ハードコアな休日
昨日、朝ご飯を作るのも面倒だということで、自転車で10分ほどのス―パーのパン屋へ。ここはイートインスペースもあり、ソフトクリームも食べられる。
子連れにはただの買い物より、イベント感が出せて助かるのだ。
旦那さんも午前中は稽古が休み。
家族団らん気取りでパンをばくばく食べていると、60代くらいの男性が店内を見回していた。
なんとなくヤバい予感。
案の定、他に沢山席が開いているのに、私達の隣へ座ってきた。
「産まれたばかり?」
プン助を見て唐突に話しかけて来た。
「はい」
旦那さんが答えると
「何ヶ月?」
と、どんどん話しかけて来た。
「二人とも男の子だ。可愛いね」
「パン、おいしい?」
などとニンタマにも話しかけてくる。
ニンタマは明らかに不審な顔をして、答えない。
普段なら
「あらあら、テレちゃって。こんにちはは?」
などと私も適当なお愛想を言うのだが、明らかにテレている訳ではない顔。
男の子と間違えられたことを怒っている訳でもない。
男性は自分の住んでいる場所を言い、私達にも「近くなの?」と、執拗に聞いて来る。
適当にお茶を濁す旦那さん。
「僕はね、関西出身なんだよ。大阪のね。朝鮮部落出身なんだ。辛い漬け物をよくつけるんだけど、ウマいよ~」
普通は話好きな人でもちょっと話したら、あとは放っておいてくれるのだが、この男性は話しかけ続けて来る。
だが、さすがにこちらがあまり乗り気じゃないのは分かったようだ。暫くべらべら話していたが、いきなりいなくなった。
「一人で比較的暇な時に飲み屋とかでだったら、ああいう人と話すのも面白いけどさ~、日曜の朝だかららなぁ。普通だったらたまの休みで家族団らんの時間帯じゃん。察してくれよって思ったよ」
と、旦那さん。
男性はパンもドリンクも注文していなかった。
ただ、話相手を物色していたのだろう。赤ん坊も見たかったのかもしれない。
年をとった時に孤独だと、こんな風に見知らぬ人を物色して話しかけなければならなくなる程、寂しかったり退屈するのかもしれない。
自分はそんな風にならないよう、いつでも話相手に困らないようにしたいものだとぼんやり思った。
しばらくすると、ニンタマがイートインコーナーのテーブルの下にもぐり
「ニンタマちゃんどこだ~」
とやり始めた。
ウンチがしたい時、いつも家のテーブルの下に隠れるのだが、さすがにここでは止めて欲しい。
「ウンチしたいなら、トイレに行きなさい」
と、旦那さんがトイレに連れて行った。
ウンチをしたいニンタマとは逆に、パンやソフトクリームを食べている我々を見ていたプン助は空腹モード。
ふがふがと鼻息が粗くなって来た。
授乳服を来て、ストールも巻いていたので、さり気なく授乳。
授乳経験がある人以外は絶対に授乳しているとは分かるまいと自分のさり気なさに悦に入っていると、先ほどの男性が再び店内へ。
今度はパンとドリンクを購入していた。
目が会うとやばいと、気付かないフリをしたいたが、視界の端から彼が私とプン助の姿をキャッチしたのが分かった。
案の定男性はまた隣に座って来た。
どうやら、夫とニンタマが不在なせいで、私とプン助を先ほどとは別の親子連れと認識しているようだった。
「男の子?」
と、声をかけられた。
授乳中だとはバレていないだろうと思いつつ、こんな状態で話しかけられたくはなかった。
すると
「おっぱいあげてんの」
胸元を覗き込む男性。
バレていたのか…。
「違います」とも言えない。
「はい」
「初めて見たよ~、おっぱいあげてんの。沢山飲ませてあげるといいよ」
おっぱいあげていると分かったら、遠慮して見ないようにしてくれるかと思ったが、甘かった。
「可愛いね~」
口をごくごく動かしているプン助に益々顔を近づけて来る。
私の被害妄想かもしれないが、男性はイートインコーナーの隅に置いてあるナプキンを取りに行きがてら、逆サイドに回り込んで授乳している姿をじろじろ見ているような気がした。
赤ん坊が見たいのであって、私の胸など見たいわけではないだろうと思いつつ、もしかしたら見ようとしているのでは?と、自意識過剰な気持ちも湧いて来る。
授乳をやめたくなる。
だが、ごくごく飲んでいるプン助が不憫だし、胸を外す瞬間の方が却って露になってしまう。
旦那さんとニンタマが早く戻って来てくれたら良いのに…。
授乳中は丸腰のようでとても心細い。
二人が戻って来た瞬間に
「もう、出られるよ~」
と、そそくさと出る準備をした。
男性には何の悪気も無いのだろうが、休日の朝はもっと普通であって欲しかった。
これからこのコーナーに行くの考えてしまうなぁ。
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