ニンタマが一歳になった。
朝っぱらから、私はニンタマを押さえつけて無理やり爪を切り、狂ったように泣かれてしまった。
数日前から旦那さんがニンタマの爪が伸びているのを気にしていた。
私も気になっていたのだが、昼間は一緒にいない。
夜、ニンタマが寝ている時は私も自分の風呂などで忙しいか寝てしまっている。
旦那さんが 「爪切りどこかなぁ」と探していただけなのだが、切って無いことを責められているという被害妄想に陥ってしまった。
じゃあ今切るよ!と爪を切り始めた。
初めは抵抗しなかったのだが、次第に嫌がり始めるので、無理やり押さえつけてた。
泣き叫んで大粒の涙を流し、こんな赤子のとこにこんな力が・・・と、驚くほどの抵抗をしてくる。
つい、力では敵わないことを思い知らせないと!と、こちらも渾身の力を振り絞る。
「ぎえ〜〜〜ぎえ〜〜〜!」
と、尋常じゃない叫び声を上げるニンタマ。
私も本当は面倒くさくて爪など切りたくも無い。
だが、爪が伸びすぎて剥がれてしまったり、自分の顔をかきむしったりするのも危ない。
もちろん自分が引っ掛かれるのも御免だ。
わが子と言えど、引っ掻かれると、腹が立つ。
腹が立つと、辛く当たりたくなるかもしれない。
そんな事態を避けるのは、つまりはニンタマの為でもあるのだと、強引な理由をつける。
何がそんなに嫌なのか、ニンタマは酷い暴れっぷり。
私は益々意固地になって、鬼の形相になる。
旦那さんはドン引き。
「そんな無理やり切らなくても・・・」
そんなことは分かっている。
周りにそんなつもりはないのだが、
「ヨダレが垂れている」「爪が伸びてるね」
などと、言われると、
「あんたがちゃんとしてないから!」
と、責められている気分になる。
自分としては寝食忘れて、かなり一生けん命やっているのに、まだ責められるのか・・・と、瞬時にヒューズが飛んでしまう。
今、ニンタマが泣き叫んでいるのは、自分の頑張りを誰も理解しないで責めるから。
今、ニンタマをいじめているのは周りが私をいじめるから・・・という負のサイクルになってしまった。
途中でニンタマが可哀そうになり、爪を切るのは諦めた。
「大丈夫?」
と、旦那さん。
泣いているニンタマは慰めを求めるように、胸にむしゃぶりついてきたので、そのままおっぱいをあげて、私もちょっと泣いてしまった。
爪切り程度のことでこんな事態になってしまう。
産後うつとか虐待する人とかの話を聞くと、自分がそこまでいかないで済んでいるのは、運が良いだけだとしか思えない。
周囲に理解があって、親切にしてもらっているのに、些細なことで被害妄想に陥ったり、誰も味方がいないような精神状態に陥る。
本当に、周りに誰もいなかったら、どんなことになってしまうのか、考えるだけで恐ろしい。
なるべく周囲に感謝の意を表し、これからも助けてもらえるように頑張らねば。
ニンタマは着々と歩く練習をするようになってきた。
まだ、たまに3、4歩歩くだけだが、できることが増えて、嬉しそうだ。
赤ん坊はそういうものなのかもしれないが、ちょっと泣いても、すぐご機嫌になる。
その忘れっぽさというか能天気さにも大分救われる。
夜はニンタマの誕生日会。
まだケーキなど食べられないので、鯛をあげた。