも行ったことがあるユーミン御用達らしいちゃんこ屋があった。

ちゃんこ鍋を食べたい気分ではなかったが、蕎麦やうどんがおいしかったことを思いだし、そこに入った。

すると私や母が注文するまえに

「カニください~」

と、勝手に注文するプン助。

ギョッとして

「カニなんか食べないよ!」

言うと

「え~、じゃあ飲み物はコーラ!」

と、めげないプン助。

「子供が勝手に注文するなんて、考えられない」

「コーラなんかダメ!水にしなさい」

私と母に言われても、

「カニ食べたいのに~、プン君、カニ食べたことないんだよ~」

と、哀れっぽく主張。

ここでうっかりカニなど頼んでしまったら、今後外食の度に同じことをやられてしまう。そんなことされたら、ウチは破産だ。破産以前に、人格形成にもよろしくない。

ここはビシッと阻止せねば。

ここで大人がビールなど飲もうものなら、プン助になにを言われるかわかったものではない。

大体ただでさえ、スキーをするだけでウチにとっては分不相応の贅沢なのだ。他は引き締めていかねば。

蕎麦や饂飩の他、焼き鳥を頼んでドリンクは一切頼まず、セルフサービスのお茶と水で済ます。母がごちそうしてくれたが、それでも4人で7千円は超えた。

スキー場ではちょっとの外食がとても高くつく。

その後、昔コンビニだったが新装開店し焼き鳥などがイートインできるなんでも屋のような所で、パンやビールやお菓子、ヨーグルトを買って宿へ。

大浴場ではプン助が泳いだり歌ったり、叫んだりしていた。

「他の人もいるんだから、暴れない」

 

「シャワーで遊ばない」

 

「踊らない!」

と、注意ばかりしているものの、何一つ聞いてもらえないダメ親ぶりに我ながら、ぐったり。

子供が寝静まった後、母とエビスビールで乾杯しようと思ったが、子供は興奮して全然寝ない。

「早く寝なさいね」

と、言って二人でビールを飲みだすと、案の定プン助に

「大人ばっかり贅沢をしてずるい!オラもコーラを飲みたかった!」

と、文句をつけられた。

頼む、早く寝てくれ…。

写真は旦那さんが新幹線で食べるようにつくってくれた卵焼き。

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