« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

新婚旅行リベンジ篇・とんでもない冒険

朝からモンキーフォレストへ散歩。
入園料を払って入ったのに、中の係の人に「チケットを買え」的なことを言われた。
「Already bought!」
通じるか分からないが「既に買った!」というつもりで言ってみた。
通じたのか、こちらのキレ方で分かったのか、それ以上何も言われなかった。

サル達がうろちょろしている。
331サル
掃除のおばさんが挨拶をしてきた。
普通に挨拶を返すと「バナナ、バナナ」と、言う。
ああ、餌のバナナを買えと言っているんだな・・・。
だが、下手にバナナなど買って、猿が寄ってきたりしたら却って危険だ。
以前鞄の中に入っていた喉スプレーまで奪いとられた事があるのだ。
猿では無いけれど、広島の宮島へ行った時もうっかり鹿せんべいを買ったばっかりに、4匹くらいの鹿に走って追いかけられ逃げ惑ったり、鹿せんべいを一瞬で奪いとられたり、安全の為か削られて短く切られた角で腹を突かれたりしたこともある。
野生の動物にのどかに餌をあげて・・・なんて幻想だ。

ところが旦那さんは、今は入園したばかりだからいらなけれど、後で買う・・・的な受け答えをしてしまう。
掃除のおばさん達は買うと勘違いしてしまってバナナを持ってこようとする。
旦那さんが「No!後で・・・」と、言うと
「チッ!」と、うらみがましい顔で離れて行った。

しばらく散歩を楽しみ、トイレに行きたくなったのでカフェでお茶をしながらハガキを書いたりした。
ここのカフェで、車の送迎や観光を勧めてきた店員に良い散歩コースを教えてもらう。

一度バンガローへ戻り、車でバビ・グリン(子豚の腹に香辛料を詰めた丸焼き)のお店へ連れて行ってもらう。
ここは去年来て、再びバリへ行くことがあったら絶対行きたいと思っていたお店。
店員さんが適当な席へ案内する。
すると、旦那さんは全然違う席を差して「あっちでもいいか」的な事を言う。
考えてみると、いつも案内される席じゃない所へ行きたがる。
単に、座りたい所に座りたいだけなのか、店員が案内する席はお店側の都合でしかないから、言われた席には行きたく無いのかはよく分からない。
だが、その席は普段客用に使っていないような雰囲気。
なんとなく店員へ賄いを食べさせたり、作業をさせたりするスペースの様に見えた。
一つだけサンバルソースが置いてあったが、他のテーブルには4種類くらいのソースが置いてある。
私はソースがたくさんあるテーブルのほうが良いなぁと思っていた。
だが、店員さんに言えば持ってきてくれるだろうと、そこへ座る。
間もなく、料理がやって来る。
331カレー
白い米の上に豚のパリパリの皮やら肉やら、内臓っぽい部分やら、香辛料やらが乗っかっている。
あまりにおいしそうで
「うへ~!」
と、叫んでしまう。店員さんに
「ソース、プリーズ」
と、言うが、「そこにあるじゃないか」的な身振りで流されてしまう。
もっとたくさんの種類のソースが欲しいのよ~!という事を説明するボキャブラリーは浮かばなかった。
旦那さんは、一種類しか無い辛いソースをかけ過ぎて滝のような汗をかいていたので心配になったが、ここの料理がかなりお気に召した様子。
毎日食べても良いと言っていた。
私も毎日食べたい。
二人でブヒブヒ子豚の丸焼きを豚の様にかっ喰らい、先ほど聞いた散歩コースへ行くことにする。

だが、このコースへ行ったばかりにとんでもないことになる。

最初はかなり気持ち良く歩いていた。
気持ちの良い日蔭の道から水田の真ん中のココナッツが生えた道。
鶏やアヒル、牛などを見ながらのんびり歩く。
農作業しているおばさんに、ココナッツの実の中に入ったジュースを勧められる。
ココナッツの実に直接ストローを入れて飲む。とても体に優しい味。

再びてくてく歩いて行く。
今度はおじさんにココナッツを勧められる。
さっき飲んだ、と断る。
旦那さんが道をまっすぐ指して「ウブド?」と、聞く。
散歩コースはウブドから田舎道へ出て、ぐるっと回って道なりへ行けばウブドへ戻るコース。
おじさんは「ウブド」と、答える。

おじさんと別れてすぐ、道が二つに分かれる。
広い方の道は真っ直ぐだが、用水路の様な感じ。
もう一つはほぼ直角に曲がる、水田の中の道。
なんとなく私道のようにも見える。
そのまま真っ直ぐの用水路沿いの道へ進むと、森に入ってしまう。
「これ、散歩コース?」
「いや、トレッキングだよ」
と、もはやちょっとした登山の趣。
やっと広めの道へ出てしばらくしたところで、畑のど真ん中に小さなアートギャラリーがあった。
旦那さんが再び「ウブド?」と、尋ねると
「No!」
と、言われる。びっくりする。
旦那さんは英語はほとんど使わないが全く物おじしないので、安心だ。
私だったら、物おじして、聞かずに進んで延々と何時間も間違った道を進みかねない。
とりあえず、ウブドは逆方向らしい。
ギャラリーの人に「絵を見ていかないか」と、言われるが
「Sorry, tired・・・」
と、断って再びずんずん歩く。

しばらくすると鬱蒼とした茂みに唐突に売店が現れた。
なんか買って行けと勧められたので、水を買う。
売店の人の趣味か目の前の木にはお手製のブランコ。
ブランコに座って記念撮影をして道を確認して出発。
331ブランコのり

しばらくすると今度はまた、小さなアートギャラリー。
だが、誰もいない。
何か買えと言われる心配がないので安心する。
アートギャラリーを通り過ぎると、茂みに、働いているのかぼんやりしているのか遊んでいるのか分からない男性が声を掛けてきた。
旦那さんがしつこく「ウブド?」と、道を聞くと、正しいはずの道なのに「No!」と言われる。
今までさんざんこちらだと言われてきた道が「No」なのか?
我々はちょっと慌てる。
男性はちょっと舛添要一似。
こっちだと指し示すのは明らかに私有地の様な畑の道。
「This way・・・go straight・・・down・・・river up・・・イバホテル」
イバホテルは聞いたことがある。
ここに出られるのなら、安心だ。
よくわからないけれど、ついて行く。
舛添似はアートギャラリーの人でもあったようだ。
絵を見ていかないか・・・と言われるが、また、疲れている・・・と断る。
そのまま明らかに個人の家の敷地内を通る。
犬に吠えられたりしながらどんどん下って行く。
通り過ぎた家を差して
「My house」
と、言ったり犬をいさめたりしながら、いつの間にやら大変な山道へ来てしまう。
彼は私達に名前を聞き、自分は「ムラー」と、名乗った。
旦那さんは彼のことを、先輩で私も1、2度会ったことのある村川さんに似ていると思っていたらしく「ムラー」と、聞いて吹きだしそうになったそうだ。
ムラーは下り坂を降りる時に私に手を差し出した。
困惑する。一応新婚旅行なのに、他の男性に手をひかれるのはいかがなものか?
しかも初対面で、 こちらも握りたいわけでも無い。
だが、差し出した手を拒否するのも失礼に当たるかも・・・
葛藤の末、「thank you」では無く、「sorry」と言って手をひいて貰った。
度々ムラーが手を差し出すから困っていると途中から旦那さんが間に割って入って、手を引いてくれるようになった。ちょっと安心。
旦那さんとムラーが同時に手を差し出した場合は旦那さんの手を掴むが、本当に危険な場所になると旦那さんも降りるのに必死だったりする。
そんな時にムラーが手を差し出す。
「ダイジョウブ、ダイジョウブ、ダイジョウブ、ダイジョウブ」
と、連呼しながら、手を引いたり危ない道を教えたり、この切り株を手に持って、足はここへ置け・・・と指示したり。
私はさっき疲れている・・・と言ったはずだが・・・
なぜこんなハードなコースへ来る羽目になってしまったのだろう。
今までのバリに限らず、どんな旅行でもここまで危険な道を歩く羽目にはならなかった。
意味が分からないが、絶対に転ぶわけにはいかない。
転んだらただ転げ落ちるだけのような斜面だ。
そこをムラーは裸足でずんずん歩く。
あまりに危険な道になると、私におぶさるようにジェスチャーし始めた。
これは・・・おんぶして貰ってよいのだろうか・・・。
だが、こんなところ自力では降りられない。
体力も使いたくない。
初対面の人に密着するのは嫌だが背に腹は変えられない。
ムラーに他意があるのか、全くの親切心なのかもよくわからない。
変に嫌がるのも失礼かも・・・。
しかし、生理的には抵抗がある。
ムラーは相当足腰が強靭なようで、おんぶが異常に上手い。
大体どんな力持ちの人でも持ち上げられたりおんぶをされると、こちらの方もどこか に負担がかかったり、ずり落ちそうになったり不自由なものだ。
だが、ムラーのおんぶは、背負われている方に何の負担もかからない。
毎日この斜面を裸足で駆 下りたり登ったりしているからだろうか。
インナーマッスルが強靭なのだろう。
外側の筋肉ばかり強い人は頑丈そうに見えても色々負担がかかっているのだ。
そういえばボイストレーナーの先生も登山が一番鍛えられるような事を言っていた。

その後ムラーは、我々を河のほとりへ連れて行く。
そして我々にこの河は凄い力が沸くから泳ぐように勧めた。
旦那さんも私も愕然とする。
水着も無い、そして、さっき疲れている・・・って・・・言ったはずなのに・・・。
「No, swim」
と、言うときょとんとしている。
泳がないなんて信じられないという顔だ。
それなら顔だけでも洗えと、勧めてきた。
仕方なく顔を洗うと私のメガネが河へ落ちてしまう。
反射的につかむことが出来たが、危ないところだった。

本当に泳がないのか?的なことを言って、河を去ることに。
すると驚くことに先ほど下った道を上り始めた。

え?あの危険な斜面は河を案内したかったからで、ウブドへ向かう道の途中じゃなかったの?

ただ疲れるだけだから、こんな斜面降りないでくれればよかったのに・・・。
だが、そういうニュアンスを伝えるすべは無い。

ムラーは相変わらず「ダイジョウブ、ダイジョウブ、ダウジィウブ」と、繰り返している。
多い時はダイジョウブを9回リフレインしていた。
今度は竹が6本分の細さの、いつ壊れてもおかしくないような橋を渡る。
ムラーについて行った旦那さんが「ここは踏んじゃダメだ!」と、凄い勢いでムラーに怒られていた。
どうやら、踏んでは壊れてしまうような場所がある橋のようだ。
慎重に綺麗な竹を選んで歩く。
そこからまた昇りだ。
ショックが強くて、却って気持ちがしっかりする。
今怪我をしたら、ただの馬鹿になってしまう。
これをオモシロにするには絶対に怪我をしないことだ、と普段とは別人のようなしっかりした気持ちが芽生えてきた。
ともすればフラフラしそうな足取りも、確実に一歩一歩足場を確認して滑らない確信を持ってから進んだ。
ムラーは唐突に山道の上りの途中で
「アトは・・・30m up・・・ go left・・・ rice view ・・・straight・・・ イバホテル」
と言って、我々を置いて行こうとし始めた。
びっくりする私達。
別にムラーと一緒にいたいわけではないが、こんな山の中腹のようなところに置いていかれても・・・。
不服そうな顔をすると、また少し斜面を登って案内していたが、もう自分は帰るというそぶりを始める。
そしてやはり
「30m up・・・ go left・・・ rice view・・・straight・・・ イバホテル」
と、繰り返した。
先程からずいぶん上ったけれど15mとかになってないんだなぁと不思議に思う。
ムラーは「シガレット?」と、煙草をほしそうな様子。
だが、我々は煙草は止めているので持っていない。
5000ルピーを渡してみる。
それでも「シガレット?」と、繰り返すのでもう5000ルピーと、 よくわからなくなって手持ちの紙幣を渡すと「これでタバコが買える」的な事を言って凄く喜んでいる様子だった。
旦那さんに握手を求め、私には手を差し出して、握手をしようとしてから、戸惑ったように止めた。
そして、キョロキョロしてから胸元で両手を合わせてお祈りをするように、手をこすり合わせていた。

ムラーと別れて道は分からないが、ほっともする。
30メートルどころでは無い距離を登りやっと道に出た。
その後、最初に会った人に旦那さんが道を聞くと、ムラーよりもっと細かく教えてくれた。
それにしても近そうに聞こえたイバホテルはどこなのだろう・・・。
素晴らしい景色は広がっている。
我々が歩いている道の両脇が谷底。
前方にはまだなんの建物も見つからない。

雷が鳴り始め、小雨もパラついてくる。
サーッと風が吹いた。間違いなく大雨が来る。
こんなところでずぶ濡れになりたくない。急ぐ。
ムラーと別れてから30分以上歩いて、イバホテルを忘れたころにようやくイバホテル前に着いた。
あんな近そうに聞こえたけれど、こんなに遠かったとは・・・。
というか そもそもムラーに会わなければもっと安全な道でのんびり帰って来られたのではないだろうか・・・。
ムラーはちらっと、自分が教えた道の方がロスが無い・・・と言っていた気がする。
ムラーにとっては平坦な道をのんびり行くより急斜面駆け昇ったり駆け下りたりする方が近いのかもしれないが・・・。

とりあえず、大通りに出られチャンプアン橋というどの地図にも出ている場所へ出たので安心する。
すでに雨に打たれていたが、急いで休めるお店を探す。
その途中で地獄の番人のような老人に地の底から聞こえるような声で
「ヘロ~~~!」
と、叫ばれ、手を差し伸べられた。
何か見てはいけない気がしたが顔が大変なことになっているようだった。
旦那さんに聞いたら顔に腫瘍のようなものがぼこっとぶら下がっていたらしい。
命からがら人里へ戻ったと安心したばかりの身にはハードコア過ぎた。

やっと、落ち着けるカフェを見つけ、休養する。

その後、再びハードコアな老人の前を通ってビンタン・スーパーへ。

車を拾って帰って休む。
ちょっとだけプールへ入り、明太子カルボナーラを食べに「アンカサ」へ。
この間の鈴木亜久里似の店員はいなかった。
感じの良い、日本語も少し話せる店員さんで、疲れた我々はほっとした。
明太子が上手いと言っているのにあまのじゃくな旦那さんはボロネーズを頼んでいた。
やはり私が頼んだ明太子カルボナーラの方がおいしかったが、旦那さんも満足しているようで安心した。
だが、去年あまりにもパスタのうまさに感激していたせいで、今回は前ほどの興奮はなかった。
おいしいと思って二度めに来ると、最初の時よりおいしいと思わないことが多い。
妄想や期待で実際の味よりおいしかった記憶になってしまうのだろうか?

旦那さんがパスタがおいしいからピザも頼みたいと、言う。
頼んでみると、これが・・・美味い。

ヴィラへ帰って再びチャングムを見るが、私は途中で寝てしまう。
やはり疲れたようだ。

またもや悪夢を見た。
詳しくは覚えていないが、旦那さんに、本当は結婚するつもりなどなかっただの、嵌められただの言われて、あまりの晴天の霹靂ぶりにギャグかと思って、
「でも、あの時、こう言ってたじゃない」
などと、それまでの良い出来事や旦那さんが前向きに語っていたことなどを羅列してみるが、冷たい顔で全部理詰めで返答されてしまう。
いよいよこれはギャグではないんだ、本当なんだ・・・と、思ったもののあまりの事態を自分で受け入れることができず、壁にゴンゴン頭を打ちつけるのだが、旦那さんは冷たい顔をして止める気配もなく、私は痛いのに頭を打ち続ける・・・という夢。

自分の「うわ~ん!」と、言う声で目が覚め、またまた旦那さんを起こしてしまう。旦那さんは親切に
「どうしたの?」
と、聞いてくれたのだが、夢での仕打ちで混乱していて疑心暗鬼。
こんな夢を見た!と、おいおい泣きながら話すと
「そういう夢は言うといいんだよ、言わないと本当になっちゃうからね・・・」
と、旦那さん。
おいおい、本当になる・・・って、そんな他人ごとみたいに・・・アナタのことですよ?と、軽くツッコミ気味な気持ちになるが、一応落ち着き、再び眠る。

それにしても、お芝居の台本でよく恋愛でエキセントリックになる女性を出してきたが、現実に自分が頭を打ち付けたりしたことは無かった。
前回も握りこぶしを床に打ちつける女性を出していたし、感情を移入したり想像して理解できると思ってはいたものの、自分でも「うわ、怖・・・」などと思いながら 作っていた。
でも、実際追い詰められた精神状態になったら、そういう言動をしてしまうんだなぁ・・・と実感した。

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・天国に一番近い海

今回は妊娠中なのでダイビングは諦めたが、シュノーケリングだけはやりたいと、ツアーを申し込んでいた。
数年前沖縄で初めてシュノーケルをやって、あまりの綺麗さと気持ちよさに驚き、自分でもびっくりするほど海好きになってしまっていた。
本当は新婚旅行で旦那さんとダイビングをしたり、海の中から月を眺めたりしたかったのだが、妊婦では無理。
普通に海で泳ぐよりはシュノーケリングの方が楽だし、魚も見られる。

旦那さんとは長い付き合いだが、一緒に海で泳ぐのは二度め。
一度目は、潜って旦那さんの足を掴んで驚かそうとしたら顔をクラゲに刺されてしまって、泣き叫びながら早々に海から退散していた。
どうしても一緒に魚を眺めたり海で波に揺られたりしてみたかったのだが、やはりちょっと心配。
ボートでポイントに行った方が、綺麗な海が見られるのは分かっていたが、休みたくなった時にすぐ休めないのは困る。
多少濁っていたとしてもビーチから入れる方がいい。
自分に気持ち良いことはニンタマにも良いはず・・・と思いながらも、これはワガママなのかしら?と、後ろめたくもある。

妊娠中に海外旅行というだけで、神経質な人からは非難ゴウゴウだ。
妊婦は「何かあったら責任とれるのか?」「命をなんだと思ってるんだ」と、他人のことなのに、ヒステリックに言われてしまうことが多い。
でも、自分の性格上、動けるうちにこれだけ好き勝手やったのだからと思う方が、先の大変な時期を頑張れる気もするのだ。
我慢ばかりしていたり、ストイックに頑張ったこと程続かない性分なのだ。
でも、本当に何かあったら、やっぱり無茶しなければ良かった・・・と後悔するだろうな・・・などと葛藤しつつもパダンバイのブルーラグーンビーチを見てしまうと心が躍る。

高熱を出した後の妊婦検診の時に見た、多動気味?というほど元気そうな姿や、他の胎児と比べたことが無いからわからないが、骨の脆い自分から出来上がっている生物とは思えないほどしっかりした骨格を思うと、何をやっても大丈夫なのでは?と思えたりもする。

本当にしんどかったら、すぐに止めようと決めて海へ。
午前中のせいか、まだ海は若干冷たい。
体力も落ちているので、すぐに波に流されそうな気もする。
だが、波打ち際を超えるとやはり生き返る気持ちがする。
気持ちが良い。
全く余計なお世話なのだが、この気持ちの良さを知らない人がいたら、全員に味あわせてその感覚を共有したい・・・という気持ちにさえなる。
正直、今まで見た海の記憶の中ではそれほど美しくはなかったが、それでもこんなに気持ちが良いのだ。
シュノーケルを咥えているからちゃんとは話せないが、ダイビングと違ってなんとなく会話じみたこともできる。
「アアイイ(可愛い)!」
「イエイ(綺麗)!」
「アアイアアナ(長い魚)」
「イアアイッアイ(イカが一杯)!」
などと、話しながらの、海中散歩。
ライフジャケットをつけているから、水面から顔をあげて普通にプカプカ浮いて
「メガネに水が入った」などとちゃんとした会話も可能。
ある意味ダイビングよりデートっぽい。
ちょっと疲れると二人で鼻歌を歌ったり、韓国ドラマ「天国の階段」の挿入歌「ポゴシプタ」を歌ったり。

気がつくとご機嫌なまま一時間経っていた。
少し休もうとビーチにあがるとやはり、体は冷えていた。
日差しが強いので日蔭にいたいのだが、寒いので炎天下のベンチで暖を取る。
体が砂まみれで日焼け止めが塗りづらい。
南国の海の日差しはすさまじい。
10分ほどの間に自分でも分かるほど体が焦げて行った。

これ以上焼けても嫌だと再び海へ。
海は温かくなってきたが、少し波が強くなってきた。
でも、先ほどより魚は増えた。

視界には、カラフルな魚、サンゴ礁、そして外からは波音と鳥のさえずり。

これは極楽だ。
間違いなく、人生でベストテンにランクインする幸せな時間だ。
330海

将来、私も旦那さんも二度と海外旅行が出来ない暮らしになるかもしれない。
「ケッ!海外旅行もしてないのなんて俺(私)だけだよ!なんでウチはこんな貧乏なんだよ」などと、反抗期の子供に悪態を突かれる時も来るかもしれない。
そんな時は
「お前は0歳になる前に外国に行って、しかも極楽のような海を泳いだんだよ~」
と、本人にとっては全然喜べない慰めを言ってやろう・・・。
そんな妄想をしながら、イカの大群を眺める。

再び気付くと小一時間泳いでしまった。
ビーチへ戻るとさすがにぐったり。
砂だらけの体を洗い、昼食を食べる。食べると少し元気になる。
330朝ご飯

帰りの車で、イエロースキューバのスタッフのプトゥさんが、我々が楽しめるように行きと違う景色の美しい道を通ってくれていたようだが、激しい睡魔に襲われ、ほとんど眠りどおしだった。
東京では不眠症だったのに、こちらに来たら毎日凄い良く眠れる。
夜24時には寝て、朝の6時には鳥のさえずりで目を覚ます、という気持ちのいいサイクル。
無理だとは思うけれど、東京でもこのように暮らせたら・・・と思う。

バンガローへ戻り、昨日チラシでチェックしたマッサージの店へ。
予約も入れずに行ったら、混んでいて
「Full」
と、断られてしまう。
近場に数件マッサージ屋があり、1時間6万ルピーの店へ入る。
妊婦であることを告げると大ベテランみたいな人がついてくれた。
昨日は強めのマッサージだったが、こちらは痛くないが気持ちいいとい絶妙な力加減。
大ベテランのおばさんは熱くなったらしく、扇風機を持ち込んだが、私はパンツ一丁。
ジェスチャーで
「あなたは扇風機あたって下さい。私には当てないようにお願いします」
と、伝えるとベテランおばさんは
「それなら、私も 当たらないわ」的な事を言ってスイッチを切った。
その後、このベテランおばさんから突然「ボッ!」という音がした。
びっくりしてきょろきょろしたら
「Sorry」
と、言われる。どうやらオナラの様だった。
私も普段からマッサージをされるとオナラがしたくなったらどうしたらいいのだろう・・・と、いつも心配になっていた。
この時も大丈夫ではあったが、その心配をしていた矢先に「ボッ!」だ。
妙にほっとした気持ちになって
「OK、OK」
と、言うがベテランおばさんは複雑な顔。

マッサージが終わると、絶対に読まないような日本語の小説を2冊プレゼントされた。
帰りに旦那さんにオナラの件を話すと、普段気功的なことを信じない方だと思っていたのに
「そっちが便秘してたから、代わりに悪いもの出してくれたんじゃない?」
と、言い始めた。
確かに私が今まで出会った腕の良い整体師さんは人の体を触るとやたらゲップをしたりして、「これは自分じゃなくて、あなたの体から出てきたもの」だと、言っていた。
考えてみたら、オナラを気に病ませてはいけないと思って「OK,OK」と、言ったら、あのベテランおばさんは複雑な顔をしていた。
あれは「これは私のオナラじゃなくてあなたのなのに・・・」と、思っていたのだろうか?
確かに腕はいい気がした。
だんだん本当にそんな気がしてきた。

その後、前日に予約を入れていたベベック・ブンギルと言うアヒルの料理を出してくれるお店へ。
ベベック・ベトゥトゥという、長時間蒸したアヒルの料理は予約をしなければ食べられない。
だが、色々な所から絶品という噂を聞いていた。
このコースを予約すると、ベベック・ベトゥトゥと、サテ、蒸したインゲンやらの野菜をココナッツ風味に和えた野菜、米、ミックスフルーツジュースなどが出てくる。
バリのお店にしては高いけれど、日本で普通に外食をしたら決して高くは無い値段だった。
水田や庭の木々を見ながらごちそうを味わう。
これが・・・本当に本当に美味!
「お腹がいっぱいにならなければいいのに・・・!」
と、何度も何度もつぶやきながらガツガツ食べる。
おいしいものを食べると俄然テンションが上がる。
330ごはんを前に

願いが通じたのか、大量に食べたのにそれほど満腹にもならなかったのでキャロットケーキも頼む。
去年、ここでお茶だけした時に親友が頼んでいたのだ。
一口だけ食べさせて貰ったおいしさが一年以上経っても忘れられず、注文したのだ。
確かにとてもおいしかったが、去年は焼き立てだったのか温かいケーキだった。
今回はしっかり冷やされていた。
温かい方が美味かったかも。
でも、一年越しの思いが叶ったので満足。

帰宅後、旦那さんの方から
「チャングム観よう」
と、言われる。
2話分観て、就寝。

悪夢で夜中に目が覚める。
よく自分では無いキャラになっている夢を見るのだが、今回は神話時代に生きているキャラの設定であった。
あまりにも楽しく暮らしているので神の怒りに触れて
「お前から子供を作る能力を永遠に奪ってやる・・・!」
と、罰を与えられるのだ。
「うわ~!」
と、叫んで飛び起きる。
旦那さんもびっくりして
「どうしたの?」
と、聞かれる。夢の話をすると
「悪い夢は話すと反対になるから大丈夫だよ」
と、宥められ、落ち着いて再び寝る。

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・ウブドを食べ尽くせ

モーニングサービスで玄関前の小さなベンチとテーブルで朝ごはん。
隣の部屋のカップルも同じ時間に朝食を頼んだようだ。
ヴィラの間にはついたてがあるのだが、微妙な大きさで、お互いのベンチが向かい合わせでほとんど丸見え。
ちょっと気まずい。
うすら笑いで適当にお茶を濁す。
328庭

旦那さんの最後のスキューバ海洋実習の日。
部屋で一人でいると、室内清掃の時などどうして良いか分からないので、PCを持って外へ。
偶然読んだ現地のフリーぺーパーで明太子カルボナーラがおいしい「アンカサ」が移転したと書いてあったので、場所の確認をしつつお茶をすることに。
町の中心からは少し外れたが、宿泊しているバンガローから近くなった。
それでも炎天下の中、モンキーフォレスト前を通りぬけて歩いて行くのは結構きつい。
汗だくになって、アンカサを発見したが、まだオープン前の時間だった。
途方にくれていたが、店員さんはいる様子。
「Closed?」
と、聞いてみたら
「OK」
と、言ってくれたので入ることに。
だが、その感じの良い店員さんはすぐにどこかに行ってしまった。
そして、鈴木亜久里に似た愛想の無い表情の読めないボーイさんのみになる。
私がオープンの時間より早く来たので、仕事が増えた気がして不愉快なのか、元々愛想が無いタイプなのか、お茶やケーキを運んで来てくれた時に
「Thank you」
と、言ってもギロっと睨むだけ。
PCを広げたら明らかに舌打ち。
怖い・・・。
だが、ケーキもゆっくり食べ、お茶もゆっくり飲み、少なくても1時間はねばろうと頑張る。
トイレに行く時もギロっと睨まれたような気がする。
頑張って1時間半粘ったが、飲み終えた途端にお茶も持って行かれる。

いたたまれない。

もう、部屋の掃除も終わっているだろうと帰ることに。
会計をしている時も緊張して数字の単位が分からなくなる。
よくわからない札を出し、よくわからないおつりを貰うがカウントできない。
びびりながら、わけもわからず再び
「Thank you」
と、言うと、その店員は初めてちょっと笑った。
だが、半ば冷笑という感じだった。
打ちひしがれて、トボトボ帰る。

コンビニでチョコレートのバーを買い、食べつくして昼寝をしていると旦那さんが帰ってきた。
「あれ?早いね」
「早く帰ろうと思って、お昼ごはん貰わないで帰って来た」
こんなに早く帰ってくると思っていたら、ケーキやチョコレートを食べずに待っていれば良かった。
だが、満腹というわけでは無い。
ちょっと休んでから散歩がてら、旦那さんがスキューバのインストラクターさんから教わった山羊のサテの店へ行くことにした。
王宮の前の通りを前に行ったスーパー、デルタ・デワタ方向へ行く途中にある店で肉がぶら下がっているらしい。
店の名前は聞いたけれど忘れたそうだ。
見つけることができるのか不安だが、わからなければ適当にどこか入ろうと、出かける。
「確かCup・・・なんとかって名前だと思うけれど・・・」
と、旦那さん。
肉がぶら下がっていて、結構にぎわっている「MADURA」という店はあったが、Cupなんとか・・・という名前では無い。
もう少し先へ歩くと店は全くなくなる。
やはりさっきの店か?・・・と引き返して入ってみる。
トイレを借りたかったが、トイレは貸していなくて入れなかった。
どうやらメニューは一律で入ったら同じものが出てくる様子。
スープとご飯とサテのセット。
これ結構なボリュームじゃない?入るかしら?と、心配になったが、ペロっと入ってしまった。
しかも全然満腹にならない。食欲をそそる香辛料が入っているからだろうか?
スープも美味ければ山羊の肉も臭みが無くて美味い。
サテのソースも八丁味噌のようで食べやすい。
トイレは貸してもらえなかったけれど、「エナスカリ(おいしい)」と言うと、凄く喜んで、写真撮影にもニコニコ応じてくれた。
328記念撮影

尿意のせいか疲れのせいか、膀胱やら下腹部あたりに変な感触が走り、ニンタマ (胎児名)が大丈夫なのか心配になる。

その後、散歩をしているとマッサージに勧誘される。
マッサージ1時間5万ルピー。ほぼ500円。
トイレも行きたいし、横たわりたかった。
お腹を撫でて
「ベイビー、OK?」
と、言うとうつ伏せにならない姿勢でマッサージしてもらえた。
パンツ一丁でオイルを塗りたくられてのマッサージ。
初対面の人の前で半裸は恥ずかしいが、気持ちいい。
つい眠りこけてしまう。
隣で旦那さんも眠りこけていた。
旦那さんはうつぶせから仰向けに体勢を変えるために起こされたとき、ガバッと慌てて起きて足を打ちつけて笑われていた。
すっかり代謝が良くなり、リフレッシュした。

ゴータマ通りにあるデワ・ワルンへ。
ここは去年も来た店だが、安くて美味い。
旦那さんもインストラクターに「豆腐カレーとかカレー類がうまい。スパゲッティはやめた方がいい」と聞いていた。
豆腐カレーは売り切れていたのでテンペカレーを頼む。
あと、酢豚に似た炒め物。
隣にマイク真木のような老紳士が来て、ガドガドを頼んでいた。
バリに来てガドガドは何度か食べていたが、ここのガドガドが一番おいしそう。
今度はあるのか分からないが、いつか頼んでみたい。
マイク真木似の紳士に「ジャパニーズ?コリア?」と話しかけられ、頼んだ食べ物はおいしいか?と言ったようなことを聞かれる。
旦那さんは英語で話しかけられてもほとんど日本語で返すが、私の小声でぼそぼそ自信無さ気な英語より確実に通じている。
旅行に来ると、「言葉が話せなくても気持ちがあれば通じるんだな」と、思ったり
「やっぱりちょっとでも話せなきゃダメだ」と、思ったりを繰り返す。
以前この店に来た時も長くバリに滞在しているおじさんに話しかけられた。
自分も一人で長く滞在していたら、誰かと話したくなり、見知らぬ旅行者などにも話しかけるのだろうか。
バリの人も言葉が全く通じなくても、ベラベラ話しかけてくる人が多い。
分からなくても、我々のようにどうしたらいいのだろう?と、ドキドキしたりしないようだ。
とりあえず、何でもいいから話す。
聞いたことの返答が分からなくても、話しかける。
誰にも聞こえないような英語をぼそぼそ話してはうすら笑いを浮かべる挙動不審な自分を思うと、ちょっとうらやましい。

この日バリに来て初めてDVDを見る。
私は10話位まで見ていたが、旦那さんと一緒に「宮廷女官 チャングムの誓い」を頭から観始める。
人気があるだけあって、やはり面白い。
自分たちがハイレグジーザスの公演で下ネタを連呼したり、客席に奇声をあげて乱入したりしている頃に生まれた子役が、実に良い芝居をしている。
子役の芝居に何度も泣かされる。
あの頃から何の進歩もないような気がする自分達。
やってきてしまった過去は仕方がないが、こんな子供を見てしまうと人生の敗北者のような気持ちになる。
もはや負けていることを辛いとも思わなくなり、意外と平気なものだなぁと驚いてもいるのだが・・・。
バリに来てまで韓国ドラマを観なくても・・・と思うが、毎日出歩いていたのでちょっといい骨休めにもなった。

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・ウブドへ

サヌールからウブドへの移動日。
素敵なヴィラとは今日でお別れ。
ウブドで宿泊するバンガローは、日本人のオーナーがやっていて、日本語がある程度通じるが、ここまで自然が沢山あって広くはない。
チェックアウトまでどこへも出かけず、庭の見えるバレで昼寝をしたりヴィラを満喫する。

328木に動物
庭の木には頻繁にリスが訪れる。
寝ながらリスが見られるなんて・・・と、α波全開。
成田の貨物便事故のせいで、ここでの宿泊が一日短くなってしまったのが非常に残念。

一番お世話になったフロント係の人にチップを渡しそびれてしまう。
チップはどう渡してよいか、いつも困ってしまう。
あげなくてもいいような人にあげてしまって、あげた方が良い人に渡しそびれたり、渡すと嫌な顔をされた気がして気に病んだり、あげなくて嫌な顔をされたのかと思い悩んだり。
慣れていない馬鹿な客だと思われてもその通りなので仕方がない。気にしないようにしよう。

ウブドへ移動。
パンがおいしいと言われるカフェを経営しているバンガローへチェックイン。
目の前にプールがあるプールサイドヴィラ。
小綺麗だが、バリらしさや自然は少ない。
普通に私たちが普段住んでいる部屋の敷地よりは全然広いのだが、前のヴィラがあまりにも広かったので
「こんなに狭いんだ・・・」
と、旦那さん。
前から、
「サヌールのヴィラが広くて素敵だから、ウブドに行ったら狭っ!ってがっかりするんじゃないかなぁ?」
と、何度も言っておいたのだが、ピンと来ていなかったらしい。
気を取り直して
「でも、素敵だよ~」
と、部屋をじっくり眺める。
薄暗いので木材で出来たブラインドの角度を変えようとしたら、いきなり角度を調節する棒が取れてしまう。
びっくりするが、旦那さんがいじったらなんとか元に戻った。
だが、触るたびに取れそうになるので滞在期間中は触らないことにした。
バスルームをいじっているとタオルハンガーがカラーン!と、落ちてしまった。
「なんだろう・・・。湿度が高いから壊れやすいのかね~」
「見かけ倒しだなぁ・・・」
どうやら排水の調子もおかしい。段々面白くなってしまう。

とりあえず、ウブドの王宮があるところまで歩こうと、ハノマン通りを歩く。
20分ほど歩きラヤ・ウブド通りへ。そのまま散歩。
疲れたら、お気に入りのカフェやワルンでお茶や軽食を取って休めば良いと思っていたが、3軒ほど行ってみるとどこもお休み。
近所の人が「今日は閉まっている。明日からはやっている」という様なことを教えてくれた。
どうやら28日までお盆のような期間らしい。
旦那さんが直感で入ってみたいと言うヘルシーカフェへという店へ入ってみる。
何を頼んでも米がついて来てしまうので、かなりお腹いっぱいになる。
去年行った「アンカサ」というカフェの明太子カルボナーラが絶品だったから、そのうちぜひ食べたいと旦那さんに力説すると、旦那さんは胡散臭そうな顔になる。

「俺、基本的にスパゲッティってあまり外で食べないから、どこで食ってもウマいって思っちゃうと思うんだよね。ここにもスパゲッティのメニューがあるから、ここのも食べて食べ比べてみない?」

え?まだ食べるの?
正直、お腹いっぱいなのだけれど・・・。
凄いおいしい訳でも無いこのお店でそんなに沢山食べたら、夜何も食べられなくなるし、太り過ぎてしまう。
おいしいものを食べて太るなら本望だが、惰性で食べるもので太るのは不本意だ。
私が明らかに乗り気でない顔をしているのを見て、旦那さんも
「そんなに嫌な顔するならいいよ」
と言うが、明らかに不満気。
旦那さんの気持ちも分かる。
私が過去にバリへ行った知り合いや友人の情報、ネットで調べた情報ばかりを鵜呑みにして、自分で開拓したわけでは無いのに、ウマいウマいと言っているように感じているのだろう。
だが、私も人が勧めたものでも「大したことない」と思うこともあるのだ。
今回おいしいと言っているのは、友人情報+自分の体験なのだが、こればかりは実際に食べてもらわなければ納得して貰えない。
ここは気の済むようにしてもらおう。
「私はお腹いっぱいだけど、一人で食べきれるなら頼むといいよ」
旦那さんはマリナラとかいう名前のパスタを注文。
店員さんが
「more?」
と、相当驚き、旦那さんの体を指さして
「Big!」
と、笑っていた。
こちらではデザートやコーヒーなど以外で料理の追加注文をすると、店員さんが「まだ食うのか?」「今からまた?」的な顔をしたり、計算が分からなくなるのかメモをしたはずなのに何度も注文を確認に来ることが多い気がした。
大体の客は一度に注文するようだ。
だが、こちらは英語のメニューもよくわからない。
どんなものがどのくらい来るのか確認しながらチビチビ頼まないと心配なのだ。
無理にこちらの流儀に合わせず、居酒屋文化で培われた注文の仕方で押し通そう。

この店のマリナラというパスタはまずくは無かった。
だが、家庭で食べるスパゲッティという感じ。
店で食べるパスタという感じでは無かった。
家でカルボナ―ラを作って失敗したみたいに卵に火が通り過ぎていり卵状態になっている。
初めて遊びに行ったボーイフレンドなどの家で彼お手製として出されたら、「おいしい、おいしい!」と、絶賛するだろう。
だが、これが自分の身内が作ったものだったら
「普通においしいけど、卵に火が入りすぎだよ。卵入れる前に、火は止めなきゃ」
などと、ウンチクを言ってしまうだろう。
明らかにアンカサの方が美味いぞ!と、勝ち誇った気持ちになる。
気持ちに余裕もできたので、
「割とおいしいね~」などと言ってみたり。

そのままデルタ・デワタというスーパーまで歩く。
かなり遠く感じて、尿意に悩まされる。
喫茶店やホテルがあったら入らせてもらおうと思うが、無い。
旦那さんが草むらで用を足すのを羨ましく思う。
もっと山道や田舎道だったら私も道端で出来るのに、ここでは無理。
スーパーまで頑張って歩く。
よろよろした足取りでスーパーのトイレを探す。
敷地内の外にあるローカル度の高いトイレを発見。
案の定紙はなく、水桶を使うタイプ。
水桶には慣れたが、びしょびしょのまま下着を履くのには慣れない。
ポケットティッシュが必需品。
元気な時はこういうトイレもエキサイティングだが、疲れていたりすると普通の水洗トイレが恋しくなる。
スーパーでチョコチョコ買い物をして再びウブド王宮まで戻る。

レゴンダンスやケチャなどのダンスのチケットをやたら売りに来られるので、タマン村のケチャを見ることにした。
以前はたくさんのショーを見たが、私はケチャが一番面白かった。
なんとなく昔のハイレグジーザスの男子のネタを思い出す。
目を見開いた上半身裸の男性達が腰を落として、両手の平をひらひらさせながら、
「クヒ~~~~ッ」
などと変な息遣いで登場したり
「チャッチャッチャカチャカ」
と、大勢で唱えて円陣を組みながら体を揺らして踊ったり、一人だけ
「パーン、パーン」
と、叫んで拍子をとるパートの人がいたり。
「チャカチャカ」唱える人は大勢いるので、疲れたらちょっと手も抜けるけれど、「パーン、パーン」と、拍子を唱える人は絶対にさぼれない。
だが、チャカチャカしか言わない人より明らかに地位は高いはず。
上の人に「お前そろそろパーンのパートをやってみないか」などと言われて、ライバルとその地位を競ったり、「プトゥ(適当な名前)のクヒーって登場が最高だから皆見習うように」と、皆の前で手本をやらされたり、一人ずつ登場のシーンをやらされたり・・・と稽古風景が目に浮かんで楽しい。
周囲を見回してみると、隣のヴィラのカップルも観に来ていた。
初めのうちは興奮しながら見ていたが、後半凄く眠くなる。
疲れもあるけれど、とにかく長いのだ。
これ、半分の長さだったらいいのに・・・と、演劇を見て思う様なことを思った。
最後に石油をかけたココナッツの殻を燃やして、燃え盛る炎の上を、人が馬に扮して裸足で蹴散らしたり、踏みつけたり・・・というかなり土着的なファイヤーダンスもあった。
最前列に座っていたら火の粉を被りそう。
これもハイレグを思い出した。
客席にコショウやら水やら排泄物やら飛ばしまくっていたが、どこの国にもそういうのを迷惑に思う人もいれば、喜ぶ人もいるようだ。
明らかに目の色を変えて、不快そうになる人と興奮して大喜びする人。
ダンスだけを楽しむというよりは稽古風景やら、昔を思い出したりして楽しかった。

その後、カフェへ入り、ホテルの車で迎えに来てもらう。
どうやら隣の部屋の人がダンスの後の迎えを頼んでいたらしく、車はすぐそこに待機していた。
お茶を飲む間もなく、車に乗り込む。

風呂に入ると、バスタブの水がなかなか排水されないことが判明。
他の故障は大して気にならないが、こちらはちょっと問題。
明日、フロントに訴えなければ。

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・焦がして落として

夜中の3時頃に一度目を覚ますが、まだ真っ暗。もう一度寝る。
明け方に大雨と雷。嵐が訪れた。
ヤシの木が揺れて食虫植物のようにのたうち回っている。
なんだが厳かな気持ちになる。

6時近くになると急に嵐が止んだ。
しばらくの静寂の後、鳥のさえずりが始まり、夜が明け始めた。
6時過ぎたら、ニュピは明ける。外にも出ていいらしい。
だが、勝手がわからない。
「わ~い!」と、散歩に出かけて自警団につかまってしまったら・・・と心配でしばらく外の気配を窺っていると、急に車の走る音やクラクションなどが聞こえ始めた。
うるさい音では無く、普通に一日中聞こえていた音だったが、町全体から音が無くなるとそんな音でもかなり賑やかに聞こえた。
音が無いって 状態は音が聞こえてから分かるのだなぁと実感。

そのままビーチへ。
3日目にしてやっと旦那さんと午前中にサヌールを散歩。
波打ち際を裸足で歩いたり、蟹を捕まえたり。

ヴィラへ戻り、軽く自炊。
フルーツとスクランブルエッグとソーセージで朝食。
旦那さんはスキューバダイビングのプールと海洋実習へ。
温かいお茶でも飲もうと鍋で日本から持ってきた舐茶を煮出すことにした。
15分煮込む間に荷物整理。
気付くと水はすっかり無くなり、鍋は黒焦げになってしまった。
焦って、スポンジでゴシゴシ洗うが全く落ちない。
後で金たわしを買うしか無い。それで駄目なら鍋を買おう。

お茶はあきらめて部屋でのんびりしていると、ホテルの人がやってきた。
「Good morning・・・マダム・・・」
以降ベラベラしゃべる続けるが何のことやら一向に分からない。
おそらく昨日はニュピだった、なんとかかんとかでなんとかかんとかで、だから・・・なんとかかんとかなのです・・・ って言う様な文脈で話している様子。
なんて言っているんだろう?マダムって私?
と思いながら、ワケの分からない顔をしていたらホテルの人は私が何も理解していないことを把握したようだ。
やれやれという顔で
「After 1 hour , No electric」
と、言った。
よくわからないが、1時間は電気が使えないのね?と、出かけることにした。

フロントに電話してハーディススーパーまで車で送ってもらう。
車に乗り込むと運転している少年が
「アルディス・・・」
と言うので、何のことだか分からず
「アルディス?・・・」
と、聞くと彼が頷いたので一瞬彼の名前がこちらでは珍しいがアルディスと言うの名前なのか?と勘違いして
「オ~!アルディス!」と、彼の方へ手を差し伸べたが、彼はその後無言。
あれ?こちらの人は「ハーディススーパー」の事を「アルディススーパー」と、発音するのかも・・・と、思いあたり、恥ずかしさでいっぱいになる。
車内で一度メガネを落としてしまって、降りる直前に拾った。
こういう不注意は気をつけなきゃと気を引き締めてスーパーへ。

店内に入ってメガネをかけようとすると、すでにメガネが無い。
また落としたのだろうか?
こちらのスーパーは店内が薄暗いので、メガネが無いと良く見えない。
このままメガネが出て来なかったらどうしよう・・・。
旅行の間中星空も素敵な景色も見えないまま過ごすなんて・・・と、車から降りてからの道をくまなく探すが見つからない。
しょんぼりしながらスーパーをウロウロする。
まずは金タワシを買う。
そして、こちらで購入したワンピースが透けないようにスパッツ購入。
あと、室内履きになりそうなサンダルも購入。
元気が無く、つい値切り忘れ、東京でも別に安くないような11万ルピーで買ってしまう。1100円相当だ。

スーパーを出て、ガイドブックに載っていた、のんびりできそうでケーキが美味しそうなカフェを目指す。すると、お休み。
ネットで良さそうな石鹸を売っている雑貨屋があると調べていたのだが、それも見つからない。
空腹と日差しで疲れてしまい、一人でも入れそうなサンドイッチ屋へ入る。
軽くキャロットケーキを食べるが、空腹が収まらない。
サンドイッチも食べる。
富岡多恵子の小説を読んで涼んでいるとカフェの外からバイクに乗ったお兄さんがこちらを食い入るように見てる。
「コンニチワ」
と、声をかけられる。
きっとバイクで旅行者を送り迎えするのを仕事にしている人だろう。
店から出る時に声をかけられるなら良いが、疲れ果てて休んでいる時に商売っ気のある話をされるのはしんどかった。
本に夢中で気付かない振りをする。
疲れているのに、これでは休みにならない。
今度は店員さんが日本人?どこのホテルに泊っているのか?などと話し掛けてくる。
この人に返事をしたら、外から此方を窺っているバイクの人の応対もしなければならなくなる。
だが、無視するわけにも行かない。
「日本から旦那さんと来ていて、○○ヴィラに泊っている」などと答えると、案の定バイクの人からもベラベラ話しかけられてしまう。
やはり、送迎の売り込みだった。
先程行ったスーパーがかなり至近距離だったので本当はもう用は無いのだが、「スーパーに行きたい」と言う。
それでは送迎は必要無いとわかったらしく、それ以上押してこなかった。

旅行慣れしている人なら、こんなことはなんてこと無いのだろうが、私にとっては日々小さなピンチだ。
もっと一人で散歩を楽しもうと思っていたが、帰ることにした。
歩いて帰るには遠かったが、ヴィラに英語で電話をかけて、迎えに来てもらうのも面倒でトボトボ歩く。
やっとの思いでヴィラへ戻る。

疲れてソファで寝ていると誰かが敷地内へ入ってきた。
ヴィラの人にしては声も掛けないし変だと思っていたら、旦那さんだった。
プールと海の実習で9時間はかかると聞いていた。
帰りは夕方だと思っていたのでびっくりする。
まだ昼過ぎだ。そんなに飲みこみが早かったのだろうか?

短い間に鍋を焦がして、メガネを失くした報告をした。笑われる。
買ってきたタワシで旦那さんがこすってくれたが、焦げは落ちない。
もっと強力なタワシが必要だ。
「広い家には住めないね。小さい家じゃないと焦がしても気づかないからね」
広い家に住む予定もないが、いつかは住みたいものだと妄想していたのでしょんぼりする。

昼寝をしてからビーチへ散歩。
良いお店があったら、何かつまんだりした後にスーパーまで行って、何か食材を買って自炊しようと話していたが、何もつままないまま相当歩いてしまった。
ビーチから通りへ抜けるととっくにスーパーの場所を通り過ぎていた。
それで路線変更して魚料理ならこのワルン!と、ネットや現地の人に評判の「WAPO」という店を目指すことにした。
だが、その場所まで行ってみると立て壊した建物があるだけだった。
仕方なく近場でおいしそうな所へ入ることにした。
道の途中でかなり人が入ってにぎわっているワルンがあったので、そこへ入ることに。
なんて名前 のワルンかと見てみると「WAPO」と、書いてあった。
どうやら地図がいい加減だったようだ。
注文した品が出てくるのが遅いし、接客態度も全く良くないが、確かに凄くおいしい。
「結果オーライだね」と、いいながらむさぼるように食べる。
隣のテーブルに来ている食べ物が、どのメニューなのかさっぱりわからないが、べらぼうにおいしそう。
隣は白人男性3人とバリの女のコ一人。
そのウチの太った男性とバリの女のコはどう見ても出来ていた。
かなりオープンにイチャついていた。
一つしか無いトイレにも二人で入っていた。一体何をしていたのだろう。

食後の散歩にスーパーへ。強力なタワシを購入。
タクシーでヴィラへ。
フロントで
「Maybe I left my glassies in this car」
と、メガネの事を聞いてみる。
すると、先ほど送ってくれた少年がメガネを持ってきてくれた。
二人で大喜びをして
「テゥリマカシ~~! Thank you !」
を連呼。
部屋へ戻って、強力な金タワシで鍋をこすると大分綺麗になる。
メガネも出てきて、鍋も綺麗になってほっとする。
327夕日

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・静かな一日

326朝ごはんニュピ当日。
こちらに来てからは、いつも鳥のさえずりで目が覚める。
朝の6時ごろから目が覚めるが、起きてもホテルの外へは出られない。
ゴロゴロする。
ホテルのレストランへは行けないが、朝食のルームサービスを取る。

326プールサイドホテル内のプールで泳いでもよいとのことなので、プールサイドへ。
年配の白人のご夫婦が2組ほどいた。
旦那さんの一人が
「Hello」
と、声をかけて来たので、うすら笑いでご夫婦達に挨拶を返すが、他の人達にはシカトされた。
滞在が長そうな人達ではあったが、こちらも宿泊客。遠慮せず泳ぐ。
以前一緒にバリに来たノムコがプールでバタフライを披露してくれたのを思い出して、旦那さんに
「バタフライ出来る?」
と、リクエストしてみた。
「一応」
と、バタフライを始める旦那さん。
感心して眺めていたが、凄い勢いで水しぶきが飛び散る。
プールに浸かったり、ゴムボートに乗りながら読書をしていたご婦人方にも水しぶきが跳ねる。
ちょっと顔をしかめるご婦人方。
その後も旦那さんは外からプールに飛びこんで凄い勢いでクロールをしたり、潜水をしたり。
私もクロールや潜水でガンガン泳ぐ。
スポーツジムのプールと違って、コースを黙々と泳がなくて良いので、気楽にプカプカ浮いたり、もぐったり、非常に気持ちが良い。
マタニティスイミングというのがあるだけあって、妊婦に水中は合っている気がした。

白人夫婦達は、泳ぎ続ける私たちを「ガッツいて泳いで、エレガントじゃないジャップ」と、思っているかもしれない。
一方彼らは何故か日蔭に入らず火傷しているかのように肌を赤くしながら炎天下で寝そべったり、読書したりおしゃべり。
何故か付け髭をつけて浮き輪にもたれている人やら、プールに入りながらも煙草を吸い、一心不乱に読書をしている人やら。
読書が大好きなインテリ層な様なのに、プールにつかっている時まで煙草を吸っていたり訳が分からない。
確実に灰を水中に落としている。
そして、我々黄色人種より皮膚ガンになりやすかったり、皮膚も弱いだろうにビキニ の紐をおろしてまで焼きまくっている。不思議。

お昼になると皆自分たちのキッチンで何かを作って食べていた。
ちらっと覗いてみると、凄い数の皿や調理器具を持ち込んで完璧に自分たちの家状態。
今までの旅行ではもっと安いホテルやヴィラに泊っていたが、一応新婚旅行。
一泊75ドル程度まで張り込んでいた。
長期滞在となったら、もっと安いロスメンや田舎で数か月単位で格安のキッチン付きの部屋などでなければ不可能だ。
どんな仕事をしていて、どういう収入が入っている人達なのだろう。

我々も自炊で昼食。
台所には以前来た宿泊客が置いて行ったらしいフライパンと鍋が一組ずつ。
いずれも蓋は無い。
油も調味料も一切無かったので、 ガーリックと塩味の利いたバターを買って、やりイカの入ったトマトの缶詰を炒めたソースでパスタ。
家で食べたら失敗と思う味だったかもしれないが、限られた材料で旅先・・・。
なんでもおいしく感じた。

滋賀県での結婚式から帰って来た翌日あたりから、お腹で何か動いている気配を感じていたが、腸が動いているのかも?と思ったり、胎動かもと思ったりしていた。
だが、泳いでプールサイドでのんびりしていると、やはり何か動いているような気がする。
「金魚がはねているような感じがあるけれど、うんこかなぁ?」
と、旦那さんに聞いても分からないのに聞いてみる。
「わからないけど、きっとニンタマ(いつ呼び始めたのかわからないが、胎児名)じゃない?」
「うんこにしては動きすぎな気がするんだよね」
旅先では便秘がちになり、腸の活動が鈍くなるので、こんなに動くはずが無い。
気のせいかもしれないが、ニンタマだと思うことにする。

午後3時過ぎまで泳ぎ、風呂で温まる。
旦那さんはスキューバダイビングの学科の勉強や宿題。
私はガイドブックやバリには全く合わない富岡多恵子の小説を読む。

かなり薄暗くなって来たので、寝室のカーテンを閉め、鏡台の明かりと、ベットサイドのスタンドを点ける。
隣の使っていない寝室から座イスを運ぶから一緒に持ってと言われ、運び始めるが、かなり重い。
妊婦なのにこんな重いもの・・・と思うが、一人では絶対に運べない。
大きくて出入り口でかなり苦労する。
無理やり入れようとして押したり引いたりしていたら、後ろのソファーにぶつかり、後ろ向きにコロンと倒れてしまった。
びっくりしたが、ダメージは受けなかったので安心する。何とか運びこむ。

しばらくすると、ヴィラの人がやってきて、明かりを一つにするように言われる。
大概、ホテルなんて、全部の明かりを煌々とつけても薄暗い。
それが一つだけになると、イライラするほど暗い。
でも、一日の辛抱だ。
「室内なら点けててもいいと思ったけれど、結構厳しいね・・・」
急に夕食が心配になる。
キャンドルを持って行き、蚊にたかられながら、再びパスタソースを作る。
今度は巨大なイワシがボコボコ入ったトマトの缶詰を使う。
テーブルの無い寝室の床に広げてキャンドルの明かりで食べる。
劣悪な状態だが、イベント感があっておいしく感じる。
旦那さんが宿題を終えると再びヴィラの人がやってきて、もう電気はすべて消すように言われる。
この時点で20時。
隣の若干大騒ぎしていたご夫婦達も注意を受けたのか、静かになった。

「宿題とご飯が終わってからで良かったね」
「本当に思ったより厳しいんだね」
「もう、おとなしく寝ようか・・・」

夜中にトイレに行きたくなると困るので、枕もとにライターとキャンドルを置いて、寝床へ入る。
本来は火も明かりも使わず、ご飯も食べず瞑想に耽る日だと言う。
だが、前日には旅行者だけでなく地元の人も凄い量の食材を購入していた。

いつもは近所のレストランの音楽がガンガン聞こえていたのに、静寂。
トイレに行く時に薄明かりで見える庭の巨大な椰子の木が魔物のように恐ろしく見えた。
時折稲妻が走り、景色が一瞬だけ見えるのだが、昼間は気持ちの良い自然が襲いかかってきそうな禍々しいモノに見える。ドキドキした。

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・バリでの出来事

7時にヴィラのレストランで朝食。
私がナシゴレンで、旦那さんがアメリカン・ブレックファースト。
おいしいのだが、かなりのボリューム。
フルーツやらバナナを揚げてチョコレートをかけたデザートなどは残念ながら食べきれない。

7時30分、以前お世話になったイエロースキューバから迎えが来る。
今回、私は潜れないのだが、旦那さんにライセンスを取得して貰いたいと思っていたのだ。
一緒に事務所まで行き、旦那さんは学科講習を受けている間、私はスミニャックというちょっとこ小じゃれた町で散歩をして時間をつぶし、講習が終わるころに事務所へ戻り、一緒に帰る予定。

イエロースキューバでタクシーを呼んでもらい、スミニャックへ。
メーターのついているタクシーなら安心なのだが、一人で異国の地でタクシーに乗るのは初めて。かなり緊張する。
頼んだ交差点で降ろして貰ったのだが、一瞬どこにいるのかわからなくなり10分間近く炎天下で地図とにらめっこ。
やっと、交差点のどの向きにいるのかが分かるも、まだ9時前。
お茶をしようにもどのお店もやっていない。
とりあえず、しばらく直進して、初めてバリ島へ来た時にお買い物をしたビアサという素敵なお店の場所を確認してから、海辺へ続く道を曲がり、砂浜沿いをあるいてみることにした。
疲れたらカフェでお茶をしたり、トイレを借りたりしてぼんやりしていれば、お店の開く時間になるだろう。

お目当てのビアサはすぐ見つかった。
そのまま直進するとビンタンスーパーというスーパーマーケットを発見。
時間が余ったら寄ろうとそのまま通り過ぎる。

レートの良さそうな両替屋を発見したので、両替する。
目の前で紙幣を数えてくれるのだがよく分からない。
厳しい顔で吟味している演技をしながらゆっくり数える。
なんとなくあっている気がするので、笑顔で店を出る。
どこかで落ち着いて数えたい。

異常にバイクが多く通りを渡るのがとても大変。

海辺へ出る道は布などの問屋街。どの布も素敵に見えて困る。
2人で借り物のトランク一個で来たから、おみやげなどを持って帰るスペースも無いのだ。
普段、それほど物欲は無いのだが、旅行へ行って人の買い物に付き合うつもりで店を見てしまうと、大変なことになる。
前回2回の親友達とのバリ旅行の時、私の買い物が凄くて呆れられていた。
それでも、「また買ったの?」と、言われるのが恥ずかしく、隠れて買い物をしたのに隠し通せず、「何着ブラジャー買ってるの?」と、笑われたりしていた。
概ね女性陣はショッピングが大好き。
だが、男性陣にとってはショッピングは退屈で理解し難いことが多いみたい。
旦那さんは間違いなく「旅行に来て買い物ばかりするなんてバカだ」と、思っているタイプ。
こっそり買うにも、トランクは旦那さんと一緒。
買ったものはバレるに決まっているのだ。迂闊に買い物は出来ない。
買い物魂にスイッチが入らないように気をつけながら歩いていると海が見えてきた。
ほっとする。波打ち際を歩く。

物売りがやってきた。
絶対に欲しくないような売れ残りのような紳士物のベルトを山のように抱えている。
うすら笑いを浮かべながら「ノーセンキュー」を繰り返し、逃げる。
遠くの男性数人のグループがこちらに何か大声を出している。
何かの勧誘か冷やかしだと聞こえないふりで通りすぎる。

波打ち際を歩き、ある程度してから普通の道へ戻る通りへ入る。
どの道が分からないが、
「どの店に入って休めばいいのだろう・・・」
と、頭をぐるぐるさせながら、かなり歩いてしまった。
以前は三人だったので、すぐにホテルのトイレを借りたり、ちょっと様子が分からない店でも入ってみたりしていたのだが、一人だと行動がちょっと困難。
やっと元いた通りに出て、去年入ったカフェを見つけ入る。

「あれ、この店って席に座って店員を待ってオーダーすればいいのだっけ?それともカウンターで注文してから席につくんだっけ?」
と、わからなくなる。
とりあえず、カウンターへ直進。
メニューらしきものも無い。どうしよう・・・。
レジ脇に立っていたボーイさんが「May I Help You?」と、言ってきた。
英語だ。何か冷たいものが飲みたい。
なんて言ったらよいか分からない。
「オレンジジュース」
適当に何でもいいから言ってみた。
またもやボーイさんがここで飲んで行きますか?的なことを言っている様子。
「Yes」
「ドウゾ、おかけください」
あれ?日本語。
そうか・・・席に座ればよかったのか・・・。
席についてオレンジジュースを待つ。
先ほどのボーイさんがオレンジジュースを持ってくる。
ごくごく飲んで疲れを癒す。

荷物を整理していると、オレンジ色のエコバックが消えていた。
中身は何も入っていなかったが、荷物が増えたら使おうと思っていたものだった。
先程、海辺で男性数人が私に何か言っていたのはバックを落としたことを伝えていたのかもしれない。聞こえないふりなどしなければ良かった。

トイレへ行き、先ほど両替したお金が数える。
何度も枚数を数え直し、電卓で計算して、やっとボラれた訳では無く、ちゃんと両替してもらっていたことが確認できた。

しばらくぼんやりしていると、
「日本はドコから来たの?」
と、先ほどのボーイさんに話しかけられる。
「東京」
「僕、学校で日本語勉強したけれど、日本語むつかしいよ。カタカナ、漢字、ひらがな・・・」
このくらい喋れれば十分ではないか。
「あ、ひらがなが分かれば大丈夫ですよ」
「むつかしい・・・。バリは一人で来たの?」
「いえ」
「友達と?」
「あ、旦那さんと」
「旦那さんはどこ?」
「旦那さんはダイビングやってて・・・」
「ダイビング・・・!あなたは?」
「私は」
と、首を振る。
「ダイビングやったことありますか」
「あります」
「そうですか・・・では、ごゆっくり」

ボーイさんは去って行った。
飲み干したオレンジジュースも持っていかれた。
またしばらくぼんやり。
ふと、会計はどうすればいいのか気になってきた。
隣の白人男性はテーブルで会計していた。でも、レシートは無い。
会計・・・会計・・・。
あのボーイさんもいつの間にやらいない。
そうだ!カウンターでテイクアウトでパンを買おう!
その時、オレンジジュース代も払えばいいのだ。
「ブルーベリータルト、ミルクパン・・・テイクアウト・・・」
カウンター前のレジで、訴える。
そして、さっき飲んだオレンジジュース!・・・と言おうとするが英語は出てこず、韓国語しか浮かばない。
「オレンジジュース!」と、座っていたテーブルを差す。
ここで飲んだのか?的なことを言われている気がする。
「Yes!」
会計を済まして、荷物をまとめ、逃げるように店を出る。
するとオレンジジュースをお盆に載せた店員が私を怪訝そうな顔で見送っていた。
なんとなく、そんな気はしていたのだが、新たに注文したのだと思われたようだ。
よく考えるとさっきのオレンジジュースはテーブルでボーイさんなどに声をかけて「チェック プリーズ」と、言えば済んだのではないだろうか・・・。

済んだことは忘れることにして、ビアサへ。
やはり素敵な店だ。
客は白人ばかり。黄色い人は見かけない。
おどおどするが、堂々としている振りをする。
どれも素敵だが、サイズもわからない。
店員に相手にされないながらも20分ほどすると、さすがに店員が声を掛けてきた。
「Can I try?」
合ってるのかわからないが試着をする。
チューブトップの紺のワンピース。ちょっとお高め。
店員がからし色、赤、黒、薄いグリーンの色違いを見せてくれる。
気分的にはリゾートなのでからし色やら赤なのだが、東京へ帰ってのことを考え、やはり紺にする。
どうやらサイズフリーらしい。
着てみると・・・割とフィットして良い感じ。
だが、これを着るときのブラジャーはどうすればいいのだろう?
そして薄い生地なのでパンティも透けてしまう。
とりあえずキャミソールかスパッツをはいて、下には細い紐のタンクトップを着ればなんとかなりそう。
ワンピースと薄手のシャツ等を購入。

さて、会計だ。
何度バリに来てもルピーはゼロが多すぎてわからない。
50,000ルピーならほぼ500円位なのだが、こういう時「フィフティ」と言われることが多く、訳が分からなくなるのだ。
ゼロを二つ消すと日本円の感覚なのだが、50と言われると50万ルピーなのか?!と、一瞬パニックになる。
1万円相当だともはや宇宙単位。レジで固まってしまう。
財布ごと渡して抜き取ってもらいたい気持ちになるが、そんなアホなことは出来ない。
50,000ルピー紙幣を一枚ずつ店員さんに見せながら手取り足取り数えてもらい、なんと会計を済ます。

ビンタンスーパーへ寄ってからタクシーを拾って帰ろうと思っていると、いつの間にか通り過ぎていた。
引き返すのも面倒でズンズン歩く。
いつの間 にかクタまで来ていた。
そろそろ旦那さんの講習も終わるかもしれない。
後ろからクラクションを鳴らして合図をしてきたタクシーがメーターのあるブルーバードタクシーだったので、乗ることにする。

イエロースキューバからもらった名刺を見せてこの事務所へ行きたい旨を伝えるが、運転手さんは若いのに小さい字が読めないらしく、「これはなんて書いてあるんだ?」と、言われてしまう。
不安になる。
無線に連絡して場所を調べている様子。
明らかに事務所近くまで来ると、歩いているような徐行運転で道を探っている。
後ろからはクラクションが鳴り響く。
ドキドキして「here OK」と、言って降りる。
ここはどこだろう?と、きょろきょろしたら偶然事務所の看板を発見。
なんとかたどり着く。

旦那さんは講習を終え、テストを受けていた。
私より数字や計算に強いはずなのだが、机にじっと座って字を読むのが久しぶりで問題文を読むのに、苦労していた様子。
なんとかテストを終え、ヴィラへ戻る。

明日はバリの正月のニュピ。
今日の夜はオゴオゴという巨大な人形の山車が町を練り歩くお祭り。
聞くと普段はどの町でもオゴオゴをやっているのだが、今年は選挙の都合でクタでしかオゴオゴは見られないらしい。
翌日のニュピは朝6時から翌日の朝6時まで外に出てもダメ。
電気をつけてもならず、火を使ってもならない一日。
静かに瞑想して過ごすのが習わしだそうだ。
旅行者もホテルから出てはいけない。
ホテル内でルームサービスで食事などは取れるようだが、部屋にこもっていれば電気をつけても良いのか、ダメなのか分からない。
台所付きのヴィラなので、スーパーへ行って買出しを済ませてからタクシーでクタへ。
タクシー料金は6万ルピーしなかった。
30分車にのって 600円前後。安い。
「オゴオゴが見たい」と、行ったら連れて行かれた場所なのだが、一体そこがどこか分からない。
運転手さんに地図を見せて、「今どこだ?」と、聞いても地図がよくわからない様子。
ここにこれ以上車を止めるのならもっと料金を加算するようなことを言っているので、車を降りて適当な店へ入る。

路面に面したレストランなのだが、我々が案内されたのは柱の前で全く外が見えない。
他にも空いている席があるのでそちらに行きたいというが、予約で埋まっていると言われる。
貧相な格好だと思われて末席に案内されたのだろうか?と被害妄想に陥るが、気を取り直す。
どうやら、オゴオゴを見るために窓際の席は大人気なようだ。

軽くご飯を食べる。
お皿にはまだ米粒が30粒くらい残っていた。
先程、私たちを末席に案内したウェイターさんが「もう、片付けても良いですか?」的な事を言いに来たが、言うより前に皿を片付けようとした。
なんとなく腹立たしい気持ちになり、「No!」と、まだ食べるそぶりをすると、「I,m sorry」と、謝ってきた。
先程高飛車な態度で案内された気がしていたので、少し溜飲が下がる。
「よく、お食事はお済みですか?って言ってこちらが返事する前に勝手に皿を片付ける店員さんがいるけど、あれ本当に腹立つよね」
「返事を聞くとまだって言われるから、先に片付けるんだよ」
と、旦那さん。
そうか・・・、それはそうかも。
「でも!やっぱりどんなにおいしくていいお店でも、そんなことされたら、『早く帰れ』って思ってるんだって、店への印象は台無しになるよ。だから私はさっき『No!』って言ってやったんだよ。」と、人間の器の小さい発言をまくしたてる。
そしてもはや食べたくもない米粒30粒をなんとかスプーンですくって食べる。

オゴオゴが始まるまでまだ時間もありそう。
そもそもがっちりお祭りを見たいわけでは無い。
ちらっと眺められて、なんとなく雰囲気が味わえればいいのだ。

そのまま二人で海辺へ出て、散歩をしたり、砂浜に腰かけたり。
素晴らしい星空などを眺める。もはや立つのも面倒になる。
だが、砂浜はサヌールにもある。
オゴオゴを見なければタクシーに乗ってクタまで来た意味がない。

先程の通りへ戻ると、大変な人ゴミ。
何だかわからない時間が続く。
もう見られなくてもいいから帰りたいな・・・などと思っているとお化けの格好
の巨大な人形の山車がやってきた。
だが、人垣であまり見えない。
旦那さんと見はらしの良い場所を求めてさまようが、満員列車のような有様で全く動けなくなる。
前からも後ろからも立ち止まらないでよと、肩を叩かれたりする。
ミノ倒しになったりしたら怖い。
旦那さんに「怖い」と、訴えその場からなんとか立ち去ろうとしたら今度はバイクの山車がやってきた。
e7868015.JPG
トイレも行きたいし帰りたいと、その場を抜け出すが、どの道へ行っても、交通規制をされていて、車が通る道へ出られない。
うろうろしていると、先ほどのとは別なもっと地元民密着型のオゴオゴをやっている通りへ出る。
先程のよりこちらの方が俄然面白く、見やすい。
観光客用に運転手さんが連れてきてくれたけれど、混み過ぎているし、山車は中々進まなくてノロノロしていた。
観光客用って大体見るべきものが無い。

トイレが限界に近づいてきたが、ローカル過ぎて入れるお店が見つからない。
車の通りにも出られない。
早足で歩くのも膀胱に刺激が来るので辛い。

やっとの思いで、タクシーの通る道へ出た。
メーターの無いタクシーでも仕方がない。
先程6万ルピーだったから7万までなら良いことにしよう。
声を掛けてき た運転手と交渉。
「ブラパ?(いくら?)」
と、聞くと
「10万ルピー」
と、言ってきた。旦那さんが
「高い」
というと
「サヌール・・トオイ・・・」
と、言うではないか。
ねばって交渉して7万ルピーにしてもらったので、車に乗り込む。
ところが乗ってしばらくしたら、運転手が自分は日本語があまりわからない、この数字だろ?と、電卓で8をはじき出した。
「ノー!エイト、ノー!セブン!」
と、言うと
「セブン、ノー!」
と、再び値段で揉める。
一度7万ルピーで納得したのに、日本語が分からなかったから・・・と、言いだすとは中々したたかだ。
「来る時は5万ルピーだった!」(嘘)
と、言うと運転手は突然何も言わなくなった。
7万で納得したのか、若干キレているのか分からなくてビビる。
そして、車のスピードがやたら早くなった。
犬や人がふらふら歩いているような道なので、ドキドキする。
運転手は道も間違えて、違うヴィラの前へ行きそうになった。
私は分からなかったが、一日しか滞在していない旦那さんが道を把握していて、きちんと説明していた。びっくりした。
昨日のことは忘れ、道のことは全面的にお願いしようと思った。

結局、面倒になり8万ルピー支払うことにした。

ホテルの人に翌日のニュピにはキャンドルを配りに来ます、と言われる。
寝室でカーテンをして、電気をつけては駄目か聞いてみたら、小さい明かりならいい、と言われ安心する。
室内のテレビはヴィラに着いた日に壊れていたので直してもらったが、翌日からまた壊れてしまっていた。ニュピの日に退屈したらDVDでも観ようかと持って来ていたが、観られそうもない。
24時前に就寝。

| | トラックバック (0)

新婚旅行リベンジ篇・ようやくの旅立ち

AM9:50
45分並び、無事にチェックイン。
でも飛行機は11時発から12時50分発見込みへ変更。
まだ遅れる可能性はあるかも。

取りあえず第一関門突破・・・かな?


PM12:33
ちょこちょこハプニングがあったけれど、なんとか無事に出発しそう。
バリ・・・
やっとだ・・・。
無事に辿り着き、元気に帰って来たい。


深夜
12時50分発デンパサール行きは無事出発した。
昨日の11時に出発のはずだったが、滑走路での貨物便の事故で死者も出てしまう、成田空港初の事件が起きたのだ。
そのため、24日11時に変更になったが、また出発が遅くなり・・・と、ヒヤヒヤものだった。
チェックイン後も手荷物検査中に私のパスポートとチケットが一瞬どこにあるか分らずパニックを起こす。
旦那さんが私の鞄を探したらあっさり出てきた。
「びっくりした~。もう、これ以上まだ何かあるとは思わなかったよ。もう、全部俺に渡しな?何もしちゃダメだよ。こういうの向いて無いんだから」
とチケットやパスポートを全て預かられてしまう。
「でも私、チケット取りからホテルの予約から全部やったじゃん」と反論する。
「本当お疲れ様でした。もうゆっくりして下さい」
と言うわけで私は楽隠居の身分になった。

飛行機が飛び立つまでハラハラし、飛び立ったら少しの揺れにもハラハラする。
機内でやたら水分を支給され水攻めかと思うほどだった。
デンパサールに着いたのは現地時間19時18分。
手続きを終えてホテルにチェックインしたのは21時。
明るいうちに着きたかったが仕方ない。
辿り着けただけで奇跡のよう。

我々が宿泊するヴィラは親友イチ押しなだけあって素晴らしい所だった。
広大な庭・・・プール。
自分たちの宿泊する敷地内にも庭。
部屋に入ると・・・夢心地。
新婚旅行なのでベッドにもバスタブにも花びらでハートにあしらってあった。
昨日泊まったワシントンホテルの5倍の広さ、と思ったが10倍は余裕かも。
寝室2つ。キッチン、リビング、お昼寝出来るバレ・・・。
微妙に水回りに不調はあったが、これだけ素敵なら何の問題もないって気になる。
「凄いいい所だねぇ」
と旦那さんもびっくりした様子。
親友の情報のおかげなのだが、「そうでしょう」と得意な気持ちになる。

散歩に行く。
私のほうが土地勘はあるはずだが、旦那さんが砂浜はこっちだと自信満々で言うので、ついて行く。
だが、いつまでも砂浜には辿り着かず、暗い道が続く。
あまりに薄暗い道になってきて、疲れてお腹も痛くなってきた。
まだまだ歩き足りなさそうな旦那さんに
「引き返して休みたい」と訴え、途中にあった食堂へ入る。
そこは偶然ネットや口コミでおいしいと聞いていた「ママ・プトゥ」というワルンだった。
英語のメニューなので訳が分からないまま適当に頼んだら、「ナシ・ゴレン」と、「ミー・ゴレン」というバリでは実にオーソドックスなメニューだった。
インドネシア風チャーハンと焼きそばだ。
これなら安心。ミーゴレンはかなりおいしかった。
「うまい、うまい!」
と、ワシャワシャナシゴレンやミーゴレンをかっこんでいると、旦那さんが
「意外とジャンクな味だね。これはぺヤングだな」
などと、言う。不満げな顔をすると
「いや、うまいよ。ジャンクなもの好きだから」
と、フォローしていた。
お腹も落ち着いたので、地図を見るとやはりさっきの道は海とは無関係だった。
だが旦那さんは
「俺、あんな一瞬で大体把握したなんて凄くない?意外といい線行ってたでしょ?」(旦那さんは一瞬だけ地図を見ていた)とご満悦。
私は旦那さんは道に関してはプロだと思っていたけれど、やっぱり自分で把握しなきゃダメだと思った。

それにしても、地図や道に関しては本当に自信が無い。
三度も来て、自分の方が明らかに土地勘がある場所なのに、一度地図を10秒くらい見た旦那さんの方が道が分かっているのではないか?と、思ってしまう。
自分が確信を持っていることでも、他の人が自信満々だと「多分自分が間違っているに違いない」気分になるのは生まれつきの性分のようだ。
それで、人の感覚の方を信用しては失敗して自分の思った通りにすれば良かったのに・・・と、後悔することも多い。
だが、確信に満ちて間違うことも多く「人の言うとおりにして良かった」と思うことも多い。
とりあえず、1日町歩きをすれば、旦那さんが私の土地勘を追い抜くに違いないので、それまでは、ちゃんと自分で考えなければ。
こんなだから、今だに渋谷や新宿の道も覚えられないのだろう。

ヴィラへ戻り、フラワーバスに浮かれたり落ち着くまでにかなり時間がかかった。
疲れているのに興奮して結局寝たのは2時頃。
a3476013.JPG

| | トラックバック (0)

旅立ちの朝…のはずが

AM08:32
今、成田へ向かう途中。
昨年11月に些細なミスでいけなかった新婚旅行のリベンジ。
今度こそ、無事に辿り着けるのか?
旦那さんが成田エクスプレスはやめて節約しようと提案。
もし、行かなくても節約して空港へ行ったらダメージが減るでしょ?とのこと。
任せると言ったが、朝から通勤ラッシュで立ちっぱなし。
そして錦糸町から乗る予定の電車は強風のために運行中止。
成田エクスプレス乗れば良かったと若干苛つくが、11月に私のミスでバリへ行けなかったのに一言も怒らず、笑い飛ばしてくれた旦那さんに、チマチマ怒ったら器が小さい人になってしまう。
無理してニコニコする。
またもや謎に電車が遅れているが、無事に空港へ辿り着けるのか?
9時までにチケット交換出来るのか?
あれほど余裕を持って出発したのにかなり危うい気分。

AM11:03
11時の便で出発のはずだったのに、まだ成田。
予定より大幅に遅れ、走ってカウンターへ行った。すると
「キャンセルのことお聞きしましたか?」
と言われる。
何?このイレギュラーな言葉は?
嫌な予感に耳をふさぎたくなるが、聞く。
なんでも滑走路が炎上していて今日の便は欠航なのだと言う。
明日の同じ便で飛び立てるらしいが、とにかく今日は行けないらしい。
各駅で3分停車するような電車でやっと成田へ来たのに・・・。
またもや成田で泣く。
だが、おかしくなって笑いもする。
今回はミスでは無い。ただの不運だ。
以前香港へ行った時も欠航になった事があった。大した回数、旅行してないのに。
不運とミス、どっちも嫌だなぁ。
成田がトラウマの場所になりそう。
色々キャンセルやら手続きが大変だ。
行くなって事だよと言われそうだが、そんな言葉には耳を貸さないぞ。

PM23:00
三鷹には戻らず千葉のホテルに潜伏した。
また翌日5時起きで大荷物で成田へ向かうのだけは嫌だった。
家へ帰ればただ旅行が短くなるだけだが、どこかに泊まれば一泊目だと思える。
だが千葉も微妙に遠かった。
千葉ワシントンホテルへチェックインしてから街へ。
おしゃれコリアンダイニングって感じの店でウナギが入った石焼きビビンバ、チヂミ、海鮮チャプチェを食べる。
お腹一杯になりすぎたので、腹ごなしにカラオケへ。
前回バリへ行けなかった日もカラオケ行ったなぁ。
昨年末から安静続きだったので、腹筋が落ちていて声が張れない。
でも、旅立てなかった事を一時的に忘れられて汗もかいて楽しかった。
観られないと思っていたあいのり最終回も観た。
あまりの終わり方に呆然とした。
ワシントンホテルは素泊まりで8000円。
バリで泊まる部屋の方が値段は安いが、きっとこの部屋の5倍以上の広さはあるだろうなぁ・・・などと夢見て就寝。
明日は無事にチェックイン出来るだろうか?

| | トラックバック (0)

リベンジ旅行前夜

明日からのバリ島新婚旅行リベンジ前夜、
親友達と吉祥寺のハワイアンカフェへ集うことに。
旦那さんと図書館へ寄り、ガイドブックを借りて三鷹駅へ向かう。
駅のそばに昨日の店とは別なベトナムヌードルのお店があった。
旦那さんが
「ベトナム料理食べたければ、昨日の店じゃなくてここにすれば良いよ」
と言うので、覗いてみた。

「あれ?この店も券売機だ」
「ってことは店員はベトナム人?」
「あ、ベトナム人ぽい。なんか昨日の人によく似てる」
「!いや、あれ昨日の人だよ」
「チェーン店?」
「双子?」

驚いて逃げるように店の前から立ち去る。

旦那さんと別れて吉祥寺へ。
23日までに退会すれば来月分から料金は派生しません、と言われていたスポーツジムへ。
だが、ジムは休館していた。
来月分無駄にお金を払わなければならない。軽く凹む。

親友達とハワイアンサンダイニングでご飯。
積もる話や結婚式の写真を見て貰ったり、下ネタで盛り上がったり。
久し振りに伸び伸び出来た。
小学生レベルの下ネタから黒光りする燻銀のような下ネタまで。
普段中々入れないスイッチ全開。
翌日早いので、名残惜しいが10時過ぎには解散。

帰宅途中雨に打たれる。
ベトナムヌードルの店を覗く。
夕方とは違う多少陽気そうなベトナム人が働いていた。
あれ、劇団ひとり似の店員は?
チェーン店らしい春雨料理店三丁目を覗く。
いた。
客は誰もいない。
一人で椅子に座り、ぼんやりしていた。
この人、客が来ないほうが安心してるみたい。
言葉がわからない所で一人放置されてるからなぁ。
でも、せめて「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」や数字位覚えれば良いのに。
覚えたくも無い事情もあるのかもしれないけど。

| | トラックバック (0)

行きつ戻りつ

新感線を観に行く。
我が劇団宝船の看板女優が出演中でもあり、尊敬する素敵な役者さんも多数出演している。そして脚本宮藤さん。
楽しみにして赤坂アクトへ。
三鷹から四ッ谷に行き、丸ノ内線へ乗換える。

気が付くと新宿三丁目。

ヤバイ。逆走してる。
慌てて引き返し、開演ギリギリに到着。

芝居は大層面白かった。
下ネタやバカ満載の序盤。殺陣の美しさ。
久し振りに舞台を観て憧れる気持ちになった。

近くにいた先輩格の役者さんに便乗して、終演直後の楽屋へ。
スムーズに挨拶を済ませられて、ラッキーだった。
大好きな役者さん達にお腹を撫でて貰った。
「悪い子になあれ」と言われたが、良い気分になり劇場を後に。

中野で旦那さんとお買い物をしてカフェ蜜でお茶。
旦那さんは芝居を見に行き、私は眼鏡を作り、三鷹へ帰ろうと電車へ乗る。

気がつくと新宿。

あれ、また逆走してる。
なんとか三鷹へ帰り、前日の春雨料理店三丁目を覗く。
件の劇団ひとり似の店員が、一人でしゃがみ込んでいた。
あの人臨時の人じゃなくて毎日いるのか・・・一人で。
いよいよ、つぶれそうだなぁ、この店。

| | トラックバック (0)

春巻春雨春巻

今日は明後日からのバリ新婚旅行の準備。
必要なものを探して見つからなかったり、旦那さんと軽く喧嘩をしたりしたが、仲直りをしてかねてから気になっていた近所の春雨料理店へ。
どうやらベトナム料理の店らしい。
入ってみると、食券の券売機が2つあった。
どうやらセルフサービスの店らしい。
どちらの券売機にも生春巻と蒸し春巻があった。
何のつもりもなく左の券売機で食券を買ったが、良く見てみると左は春雨料理の券売機、右はベトナム料理の券売機と、別ものだったらしい。
どうせならベトナム料理を頼みたいと店員さんに「間違えたんで変えて下さいと頼むが、店員は首を振るばかり。
「ダメ?」
と聞いても無反応。
なんだか腹も立って、「もうどうでもいいや~」と、そのまま食券を渡す。
どうやら日本語が全く分からないらしい。
旦那さんが言うには「料理人はベトナム人なので無愛想に見えますが、本当はそうではありません。許して下さいね」という注意書きが張ってあったらしい。
間もなく春巻が出てきた。

「あれ?美味い・・・」

腹が立っていたが、おいしいので少し気持ちが和らぐ。
そして、もう一品。
なんだか、揚げたような春巻が春雨ともやしの上に乗っている。
確か、蒸した春巻を頼んだはずなのだが・・・。

だが、これもまあ美味い。

私達は生の春巻と蒸した春巻と鳥のスープに入ったフォーを頼んでいた。
フォーは次に来るのかな?と思っていると、男性二人の予備校生っぽい雰囲気の客が来た。
二人もメニューを見ながら券売機の前で格闘していた。
するとどこからともなくピーピー音が鳴り始めた。
どうやら券売機に異変が起きたらしい。
客が店員を呼ぶも店員は無視して電話をかけ始めた。
どうやら店のオーナーと話してしているようだ。
おそらくベトナム語なので、どんなやりとりをしているのか分からない。
電話を切った後、店員は客の元へ。
カギを開けて、券売機を何やら弄る。音は鳴りやんだ。
ところが客が
「1260円入れたんですけど、出てこないんです」
と言い始めた。
店員はなにやら上を指さして誰か話が分かる人が来るような動きをしたっきり、厨房へ戻ってしまう。
男性二人組はすっかり不機嫌になり、お互いでも揉め始めた。
「俺は食わないからお前だけ残れば・・・」
みたいな雰囲気でお互いテーブルの上で食券を押し付け合っている。
でも、誰か来るなら食べながら待とうと思ったのか、食券を店員に渡しに行った。
すると、再び店員がベトナム語で電話。
もしかすると「問題は解決した」というようなことを言っているのではないだろうか?
解決は全くしていないのだが。
間もなく私たちのテーブルにも最後の3品目の料理が届いた。
さっきのタイプとはまた違う、春雨が入った生春巻だ。

「あれ?フォーは・・・?」

でも、もはや抗議するつもりにもならない。
3つ頼んだものが2つ間違えている。
おいしいのだが、春雨と春巻ばかり。
もう、フォーは来ないだろう。笑うしか無い。

「食券と一緒にメニューの写真を指ささないとダメだわ、この店」
「ここまで言葉通じないとあきらめるしかないね」
「日本だと思っちゃだめだね、外国だったら腹立たないもんね」
「本当にベトナムだったらもっと安いけどね。この値段じゃ日本の店より高いもんね」
「あの人、意思疎通はかるどころか、いやいや仕事していて、逆ギレしてるもんね。多分今日だけ臨時の人なんじゃない?そうじゃなかったら大変だよ」
などと、笑いながら盛り上がっていると隣の客がどんどん暗くなっていった。

まだお腹は減っていたが、また春巻が来ても困るので店を変えることにした。
唐辛子というお店へ。
ここはかなり混んでいて、おいしかった。
帰りに再び春雨料理店三丁目をのぞいてみると、先ほどの男性二人組は既にいなくなっていた。
女性客が二人いた。店員は相変わらず同じ人だった。
なんだが、小太りの劇団ひとりって感じだった。
この店のフォーを食べてみたいけれど、次に行くとしたらよほど元気な時じゃないと無理そう。
弱っていたり友達と一緒だと頼んだものが来ないかもしれないので、気疲れしそう。

| | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »