« ニンタマ金持ちになりたい | トップページ | »

遠い道のり、ケチなお父さん

保育園へお迎え子供らを迎えに行く。
ニンタマとプン助は補食を食べていた。二人が
「ママ~!」
と、飛びついてくれるのはとても嬉しい。だが、口の周りに牛乳で白い髭が出来ていて、いつもそれを私の服になすり付けようとするのが、ちょっと嫌だ。
プン助の教室へ荷物を取りに行こう!と、廊下へ出ると、二人は廊下の端から端まで走り出す。
長い廊下なので、走りたくなるのはわかる。こちらも、走らせてあげたいが、多分注意をしないと
「あのお母さん、全然注意しないわ」
と、思われてしまう。安全対策というよりは、私の下らない見栄で
「廊下走っちゃだめよ~」
と、声をかける。
当然のように無視される。

そして、プン助の教室へ。
汚れた服やら、使用済みオムツなどをリュックへしまい、明日必要な衣服やオムツ、タオルなどのセッティングを済ます。
さあ、今度はニンタマの教室へ!…と思うが、スムーズにはいかない。
レゴが大好きなプン助が、教室のレゴで遊び始めている。
「ニンタマの教室にもレゴあるから、そっち行こう!」
と、声をかけるが
「あなの~(やなの)~!あなの~!」
と、拒否。
抱きかかえようとしても、信じられない素早さでゴロゴロ転がったり、全力で抵抗される。
プン助の教室のレゴセットにはワニがいるのだが、ニンタマの教室にはワニはいない。
「ワニはいないけど、トラがいるよ!」
と、プン助を説得してくれるニンタマ。
「わあ~~~い!トラだって~~~!行こう、行こう!」
と、客席が300くらいある劇場でやる芝居のように大袈裟に、言ってみる。
だが、43歳の大芝居も無視される。
丸太を運ぶように、プン助を横にかつぎ、
「あなの~~~~!」
と、絶叫される。
ニンタマの教室へ行くと、諦めたらしくそちらのレゴで遊び出す。
先ほどは微塵も関心を示さなかったトラの背中に必死にレゴを積み重ねている。
ニンタマの着替えやタオルを回収&セッティングして、
「じゃあ、お家帰ろう!」
と、声をかけると、またもや無視される。
「ママお腹へっちゃったなぁ~~~!お家帰ってご飯食べよう~!」
黙々とレゴで遊ぶ二人。
「ねえ、ウチにもレゴあるじゃん!ウチで遊ぼうよ~~~!」
知らん顔の二人に痺れをきらせ、無理矢理上着を着せるが、床に転がり叫ばれながら、抵抗される。
いつになったら、家へ帰れるのだろう。

なんとか靴を履かせるも、プン助は駐輪場と真逆の方向へ脱走。
丸太を運ぶポーズで、プン助を自転車まで連れて行くと、今度はニンタマが無理矢理、自転車に乗ろうとしてペダルを漕ぎ始める。
お腹が減り、早く家で食事の準備をしたいのに、いつまでも帰れない。
「10回漕いだら、おしまいね」
こういうと、大体30回位漕ぐことになるのだが、一応止めてくれる。
やっと、二人を自転車に乗せ、漕ぎ始める。
ニンタマが歌を歌い始めたので、合わせて歌う。プン助も聞いた覚えも無いと思うのだが、歌い始める。3人で歌って楽しいなぁと思っていると、
「歌わないで!」
と、ニンタマ。
一人で気分良く歌いたいらしい。
マンションの駐輪場へついて、二人を降ろす。今度はプン助が背丈からして不可能なのに、自転車によじ上ってペダルを漕ごうとする。
ニンタマは他所の自転車のペダルをいじったり。荷物を持って、マンション入り口で
「早くおいで」
と、声をかけるが、プン助は
「あっち、あっち」
と、違う入り口を指差す。
遠回りになるのだが、そちらにはちょっとしたスロープがある。そのスロープが気に入っているらしい。
違う入り口から入り、エレベーターへ。
やっと自分の部屋の入り口へ。
所が、プン助もニンタマも階段で上の階へ登り始める。
あきらめ気分で上の階まで付き合う。上の階の廊下から外の眺めを見てはしゃぐ二人。
お迎えに行ってからもう一時間以上経っている。
ひとしきり遊んだ二人を連れ戻す。
人さらいかのように、抵抗されながらも、玄関に押し込む。靴を脱がせようとするも、拒否される。
しばらく放置。

ニンタマに手を洗うように言って、食事の支度。
何度か玄関で泣いているプン助に靴を脱いで中に入ろうと促すが、抵抗される。
無理矢理、手を洗わせてから、リビングへ転がしておいた。
すると、あれほど家に入るのを拒否していたのに、すぐにレゴを出して遊び始めた。
レゴで遊んでくれるのは助かるのだが、まだ不器用で、うまく嵌められないと発狂したみたいに叫び、レゴ同士を打ち付け、
「えきあい~~!えきあい~!(できない)あ~~~~~!」
と、泣き叫ぶ。
そんな合間に食事を作り、なんとかご飯並べたら、20時を回ってしまった。
食事中、
「プン助君がね、ママの事ケチだって」
と、ニンタマ。
「ママ、ケチじゃないよね?ケチだなんて言われたら、悲しいよね」
「う~ん、別にいいよ、ケチって思われても」
「ケチなのは、お父さんだよね」
唐突に旦那さんの話題が出て来た。
「え?なんで?お父さんケチじゃないよ?」
「ケチだよ。だって、髭ばっかり剃ってさぁ~」
ん?髭を剃るとケチ?
どういうことだ?
「髭ばっかり剃るとケチなの?」
「自分ばっかり髭そってさぁ、ニンタマちゃんに剃らせてくれないんだよ~!」
さも不当なことかのように訴える。
「ニンタマちゃん、お父さんの髭そりたいの?」
「ニンタマちゃんだって、剃りたいんだよ~!」
「いやぁ~、それは無理じゃない?」
「なんで?」
「まだ、ニンタマちゃんは上手に手を動かせないから、顔とか切られちゃうって思うんじゃない?顔が血だらけになっちゃうって」
「なんで?」
「間違えて、顔切られちゃうかもって」
「なんで?」
「間違えて顔を切っちゃうかもしれないでしょ?」
「なんで?」
「なんで?」
「なんで?」
なんで攻撃に耐えきれなくなり
「もうちょっと大きくなったら剃らせてくれるかもよ?お父さんにお願いしたら?」
と、言っておいた。

その後、風呂を湧かし、洗濯物を干し、子供らを風呂に入れ、寝かしつけ、洗いものを始めた途端に、目を覚ましたプン助に泣かれ、再び寝かしつけ…とやっていたら、旦那さん帰宅。
テレビを観てご飯を食べたそうな旦那さんにガンガン話しかけ、テレビを消させ、私もビール。
ここまでの道のりが、長かった。

|

« ニンタマ金持ちになりたい | トップページ | »