はじめてのチュウ(ハード)
妊婦の時、母親学級で、赤ちゃんとキスしたり、同じ箸でモノを食べてはいけない、と言われていた。
親の口の中の虫歯菌をうつしてはいけないからだ。
どうしてもキスしたい時はキシリトール入りのガムを20分以上噛んでから、とも言われた。
その時は、ガム20分を噛んでまで、赤ちゃんとチュウなんぞしなくてもよいわ!と思っていた。
だが、生まれてみると、歯が生えるまでは解禁だろうと、軽いフレンチキスはするようになっていた。
歯が生えりゃ止めればいいんだろうと思っていた。
歯が生えたらチュウは出来ないわ、おっぱいは噛まれるわ、ろくな事が無いなぁ、いっそ生えなければいいのに・・・と無茶な事も思った。
そして歯は生えた。
おデコやつむじには「チュッチュチュッチュ」とやってはいたが、口にはしなくなった。
それはニンタマを思っての事ではない。
母体の免疫が切れたニンタマが風邪をひくようになったからだ。
赤ちゃんの風邪は強力。
赤ちゃんの風邪なら風邪も赤ちゃんでしょ?などと、侮っては大変な事になる。
だが、ニンタマと楽しく遊んでいる時に、事は起きた。
私がベロを出して蛇のようにチョロチョロ動かすと、いつも喜んでいた。
手を伸ばして掴もうとすると引っ込める・・・という遊びを繰り返していたら、いきなり顔を近づけてきた。
何をする気かと驚くと、いきなりベロにむしゃぶりつかれた。
「やばい、ニンタマの風邪がうつる!」
と思ったが、嬉しそうなニンタマの手前、舌を引っ込められなかった。
そうだった。
赤ちゃんは何でも舐めて確認するのだった。
私の舌にむしゃぶりついたり、舌をレロレロ絡ませたり、噛みついて来たり。
この時ばかりは噛みちぎられる!と恐怖を覚え、逃げた。
「もっともっと」と小躍りして催促するニンタマ。
仕方なく再び舌を出すと、やはり絡ませたり吸い付いて来る。
ブルータスやPOPEYEなどで教えてくれるキス講座に書いてあるような技ありディープキスではないか。
赤子の癖にとびっくりして、キス中に大笑いすると、ニンタマも舌をレロレロさせながら笑う。
「やべぇ、ニンタマの風邪がうつる。私の虫歯菌もうつる」と、思ったが、催促されるたびに「チュッチュチュッチュ」やってしまった。
またやってしまった。
妊娠してから、やってはいけないと言われていた事をどれだけ破っただろう。
もはや、どうでもよくなってしまった。
ダメ母である。
私も祖母と口をチュウチュウ吸う遊びをしていた事を思い出した。
楽しく遊んでいたのに、ある日急に皺だらけの口とチュウチュウするのが気持ち悪くなった。
私も気持ち悪いと思われないようにしなければ。
この日、ニンタマは頂きもののお風呂の椅子から脱出するようにもなった。
洗面器や手桶を振り回し、シャンプーやら掃除用洗剤、旦那さんのひげ剃りまで触ろうとする。
危ないから椅子から出ないようにと何度注意しても、効果なし。
ちょっと痛い思いをしなければわからないかと、頭をペチっと叩いて
「ダメって言ってるでしょ!」と怒鳴った。
痛かったかな?泣くかな?と少し心配になったが、ニンタマはしばらく考え込んだ顔をして、自分の頭を叩き始めた。
そして、嬉しそうに笑った。
どうやら「ペチッ」という音が気に入ったらしい。
そういう遊びと思ったのか、しばらく自分でペチペチ鳴らしていた。
つい、吹き出してしまった後、拍子抜けしてしまう。
マッパで「ふにゃ〜」とヘタり込みたくなった。
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