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目と目で通じ合う

58926fa6.jpg発表会。11時過ぎに荻窪石橋亭へ。
アルゼンチン人ギタリストのアンヘル・ミランダさんとリハーサル。
皆1曲か2曲は彼と一緒に演奏するのだ。
アンヘルさんのギターは凄かった。
彼がリズムを刻む時、血がたぎって、魂が飛び跳ねそうになる。
牧田先生から「アンヘルと演奏する事で色々学んで」と、言われていたのが良く分かった。
芝居で大物歌手とプロのピアニストの方とご一緒した事があったが、その興奮を軽く上回った。
言葉は全く通じないのに目線で意志疎通しながら演奏。とてもセクシーな時間。
以前より生徒さんのレベルが上がっている。
ピアノをかなりやっているのか、初めて半年の人が弾いていたのは、私が最近弾いていた曲だった。
私はアコーディオンの鍵盤を激しく叩いてしまう癖があった。
ピアノの音は鍵盤の叩き方で変わるが、アコは蛇腹使いで音の強弱を使い分けるので、激しく叩いても大きい音が出る訳ではない。
ピアノをかじっていたせいで、指に力が入るのかと思っていたが、それは勘違いだったようだ。
最近入った生徒さんは皆ピアノをやっていたようだが、私のように指が硬くない。
むしろよく指が動いている。いつの間にか5年目に突入した私などより遥かに巧みだ。
関係無いが、ヴォイストレーニングでも余計な所に力が入り過ぎているので咽喉を痛めてしまうと言われている。
私にとって脱力はかなり難易度の高い事のようだ。

発表会は二部に構成されている。
一部はソロ、二部にアンヘルさんとセッション。
仙台から母、宝船スタッフの望月さん、本多さんが聴きに来てくれた。
今回は半年練習していない事もあって、テクニカル的に難しい事をするのはやめた。
今までの自分の演奏は楽器に振り回されて焦ってしまうのが問題だった。
簡単な曲をゆったり余裕を持って弾く事にした。
だが、それは両刃の剣。
難しい曲なら間違えても、何だか凄い事をして見える。
簡単な曲はミスが目立ちやすい。
結局破綻せずにに弾くのは難しいのだ。
ソロではトリだった。
簡単な曲なので、トリにふさわしくはなかったかもしれない。
だが、大きなミスはしなかった。
練習の時とさほど変わらずに弾けたので、自分としては満足。
二部に入る前に軽食タイム。
後があると思うとあまりリラックス出来ない。
母が初対面の人達と高らかに笑いながら話しているのを、はらはらしながら見守る。

アンヘルさんと演奏すると皆ぐっとレベルが上がった。
人と会わせる難しさもあるが、彼に引っ張られるのだろう。
去年始めた二十歳の男の子もまるでプロのようだった。
同期の徳永さんもカミニートの弾き語り。
皆の演奏を聴いていて気になったのは、やはり次第にテンポが上がって走りがちになってしまう事だった。
私もそれを克服しようと練習して来た。
だが、実際弾き始めると全く分からなくなる。
ただ音の溢れる世界に体ごと投げ出された。
メルセディータス、ラ・クンパルシータの二曲。
ラストはアンヘルさんがゆっくり終らせるとテレパシーのようなモノを送って来た。
目線で合図しながら気持ち良く終えた。
演奏が終って他の生徒さん達と話していると母が帰り支度をして待機していた。
宝船スタッフの望月さん、本多さんに
「何やってんだかねぇ。あの子は鈍いから。私は行動の早い人間だから・・・」
などと、笑いながら話していた。またもやハラハラする。
四人で荻窪のルミネのアフタヌーンティーでお茶をする。
母は夕方の新幹線に乗る為40分程で帰った。
人の親に対して悪く言う人はいないが、望月さんも本多さんも「面白いお母さん」「可愛いお母さん」と、言ってくれてほっとした。
後に母に報告すると
「最近は自信ない。若い人には特に。でも良い事だね」
と、喜んでいた。
中野の中華料理屋へ移動して、今日は来られなかったスタッフの工藤さんも呼んでおしゃべり。乙女チックな恋バナなどで充実する。
帰宅後自分の演奏の録音をチェック。
ソロの演奏は録音を失敗して人の演奏ばかり録っていた。
アンヘルさんとのセッションの方は録れていたが、あれほど気を付けたのに走っている個所が随所にあった。悔しい。

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