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バリ九日目・夜の海の月

午前中は個人行動。
4/17その14/17その2
午後にクタに移動。
ウブドで思い残す事が無いように、したいことをする。
モンキーフォレストでウピミと別れる。ウピミはまだ猿を見たいらしい。
先日ガイドブックに「偶然発見した方が感動するのであえて場所を載せない」と書かれていたバンブーカフェを発見し、しばし至福の時を過ごしたのだが、再びそこでまったりした時間を過ごしてくるという。
私は絶対欲しいと思ったサンダルがあった。
目をつけたのだが、買い物ばかりするのはみっともないとあきらめたのだ。
だが、数日経っても「あれは買いだ。絶対夏に大活躍するアイテムよ」と、忘れられない。
店に行く事にした。
だが、再び見てみるとそれほどでも無かった。
かかとの部分が余りすぎている。
やめようとすると、店員が次から次へ別のサンダルを持ってくる。
どれも可愛い。いつのまにかサンダルに囲まれる。
一つも買うと言っていないのに「二つ?三つ?安いなるよ」と、まくしたてられる。
ここまで押し付けれると、思考能力が無くなってくる。
今朝荷造りにかなり苦労した記憶が蘇る。
持ってきたケースはもともとぎゅう詰めだったので、新たなものを入れるスペースが無いのだ。泣きそうになりウピミに手伝って貰ったほどだ。
サンダルなんてスペースを取るものを買えるわけが無い。
今さらながらその事に気付く。
「また戻ってくる」と、嘘をついて逃げた。
その後、町をうろうろして欲しくも無い小物を買ったりしてしまう。
今まで歩かなかったコースを散歩してホテルまで帰る事にする。
知らない町に滞在する楽しみは、ちょっとだけ土地勘が出来てくる事だったりする。
歩いて町全体を把握したくなる。
最終日にやる事では無いのだが、それまではもの売りや軟派、タクシーに声をかけられるのにびびって一人で歩けなかった。
やっと慣れてきたので、頑張ってみることにした。
炎天下の中よく知らない道を歩くと不安になってくる。
これはホテルに通じる道なのか。地図ではあっているはずだ。
声をかけてきた20人目の人に道を尋ねてみる。
地図を見せ「I am lost.This road...OK?」などと適当に言ってみる。
どうやらあっているらしい。
「歩く、20プン・・・タクシーすぐ」と、タクシーを薦められる。
断ると「何で?何で?」と、問い詰められたが、へこへこ頭を下げて逃げる。
ホテルにはすぐ着いた。20プンというのは嘘だった。
ウッズ達に別れを告げてグリーンフィールドを後にする。

クタは原宿のようだった。
バリ・マタハリホテルにチェックイン。部屋は一番狭かった。
今までもツインの部屋に無理やりエクストラベッドを入れていた。
だが、この部屋はベッドを入れる事で、玄関のドアと冷蔵庫のドアが半分しか開かない事になっていた。
ベッドとベッドの隙間は皆無。
転がりながら人のベッドに移動出来るありさま。
だが、格安ツアーなのでこれでも上出来。
「ここは普段は召使の部屋なのよ」などとヘラヘラ笑う。
クタのビーチが見えるステキなレストランで昼食。
私はその後ナイトダイビング。
本当は昼から3度潜るコースを薦められていた。
私もそうしたかったのだが、予定がつまり過ぎると焦ってしまう。
また、原因不明のブツブツに悩まされていた。
他の二人も蚊に刺されたりあせもを作ったりはしていた。
だが、私だけ尋常では無い程で、毎晩かきむしっては目を覚ますのだった。
複数の水膨れ。初めは蚊だと思っていたが、違うらしい。
海が原因かもしれないし、ダニかもしれない。
もし海が原因だとすると3度も海に入るのは怖い。
だが、ナイトダイビングだけはやりたかった。
ライセンスを取得したのはナイトダイビングがしたかったからだった。
少女趣味だが、海中から月を見たかったのだ。
ロマンチストという訳では無く、どんな風に見えるのか気になっていたのだ。
実際見えるのか分からなかったし、天候が悪かったり、新月だったらおジャンだ。
月がいつ満ちるのか調べたわけでもない。運が良ければという感じだった。
マタハリにY.スキューバのサエさん、アグースさんが迎えに来た。
4日前に会っていたのだが、すっかり懐かしい気持ちになった。
再びパダンバイへ。3人きりだったのでドライブ気分。
だが、良く考えるとライセンスを取得して初めてのダイビング。
しかも何日かあいていた。気を引き締めなければ危険。
分かっているもののお調子づいてへらへら話してしまう。
「10日もいたら、なんか出会いとか無かったんですか?」
と、聞かれ我にかえる。
出会い・・・・出会い・・・。
好みの人と言えばモンキーフォレストの江口洋介に似たガイドさん。
ステキだったが、何故かうっとうしくなってろくに目も合わさなかった……私はもう枯れているのかも……。
「強いて言えば昨日のバーで出会ったガジロウかなぁ……。タイプとは真逆だけど……」
しょんぼりする。
アグースさんに現地の人がお酒を飲むときに聞くという曲を聞かせて貰う。
これがまた全く聞いたことの無いジャンルの歌なのだった。
AメロBメロという構造に慣れている人にとって、どうやって覚えたらよいか皆目見当がつかない。だが、陽気で楽しそう。
何を歌っている曲なのか尋ねると「ラブソング」とのこと。
益々分からなくなってしまう。
ラブソングというものはもっと切なそうなのではなかろうか、これはどう聞いてもお祭りっぽい。
なんとなく神妙な気持ちになっているとビーチに到着。
先日布を売ってきたおばさんが再びやってきた。
本当はまた買っても良いような気持ちになっていた。
布はどこを見てもステキなのでかえって選べなくなっていた。
どこで買っても同じだったらわざわざ買い物に行ったりせず、ここでも良いかもしれない。
だが、ダイビング前で緊張している。今選ぶ気持ちになれなかった。
カモに見えるのもよくない。「前に買ったよ」と、連呼。
しばらく彼女は「サカナ、サカナ」と連呼していたが、「後で?」と、言い残して消えてしまった。拍子抜けする。
この間の強い押しはどうしたのだろうか。
それとも私がパワーアップしたのだろうか。

いよいよナイトダイビング。船でポイントに行く。
大分薄暗くなってきた。海に入った直後に異変を感じた。
先ほどまでしっかり嵌まっていたウェイトが緩んだのだ。
サエさんに訴えたら締め直してくれた。そのまま潜る。
まだ慣れていないので、少々慌てる。
落ち着いて海底に近づくと、再びウェイトが緩く感じた。
今度は自分できつく締めなおす。だが、ものの数分もせずにふっと体が軽くなった。
ウェイトが外れたと、反射的に手を伸ばしたが、拾うことが出来なかった。
傍にあるはずと潜ろうとするが、体がどんどん浮き上がってしまう。
水面まで浮上してしまった。
ダイビング中止か・・・・と意気消沈。
「とりあえず、私のウェイトをしてください。落ちたウェイトを探しながらダイビングしましょう」と、サエさんが私に自分のウェイトをつけてくれた。
私がつけていたのは3キロ。サエさんのは2・5キロ。
潜れるか心配だったが、特別変化は感じなかった。
それよりサエさんがウェイト無しで潜れている事に驚く。
どうやっているのだろう。神技に思えた。
海中電灯で海底を照らして探すが、全く見つからない。宝探しのようだ。
どうしよう・・・と、落ち込んでいるとサエさんが手招き。
見つかったのかと近づくと寝ているサカナがいた。
どうやらサエさんはもう探すのを止めてダイビングに切り替えているようだ。
それからは私も生き物を見るようになった。
海中電灯を外し目の前の水を動かすと、プランクトンが光ると言われていたので試してみる。確かにキラキラする。
生き物も昼と夜では全然違う。
そうだ月も見なければと、海底から上を見上げる。
はっきり形は見えないが、ゆらゆら光っている場所がある。
月明かりが筋になって海底まで差し込んでいた。思った以上に美しくて驚く。
自分の吐いた息があぶくになって視界を邪魔するのが忌々しい。
上を見ると耳にも水が入り、少々不自由だったがしばし見とれる。
その後何度も思い出したように月を眺めた。
その都度、丁寧に感動した。
月も比較的丸くなっていたし、天気も良かった。これは非常に恵まれた事だ。
昼の海も美しいが夜は神秘的だった。
サエさんは
「ナイトやりたがる人珍しいですよ。初めは皆怖がっちゃって。
怖くなくて楽しいよって分からせる事から始めるんですよ」
と、言っていた。
確かにそうかもしれない。
私も普通にライセンスをとって、夜潜らないかと言われたら、
怖いのでは……と、ビビるだろう。
月が見たいという事ばかり先行していたので、怖いかもしれないという事に気づかなかったのだ。
ホラー映画など絶対に見ない程怖がりなのだ。
気づかずにやってしまったのは良かった。
これは何度でもやってみたいステキな体験だった。
海から船に上がると見たことが無いほど満点の星空。オリオン座が見えた。
冬の星座という印象があるから常夏の国から見えたことに驚く。
赤道に近いから見える星が一年中変わらないのだそうだ。

4/17その3結局ウェイトは見つからなかった。
サエさんが
「明るいときに潜って探します。移動したりしないから見つかると思いますよ」
と、言ってくれたが、心配。
「ウェイト無しだから浮きそうになって大変でした」
との事だったが全くそんな風には見えなかった。
教え方も親切。
ノムコムが「あんなに丁寧に教えてくれるの見たことないよ」と言っていた。
彼女はタイでライセンスを取った際、頑張れ頑張れとスパルタ教育を受け、耳から血を出したらしい。
日本でライセンスとるより格安だし、お勧めである。
ホテルまで送ってもらい、サエさん達別れを惜しむ。しんみりする。

ホテルでのんびりしていると、ノムコム達が帰ってきた。
またエステに行ったらしい。
そこではパンツ一丁になれば良かったのに、ウピミはパンツを下ろしてすっぽんぽんになったそうだ。
エステティシャンに「No!」と、パンツを上げるように身振りで説明される。
しぶしぶパンツを履く。不思議に思い、「nakied?」と尋ねるとうなずく。
再びパンツを下ろしては「No!」と、叫ばれていたらしい。
「だってエステっていったらマッパって思うじゃない?」
子供か?とあきれる。恥じらいのカケラも無い様子。
腹を抱えて笑い、苦しくなる。
「あれ、ノムコムは一緒じゃなかったの?」
一緒に施術を受けていればお互いの様子で、どうすれば良いか分かるはず。
ノムコムは英語も達者。
「私はそのとき、トイレで金勘定してたんだよ」
確かに旅行中、公衆の面前で金勘定するのは危険。
だが、エステのトイレで勘定するなど余程切羽詰まっていたのだろうか。
するとノムコムが「くそっ!両替屋で金抜かれた~!」と、ベッドでのたうち回り始めた。
ベッドは三つぴったり寄り添っているので、転がりながら私やウピミのエリアへ行くのも自由自在だ。
彼女はそれまで、私が両替する時には常にぴったり傍で監視して目の前で数えなおしてくれたり、一番しっかりしていたのだ。
人の時より自分の時に用心が手薄になるのは彼女らしい。
ちょっと慣れてきたと、気の緩みが出たのがまずかったと、相当悔しそう。
ベッドを縦横無尽に転がる彼女に
「それだけで済んで良かったよ」
と、ウピミと二人で慰める。
ノムコムは片足を上げたまま暫く止まっていた。
「そうだよね~」、と上げた足をパタっと落とした。

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