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私を抱いてキスして

先日、ニンタマが旦那さんがお仕事に行く時に「頑張ってね〜」と、声をかけて唇を尖らせていた。旦那さんが顔を近づけると、「ブッチュ〜」と、チュウをしていた。
羨ましい!
私もしてもらおうと思って、旦那さんが出掛けた後、
「ママには?ママにもチュウして〜!」
と、催促すると、顔を背けられた。
その後もメゲずに何度も、
「ママにチュッ!」
と、催促するがウザがられてばかり。
「何だい!保育園のお友達はチュッチュチュッチュしてんじゃん!ママ嫌いなの?」
と、拗ねると
「きやい〜」
と、上目遣いで笑っている。

ショックを受けたので嘘泣きで涙を見せてみるものの、全く心に届かない様子。
段々腹が立って、
「じゃあママもニンタマ嫌い!」
と、ニンタマに背中を向けて寝てしまった。
ニンタマは何度も、私の髪の毛を引っ張って、
「ママ〜、ママ〜」
と、しがみついて来たが、
「嫌い嫌い!」
と、やっている間に寝てしまった。旦那さんに訴えると
「俺も嫌いって言われてるって〜」
と嬉しそう。
「でも、チュウしてもらったじゃん!」
「あ、あれは初めてなんだから」
と、まるで浮気を問いつめられたかの様な有様。

翌日もニンタマに嫌いと言われたダメージで気持ちはどんより。
「そうだ!ニンタマは何でも真似したがるからさ、ニンタマの前でわざと私にチュッチュして見せてよ〜!そしたら、ニンタマもつられて、私にチュウするかも!」
と、旦那さんに本末転倒なリクエストをしてみた。
「バカだね〜」
と、言いながらも旦那さんもリクエストに応えてくれたが、ニンタマは無関心。
恋煩いみたいにナーバスになり、
「私はもう前みたいにニンタマを可愛いと思えないかも」と、寝込む勢いになってきた。
「ニンタマより世話が焼けるなぁ」
と、困った様子の旦那さん。
そんな気配を察知したのか、ニンタマも前より
「ママ〜ママ〜」と、来なくなってしまった。
隙間風が吹きはじめたような母とムスメ。
だが、ある朝、目覚めたニンタマが私の頭をむんずと掴んで、抱きしめて来た。
久しぶりの包容に
「ニンタマ〜!」
と、夢心地。私もニンタマを抱きしめると、ウザイ!という感じに押し戻された。
「おめぇが自分から抱きしめて来て、それはねぇだろ!」
と思った途端、ニンタマが唇を突き出し、チュウチュウ吸い付く音をさせながら、私の唇にキスしてきた。
「ニ・・・ニンタマ〜!」
それまでの鬱々とした気持ちが嘘のよう。
ポワワーンと、のぼせてしまった。
飴とムチを使い分けるかのようなニンタマに振り回されっぱなしだ。
その後、調子に乗って、チュウを催促してみたが、ことごとく討ち死に。
だが、時々施しのように、ニンタマが唐突に唇を突き出してくる。
キスするのはいいけど、されるのは好きじゃない・・・という狩人みたいな性格なのだろうか。
ならば、これからはチュウして欲しい等と言う態度はおくびにも出さないようにしなければ。

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