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ウェンディとプリキュアとしずかちゃん、そして会社

 

保育園へ行く途中に、大きなカード会社がある。
そこには、毎朝大勢の女性(年齢層も20代から50代くらいまで)が出勤している。

私は幼少時から、自分でお金を稼げるようにならないといけないという意識が希薄だった。
それは、当時女性の多くは専業主婦であったからかもしれない。
幼稚園の頃、学校というものが小学校、中学校、高校、大学まであって、大学までいかないとのんびりできないのか…と、思っていた。
後に「高校や大学は行かなくてもいいらしい」と、いう情報をゲットし、
「じゃあアタシはいかない!」
と、言っていた。
働くという選択肢は考えたことも無かった。

中学まで通ったら、のんびり好きな事をしながら暮らせると思っていた。
だが、段々高校、大学に行かないなら働くというのが、一般的で、学校へ行かないからといってのんびりできる訳では無いことがわかって来た。

漠然と、通訳になりたいとか演劇をやりたい、キャリアウーマンになりたい、婦人警官になりたい、文章を書きたいとう夢はあったが、それは夢であってお金を稼がなければならないということと、全く結びついていなかった。

学生になっていくつかはアルバイトをしたが、私はとても無能で、何度もクビになったり、無能ぶりを驚かれたりして来た。

今心残りなのは、どうして、もっと自分で稼いで生きて行くという気概が無かったのだろうということだ。

掃除も選択も料理もできず、事務処理能力も勤労意欲も皆無なまま成人してしまった。

これは社会人として生きるにおいて、致命的なことだ。
実際とても生き辛かった。

そんな状態で我が子をを世に送り出すことだけは避けたい。

自分のことは自分でやれるようにして、自分の食い扶持は稼いで生きなければならないという感覚だけは、身につけさせなければと、思っていた。

それで、毎朝、会社へ通う人達を見ながら
「皆ああやって、働きに行くんだよ」
とか、
「ニンタマちゃんも、大きくなったらあそこで働く?」
などと、働くのが当たり前に思ってもらうために語りかけていた。
「いいけど、ママと一緒に働きたい」
と、ニンタマ。
ニンタマが働く年齢の時に、私がその会社で雇ってもらえるとは思えないが、
「そうだね、じゃああそこで一緒に毎日働こう」
と、口約束していた。

だが、最近
「ニンタマちゃん、ウェンディになりたい。ウェンディのお仕事したい」
と、言うようになった。
ピーターパンの影響らしい。
ウェンデイのお仕事って…。
そんなもんねぇよ…。
「ん〜、ウェンディのお仕事は難しいかもしれないね、でもああいう風に舞台とかで歌ったり踊ったりするお仕事のことかな?」
自分達のことは棚に上げ、演劇みたいなことをやりたいと言われたら困るなぁと思いつつ、聞いてみた。
「違うよ!ウェンディのお仕事!」
面倒くさくなったので、
「そっか〜、やれるといいねぇ」
と、適当に答えておいた。
そして、次第に
「ニンタマちゃんプリキュアのお仕事をしたい」
「しずかちゃんのお仕事したい」
とやりたい仕事が増え始めた。

「あれ?ウェンディのお仕事は?」
「だから、ウェンディのお仕事したあと、プリキュアになって、その後しずかちゃん!」
「へぇ〜、色々忙しいねぇ」
4歳の言う事だ。まあ、こんなものだろう。
勤労意欲を期待するのも気が早すぎる。
「だからぁ〜、ママと会社で働くのは、その後でいいかな?」
会社のことはすっかり忘れていると思っていたら、覚えていたらしい。
「そうだね、ウェンディと、プリキュアとしずかちゃんのお仕事の後、ママと一緒に会社で働くか」
「楽しみだね〜!」
4歳時の描く未来はとても楽しそうではあった。

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