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スパイラルの根もとはどこだ

始発を待って、ムーチョ宅を失礼する。
中島君と駅で別れ、私は自転車を漕ぐ。

このあたりから、意識が飛び始めた。
気付くと、スッ転んで顔面を打ち付けていた。
ポシェットのチャックが全開で、財布と封筒にいれたお金も消えていた。
途方にくれながら、探しまわる。
お友達にこの状況を訴える電話をしていると、30メートル位先から、私に向かってベルを鳴らして自転車を漕いでいるおばさんが来た。
顔の半分は痛いし、泣きながら「財布がない」と訴えるのに必死で避けるつもりは毛頭ない。
こんなに鳴らしているのに、避けないコトに腹を立てたおばさんに怒鳴られる。

「どきなさいよ!邪魔じゃない!」

明らかに私が悪いのだが、こちらは顔も痛くて、財布もなくした状況。
向こうは特に困っている訳でもない。
ただ、真っすぐ進みたいだけなのだ。
ちょっと避けなければならないコトに、イライラしている。
私は逆上して

「こっちは怪我してんだよ~~~!」と、怒鳴り付けた。
「そんなの知らないわよ!邪魔なんだからどきなさいよ!」
「そっちが避けて下さいよ!」
と、怒鳴り合い。
「怪我してんだ」「そっちが避けろ」の一点張りをしていたら、おばさんは去って行った。
お友達は電話越しにビックリしていた。
その後、交番へ行き、遺失物届けを出す。
飲んでいた事はバレバレで、
「羨ましいね~。こっちが飲みたいよ・・」
と、嫌みを言われる。
「久々に飲んで、調子に乗り過ぎてしまいました。朝、早くからお騒がせして、申し訳ありませんでした・・」と、謝り続けた。

命からがら帰宅。傷心のまま仮眠。

目が覚めてから、カード会社に電話して、機能をストップしてもらう。
ところが、間違えて家にあるカードの機能も止めてしまっていた。

その夜も、冷蔵庫にある梅干しの容器の蓋の締め方が甘かったせいで、ひっくりかえしてしまう。
丁寧に付けたエゴマの醤油漬けもひっくり返して、汁をテーブルにぶちまけてしまう。
醤油まみれのものを拭いたり、洗ったり、捨てたり。

生きるのが、困難で疲れてしまう。
「財布・・・出てきますように。これからは真面目に生きますから・・・」
と、願いながら雲の隙間から見える星を眺めた。

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