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譫言

芝居用語ではトンカチの事をナグリと言う。
この世界に入って10数年。自らナグリと言った事は無い。
「とんかちを貸して」
「ああ、ナグリね」と、言い直されても
絶対に「ナグリ貸して」とは言えないのだ。
ロクに使用法も知らないのだ。大して知らない人を徒名で呼ぶ様で恥ずかしい。
確かに仕込みやバラシでトンカチを使った事もある。
だが、打ち付ける反動で顔に当てて痣になったり、
指を打ち付けて血豆を作ったりしてしまう。
こんな有り様では「ナグリ」とは呼べない。

同様に自分の事もなんと呼んだら良いか分からない。
昔から女優とは美人女優だけだと思っていた。
だから種類で分けると役者。
だが、それだけで食える程でも無い。
となるとタマに芝居に出ている無職。ルンペン。
その感覚を説明するのが面倒なので、自分でうぬぼれているなと思いながら
「役者」と、呼んだりする。
自分の事を作家、劇作家、女優、など呼べる人が羨しい。
それで思いついたのだが、座長。
稼いでいなくてもうぬぼれている気持ちにならない。
だからなりたいと思ったのかもしれない。
ただ、肩書きとしてはメジャーでは無い。職業欄には相変らず無職と書く。

薄々おかしいと思っていたが、最近頭に蛆が湧いたようだ。怖い。

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