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地獄と修羅場

私のような仕事をしていると、収入はとても不安定。
来年、いや来月、暮らして行けるのかも、おぼつかない。
そんな状態で、第二子を希望し、なんとか妊娠したのだが、母の友人からは「チャレンジャー」と、言われているらしい。

周囲には、お父さんもお母さんも固い仕事をしているのに、今の日本の経済状態を考え、第二子を諦め、車も売り払ったとう堅実な人もいる。
そんな人から見ると、狂った所行なのだろう。
自分でも分かっている。
将来、
「こんな貧乏なのに、なんで子供なんか作ったんだ!」
と、子供らに責められるかもしれない。
だが、私も旦那さんも嫌な現実は見て見ない振りをする、夢見がちな性分。
願望だけで、押し進めてしまった。

それでも、さすがに第二子を授かってから、若干ビビリ始めた。
経済的な事もさることながら、今でさえ、ニンタマ一人に振り回され、泣いたり、暴れたり、落ち込んで死にたい気持ちになったりと、毎日嵐のような生活。
そして、ニンタマは丈夫な方だとは言え、やはり子供なので、頻繁に体調を崩す。突発、手足口病、下痢、リンゴ病、中耳炎、じんましん…。
時には毎日病院行かなければならない。
原稿を抱えている時など、スリリングで過ぎて、生きた心地がしない。
子供が病気だと、夜もあまり眠れない。
自分も体調を崩したりする。
子供が二人になると、おそらく病気も倍増するだろう。
怖すぎる。
だが…きっと、それは数年のことだろう。
数年、修羅場を乗り切れば、きっと少し楽になるはず。

「アンタ、大丈夫なの?」
母に聞かれ、絶対に大丈夫では無いと思いながら、
「まあ、修羅場だろうね。しんどいと思うよ。でも、過ぎれば一時だから」
と、言った。
大変だ、どうしようと言っても、今更どうにもならない。言って、楽になるものでもない。
そして、多くの人がなんとか乗り切っている。乗り切れていない人もいるので、自分が乗り切れるか分からないが、乗り切る方向で努力するしかない。
だが、母は私が相当の覚悟をしていると思ったようだ。
後日、
「アンタ、『地獄だと思うよ。でも、地獄も一時』って言ったね。あの時アタシもグっと来たんだよ」
と、語っていた。
なんでも、母の知り合いに話したら、涙ぐんでいたらしい。
その話を聞いて、困惑した。
別に覚悟がある訳じゃない。乗り切れるのか、ノイローゼーとかになって、大変なことになるのか、まだ分からない。
知り合いの方が涙ぐんだポイントは「地獄」という言葉でもあるのだろう。ハッキリ覚えていないが、私としては「修羅場」と言った気がする。普段「地獄」という言葉は、あまり使わない。
だが、インパクトとしては「地獄」の方が絶大だ。
何の保証も無いのに、母性と強い覚悟だけを懐に抱き、自ら地獄へ踏み出して行く人。
知人はそんな姿を思い浮かべて、感動して泣いたのだろう。
でもそ姿と私は全く被っていない。
ちょっとした伝え方で、こんな風に変わって聞こえるのか。
改めて、言葉というもについて、考えさせられた。

そんな話を母にしたら、
「アンタは地獄って言ったよ。アタシはちゃんと覚えている」
と、言っていた。
言ったのかなぁ…。

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あわや大惨事

ニンタマはここしばらく便秘が続いている。
3日に一度くらいウンチをすると、痛がって泣き、血を出したりして不憫。
前は、日に3、4度びっくりするようなモリモリしたウンチをしていたというのに、どうしたのだろうか。
整腸剤を飲ませたり、ヨーグルト、イチジク、ゴボウ、おから、ひじきなど、必死に繊維質を摂取させたりするが、やらないよりはマシという程度。
最近では、ウンチをすると痛いと思って、しないで我慢しようとする悪循環に陥っている。それで、切羽詰まった時、大泣きするのだ。
昨晩、食後に散々お腹をマッサージして、「ウンチは?」と、聞くと
「無い!」
と、言うので、風呂に入れる事にした。
最近は旦那さんが、先にニンタマと風呂に入り、ニンタマのパジャマや布団の準備をした後に私が入るパターンが多い。
今日も、そんな感じで先に旦那さんとニンタマが風呂に入った。しばらく、「げんこつ山の狸さん」の歌を歌ったり、楽しそうな雰囲気だったが、突然
「あれ?お前、ウンコしてんのか?」と、旦那さんの声。
慌てて、私も風呂場へダッシュ。
すると、湯船から旦那さんに持ち上げられ、尻から5センチくらいのウンチを出している状態でニンタマが
「うわ〜ん!」
と、大泣きしていた。
なんとか浴槽は難を免れたが、風呂場にボトリ!と、ウンチが落ちた。
慌てて、トイレに連れ行き、旦那さんは風呂のお湯を抜いて、掃除。私は、トイレで全裸のニンタマを抱きしめながら、ウンチをするのを応援した。
「痛い…」
と、しがみ着いて来るニンタマに
「がんばれがんばれ」
と、応援。二回程ボトボトとウンチをしたが、
「まだ出る」
と、ニンタマはいつまでもトイレから出ようとしない。
そして、歌ったりして遊び始めた。
寒くなった私がくしゃみをして、鼻水を垂らすと、ニヤニヤして、ちり紙で拭き始めた。
旦那さんが新しいお湯が溜まったと言うので、まだトイレで遊びたがっていたニンタマをなんとか風呂へ連れて行ったら、すっかりご機嫌になっていた。
今まで、風呂場でもよおしても、愚図ったりしてウンチをしたい兆候があったのだが、今回はまったく予想がつかなかった。
意外と風呂ではしないもんだと思っていたが、危なかった。
便秘は不憫なので、出たのは良かったが、ヒヤヒヤした。

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