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紙づまり

目覚めると、携帯を握りしめていた。
メールを打っている最中に寝てしまったようだ。
文面を見て驚く。
「死んで欲しい人がいます・・・」
意味が分からず消去する。
嫌な夢でも見たのだろうか。まるで始末人への依頼だ。

久しぶりにヴォイストレーニングへ。
股関節が全く治っていないと言われた。
庇うのが上手になったが、時折いきなり神経に触れるように痛むからおかしいとは思っていた。

タワーで宝船公演に関しての打ち合わせ。
その後紙を4000枚持って三軒茶屋の市民活動支援コーナーへ。仮チラシを作成する。
5000枚行きたかったが、重いものを持つのは明らかに股関節に悪い。
4000枚に留める。それでもかなり重い。
コピーをはじめると3枚目で紙詰まり。
分からないながらも、蓋を開け詰まった紙を取り除く。
再開。すぐに紙詰まり。
何度もこれを繰り返す。
係の人に訴える。
コピー前の紙に空気をいれるようにパラパラして、紙を大量にセットしないように言われる。
その通りにしたが、やはり詰まる。
係の人もお手上げ。責任者のような人も現われ、
「我々の手ではこれ以上は・・・申し訳ありません」と、謝られる。
とりあえず、できる限り頑張る事に。
本日19時までに、3900枚届けなければならない。時間も無い。
紙詰まりを治す作業を頻繁に行い、紙の用意をしてすっかり汗だく。
片時も休む暇も無い。トイレにも行けない。
印刷機の予約時間を過ぎてしまう。次の予約の人も来ないようなので、粘る。
20分オーバーした時、カートに紙を積んだ夏八木勲のような人が現われる。
私の姿を見て、目を疑うかのような風情。腕時計を凝視してから私を睨む。
悪いのは私だが、身がすくんで謝れない。
「使いますか?どきます」と、コピーを打ちきる。
「機械調子悪いみたいで、30枚以上も紙詰まってしまったので、大変かもしれません」
と、時間オーバーした事の言い訳をする。夏八木は完無視。
その場から消えたくなるが、コピーや紙の山の整理をしなければならない。
彼は威圧するかのように紙を出しては凄い音を立てて机に置き始めた。おどおどする。
コピーを始めれば、紙が詰まって私の言っていた事が分かるに違いない。
コピーを始めた。
今か今かと紙詰まりを待ちわびる。だがすこぶる快調。
私は一番遅い設定にしていたが、夏八木は最速かと思われる程早くコピーしている。
どういう事だろう。これでは私がいけないみたいではないか。
私から何か電波が出ていて機械の調子を狂わせているのだろうか?
本当は時間オーバーしていた事を夏八木に謝った方がいい。
だが、彼は先程、私を完無視した。
挨拶して謝ってもゴミを見るような目で見られたり、再び無視をされるのは目に見えていた。
結局こそこそ逃げるように帰る。

ネクストにはどっちみち間に合わない。明日に持って行く事にする。

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