新婚旅行リベンジ篇・バリでの出来事
7時にヴィラのレストランで朝食。
私がナシゴレンで、旦那さんがアメリカン・ブレックファースト。
おいしいのだが、かなりのボリューム。
フルーツやらバナナを揚げてチョコレートをかけたデザートなどは残念ながら食べきれない。
7時30分、以前お世話になったイエロースキューバから迎えが来る。
今回、私は潜れないのだが、旦那さんにライセンスを取得して貰いたいと思っていたのだ。
一緒に事務所まで行き、旦那さんは学科講習を受けている間、私はスミニャックというちょっとこ小じゃれた町で散歩をして時間をつぶし、講習が終わるころに事務所へ戻り、一緒に帰る予定。
イエロースキューバでタクシーを呼んでもらい、スミニャックへ。
メーターのついているタクシーなら安心なのだが、一人で異国の地でタクシーに乗るのは初めて。かなり緊張する。
頼んだ交差点で降ろして貰ったのだが、一瞬どこにいるのかわからなくなり10分間近く炎天下で地図とにらめっこ。
やっと、交差点のどの向きにいるのかが分かるも、まだ9時前。
お茶をしようにもどのお店もやっていない。
とりあえず、しばらく直進して、初めてバリ島へ来た時にお買い物をしたビアサという素敵なお店の場所を確認してから、海辺へ続く道を曲がり、砂浜沿いをあるいてみることにした。
疲れたらカフェでお茶をしたり、トイレを借りたりしてぼんやりしていれば、お店の開く時間になるだろう。
お目当てのビアサはすぐ見つかった。
そのまま直進するとビンタンスーパーというスーパーマーケットを発見。
時間が余ったら寄ろうとそのまま通り過ぎる。
レートの良さそうな両替屋を発見したので、両替する。
目の前で紙幣を数えてくれるのだがよく分からない。
厳しい顔で吟味している演技をしながらゆっくり数える。
なんとなくあっている気がするので、笑顔で店を出る。
どこかで落ち着いて数えたい。
異常にバイクが多く通りを渡るのがとても大変。
海辺へ出る道は布などの問屋街。どの布も素敵に見えて困る。
2人で借り物のトランク一個で来たから、おみやげなどを持って帰るスペースも無いのだ。
普段、それほど物欲は無いのだが、旅行へ行って人の買い物に付き合うつもりで店を見てしまうと、大変なことになる。
前回2回の親友達とのバリ旅行の時、私の買い物が凄くて呆れられていた。
それでも、「また買ったの?」と、言われるのが恥ずかしく、隠れて買い物をしたのに隠し通せず、「何着ブラジャー買ってるの?」と、笑われたりしていた。
概ね女性陣はショッピングが大好き。
だが、男性陣にとってはショッピングは退屈で理解し難いことが多いみたい。
旦那さんは間違いなく「旅行に来て買い物ばかりするなんてバカだ」と、思っているタイプ。
こっそり買うにも、トランクは旦那さんと一緒。
買ったものはバレるに決まっているのだ。迂闊に買い物は出来ない。
買い物魂にスイッチが入らないように気をつけながら歩いていると海が見えてきた。
ほっとする。波打ち際を歩く。
物売りがやってきた。
絶対に欲しくないような売れ残りのような紳士物のベルトを山のように抱えている。
うすら笑いを浮かべながら「ノーセンキュー」を繰り返し、逃げる。
遠くの男性数人のグループがこちらに何か大声を出している。
何かの勧誘か冷やかしだと聞こえないふりで通りすぎる。
波打ち際を歩き、ある程度してから普通の道へ戻る通りへ入る。
どの道が分からないが、
「どの店に入って休めばいいのだろう・・・」
と、頭をぐるぐるさせながら、かなり歩いてしまった。
以前は三人だったので、すぐにホテルのトイレを借りたり、ちょっと様子が分からない店でも入ってみたりしていたのだが、一人だと行動がちょっと困難。
やっと元いた通りに出て、去年入ったカフェを見つけ入る。
「あれ、この店って席に座って店員を待ってオーダーすればいいのだっけ?それともカウンターで注文してから席につくんだっけ?」
と、わからなくなる。
とりあえず、カウンターへ直進。
メニューらしきものも無い。どうしよう・・・。
レジ脇に立っていたボーイさんが「May I Help You?」と、言ってきた。
英語だ。何か冷たいものが飲みたい。
なんて言ったらよいか分からない。
「オレンジジュース」
適当に何でもいいから言ってみた。
またもやボーイさんがここで飲んで行きますか?的なことを言っている様子。
「Yes」
「ドウゾ、おかけください」
あれ?日本語。
そうか・・・席に座ればよかったのか・・・。
席についてオレンジジュースを待つ。
先ほどのボーイさんがオレンジジュースを持ってくる。
ごくごく飲んで疲れを癒す。
荷物を整理していると、オレンジ色のエコバックが消えていた。
中身は何も入っていなかったが、荷物が増えたら使おうと思っていたものだった。
先程、海辺で男性数人が私に何か言っていたのはバックを落としたことを伝えていたのかもしれない。聞こえないふりなどしなければ良かった。
トイレへ行き、先ほど両替したお金が数える。
何度も枚数を数え直し、電卓で計算して、やっとボラれた訳では無く、ちゃんと両替してもらっていたことが確認できた。
しばらくぼんやりしていると、
「日本はドコから来たの?」
と、先ほどのボーイさんに話しかけられる。
「東京」
「僕、学校で日本語勉強したけれど、日本語むつかしいよ。カタカナ、漢字、ひらがな・・・」
このくらい喋れれば十分ではないか。
「あ、ひらがなが分かれば大丈夫ですよ」
「むつかしい・・・。バリは一人で来たの?」
「いえ」
「友達と?」
「あ、旦那さんと」
「旦那さんはどこ?」
「旦那さんはダイビングやってて・・・」
「ダイビング・・・!あなたは?」
「私は」
と、首を振る。
「ダイビングやったことありますか」
「あります」
「そうですか・・・では、ごゆっくり」
ボーイさんは去って行った。
飲み干したオレンジジュースも持っていかれた。
またしばらくぼんやり。
ふと、会計はどうすればいいのか気になってきた。
隣の白人男性はテーブルで会計していた。でも、レシートは無い。
会計・・・会計・・・。
あのボーイさんもいつの間にやらいない。
そうだ!カウンターでテイクアウトでパンを買おう!
その時、オレンジジュース代も払えばいいのだ。
「ブルーベリータルト、ミルクパン・・・テイクアウト・・・」
カウンター前のレジで、訴える。
そして、さっき飲んだオレンジジュース!・・・と言おうとするが英語は出てこず、韓国語しか浮かばない。
「オレンジジュース!」と、座っていたテーブルを差す。
ここで飲んだのか?的なことを言われている気がする。
「Yes!」
会計を済まして、荷物をまとめ、逃げるように店を出る。
するとオレンジジュースをお盆に載せた店員が私を怪訝そうな顔で見送っていた。
なんとなく、そんな気はしていたのだが、新たに注文したのだと思われたようだ。
よく考えるとさっきのオレンジジュースはテーブルでボーイさんなどに声をかけて「チェック プリーズ」と、言えば済んだのではないだろうか・・・。
済んだことは忘れることにして、ビアサへ。
やはり素敵な店だ。
客は白人ばかり。黄色い人は見かけない。
おどおどするが、堂々としている振りをする。
どれも素敵だが、サイズもわからない。
店員に相手にされないながらも20分ほどすると、さすがに店員が声を掛けてきた。
「Can I try?」
合ってるのかわからないが試着をする。
チューブトップの紺のワンピース。ちょっとお高め。
店員がからし色、赤、黒、薄いグリーンの色違いを見せてくれる。
気分的にはリゾートなのでからし色やら赤なのだが、東京へ帰ってのことを考え、やはり紺にする。
どうやらサイズフリーらしい。
着てみると・・・割とフィットして良い感じ。
だが、これを着るときのブラジャーはどうすればいいのだろう?
そして薄い生地なのでパンティも透けてしまう。
とりあえずキャミソールかスパッツをはいて、下には細い紐のタンクトップを着ればなんとかなりそう。
ワンピースと薄手のシャツ等を購入。
さて、会計だ。
何度バリに来てもルピーはゼロが多すぎてわからない。
50,000ルピーならほぼ500円位なのだが、こういう時「フィフティ」と言われることが多く、訳が分からなくなるのだ。
ゼロを二つ消すと日本円の感覚なのだが、50と言われると50万ルピーなのか?!と、一瞬パニックになる。
1万円相当だともはや宇宙単位。レジで固まってしまう。
財布ごと渡して抜き取ってもらいたい気持ちになるが、そんなアホなことは出来ない。
50,000ルピー紙幣を一枚ずつ店員さんに見せながら手取り足取り数えてもらい、なんと会計を済ます。
ビンタンスーパーへ寄ってからタクシーを拾って帰ろうと思っていると、いつの間にか通り過ぎていた。
引き返すのも面倒でズンズン歩く。
いつの間 にかクタまで来ていた。
そろそろ旦那さんの講習も終わるかもしれない。
後ろからクラクションを鳴らして合図をしてきたタクシーがメーターのあるブルーバードタクシーだったので、乗ることにする。
イエロースキューバからもらった名刺を見せてこの事務所へ行きたい旨を伝えるが、運転手さんは若いのに小さい字が読めないらしく、「これはなんて書いてあるんだ?」と、言われてしまう。
不安になる。
無線に連絡して場所を調べている様子。
明らかに事務所近くまで来ると、歩いているような徐行運転で道を探っている。
後ろからはクラクションが鳴り響く。
ドキドキして「here OK」と、言って降りる。
ここはどこだろう?と、きょろきょろしたら偶然事務所の看板を発見。
なんとかたどり着く。
旦那さんは講習を終え、テストを受けていた。
私より数字や計算に強いはずなのだが、机にじっと座って字を読むのが久しぶりで問題文を読むのに、苦労していた様子。
なんとかテストを終え、ヴィラへ戻る。
明日はバリの正月のニュピ。
今日の夜はオゴオゴという巨大な人形の山車が町を練り歩くお祭り。
聞くと普段はどの町でもオゴオゴをやっているのだが、今年は選挙の都合でクタでしかオゴオゴは見られないらしい。
翌日のニュピは朝6時から翌日の朝6時まで外に出てもダメ。
電気をつけてもならず、火を使ってもならない一日。
静かに瞑想して過ごすのが習わしだそうだ。
旅行者もホテルから出てはいけない。
ホテル内でルームサービスで食事などは取れるようだが、部屋にこもっていれば電気をつけても良いのか、ダメなのか分からない。
台所付きのヴィラなので、スーパーへ行って買出しを済ませてからタクシーでクタへ。
タクシー料金は6万ルピーしなかった。
30分車にのって 600円前後。安い。
「オゴオゴが見たい」と、行ったら連れて行かれた場所なのだが、一体そこがどこか分からない。
運転手さんに地図を見せて、「今どこだ?」と、聞いても地図がよくわからない様子。
ここにこれ以上車を止めるのならもっと料金を加算するようなことを言っているので、車を降りて適当な店へ入る。
路面に面したレストランなのだが、我々が案内されたのは柱の前で全く外が見えない。
他にも空いている席があるのでそちらに行きたいというが、予約で埋まっていると言われる。
貧相な格好だと思われて末席に案内されたのだろうか?と被害妄想に陥るが、気を取り直す。
どうやら、オゴオゴを見るために窓際の席は大人気なようだ。
軽くご飯を食べる。
お皿にはまだ米粒が30粒くらい残っていた。
先程、私たちを末席に案内したウェイターさんが「もう、片付けても良いですか?」的な事を言いに来たが、言うより前に皿を片付けようとした。
なんとなく腹立たしい気持ちになり、「No!」と、まだ食べるそぶりをすると、「I,m sorry」と、謝ってきた。
先程高飛車な態度で案内された気がしていたので、少し溜飲が下がる。
「よく、お食事はお済みですか?って言ってこちらが返事する前に勝手に皿を片付ける店員さんがいるけど、あれ本当に腹立つよね」
「返事を聞くとまだって言われるから、先に片付けるんだよ」
と、旦那さん。
そうか・・・、それはそうかも。
「でも!やっぱりどんなにおいしくていいお店でも、そんなことされたら、『早く帰れ』って思ってるんだって、店への印象は台無しになるよ。だから私はさっき『No!』って言ってやったんだよ。」と、人間の器の小さい発言をまくしたてる。
そしてもはや食べたくもない米粒30粒をなんとかスプーンですくって食べる。
オゴオゴが始まるまでまだ時間もありそう。
そもそもがっちりお祭りを見たいわけでは無い。
ちらっと眺められて、なんとなく雰囲気が味わえればいいのだ。
そのまま二人で海辺へ出て、散歩をしたり、砂浜に腰かけたり。
素晴らしい星空などを眺める。もはや立つのも面倒になる。
だが、砂浜はサヌールにもある。
オゴオゴを見なければタクシーに乗ってクタまで来た意味がない。
先程の通りへ戻ると、大変な人ゴミ。
何だかわからない時間が続く。
もう見られなくてもいいから帰りたいな・・・などと思っているとお化けの格好
の巨大な人形の山車がやってきた。
だが、人垣であまり見えない。
旦那さんと見はらしの良い場所を求めてさまようが、満員列車のような有様で全く動けなくなる。
前からも後ろからも立ち止まらないでよと、肩を叩かれたりする。
ミノ倒しになったりしたら怖い。
旦那さんに「怖い」と、訴えその場からなんとか立ち去ろうとしたら今度はバイクの山車がやってきた。
トイレも行きたいし帰りたいと、その場を抜け出すが、どの道へ行っても、交通規制をされていて、車が通る道へ出られない。
うろうろしていると、先ほどのとは別なもっと地元民密着型のオゴオゴをやっている通りへ出る。
先程のよりこちらの方が俄然面白く、見やすい。
観光客用に運転手さんが連れてきてくれたけれど、混み過ぎているし、山車は中々進まなくてノロノロしていた。
観光客用って大体見るべきものが無い。
トイレが限界に近づいてきたが、ローカル過ぎて入れるお店が見つからない。
車の通りにも出られない。
早足で歩くのも膀胱に刺激が来るので辛い。
やっとの思いで、タクシーの通る道へ出た。
メーターの無いタクシーでも仕方がない。
先程6万ルピーだったから7万までなら良いことにしよう。
声を掛けてき た運転手と交渉。
「ブラパ?(いくら?)」
と、聞くと
「10万ルピー」
と、言ってきた。旦那さんが
「高い」
というと
「サヌール・・トオイ・・・」
と、言うではないか。
ねばって交渉して7万ルピーにしてもらったので、車に乗り込む。
ところが乗ってしばらくしたら、運転手が自分は日本語があまりわからない、この数字だろ?と、電卓で8をはじき出した。
「ノー!エイト、ノー!セブン!」
と、言うと
「セブン、ノー!」
と、再び値段で揉める。
一度7万ルピーで納得したのに、日本語が分からなかったから・・・と、言いだすとは中々したたかだ。
「来る時は5万ルピーだった!」(嘘)
と、言うと運転手は突然何も言わなくなった。
7万で納得したのか、若干キレているのか分からなくてビビる。
そして、車のスピードがやたら早くなった。
犬や人がふらふら歩いているような道なので、ドキドキする。
運転手は道も間違えて、違うヴィラの前へ行きそうになった。
私は分からなかったが、一日しか滞在していない旦那さんが道を把握していて、きちんと説明していた。びっくりした。
昨日のことは忘れ、道のことは全面的にお願いしようと思った。
結局、面倒になり8万ルピー支払うことにした。
ホテルの人に翌日のニュピにはキャンドルを配りに来ます、と言われる。
寝室でカーテンをして、電気をつけては駄目か聞いてみたら、小さい明かりならいい、と言われ安心する。
室内のテレビはヴィラに着いた日に壊れていたので直してもらったが、翌日からまた壊れてしまっていた。ニュピの日に退屈したらDVDでも観ようかと持って来ていたが、観られそうもない。
24時前に就寝。
私がナシゴレンで、旦那さんがアメリカン・ブレックファースト。
おいしいのだが、かなりのボリューム。
フルーツやらバナナを揚げてチョコレートをかけたデザートなどは残念ながら食べきれない。
7時30分、以前お世話になったイエロースキューバから迎えが来る。
今回、私は潜れないのだが、旦那さんにライセンスを取得して貰いたいと思っていたのだ。
一緒に事務所まで行き、旦那さんは学科講習を受けている間、私はスミニャックというちょっとこ小じゃれた町で散歩をして時間をつぶし、講習が終わるころに事務所へ戻り、一緒に帰る予定。
イエロースキューバでタクシーを呼んでもらい、スミニャックへ。
メーターのついているタクシーなら安心なのだが、一人で異国の地でタクシーに乗るのは初めて。かなり緊張する。
頼んだ交差点で降ろして貰ったのだが、一瞬どこにいるのかわからなくなり10分間近く炎天下で地図とにらめっこ。
やっと、交差点のどの向きにいるのかが分かるも、まだ9時前。
お茶をしようにもどのお店もやっていない。
とりあえず、しばらく直進して、初めてバリ島へ来た時にお買い物をしたビアサという素敵なお店の場所を確認してから、海辺へ続く道を曲がり、砂浜沿いをあるいてみることにした。
疲れたらカフェでお茶をしたり、トイレを借りたりしてぼんやりしていれば、お店の開く時間になるだろう。
お目当てのビアサはすぐ見つかった。
そのまま直進するとビンタンスーパーというスーパーマーケットを発見。
時間が余ったら寄ろうとそのまま通り過ぎる。
レートの良さそうな両替屋を発見したので、両替する。
目の前で紙幣を数えてくれるのだがよく分からない。
厳しい顔で吟味している演技をしながらゆっくり数える。
なんとなくあっている気がするので、笑顔で店を出る。
どこかで落ち着いて数えたい。
異常にバイクが多く通りを渡るのがとても大変。
海辺へ出る道は布などの問屋街。どの布も素敵に見えて困る。
2人で借り物のトランク一個で来たから、おみやげなどを持って帰るスペースも無いのだ。
普段、それほど物欲は無いのだが、旅行へ行って人の買い物に付き合うつもりで店を見てしまうと、大変なことになる。
前回2回の親友達とのバリ旅行の時、私の買い物が凄くて呆れられていた。
それでも、「また買ったの?」と、言われるのが恥ずかしく、隠れて買い物をしたのに隠し通せず、「何着ブラジャー買ってるの?」と、笑われたりしていた。
概ね女性陣はショッピングが大好き。
だが、男性陣にとってはショッピングは退屈で理解し難いことが多いみたい。
旦那さんは間違いなく「旅行に来て買い物ばかりするなんてバカだ」と、思っているタイプ。
こっそり買うにも、トランクは旦那さんと一緒。
買ったものはバレるに決まっているのだ。迂闊に買い物は出来ない。
買い物魂にスイッチが入らないように気をつけながら歩いていると海が見えてきた。
ほっとする。波打ち際を歩く。
物売りがやってきた。
絶対に欲しくないような売れ残りのような紳士物のベルトを山のように抱えている。
うすら笑いを浮かべながら「ノーセンキュー」を繰り返し、逃げる。
遠くの男性数人のグループがこちらに何か大声を出している。
何かの勧誘か冷やかしだと聞こえないふりで通りすぎる。
波打ち際を歩き、ある程度してから普通の道へ戻る通りへ入る。
どの道が分からないが、
「どの店に入って休めばいいのだろう・・・」
と、頭をぐるぐるさせながら、かなり歩いてしまった。
以前は三人だったので、すぐにホテルのトイレを借りたり、ちょっと様子が分からない店でも入ってみたりしていたのだが、一人だと行動がちょっと困難。
やっと元いた通りに出て、去年入ったカフェを見つけ入る。
「あれ、この店って席に座って店員を待ってオーダーすればいいのだっけ?それともカウンターで注文してから席につくんだっけ?」
と、わからなくなる。
とりあえず、カウンターへ直進。
メニューらしきものも無い。どうしよう・・・。
レジ脇に立っていたボーイさんが「May I Help You?」と、言ってきた。
英語だ。何か冷たいものが飲みたい。
なんて言ったらよいか分からない。
「オレンジジュース」
適当に何でもいいから言ってみた。
またもやボーイさんがここで飲んで行きますか?的なことを言っている様子。
「Yes」
「ドウゾ、おかけください」
あれ?日本語。
そうか・・・席に座ればよかったのか・・・。
席についてオレンジジュースを待つ。
先ほどのボーイさんがオレンジジュースを持ってくる。
ごくごく飲んで疲れを癒す。
荷物を整理していると、オレンジ色のエコバックが消えていた。
中身は何も入っていなかったが、荷物が増えたら使おうと思っていたものだった。
先程、海辺で男性数人が私に何か言っていたのはバックを落としたことを伝えていたのかもしれない。聞こえないふりなどしなければ良かった。
トイレへ行き、先ほど両替したお金が数える。
何度も枚数を数え直し、電卓で計算して、やっとボラれた訳では無く、ちゃんと両替してもらっていたことが確認できた。
しばらくぼんやりしていると、
「日本はドコから来たの?」
と、先ほどのボーイさんに話しかけられる。
「東京」
「僕、学校で日本語勉強したけれど、日本語むつかしいよ。カタカナ、漢字、ひらがな・・・」
このくらい喋れれば十分ではないか。
「あ、ひらがなが分かれば大丈夫ですよ」
「むつかしい・・・。バリは一人で来たの?」
「いえ」
「友達と?」
「あ、旦那さんと」
「旦那さんはどこ?」
「旦那さんはダイビングやってて・・・」
「ダイビング・・・!あなたは?」
「私は」
と、首を振る。
「ダイビングやったことありますか」
「あります」
「そうですか・・・では、ごゆっくり」
ボーイさんは去って行った。
飲み干したオレンジジュースも持っていかれた。
またしばらくぼんやり。
ふと、会計はどうすればいいのか気になってきた。
隣の白人男性はテーブルで会計していた。でも、レシートは無い。
会計・・・会計・・・。
あのボーイさんもいつの間にやらいない。
そうだ!カウンターでテイクアウトでパンを買おう!
その時、オレンジジュース代も払えばいいのだ。
「ブルーベリータルト、ミルクパン・・・テイクアウト・・・」
カウンター前のレジで、訴える。
そして、さっき飲んだオレンジジュース!・・・と言おうとするが英語は出てこず、韓国語しか浮かばない。
「オレンジジュース!」と、座っていたテーブルを差す。
ここで飲んだのか?的なことを言われている気がする。
「Yes!」
会計を済まして、荷物をまとめ、逃げるように店を出る。
するとオレンジジュースをお盆に載せた店員が私を怪訝そうな顔で見送っていた。
なんとなく、そんな気はしていたのだが、新たに注文したのだと思われたようだ。
よく考えるとさっきのオレンジジュースはテーブルでボーイさんなどに声をかけて「チェック プリーズ」と、言えば済んだのではないだろうか・・・。
済んだことは忘れることにして、ビアサへ。
やはり素敵な店だ。
客は白人ばかり。黄色い人は見かけない。
おどおどするが、堂々としている振りをする。
どれも素敵だが、サイズもわからない。
店員に相手にされないながらも20分ほどすると、さすがに店員が声を掛けてきた。
「Can I try?」
合ってるのかわからないが試着をする。
チューブトップの紺のワンピース。ちょっとお高め。
店員がからし色、赤、黒、薄いグリーンの色違いを見せてくれる。
気分的にはリゾートなのでからし色やら赤なのだが、東京へ帰ってのことを考え、やはり紺にする。
どうやらサイズフリーらしい。
着てみると・・・割とフィットして良い感じ。
だが、これを着るときのブラジャーはどうすればいいのだろう?
そして薄い生地なのでパンティも透けてしまう。
とりあえずキャミソールかスパッツをはいて、下には細い紐のタンクトップを着ればなんとかなりそう。
ワンピースと薄手のシャツ等を購入。
さて、会計だ。
何度バリに来てもルピーはゼロが多すぎてわからない。
50,000ルピーならほぼ500円位なのだが、こういう時「フィフティ」と言われることが多く、訳が分からなくなるのだ。
ゼロを二つ消すと日本円の感覚なのだが、50と言われると50万ルピーなのか?!と、一瞬パニックになる。
1万円相当だともはや宇宙単位。レジで固まってしまう。
財布ごと渡して抜き取ってもらいたい気持ちになるが、そんなアホなことは出来ない。
50,000ルピー紙幣を一枚ずつ店員さんに見せながら手取り足取り数えてもらい、なんと会計を済ます。
ビンタンスーパーへ寄ってからタクシーを拾って帰ろうと思っていると、いつの間にか通り過ぎていた。
引き返すのも面倒でズンズン歩く。
いつの間 にかクタまで来ていた。
そろそろ旦那さんの講習も終わるかもしれない。
後ろからクラクションを鳴らして合図をしてきたタクシーがメーターのあるブルーバードタクシーだったので、乗ることにする。
イエロースキューバからもらった名刺を見せてこの事務所へ行きたい旨を伝えるが、運転手さんは若いのに小さい字が読めないらしく、「これはなんて書いてあるんだ?」と、言われてしまう。
不安になる。
無線に連絡して場所を調べている様子。
明らかに事務所近くまで来ると、歩いているような徐行運転で道を探っている。
後ろからはクラクションが鳴り響く。
ドキドキして「here OK」と、言って降りる。
ここはどこだろう?と、きょろきょろしたら偶然事務所の看板を発見。
なんとかたどり着く。
旦那さんは講習を終え、テストを受けていた。
私より数字や計算に強いはずなのだが、机にじっと座って字を読むのが久しぶりで問題文を読むのに、苦労していた様子。
なんとかテストを終え、ヴィラへ戻る。
明日はバリの正月のニュピ。
今日の夜はオゴオゴという巨大な人形の山車が町を練り歩くお祭り。
聞くと普段はどの町でもオゴオゴをやっているのだが、今年は選挙の都合でクタでしかオゴオゴは見られないらしい。
翌日のニュピは朝6時から翌日の朝6時まで外に出てもダメ。
電気をつけてもならず、火を使ってもならない一日。
静かに瞑想して過ごすのが習わしだそうだ。
旅行者もホテルから出てはいけない。
ホテル内でルームサービスで食事などは取れるようだが、部屋にこもっていれば電気をつけても良いのか、ダメなのか分からない。
台所付きのヴィラなので、スーパーへ行って買出しを済ませてからタクシーでクタへ。
タクシー料金は6万ルピーしなかった。
30分車にのって 600円前後。安い。
「オゴオゴが見たい」と、行ったら連れて行かれた場所なのだが、一体そこがどこか分からない。
運転手さんに地図を見せて、「今どこだ?」と、聞いても地図がよくわからない様子。
ここにこれ以上車を止めるのならもっと料金を加算するようなことを言っているので、車を降りて適当な店へ入る。
路面に面したレストランなのだが、我々が案内されたのは柱の前で全く外が見えない。
他にも空いている席があるのでそちらに行きたいというが、予約で埋まっていると言われる。
貧相な格好だと思われて末席に案内されたのだろうか?と被害妄想に陥るが、気を取り直す。
どうやら、オゴオゴを見るために窓際の席は大人気なようだ。
軽くご飯を食べる。
お皿にはまだ米粒が30粒くらい残っていた。
先程、私たちを末席に案内したウェイターさんが「もう、片付けても良いですか?」的な事を言いに来たが、言うより前に皿を片付けようとした。
なんとなく腹立たしい気持ちになり、「No!」と、まだ食べるそぶりをすると、「I,m sorry」と、謝ってきた。
先程高飛車な態度で案内された気がしていたので、少し溜飲が下がる。
「よく、お食事はお済みですか?って言ってこちらが返事する前に勝手に皿を片付ける店員さんがいるけど、あれ本当に腹立つよね」
「返事を聞くとまだって言われるから、先に片付けるんだよ」
と、旦那さん。
そうか・・・、それはそうかも。
「でも!やっぱりどんなにおいしくていいお店でも、そんなことされたら、『早く帰れ』って思ってるんだって、店への印象は台無しになるよ。だから私はさっき『No!』って言ってやったんだよ。」と、人間の器の小さい発言をまくしたてる。
そしてもはや食べたくもない米粒30粒をなんとかスプーンですくって食べる。
オゴオゴが始まるまでまだ時間もありそう。
そもそもがっちりお祭りを見たいわけでは無い。
ちらっと眺められて、なんとなく雰囲気が味わえればいいのだ。
そのまま二人で海辺へ出て、散歩をしたり、砂浜に腰かけたり。
素晴らしい星空などを眺める。もはや立つのも面倒になる。
だが、砂浜はサヌールにもある。
オゴオゴを見なければタクシーに乗ってクタまで来た意味がない。
先程の通りへ戻ると、大変な人ゴミ。
何だかわからない時間が続く。
もう見られなくてもいいから帰りたいな・・・などと思っているとお化けの格好
の巨大な人形の山車がやってきた。
だが、人垣であまり見えない。
旦那さんと見はらしの良い場所を求めてさまようが、満員列車のような有様で全く動けなくなる。
前からも後ろからも立ち止まらないでよと、肩を叩かれたりする。
ミノ倒しになったりしたら怖い。
旦那さんに「怖い」と、訴えその場からなんとか立ち去ろうとしたら今度はバイクの山車がやってきた。
トイレも行きたいし帰りたいと、その場を抜け出すが、どの道へ行っても、交通規制をされていて、車が通る道へ出られない。
うろうろしていると、先ほどのとは別なもっと地元民密着型のオゴオゴをやっている通りへ出る。
先程のよりこちらの方が俄然面白く、見やすい。
観光客用に運転手さんが連れてきてくれたけれど、混み過ぎているし、山車は中々進まなくてノロノロしていた。
観光客用って大体見るべきものが無い。
トイレが限界に近づいてきたが、ローカル過ぎて入れるお店が見つからない。
車の通りにも出られない。
早足で歩くのも膀胱に刺激が来るので辛い。
やっとの思いで、タクシーの通る道へ出た。
メーターの無いタクシーでも仕方がない。
先程6万ルピーだったから7万までなら良いことにしよう。
声を掛けてき た運転手と交渉。
「ブラパ?(いくら?)」
と、聞くと
「10万ルピー」
と、言ってきた。旦那さんが
「高い」
というと
「サヌール・・トオイ・・・」
と、言うではないか。
ねばって交渉して7万ルピーにしてもらったので、車に乗り込む。
ところが乗ってしばらくしたら、運転手が自分は日本語があまりわからない、この数字だろ?と、電卓で8をはじき出した。
「ノー!エイト、ノー!セブン!」
と、言うと
「セブン、ノー!」
と、再び値段で揉める。
一度7万ルピーで納得したのに、日本語が分からなかったから・・・と、言いだすとは中々したたかだ。
「来る時は5万ルピーだった!」(嘘)
と、言うと運転手は突然何も言わなくなった。
7万で納得したのか、若干キレているのか分からなくてビビる。
そして、車のスピードがやたら早くなった。
犬や人がふらふら歩いているような道なので、ドキドキする。
運転手は道も間違えて、違うヴィラの前へ行きそうになった。
私は分からなかったが、一日しか滞在していない旦那さんが道を把握していて、きちんと説明していた。びっくりした。
昨日のことは忘れ、道のことは全面的にお願いしようと思った。
結局、面倒になり8万ルピー支払うことにした。
ホテルの人に翌日のニュピにはキャンドルを配りに来ます、と言われる。
寝室でカーテンをして、電気をつけては駄目か聞いてみたら、小さい明かりならいい、と言われ安心する。
室内のテレビはヴィラに着いた日に壊れていたので直してもらったが、翌日からまた壊れてしまっていた。ニュピの日に退屈したらDVDでも観ようかと持って来ていたが、観られそうもない。
24時前に就寝。
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