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ドラマティックな妄想

昨晩、皆が帰ってからもゴソゴソ拭き掃除。そして料理。
これではちょっとしか眠れない。
布団に入っても、寝つけない。明るくなる。
少し気を失うが、すぐ目覚ましが鳴る。
朝、8時前にムーチョ、翼君、グッチ君、タワー制作陣到着。
ウチの近所には配達してくれる弁当屋が無かった。
制作さんが、炊き出しをしてくれることになった。
朝からおにぎりを頂く。美味い。

少しずつ役者も揃い、明日の撮影に備えてリハーサル。
台本を書いたものの、後はムーチョにお任せ。
大家さんと隣の部屋の人に
「今日、明日、自主制作映画の人達がウチで撮影するので
人の出入りが激しくなりますが、二日間だけなので宜しくお願いします」と、挨拶。
隣の人は寝ていたらしい。
会うのは先日のストーカー事件以来。
悪かったと気にしてくれていたらしく、快く承諾してくれた。

お昼の炊き出しは鳥の手羽、大根、玉子の煮付け、ピーマンと茄子の炒め煮。
朝ご飯を食べたばかりなのに、何故かお腹が減り食べ過ぎる。
夜は私が作ったラムチョップ、トマトとマッシュルームという2種類のソースでパスタ。
冷房を最大に効かせても10人以上人がいるので、全く効かない。暑い。
ほぼ休みなくリハーサル。
こういう状況だと覚えているのは食べ物の事ばかり。
私の書いた台本は実現が難しい箇所も多く、リハーサルで試行錯誤しながら決める。
ムーチョの提案が面白過ぎて驚く事も多かったが、ほぼ順調。
22時半に終了。明日の分のコーヒーとお茶を大量に作っておく。
風呂に入る前に体重計に乗る。一日部屋にいたのに、食べ過ぎたせいか太っていた。
汗で500グラム落とそうと長風呂。
その後、サプリメントを摂取。
口一杯にクロレラやら、コンドロイチンをほお張り、水で流し込む。
何かが咽喉に張り付いている感触。
沢山水を飲んでも、異物感が消えない。しかも痛い。
咽喉に明かりを照らして鏡をのぞき込む。
そこには衝撃的なモノが映っていた。
ノドチンコの付近が元々ぼこぼこしているのは知っていた。
初めて見た時は気持ち悪かったが、誰でもそのようになっているらしいので気にしていなかった。
だが、明らかにいつもと違う。
不ぞろいで異様な形をした出来物がある。
右側は酷く盛り上がっている。
これは・・・腫瘍というものだろうか?
パソコンで体の症状から病名を検索してみる。
ノドチンコの側壁のでき物、咽喉の異物感、痛み、声がれ・・・
で当てはまるのは「中咽頭癌」という病名。
馬鹿な・・・!恐怖で全身びっしょりになる。
原因は「深酒」「喫煙」「刺激物の摂取」。
喫煙は止めていたが、思い当たる事ばかり。
何度も声を潰して注射を打って本番に臨んだりもした。
声を出す度に激痛がしたり、出血したりもした。
よくある事だし、咽喉の弱い役者なら皆やっている事だ。
だが、最近皮膚や粘膜のトラブルが多発していた。
ちょっとした化粧にもかぶれる。
熱いトウモロコシを食べただけで、口が爛れた。
股関節は治らない。
もしや私の体はボロボロなのだろうか?
そういう信号を無視していたせいで、「中咽頭癌」になってしまったのだろうか?
動悸が酷くなる。
罰が当った、何故、こんな事になるまで気付かなかったのだろう。
もし、「中咽頭癌」だとしたらどのくらい生きられるのだろうか?
癌には4段階あるらしい。
大きさも小さく転移も無ければ、まだ初期だ。
初期段階での5年生存率は90%。
だが、中咽頭癌の場合、食道や頸のリンパなどに転移している場合もあるようだ。
そうなると生存率は格段に下る。
そういう人でも今はゴルフをしながら日焼けして
元気に暮らしている人もいるというレポートも読む。
だが、5年生存率ってなんだろう。
10年だったらどうなるのだろう?
病気にならなければ普通にあと40年位生きられるはずなのだ。
癌なんだから5年生きられるだけで有り難く思えという事なのか?
もし、手術、入院などという事になったら、今年、来年の舞台はどうなるのか?
私がやらなくてもなんとかなるだろう。
だが、誰かに迷惑はかかる。そろそろ健康診断を受けよう。
ちょっとした病気があっても困らないように、何か保険に入っておかなければ、
と考えて数年ほったらかしにしていた。
もし、今入院という事になってもお金が払えない。
ああ!保険に加入していれば良かった!

恐怖のあまり、深夜に親族や親しい人にメールを打つ。
とりあえず、明日は撮影。
少しでも眠らなければ。眠れなくても休まなければ。
奇跡的に睡魔が訪れる。だが、電話で目が覚める。
「病院に行く前に余計な心配しても始まらない。
検査して結果出てから、悩めばいいじゃないか。さっさと病院に行け。
うじうじしてたら治るものも治らないぞ!」というお叱りの内容。
全てもっともだった。
だが、奇跡的に訪れた睡魔はどこかに行ってしまった。
これほど恐怖に打ち震えた夜は無かった。
だが、あまりにも騒ぎ過ぎて何ともないかもしれない。そうあって欲しい。
考え事をすると、興奮するので無心になる努力をする。
ただ、息を深く吸って吐く物体になろうと心掛けるが、いつの間にか
「怠けてばかりの人生だった・・・。健康にももっと気を使えば良かった」
「もし、病気だとしてもこれは私にとって、生活態度を改めるいい機会なのでは無いだろうか?」
「罰が当った!」
「飲みたくも無いお酒のせいでこんな事に!」
「病人になったら、うっとうしい病人になる自信しか無い!
毎日不安を人にぶつけて嫌われ、死んだらほっとされたりするのであろう!」
と、膨大な妄想で一杯になってしまう。
妄想に疲れ果てて、少し眠くなり、いいぞ!と思っていると咳込んで目が冴えてしまったり。
再び「中咽頭癌」について検索したり、を繰り返す。
朝から撮影だから、検査に行けるのは月曜日。
だが、明日の土曜の午前中なら、隣の内科でも簡単に見てもらう事は出来る。
耳鼻咽喉科ではなくても異様だったら分かるだろう。
変だと思えば、専門の病院に紹介文を書いてくれるかもしれない。
とりあえず、ムーチョとタワーの制作さんに合間に病院に行かせて欲しいとお願いしよう。
こんな不安を抱えて、一日中馬鹿馬鹿しい芝居をやったりは出来ない。
病院は何時からだろう。多分9時からだが、確認してみよう。
ドアを開けると、先発隊の制作陣が我が家へ到着した所だった。
いきなり鉢合わせて、お互い驚く。
ああ、朝だ。

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