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真理

焦ってばかりで現実逃避の一日。
恋の相談を受ける。
一番言った方がいい事程言い辛い。

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ナベ熱は続く

ヤフオクでチェックしている、アンティークのル・クルーゼに動きは無い。
通常の直径18センチのココット・ロンドは定価19000円。
それが、ネットでは13490円にまで値下げされている。
送料や税金を考えると、15000円は超えるだろう。
開始価格7000円のこの鍋、現在は10500円をキープ。
ありえないが、このまま値が上がらなければ私が入札したいという欲望にかられる。

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父と娘

父から電話。知り合いが沢山料理を作ってくれたので、食べに来ないかとのこと。
だが、用事があったので一度断る。
再びなんとかならないかと電話。
夕方に予定が立ちそうだったので「20時、21時にだったら行ける」と、電話。
だが、朝とは打って変わって「無理しないでいいんだよ」と、言われる。
バリ土産もあったので、航空公園の父の家へ。
たどり着くとなんだが迷惑そう。
作ってくれた人に申し訳ないので料理だけでも貰おうと思っていた。
だが、残り少ない鍋が一つあるだけ。

「あんたが来ないって言ったから、一人で一生懸命食べちゃったんだよ」 

父が鍋をかき回しながら気まずそう。
沢山あって困っているような口ぶりだったのに、一品だった事に驚く。
鍋の残りを頂く。鳥肉とレバーをカレー味に煮込んだもので美味しかった。

「戦後一番の政治家って誰だと思う?」

唐突に尋ねられる。
父は田中角栄が大好き。
実家に行って写真を撮ったり、田中角栄の論文をまとめて雑誌社に送ったりしている。
角栄好きなのは分かっているのに何故そんな事を聞くのだろう。

「日本人?」

日本人じゃなければアウンサン・スーチーさんだ。

「日本人」
「田中角栄?」
「当たり・・・」

そういって、田中角栄の載った新聞記事を見せられた。
林真理子原作のドラマ「anego」を観たいと、その話しを中断。
ヒロインが不倫の妄想をしていると、
「こういうので皆不倫していいと思っちゃうんだよ。世の中を悪くする」
と、主張。
「これはね、不倫をしたら恐ろしいとばっちりがあるんだよって話なんだよ」
と言うと、
「そうなんだ・・・、でも今の段階では分からないよね・・・」
と、意見を翻さない。
父が加藤雅也をハンサムだと褒めたので、「きっと日本一ハンサムだよね」と言うと、雰囲気が良くなった。 

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腸のしこり

久々にヴォイストレーニングに行く。
一緒にペアを組んでストレッチをしていたAさんが先生に呼吸を見てもらってから
「このままじゃまずいよ」と、言われていた。
体の代謝が上手くいっていなくて便秘がちになっているようだ、これをほって置くと皆おばさんになる、綺麗なままでいるかおばさんになるかギリギリの瀬戸際という事らしい。
私も最近代謝が上手く行っていない気がした。
「まるで自分が言われている気がします」と、呼吸を見てもらう。
先生はあれ?と、不吉そうな顏をした。
何度もヘソの横を押して困った顏をしていた。何かやばそうだ。

「新井さん、ごめんね。嫌な事言っちゃっていい?」
「え・・・?」
「婦人科系大丈夫な人?」
「ええ、生理痛もとくに酷くないし、目茶目茶順調です」
「そっか・・・じゃあ、腸かな」
「え・・・」
「なんかしこりがある。ここの場所覚えて」

と、そこを押された。
凝りをほぐされたような感じで、どちらかと言うと気持ちが良い。

「これ、8割方、ポリープか腫瘍だと思う。前もそれで切った人いたんだけど」
「ええ・・・。あの・・・うんちって事は無いですかね」

へらへら笑って聞いてみる。だが、先生は笑いもしない。

「こんな固いのはありえないんじゃないかな。本当に痛くないの」
「全く。」
「そっか・・・じゃあ、僕も毎週気をつけてこの様子を見ておくよ」
「私病院とか行った方がいいんですかね」
「ん・・・これだけ固かったら、普通なんらかの自覚症状あるはずだから。無いんだったら、様子見るんでいいかも。呼吸法をする時ここに息を当てるようにしてやってみて」
「はい・・・」

不吉な気持ちになる。
だが、病院には行きたくない。今年はレントゲンを撮り過ぎた。
これ以上放射能を浴びたくない。
レントゲンのせいで病気になるかもしれないではないか。
希望を持つ事にした。こんな固いものがうんちであるはずが無いと言われたが、どうかそれがうんちでありますように。

その後声のお仕事。
現場に行って、テレビで良く見た事のある俳優さんが一緒で驚く。
その役者さんはややこしいセリフになると、つっかえたりもした。
だが、間違えずに言えたらそれだけで素晴らしいのだ。感動する。
とても腰の低いのんびりした人だった。
私は早く録り終えたので、挨拶をすると「ありがとうございます」と、深々と頭を下げられた。
尊大だったり卑屈だったりする人は多いが、そういうのとは別次元な世界の人だった。

吉祥寺集合。バリ旅行反省会という名目で集まる。
単に現像をした写真を持ちより、バリっぽい料理を食べて懐かしむ会。
誰かに自慢し気持ちを分かち合ってもらいたいという事でゲストを招く。
峯村りえっこちゃん、デザイナーのトシちゃん。
アムリタ食堂はタイ料理がメインであったが、ちゃんとアラック(バリで飲んだ椰子の実で作ったお酒)もあった。
ノムミが、足下にいる小猿にズボンの裾を捕まれている写真をりえっこちゃんに見せて、
「ゆうかちゃんが引っ張っているかと思ったら、猿だったのよ」
などと説明していた。

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騙されても良いではないか

f8a19342.JPG頼まれて日本にいる訳ではないのに、バリへ戻りたいと恨みがましく思う日々。
不機嫌で些細な事に苛々。
あわや、喧嘩という雰囲気の時、尼崎の脱線事故のニュース。
険悪な空気は回避された。
企業の事はわからないが、JR西日本が自分たちの責任を少しでも目減りさせようとしているのにげんなりした。
どちらにしろ謝罪や責任を負うのだから、多めな位誠意を見せれば良いのに。
個人レベルの出来事なら、もっと潔く非を認めるのかもしれない。
なるべく悪いと思っている態度を見せるなと命令されているようだ。
与えられた情報からは、電車がスピードを出し過ぎて曲がりきれなかったとしか思えない。
だが、現時点では分からないというばかり。
置き石があったせいかもしれないと匂わせたり、見苦しかった。

スマスマに「天国の階段」に出演していた人(名前を忘れた)が出ていた。
たまにドラマで目撃していた時は変な顏だと思っていたが、素敵だった。
韓国ドラマの俳優はドラマで見るより、来日して本人としてテレビに出ている時の方が、素敵な気がする。
天国の階段の人は王子さまの様に優雅で、食べ物にがっつくのでさえチャーミングだった。
一瞬魅せられたが、いかんいかんと自分を戒めた。
経験上、ああいうタイプの人は自分の余裕がある限り親切。女性のエスコートも上手い。
だが、そういう行動が好きなだけで本当に優しい心根な訳ではないのだ。
フェミニストに見えるし、自分でもそう自負しているだろうが、本当は根っからの男尊女卑なタイプに違いない。
惑わされたら痛い目をみる、と首をぶんぶん振った。
だが、痛い目みる事などありえないのだから騙されても良いではないか、と気付いた。
その後安心して鼻の下を伸ばした。素敵・・・。

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連日観劇

芝居のハシゴ。
マチネは渡辺えり子演出、ケラさんや別役実、土田英生、いとうせいこう等9人の作家のコント「コミュニケーションズ」を観に新国立劇場へ。
円城寺あやさんが出ていた。安定していて楽しく観る事ができた。
夜はサモ・アリナンズ「AB男」。新宿スペースゼロ。
サモ・アリナンズはそのうち観に行こうと思ったまま今日まで来てしまった。
峯村りえっこちゃんからお知らせがあり、良い機会と観に行く事にした。
今まで観た事が無いような雰囲気の芝居だったが、大層面白かった。
ちゃんと独自の雰囲気がありつつ、王道も押えていてバランスが良いように感じた。
バリから帰ってまだ芝居を観る気分では無かったのだが、今週観た4本はどれも良い作品だっ
た。

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王道はとてもまぶしい

劇団扉座「語り継ぐ者たち」観劇。
バイクで紀伊国屋サザンシアターへ。
康組に出ていた犬飼君、山中君が出ていたので観に行ったのだが、バット男で共演した東虎之丞君もいた。
有名人としては山田まりやさん。
非常によく出来た本であった。
小村裕二郎君がやっている二人芝居の台本も書いている人だが、あれもとても面白かった。
オープニングの演出も痺れるほど格好良かった。
扉座の芝居を見るのは実は初めて。
山中君の素晴らしさに度肝を抜かれた。年配の男の色気が漂っていた。
そして、所作の一つ一つが別格だった。
確かこの人私より年下の筈。
終演後、楽屋に会いに行って再び驚く。とても若いのだ。
こんな若い人があの役やってたのか・・・。
とても良い芝居だった。王道はとてもまぶしい。

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プチ同窓会

ぼんやりしようと思っていると、夕方に電話。中山祐一郎君だ。
宝船に出演してくれた永井秀樹さんが本番中なので、どの日に行こうとPCで調べていた時だった。

「永井さんの芝居いつ行く?」
「まだ決めてない」
「今日行かない?」
「え、今日?突然だね~」

だが、今週末は怒濤の芝居ラッシュ。今日行っておいた方が良い。
「永井さんの電話番号消えちゃったから一緒に予約してくんないかな」と言われる。

アゴラ劇場の隣のコンビニで中山君と待ち合わせて、小屋に入る。
席を案内されると、隣は経済評論家の佐藤治彦さんだった。
バリで夜の海中から月を見た話をする。
今までその話をした人の中で一番それは素敵!と思ってくれた様子。

お芝居のタイトルは「灰の中から蘇った男と女」。
ゾンビものかと思ったのは間違いだった。
昔、中山君と一緒に同じオッホという劇団にいた根上彩も出ていた。
彩ポンの芝居はその劇団をやめて以来初めてみた。
元々上手だったが、尚更巧みになっていた。
永井さんは宝船に出てもらった時、大層渋く私好みだった。
期待して出番を待つ。
すると、田舎から出てきた人が精一杯おしゃれして失敗している様を一瞬で分からせる、破壊力のあるキャラになっていた。
思わず噴き出す。あの渋い人と同じ人とは思えない。
誠実に作ったお話だった。

終演後、劇場内で軽く飲む。
彩ぽんと飲むのは7、8年ぶり。だが、全くブランクを感じなかった。
何年会わなくても昨日会っていたのと同じような感じの人だ。
半年会わないと、友達だった事さえ疑わしくなる人も多いのに不思議。
中山君とはちょくちょく会うが、3人揃うとまた別な感慨があった。

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バリぼけ

19日朝バリ島より帰宅。
向こうにノートブックを持って行くのは重いので、シグマリオンという
メール用のモバイルを持参していた。エッジの契約も入り直した。
それで日記を書きためていたが、まだ14日までしか書けていない。
バリでは疲れを感じなかったが、帰国すると眠くて仕方ない。
朦朧とする。だらだら過ごす。ファミレスに行きシグマリオンに日記を綴る。
少しだけはかどった。
出来た分だけ日記をアップしようとシグマリオンから自宅のPCに送る事にした。
だが!問題が起きた。
あれほど苦労して書いたと言うのに、メールが送れないのだ。
どうしてもエラーになってしまう。受信は出来るのに送信が出来ない。
こうなったら、やった事が無いが、コンパクトフラッシュに情報を取り出す事を思い立つ。
だが、手持ちのコードでは不可能だった。
機械音痴なので、誰か詳しい人に聞くしかなさそうだ。
最悪ノートブックに書き写さなければならない。
迷っているのは、バリ日記の続きをシグマリオンに書き続けれるか否かだ。
情報が取り出せなければ、書き写す手間が大変になる。
無事に取り出せるならシグマリオンに綴った方が都合が良い。
面倒臭くなり全てやる気が失せてしまう。
この作業がクリアー出来なければ、衣替えを兼ねた部屋の掃除もする気になれない。
そろそろ稽古も始まる。どうにかしなければ。
少々太ってしまいナーバス。
私のイメージではデブはいつもナーバス。美しい生活がしたい。
ああ、こんな駄目な生活に戻りたくはなかった。バリに戻りたい。
10日しか滞在していない国に戻りたいというのもカブレ過ぎだろう。
本屋でバリについての本を2冊買い、熟読。こんなものは旅行前にする事だ。
旅前に買ったガイドブックは使えない本だった。
「日本に帰ったらもっと良いガイドブックを買うわよ」とギャグのつもりで言っては
ノムコやユキゾウに「帰ったら必要ないでしょ」と、突っ込んで貰っていた。
まさか本当に買ってしまうとは。
今更新しい情報を得て、これをすれば良かった、あれもすれば良かったと地団駄を踏んでいる。愚かしい。バリ惚けは暫く治りそうもない。

バリ滞在日記のアップは少し時間がかかりそう。頭がぽよぽよする。

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バリ最後の日

4/18その1バリ最後の日。
もうバリで夜を過ごす事は無いのだ。
異常な発疹が出来ようとも、もっとここに残りたかった。ため息混じりの朝。
時間が無いというのに、のろのろしてしまう。
とりあえずスミニャックに向って歩き始めた。
クタが原宿ならスミニャックは代官山といった感じらしい。
原宿も代官山もよく分からないので、自信は無い。
気になる店が会ったら申告して入る。
ユピコ(ユキゾウ、ウピミ)がひょいと入ったバッグの店は問屋さんだった。
値切るのが申し訳ない程、元値が安い。
それでも値切ってみたら、小さいポーチが日本円にして100円程になってしまった。
炎天下目をギョロつかせて買い物に行く。
我々の中ではいつしか買い物は狩と呼ばれるようになっていた。
ルピー紙幣を矢と呼ぶ。
円をルピーに換金しすぎると、日本に帰ってからどうしようもない。
小まめにちょこちょこ換金するため、常に矢が不足。
ノムミ(ノムコ、ノムコム)だけは国際銀行のATMから降ろす事が出来たので、
一々換金所でスリルに満ちた両替をするより、小まめに矢の補充が出来た。
私とユピコは矢が無いのに、つい鼻息荒く狩をしてしまってはノムミに矢を借りていた。
いつもは人からお金を借りる時は多少卑屈になるものだ。
だが、我々は狩をするのが偉い事かのように「矢を持て!」と、胸をはる始末。
買い物を決定するには必ずユピチェックが入る。
多少でも問題があれば、ユピコが難癖をつける。
その難癖で購買意欲が無くなるならば、それで良し。
それでも欲しいなら、好きにしろという事だ。
私もユピチェックにより、白いワンピを狩るのを止めた。
ノムミはワンピを試着してターンしながら出てきて店員に笑われていた。
そこにユピチェック。
「これはね、ここの金色の部分が以外と派手で着なくなるよ。あと、花の柄が大きい。
もっと小さければ普段も着やすいんだけど。これよりむしろこっちのワンピの方が着ると思うよ。」
だが、ノムミは意志を貫いた。そのワンピを購入。
ユピコもそれだけの気持ちがあるなら良し!と満足気。

狩りをするにも諦めるにも我々は必ず言い訳を必要とした。

「あれ、そんなに合わせやすくないかもしれないけど、ちょっとした時に着れるし
意外と便利かと思うんだ~」
「凄い良かったんだけど、東京帰ったら着ない気がするんだよね、
あ、でも着るかな~。でも着ないよね~。あと、ちょっと微妙に縫製が甘いよね~。
ここだから可愛く見えるだけかなって・・・。」

炎天下の中の狩りで我々の頭はおかしくなって行った。
大体酷い話だ。
普段、デパートに行って可愛い服を観ても「こんな高いもん買えるか」と、歯牙にもかけないのだ。
自分の手の届く範囲の値段になっていると、こうも冷静さを失うのか。
「物欲ってあまり無いから・・・」などと言っていられたのは、単に貧乏だっただけなのだろうか。
さくっと買い物を終らせ、ご馳走を食べに行こうと言っていたのだが、その時間は無くなる。
物欲の奴隷と化した自分に辟易しつつ、他の二人も一緒だと安心もする。
冷静になるために何度かお茶をした。
2軒目で会議もした。私が書記。
我々がこの旅で買ったものを申告していくと言うもの。
それによるとノムミはワンピース3枚、ユピコはサンダル3足と、明らかに過剰なカ所がある。
「だって私は足が大きいからサイズがある時に買った方がいいんだもん」
ユピコがそういうと、
皆「そりゃそうだ」と、言い分を認めてしまう。

「あれ、よく買い物してると思うユウカピエロがこんなに少ないなんて」
「そうだよ、もっと買ってるよ」
確かに、パンツ、スカート、ワンピ、シャツ、バッグ、靴、の中で一番買っているのはサンダル2足だ。シャツも買っていない。
二人に怪しまれ白状する。
「ごめんブラジャーは3着買ったけど、この表にブラジャーの枠設けてなかったから」
表にブラジャーという枠を書き足す。
サンダル3足買っているユピコも
「あ、私まだワンピの枠が開いてるわ。それとタンクトップも」
などとありもしない枠を言い始める。
それによって帽子の枠、小さいバッグの枠などが増え、我々はまだ買っていいのだと結論をつけた。
2人が前に買い物をしてお勧めだという「BIASA」というお店にはこの日2度も行った。
そこは商品全て微妙にジャスミンの香りが漂っている。
女性の為のドレスを素敵な男性が選んでいた。狩に出なくても服を貰える人もいるのね……。

ホテルへ帰って、荷造り。
そしてビールを持って皆でホテルのプールへ。
この旅行でプールの楽しさが分かった。
ジムでただ泳いでいるのは退屈だった。
だが、ただプールにつかっておしゃべりしたり潜ったりしているのはとても心地よい。
15分位しか時間が無かったので、何も焦ってプールに入らずのんびりしても良かったのだ。
我々はのんびりするのが下手くそらしい。どうしても盛りだくさんにしてしまう。
慌ただしくチェックアウト。
ガイドのアルナワさんが迎えに来る。

これまで悉くツアーの進めるコースを断ってきた。
だが、これだけは必須というプラザバリへ。
ここで夕食をとり、1時間程時間を過ごさなければならない。
バリ最後の食事。だが、一番不味かった。
私のチャーハンはまだ普通だったが、ユピコのラーメンは汁がお湯なのだ。
醤油を入れて工夫していた。
その後免税店を覗き、ノムミはエステ。私とユピコは足ツボマッサージ。
何度かそういう症状に陥ったのだが、お金の桁が違い過ぎてどう払って良いかまるで分からなくなる。
最終日でこの有り様。ユピコに財布を渡して払ってもらう。

アルナワさんとはングラ・ライ空港の入り口でお別れ。
大して親密になった訳では無いが、きっと二度と会う事も無い。
余ったルピーの処理もあって、チップも弾んでしまう。
搭乗までの待ち時間で最後のお土産など購入。
中途半端なルピーを処理する事もできず、日本円で買い物。
おつりが無いらしく店員さんが空港中走り回って、小銭をかき集めに行ってしまった。
ノムミとユピコが早くしろとじれた顏で私を見ている。
最後まで優雅さに欠ける。
帰らなければならない事に腹を立てながら飛行機に乗り込む。
離陸して街の明かりが小さくなって行くのを、ユピコと顏を見合わせ嘆く。
ちょいとハゲ気味なのに何故か気になる添乗員がいた。
自分が100人いたら1人はあの人とつきあいたいと寝言を言っているうちにジャカルタに着く。
ここで乗り換え。バスで移動。
その時ノムミがあの人どう?と囁いた。
視線の先を辿ると、背の高い恐ろしいハンサムがいた。思わず笑ってしまう。
「あれは駄目だわ」
でき過ぎなのだ。
巻き毛で顏半分隠れている。
白いシャツに黒いズボン。
片手にはペーパーバック。アランと呼ぶ事にした。
アランが、高校生の時に家にホームステイしてる外国人だったら、間違いなくのぼせてしまうだろう。
ユピコにもアランを見せると笑っていた。
ハンサム過ぎると笑えるという経験は初めてだった。

ジャカルタから日本までの飛行機は異常に冷房が効いていた。
日本からバリはそうでも無かった。南国でのサービスは冷やす事らしい。
ユピコと私は元々寒がりなので冷房対策は万全。
だが、普段寒さなんてへっちゃらな感じのノムミがぶるぶる震えていた。
これではサービスだか攻撃だかわからない。
バリから遠ざかる道中は身も心もヘビーだった。
成田で歩く歩道に乗らずに歩いているアランを見かける。
彼の姿が見えなくなった時何故か、この旅は終ったと実感した。

4/18その2東京は寒かった。
ノムミは駅のホームでスーツケースを開け、着るものを捜していた。
バリは確実に楽しかった。だが、その楽しさの半分は3人の合宿生活だ。
東京ではよくお酒を飲む私たちだが、旅ではあまり飲まなかった。
一番飲んだ日で4杯だ。
一緒にいるためには居酒屋で飲む事が必要だったりする。
だが、外から帰っても一緒だ。飲まなくても充分楽しいのだ。
今まで何が辛くてあんなに飲んでいたのだろう。
なんとかお金持ちになって同じ老人ホームで暮らしたいものだ。

4/18その3
ジャカルタ空港で旅の終わりを嘆くユピコ、放心状態のノムミ

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バリ九日目・夜の海の月

午前中は個人行動。
4/17その14/17その2
午後にクタに移動。
ウブドで思い残す事が無いように、したいことをする。
モンキーフォレストでウピミと別れる。ウピミはまだ猿を見たいらしい。
先日ガイドブックに「偶然発見した方が感動するのであえて場所を載せない」と書かれていたバンブーカフェを発見し、しばし至福の時を過ごしたのだが、再びそこでまったりした時間を過ごしてくるという。
私は絶対欲しいと思ったサンダルがあった。
目をつけたのだが、買い物ばかりするのはみっともないとあきらめたのだ。
だが、数日経っても「あれは買いだ。絶対夏に大活躍するアイテムよ」と、忘れられない。
店に行く事にした。
だが、再び見てみるとそれほどでも無かった。
かかとの部分が余りすぎている。
やめようとすると、店員が次から次へ別のサンダルを持ってくる。
どれも可愛い。いつのまにかサンダルに囲まれる。
一つも買うと言っていないのに「二つ?三つ?安いなるよ」と、まくしたてられる。
ここまで押し付けれると、思考能力が無くなってくる。
今朝荷造りにかなり苦労した記憶が蘇る。
持ってきたケースはもともとぎゅう詰めだったので、新たなものを入れるスペースが無いのだ。泣きそうになりウピミに手伝って貰ったほどだ。
サンダルなんてスペースを取るものを買えるわけが無い。
今さらながらその事に気付く。
「また戻ってくる」と、嘘をついて逃げた。
その後、町をうろうろして欲しくも無い小物を買ったりしてしまう。
今まで歩かなかったコースを散歩してホテルまで帰る事にする。
知らない町に滞在する楽しみは、ちょっとだけ土地勘が出来てくる事だったりする。
歩いて町全体を把握したくなる。
最終日にやる事では無いのだが、それまではもの売りや軟派、タクシーに声をかけられるのにびびって一人で歩けなかった。
やっと慣れてきたので、頑張ってみることにした。
炎天下の中よく知らない道を歩くと不安になってくる。
これはホテルに通じる道なのか。地図ではあっているはずだ。
声をかけてきた20人目の人に道を尋ねてみる。
地図を見せ「I am lost.This road...OK?」などと適当に言ってみる。
どうやらあっているらしい。
「歩く、20プン・・・タクシーすぐ」と、タクシーを薦められる。
断ると「何で?何で?」と、問い詰められたが、へこへこ頭を下げて逃げる。
ホテルにはすぐ着いた。20プンというのは嘘だった。
ウッズ達に別れを告げてグリーンフィールドを後にする。

クタは原宿のようだった。
バリ・マタハリホテルにチェックイン。部屋は一番狭かった。
今までもツインの部屋に無理やりエクストラベッドを入れていた。
だが、この部屋はベッドを入れる事で、玄関のドアと冷蔵庫のドアが半分しか開かない事になっていた。
ベッドとベッドの隙間は皆無。
転がりながら人のベッドに移動出来るありさま。
だが、格安ツアーなのでこれでも上出来。
「ここは普段は召使の部屋なのよ」などとヘラヘラ笑う。
クタのビーチが見えるステキなレストランで昼食。
私はその後ナイトダイビング。
本当は昼から3度潜るコースを薦められていた。
私もそうしたかったのだが、予定がつまり過ぎると焦ってしまう。
また、原因不明のブツブツに悩まされていた。
他の二人も蚊に刺されたりあせもを作ったりはしていた。
だが、私だけ尋常では無い程で、毎晩かきむしっては目を覚ますのだった。
複数の水膨れ。初めは蚊だと思っていたが、違うらしい。
海が原因かもしれないし、ダニかもしれない。
もし海が原因だとすると3度も海に入るのは怖い。
だが、ナイトダイビングだけはやりたかった。
ライセンスを取得したのはナイトダイビングがしたかったからだった。
少女趣味だが、海中から月を見たかったのだ。
ロマンチストという訳では無く、どんな風に見えるのか気になっていたのだ。
実際見えるのか分からなかったし、天候が悪かったり、新月だったらおジャンだ。
月がいつ満ちるのか調べたわけでもない。運が良ければという感じだった。
マタハリにY.スキューバのサエさん、アグースさんが迎えに来た。
4日前に会っていたのだが、すっかり懐かしい気持ちになった。
再びパダンバイへ。3人きりだったのでドライブ気分。
だが、良く考えるとライセンスを取得して初めてのダイビング。
しかも何日かあいていた。気を引き締めなければ危険。
分かっているもののお調子づいてへらへら話してしまう。
「10日もいたら、なんか出会いとか無かったんですか?」
と、聞かれ我にかえる。
出会い・・・・出会い・・・。
好みの人と言えばモンキーフォレストの江口洋介に似たガイドさん。
ステキだったが、何故かうっとうしくなってろくに目も合わさなかった……私はもう枯れているのかも……。
「強いて言えば昨日のバーで出会ったガジロウかなぁ……。タイプとは真逆だけど……」
しょんぼりする。
アグースさんに現地の人がお酒を飲むときに聞くという曲を聞かせて貰う。
これがまた全く聞いたことの無いジャンルの歌なのだった。
AメロBメロという構造に慣れている人にとって、どうやって覚えたらよいか皆目見当がつかない。だが、陽気で楽しそう。
何を歌っている曲なのか尋ねると「ラブソング」とのこと。
益々分からなくなってしまう。
ラブソングというものはもっと切なそうなのではなかろうか、これはどう聞いてもお祭りっぽい。
なんとなく神妙な気持ちになっているとビーチに到着。
先日布を売ってきたおばさんが再びやってきた。
本当はまた買っても良いような気持ちになっていた。
布はどこを見てもステキなのでかえって選べなくなっていた。
どこで買っても同じだったらわざわざ買い物に行ったりせず、ここでも良いかもしれない。
だが、ダイビング前で緊張している。今選ぶ気持ちになれなかった。
カモに見えるのもよくない。「前に買ったよ」と、連呼。
しばらく彼女は「サカナ、サカナ」と連呼していたが、「後で?」と、言い残して消えてしまった。拍子抜けする。
この間の強い押しはどうしたのだろうか。
それとも私がパワーアップしたのだろうか。

いよいよナイトダイビング。船でポイントに行く。
大分薄暗くなってきた。海に入った直後に異変を感じた。
先ほどまでしっかり嵌まっていたウェイトが緩んだのだ。
サエさんに訴えたら締め直してくれた。そのまま潜る。
まだ慣れていないので、少々慌てる。
落ち着いて海底に近づくと、再びウェイトが緩く感じた。
今度は自分できつく締めなおす。だが、ものの数分もせずにふっと体が軽くなった。
ウェイトが外れたと、反射的に手を伸ばしたが、拾うことが出来なかった。
傍にあるはずと潜ろうとするが、体がどんどん浮き上がってしまう。
水面まで浮上してしまった。
ダイビング中止か・・・・と意気消沈。
「とりあえず、私のウェイトをしてください。落ちたウェイトを探しながらダイビングしましょう」と、サエさんが私に自分のウェイトをつけてくれた。
私がつけていたのは3キロ。サエさんのは2・5キロ。
潜れるか心配だったが、特別変化は感じなかった。
それよりサエさんがウェイト無しで潜れている事に驚く。
どうやっているのだろう。神技に思えた。
海中電灯で海底を照らして探すが、全く見つからない。宝探しのようだ。
どうしよう・・・と、落ち込んでいるとサエさんが手招き。
見つかったのかと近づくと寝ているサカナがいた。
どうやらサエさんはもう探すのを止めてダイビングに切り替えているようだ。
それからは私も生き物を見るようになった。
海中電灯を外し目の前の水を動かすと、プランクトンが光ると言われていたので試してみる。確かにキラキラする。
生き物も昼と夜では全然違う。
そうだ月も見なければと、海底から上を見上げる。
はっきり形は見えないが、ゆらゆら光っている場所がある。
月明かりが筋になって海底まで差し込んでいた。思った以上に美しくて驚く。
自分の吐いた息があぶくになって視界を邪魔するのが忌々しい。
上を見ると耳にも水が入り、少々不自由だったがしばし見とれる。
その後何度も思い出したように月を眺めた。
その都度、丁寧に感動した。
月も比較的丸くなっていたし、天気も良かった。これは非常に恵まれた事だ。
昼の海も美しいが夜は神秘的だった。
サエさんは
「ナイトやりたがる人珍しいですよ。初めは皆怖がっちゃって。
怖くなくて楽しいよって分からせる事から始めるんですよ」
と、言っていた。
確かにそうかもしれない。
私も普通にライセンスをとって、夜潜らないかと言われたら、
怖いのでは……と、ビビるだろう。
月が見たいという事ばかり先行していたので、怖いかもしれないという事に気づかなかったのだ。
ホラー映画など絶対に見ない程怖がりなのだ。
気づかずにやってしまったのは良かった。
これは何度でもやってみたいステキな体験だった。
海から船に上がると見たことが無いほど満点の星空。オリオン座が見えた。
冬の星座という印象があるから常夏の国から見えたことに驚く。
赤道に近いから見える星が一年中変わらないのだそうだ。

4/17その3結局ウェイトは見つからなかった。
サエさんが
「明るいときに潜って探します。移動したりしないから見つかると思いますよ」
と、言ってくれたが、心配。
「ウェイト無しだから浮きそうになって大変でした」
との事だったが全くそんな風には見えなかった。
教え方も親切。
ノムコムが「あんなに丁寧に教えてくれるの見たことないよ」と言っていた。
彼女はタイでライセンスを取った際、頑張れ頑張れとスパルタ教育を受け、耳から血を出したらしい。
日本でライセンスとるより格安だし、お勧めである。
ホテルまで送ってもらい、サエさん達別れを惜しむ。しんみりする。

ホテルでのんびりしていると、ノムコム達が帰ってきた。
またエステに行ったらしい。
そこではパンツ一丁になれば良かったのに、ウピミはパンツを下ろしてすっぽんぽんになったそうだ。
エステティシャンに「No!」と、パンツを上げるように身振りで説明される。
しぶしぶパンツを履く。不思議に思い、「nakied?」と尋ねるとうなずく。
再びパンツを下ろしては「No!」と、叫ばれていたらしい。
「だってエステっていったらマッパって思うじゃない?」
子供か?とあきれる。恥じらいのカケラも無い様子。
腹を抱えて笑い、苦しくなる。
「あれ、ノムコムは一緒じゃなかったの?」
一緒に施術を受けていればお互いの様子で、どうすれば良いか分かるはず。
ノムコムは英語も達者。
「私はそのとき、トイレで金勘定してたんだよ」
確かに旅行中、公衆の面前で金勘定するのは危険。
だが、エステのトイレで勘定するなど余程切羽詰まっていたのだろうか。
するとノムコムが「くそっ!両替屋で金抜かれた~!」と、ベッドでのたうち回り始めた。
ベッドは三つぴったり寄り添っているので、転がりながら私やウピミのエリアへ行くのも自由自在だ。
彼女はそれまで、私が両替する時には常にぴったり傍で監視して目の前で数えなおしてくれたり、一番しっかりしていたのだ。
人の時より自分の時に用心が手薄になるのは彼女らしい。
ちょっと慣れてきたと、気の緩みが出たのがまずかったと、相当悔しそう。
ベッドを縦横無尽に転がる彼女に
「それだけで済んで良かったよ」
と、ウピミと二人で慰める。
ノムコムは片足を上げたまま暫く止まっていた。
「そうだよね~」、と上げた足をパタっと落とした。

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バリ八日目・エステとディスコ

4/16その1
ウピミことユキゾウと私は11時からバリ舞踊を習う予定。
終わったらノムコムとトロピカルビューカフェで待ち合わせる事にした。
その後はエステ。
バリ舞踊のレッスンを予約した時、ホテルまで迎えの車が来ることになっていた。
しかし、いつまでたっても来ない。
予約のレシートをホテルの受け付けの人に見せ、電話をしてもらう。
あと5分で来るらしい。
「きっと話が通ってなかったんだね」
「ウピ」
車の中でそんな話をしているうちに民家へ到着。
庭には沢山鶏がいる。黒いひよこを初めて見た。
奥に鏡がある部屋があった。意外とちゃんとしている。ほっとする。
何人かにあったが誰が先生か分からなかった。
中々来ないと思っていると、我々を案内していた小さくて後ろ髪が長い男性がレッスンをはじめた。
口三味線で踊り始めるので真似をする。
レッスンするスペースには気彫りの鳥に色を塗りつづける女性がいる。
他にもスペースがあるのに、どうしてここで塗っているのだろう。
不思議に思うが、それどころでは無い。
繰り返し同じ動きをやるが全く覚えられない。
以前ウピミと一ヶ月だけバリ舞踊を習った事があった。おそらくそれと同じ踊り。
動きの仕組みが今まで習った踊りとは根本的に違う。
2回目だから少しは分かるだろうと思ったが、甘かった。
すっかり汗だくになり。休憩。
鳥に色を付けている女性は先生の奥さんらしい。
泣き叫ぶ下半身丸だしの子供を先生に預けて険しい顔をしている。
昨日のラフティングと言い、観光客相手の仕事をする男性の奥さんや彼女は余程心配なのだろうか。鈍い私でも分かるくらいけん制されている(ような気がする)。
どちらも純朴なタイプで女好きという感じでも無かった。
しかもハンサムという訳で無い。心配しなくてそんなにもてなから大丈夫、と思ったり、けん制される対象になったのを喜んだり。
何のジャンルか分からない踊りめいた動きをしているうちに1時間経ってしまう。
黙っていたら、レッスンをいくらでも続けそうだった。
「1時間ですよね」と、先生に確認したら
「知らない」と、言われる。
我々はノムコムと待ち合わせがあるので、帰らなければなない。
「迎えの車は来るのでしょうか?」と、尋ねると
「来るんじゃない」と、言いながら別の部屋へ案内される。
先生のお父さんまで来てしまう。この一族が描いた絵を見せられる。
ウピミと「時間大丈夫かな」と、日本語で話しあう。
「my friend...wait...We have to go...」
などと必死に訴えこのお宅から出る。迎えの車が来ていたので安堵する。

トロピカルビューカフェへ行くと、ノムコムが待っていた。
何やら買い物をしたらしい。見せろと言っても
「いや、馬鹿なものを買っちゃったんだよ・・・」
と、中々見せようとしない。
隠したってばれるのだと迫ると、赤紫の派手なワンピースを見せた。
分かりやすく南国での衝動買いだった。
私もウブド初日ワンピを買っていた。
「この夏沢山着ればいいんだから・・・」と、自分にも言い聞かせ、
「ええ、凄いいいじゃない・・・!隠すことないよ~」と、3人で過剰に盛り上がる。
ホテルに戻ると既に迎えの車が来ていた。それを待たせて、ワンピースに着替える。
めかしこんで、エステへ。
今回は少々高級なエステだという。
観光本にも乗っていて、河のせせらぎを聞き、景観を見ながら受けられるという。
あまり興味は無いが、これも経験。
私とウピミが同じ部屋、ノムコムは別の部屋になってしまう。
身振りで服を脱ぐように言われる。パンツまで脱ぐのか分からない。
「nakied?」と、尋ねると会釈され、大きな布を渡された。
全裸になり、布を体に巻きつけてベッドへ。
だが、マッサージの邪魔らしくはぎとられ、上からかけられる。
初めは大層心地よかった。
マッサージが終わり、ルルールというエステに入る。
ウコンの入った液体を体に塗りこまれる。乾くとこすって落とす。
この最中にだんだん体が冷えてくる。
河のせせらぎは聞こえているのだが、うつぶせでも仰向けでも河は見えない。
ウピミと私は外に備え付けてあるシャワーを浴びるように指示された。
ウコンのおかげで二人とも黄金像のよう。苦労してウコンを落とす。
外で順番にシャワーを浴びるうちに凍えてしまう。
面倒になりウコンを完全に落とすのはあきらめた。
その後二人でフラワーバスに入り、ジャムーという薬湯を飲む。
こんな機会は滅多に無いのでお互いの写真を撮り合う。ウピミは女神のようだった。
4/16その34/16その2
その後ペディキュアを塗ってもらう。
先ほどからペディキュアセットは置かれていた。
個人の私物かと思うほど色も少ないので不思議に思っていた。
わざわざ頼んで塗ってもらうのはネイルアートのような事をして欲しかったのだ。
だが、どう見てもそのような設備は無い。あきらめ気分になって来た。
爪のお手入れをしてもらえれば良いような気持ちになる。
普通爪のお手入れはやすりでやるものだ。
だが、爪きりで爪を切り始めるではないか。爪きりで切るなら自宅で出来る。
だが、この人達はマッサージもエステもやっていた。ネイルの勉強などしていないのかもしれない。だんだん投げやりな気持ちになる。
甘皮の処理はしてくれているようだ。これで良しとしよう。
わずかな色からマシなモノを選んで塗ってもらう。
隣で塗られていたウピミの足を見て驚く。
ペディキュアを塗る時、指と指がくっつかないように間にコットンを挟んだりする。
私はその手間を省かれていた。
ウピミの足の指には何か挟まっている。
だが、何かおかしい。よく見るとそれはトイレットペーパーをこより状にしたものなのだ。
数日前サヌールでコットンを買ったが、ウブドにはコットンは普及していないのかもしれないわ・・・と気にしないことにした。
重ね塗りをしたので、乾くまでこのまま待つのだろう。
ところが、サンダルを持って来られて足にぐいぐい押し込まれる。
明らかに乾いていないのにこのまま帰されるらしい。
受け付けに戻り椅子に座った時、右の親指をぶつけてしまう。
ペディキュアは無残にはがれた。「あああああ!」と、声を上げる。
先ほど私にペディキュアを塗った人が傍にいたので申し訳無い気持ちになった。
彼女が私を見ていた。
塗りなおすと言うかと思ったら、次の予約の日本人を連れて消えてしまった。
連れていかれる人に「これからステキな時間を持てると思ってるかもしれないけれど、期待しないほうがよいよ」と、声をかけてあげたかった。
3人で立地条件に甘えて向上しようとしない殿様商売だったね、でも行ってみないと分からない、何事も経験だね、我々は悪くなかったよ、と慰めあう。

一旦ホテルへ戻りケチャを見に行く。
これは興奮した。
楽器無しに「チャッチャッ」言っている奴という予備知識の通りだったのだが、壮観。
30人~40人位の若いのから年取ったのからワラワラ半裸で出て来る。
皆ハイビスカスを頭に飾っている。
私の目の前の人は、座っているのもやっとのような老人。他の人より動きも緩慢。
皆焚き火の周りに車座になって「チャッチャッ」言っている。
選ばれたと思われる人がソロを担当して節に変化を与える。
踊り手が出てくると、時に立ち上がって動き回ったりする。
焚き火の照明以外、音響、セット、語り全て人によって行われている。
チャッチャッと聞こえるのは猿の鳴き声をモチーフにしているらしい。
その後少女がトランス状態になる踊り、焚き火を馬が蹴散らす踊り(?)などが行われる。
少女も恐ろしく踊りが上手い。生半可な練習では無い。
のどかな時が流れる島で、同時にとてつもなく厳しい時間も流れているのだろう。
そういう側面をもっと覗きたいと思った。

皆でサイサイ・バーに行く事にした。
昨日ワヤンに聞いた情報ではジャズバーという事だった。
だが、メジャーなロックの曲のコピーばかり流れていた。
同じグリーンフィールドに泊まっているカップル、ボーイのウッズ、升、ワヤン、我々3人組。
アラックのカクテルを頼む。
フロアーでは数人踊っている。
目立っていたのは、ジェームス・ブラウン風な男、リズム感は抜群だが踊りと言えないような自由な動きをしている、イマナラ君のような男。
我らはJB似を「ガジロウ」、もう一人を「カリフォルニア」と呼んで観察していた。
どんくさそうな小太りでメガネの日本人ギャルが、聖子ちゃん全盛の頃のステップを踏んでいた。それを囲むバリ男子達。腰に手を回され顔をほころばせていた。
見たくないものを見た気がした。
ああいう人達は日本では絶対踊らないだろう。
バリ来て浮かれちゃったのね・・・近親憎悪を感じた。
踊るなら中途半端に恥じらってないでガンガン体を動かせよ、もっと音を聞けよ、とイライラした。
隣で白人の太ったおばさんも踊っていた。だが、こちらはステキだった。
音楽がなったら体が動いちゃうのよ・・・と、ごく自然。
自分も踊ったらあのような醜態をさらすかもしれないと、ウピミにもらす。
「今までどれだけ踊ってきたと思ってるの、ゆうかピエロ。大丈夫」と、励まされる。
ノムコにせっかくだから踊ろうと、促される。
絶対踊らないと決めていたのに、「ええ、ちょっとだけだよ」と、のこのこ腰を上げてしまう。どうやら私は踊りたかったらしい。
どうしよう、バリ来て浮かれちゃった人になってしまう。
初めは恐る恐る、リズムを刻み始める。
音にあわせてどこでも良いから体を動かし始めたら、どんどん気持ちよくなってきた。
きっと自分は滑稽に違いないが、どうでも良くなりガンガン頭と腰を振り続けた。
すると私に声をかける男が。
振りかえると、JB似のガジロウであった。安岡力也にも似ていた。
我々の噂の的だったので面白くなり、相手をした。
この現場をノムコムやウピミが見たらウケルだろう。
あたりを見まわす。だが、二人はいない。ちょっと不安になる。
ガジロウが私の手を握ってターンをさせるので、お前も回れよと、手を引っ張りあげると彼はくるくる回るのだった。
回ったり回したりに飽きてきた。そろそろ無心にガンガン踊りたい。
だが、奴はなんだか囁いてくる。賞賛の言葉だという事は分かったがよくわからないので、にこにこする。
すると「I will survive」がかかった。おお、私の好きな曲・・・と思っていると、ガジロウの奴がいきなり私の腰を引き寄せるではないか。
どうしたものか。全く歓迎する状況ではない。
どうやってこの場を逃げようか、踊りに夢中になっている振りをして考える。
するとガジロウの手が腰からヒップへ下がってきた。
ムカッ腹が立ったので「NO!」と、手を尻から離す。
「sorry...」という謝るものの隙あらば手がヒップに下がってくる。
トイレに行きたい振りをしようか・・・だが、付いてこられたら益々危険かも・・・すがるように辺りを見まわす。
首を振っているノムコムと目が会う。彼女は驚いたようだ。
だが、よりによって何でこれと踊ってるのと、噴き出してもいた。
踊りながら近づいてガジロウに「She is my lover!」と、説明し助けだしてくれた。
一安心したが、面白いからと言って自分で対処出来ない状況を招くのはやめようと思った。
席に戻ってげらげら笑っていると、遠くからガジロウがこちらを見ていた。
「もっとマシなの沢山いたのに、何故ガジロウと・・・」
と、悪口を言っていたのでどきどきする。
ノムコムは踊りに夢中でハンサムに頭突きを食らわせて、嫌な顔をされてばかりだったらしい。
ウピミは今度はイタリア人に口説かれたらしい。
席に戻りタイガー・ウッズ似のボーイさんに年齢を聞かれる。
「34」とウピミが答える。ウッズはかなり驚いていた。
ウピミは皆同じ年だと言っていた。
正確には私が一つ年上だ。
私は35だと、力強く訴えた。ゴマ化すのは負けのような気がした。
そして、「とても35歳には見えないよ」と、言ってもらおうと思っていた。
だが、ウッズは何かウピミに耳うち。
ウピミは「それは言っちゃ駄目」と、ウッズを軽くはたき、二人で笑いあっている。
「何?35より上に見えるって言ってるの?もっと上かと思ったと言っているの?」
と、自分でも引くくらいの真剣さで問い詰める。
ウピミは観念して「早く結婚しろってさ」と、教えてくれた。
「何だ・・・」と、胸をなでおろすが、段々しょんぼりしてくる。
下北界隈において同世代で未婚というのは主流派とさえ思える。
世間ではそうではないという事も薄々知っている。
だが、堂々とそういうことを言われたりした事はあまり無かった。
バリくんだりまで来て、世界における自分の位置を思い知らされた。
そうだ・・・それが常識だったよ。
「余計なお世話だよ・・・」と、力無く訴える。
何故、私は未婚なのだろう。
そして何故みんな結婚しているのだろう。謎は深まるばかり。
それにしてもウピミの奴も私と一つしか年が違わないのだから同じ穴のムジナではないか。
まるで自分は違うかのような態度だったぞ、と段々腹も立ってきた。
ウッズもウピミを未婚の35女の括りに入れてはいなかった。
何だ、美人なら良いのか・・・。それも真理だ。

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バリ七日目

4/15その1
共同生活をしているうちに我々は変化してきた。変な言語を使うようになった。
まず呼び名を年中変えるようになった。
ノムコの事を「ノムコム」「ノムミ」、
ユキゾウを「ユピコ」「ウピコ」「ウピユピ」「ユピンキー」「ウピミ」などと呼び、
意味も無く名前をメロディーに乗せて歌うようになったりした。
私は以前やったピンネタ、ゆうかピエロと呼ばれるようになった。
返事も「ウピ」「ニョム」「ニャ」など人間の言語では無くなってきた。
周りが外人だらけだから、何を話しても所詮外国語にしか聞こえないだろうとエスカレートしていった。
この事態を一番憂れいていたのはノムコだった。
だが彼女もどんなに気を付けてもこの病から逃れられなくなっていた。

4/15その2
本日のメインイベントはラフティング。河下りだ。
迎えの車には既に白人女性4人組が乗っていた。
彼女達のテンションは高かった。初め我々は気圧されていた。
車の運転は非常に乱暴だった。
しかも何故か運転手は行きなれている筈なのに道に迷う少々イライラする。
そのとき車が溝に突っ込み激しく揺れた。
我々は驚いて大声を上げる。謝る運転手。
白人グループの一人が「気にしなくていいわよ。だって我々はこれからラフティングに行くのだから」と、ウイットに飛んだような事を言う。
ラフティングでは確かにもっと激しく揺れるだろう。
だが、それは水中の事だ。道路で揺れたら困るだろう。
ラフティング前に事故ってしまったらお話にならない。
我々はお金を払ってサービスを受けている立場として不満を持つ。
だが、ジョークで許す彼女達には有色人種を支配下に置いていた民族としての余裕があるようだ。
やっと集合場所に到着。
ヘルメットなどを装着して説明を受ける。
ラフティングは面白いか怖いか自分でも不安だった。
もし怖かったら、2時間の恐怖体験になってしまう。
ガイドのワヤンさんが、オールの握り方からこぎ方を説明してくれた。
「前こぎ」と言ったら前に、「後ろ漕ぎ」と言ったら後ろに漕ぎ、「仰向け」と言ったら仰向けになる、といった簡単な指示だった。
いよいよスタート。
初めは激しい揺れに驚いたが、非常に興奮してきた。
思う様悲鳴を上げるのはかなり楽しい。我々はもの凄いチームワークで漕ぎつづけた。
号令を全員で軍隊のように復唱し、どのチームより盛り上がっていた。
ガイドのワヤンさんも嬉しそうだった。
先ほどの白人女性チームはすっかり縮み上がっておとなしくなっていた。
ガイドの見習いのチームが我々の船にぴったりくっついて、隙あれば河の水をかけて、いたずらしてくる。我々も負けずに水をかけ返す。
一回り以上若いコ達相手に向きになって仕返しをするのは楽しかった。
3メートルの滝から落ちる時、私だけ打ち所が悪く少々いたい思いをしたが、それ以外は最高であった。景色も極楽のよう。
興奮して笑ったり歌ったりしているうちに終わってしまった。
食事を終えて、車へ向かう。
ガイドのワヤンさんにぴったりよりそうバリ人の女性がいた。どうやら彼女らしい。
きっと毎日観光客を相手にする彼氏が心配なのだろうと推測した。
こちらから褐色の男性がステキに見えるように、彼らからは肌の白さが魅力的に映るそうだ。ちょっかいを出す日本人女性も多いのかもしれない。
車に入ると白人グループの一人は背中を強打して寝こんでいた。
全員、行きほど元気が無い。
我々は行きより元気。楽しかったと盛り上がる。
 
ホテルに戻った後、再びレゴンダンスを見に行こうという話になる。
私は少々疲労が溜まってきたので留守番をする事にした。
一人でコンビ二やパン屋で買い物。
前から欲しかった万能オイルボカシーという代物を買う。
塗って良し、飲んで良し、匂い消しにも良しと、万能なのだそうだ。
ホテルの前でバクソウという食べ物を買う。
豆腐屋のように町を移動しながら、売っている。サエさんに聞いた時から食べたかったのだ。ピリカラの肉団子スープで春雨が入っている。
器に持ってくれたので、ホテルのロビーで急いで食べる。
ロビーではボーイさん達が集っていた。
初めて話すボーイさんが
「バクソウはおいしいか?」「お酒は好きか」
などと話しかけ来た。
大体のボーイさんは、日本語で話してもあまり理解しているように思わなかったので、片言の英語で必死に話す。英語よりジェスチャーがメイン。
味わえず、すっかり疲れてしまう。
器を返しに行くとバクソウ屋さんはもういなかった。仕方なく器をもってとぼとぼ戻る。
ボーイさんがまた来るから返しておくよと、預かってくれる。
ロビーで飲まないかと誘われたが、せっかく一人きりになったのでのんびりしようと思った。
「スラマ・ティドル」(おやすみなさい)と、その場を立ち去ると、もう寝るのかと、驚かれる。
部屋へ戻り、庭に面した玄関口で書物をしていると、さっきのボーイさんが来た。
「私、ワヤンと言います」
「私、ゆうか、いいます」
うすうす気づいていたのだが、私は英語を話しているつもりで、外国人が話す日本語のような口調になっているだけの事が多い。
そしてワヤンさんはかなり日本語が出来るようだ。
ジェスチャーメインの英語など使わなければ良かった。
「栃木県は知らないか。栃木に友達がいる」
「Oh! 栃木、餃子名物」
「gyo...za?」
「Ya,トテモ、オイシィ。ジューシー。ミンチ・・・ミート・・皮で包マレテル」「・・・・・・。」
ノムコ達がいなくて良かった。
その後、明日の土曜の晩に盛り上がる音楽のイベントがあり、ここらの人は皆行くので一緒に行かないかと言われた。知り合いになった、ここに宿泊しているカップルも行くらしい。
もともとクラブなどでどう楽しんでよいか分からない。
ノムコ達が帰ってから相談して決めることにした。

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バリ六日目

さる2
モンキーフォレストへ向かいがてら、ジャランジャラン。
買い物をしながら歩くのでなかなかたどり着かない。
チケットを買ってモンキーフォレストへ入るりトイレへ。
先に出て、二人を待っていると正装をしたステキな人がいた。
肉感的な江口洋介といった感じ。
一応江口ファンの私は「すわ、好み」と思い動揺。
「スラマ・シアン」と、挨拶をされたので、挨拶を返す。
彼はなかなか立ち去らない。どうやらモンキーフォレストのガイドらしい。
ガイドは猿から守ってくれたりするようだ。
ガイドのシステムが分からない。
チップを渡して付いて来てもらうものなのか、危険な時に助けてくれるだけなのか。
好みな人が付いてくると動揺して疲れるので、早く立ち去ってくれないかとうっとうしくなった。猿に集中出来ない。
べロを出した銅像があり、ユキゾウに同じ顔をして写真に写るように言われる。
好みのガイドがいないかと確認して邪悪な表情で決めた。
撮影が終わると、彼が我々を見ていた。笑っているようだった。
嫌な所を見られたと忌々しくなる。
コースから外れて、炎天下のなか歩く。普通の民家になっていく。
暑さにやられ、通りかかったCHILI CAFEというカフェに入る。
そこにはがらっぱちな感じの日本人女性がいた。カフェのオーナーだという。
彼女に安くて手軽なエステの店を紹介され予約も入れて貰う。
日焼けを気にしている我々は美白コースを選ぶ。

夜は、岡崎さんに紹介されたカフェ・ロータスへ。
池を囲むように席が配列されている。蓮が見事だった。
そしてここでもレゴンダンスが見られた。
ワインもボトルで頼んで、好きに食べたが一人1300円程。
東京だったら5千円位するかもしれない。
満足してホテルからの迎えの車を待つ。
その間何度もタクシーに乗らないか?と声をかけられる。
ノムコが迎えが来ると断る。だが、いつまで待っても迎えが来ない。
来ないじゃないか、俺の車に乗らないか的な冷やかしを受ける。
ノムコがカフェ・ロータスに戻りホテルに電話をかけてもらう。
今から迎えに来るという。忘れられていたようだ。
待っている間、CDショップへ。
お店では「もう誰も愛さない」にかかっていた「I will survive」のインドネシア語ヴァージョンがかかっていた。
ユキゾウと「ちょっといいね」と、店員に片言でさっきの曲が入っているCDを尋ねる。
だが、どこにもその曲名が無い。
名前も変わっているのかもと、曲をさかのぼってかけてもらう。
だが、「I will survive」は無いようだった。
面倒くさいのでそのCDを買ってみた。日本で聞くのが楽しみだ。

迎えの車が来る。
俳優の升毅さんを小さくしたようなボーイさんがニコニコ謝る。
人は良いがアバウトな土地柄のようだ。
もう一人よくお世話になっているボーイさんはタイガー・ウッズに似ている。
名前が分からないので升とウッズと呼んでいた。
ウッズは都会であるクタに憧れているらしい。
私がスキューバの訓練をしている間にクタへ行ったノムコとユキゾウが
「クタは若い人にはいいかもしれないけれど、我々にはちょっと騒がしい」
的な事を言うと、ウッズはすかさず
「Our?」と言いニヤッと笑うやんちゃな坊やだ。
自分はまだ若いのだから一緒にしないで、という事だ。
そう言われて謝ってしまう我々もつくづく舐められがちな客なのだった。
さる1

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バリ五日目

cd2eb560.JPG暗いうちに起床。サヌールの砂浜へ日の出を見に行く。
太陽など毎日登っている。
ちょっと海や外国に来たからって、ご苦労な事だよと自分を罵りながら支度。
まだ真っ暗だった。
出掛けにノムコに「もし、何かあったら財布を渡すんだよ」と、言われる。
一人で暗闇を歩いていると、白い人影。
こんな時間に何をしているのだろう。
自分を棚に上げてそう思う。
ただ、ふらっと立っている。
向こうも私を見ると驚いている様子。そういう人が何人かいた。
浜についてもまだ暗い。30分ほど身を固くして日の出を待つ。
やや明るくなってくると、ぞろぞろ人が砂浜に集まりじーっとしている。
海につかる人も数人。首まで入っている。漬かり過ぎだろう。
よく分からないが宗教的意味があるようだ。
しばらくするとノムコがやって来た。
ノムコが海を見てぎゃっ!と言った。30匹位の小魚が一斉に飛び跳ねたのだという。
私は見逃してしまった。
二人で膝くらいまで海に入り、チャンスを狙う。
ノムコが2度3度「見た?」と、聞くのを悉く見逃してしまう。
日の出は当たり前のように綺麗だった。

プリクラパ・ガーデンコテージをチェックアウトする。今日からウブドへ。
ガイドさんに薦められ、芸術村へ。
初めはバティックという布の製作を見学。
いわゆるろうけつ染め。非常に細かい作業。
その後バティックの店へ。私が海外旅行で最も苦手なコース。
ガイドさんに連れていかれる所ではもれなく買い物コースが付いてくる。
初めて行ったマレーシアでは免税店にばかり連れて行かれ、
よく分からないままに随分買い物をしてしまった。
1時間ほど店から出られないように鍵をかけられた事もあった。
それ以来ガイドさんに薦められるコースはほとんど拒否するようになった。
だが、物の製作過程は見たかった。
押しに負けて無駄に買わなければ良いだけの話だ。気をしっかり持つ。
確かに布はどれもステキ。コースターやランチョンマットにしたらさぞ良いだろう。
だが、普段そんな物は使わない。
あなたにこのドレスが似合うと薦められ、当ててみる。悪くは無い。
だが胸をワシ掴みされるほどでは無い。逃げる。
すると、別の店員に挟みうちに会う。別なドレスをあてがわれる。
サイズに難があるふりをして断る。
気づくとノムコもユキゾウもいない。二人は外にいた。
もう少しで気まずさのあまり欲しくもないものを買いそうだった。
これからは買い物の時二人の傍を離れないと決意。
二人にも私が店員に囲まれているのに気づいたら来てくれるように頼む。
一人で断れなければいけないとは分かっているのだが、ただ薄ら笑いを浮かべてるうちに
意に沿わない状況になってしまうのを避けることが出来ない。非力だ。

その後、アタという植物で作る籠、銀細工、絵などの製作過程を見学。
銀製品は初めから買うつもりだった。だが、値段交渉で揉める。
店員が提示した値段をノムコとユキゾウが見て、「高すぎる」と、交渉してくれる。
私はへらへらしているだけ。よく分からなくなる。
ただ、薔薇の細工のペンダント、母へあげるペンダントはどうしても欲しかった。
相手の値段を飲んでもいいような気持ちになった。
だが、ユキゾウに「しょうがない。ゆうかちゃんあきらめな」と言われる。
欲しかったのであきらめたくなかったが、これは策略では・・・と気づいた。
帽子を被りはずしていたメガネをかけ立ち去ろうとしたら、店員さんに呼び止められた。
初めの値段より大分下げて貰えたのだ。
物欲に目がくらんでいたが、このような駆け引きが必要だったのだ。
一人ではとても出来ない。
助けて貰えなければ何も出来ない。

ウブド
ウブドのグリーン・フィールド・ホテルへチェックイン。
山田詠美が執筆したと言われている。
だが、我々の部屋は質素であった。
プールに案内されう途中デラックスルームを目撃。
親をつれてくるならデラックスルームね、などと夢の話をする。

散歩がてら昼食を取る店を探す。
道で写真を取っている白人男性がいた。
彼と目が会うと微笑まれた。悪い気はしなかった。
背後から声をかけられる。英語が出来るノムコが応対。
自分はスペイン系フランス人でレオンという、レオンはライオンという意味だ、君達はどこに泊まっているのか?自分はバイクもあるし車もあるから、どこにでも連れていけるなどと言っていた。
初めは、私が目当てかしらと気をよくしていたが、徐々に彼の目線がユキゾウのみに注がれている事に気づく。
「What your name?」
「ユキコ」
「Nice to meet you,YUKIKO」
レオンはユキゾウの手を握りしめる。
「ユキコ目当てだよ」と、ノムコとテレパシーで会話をしていると、彼は我に返ったようだ。ついでのように我々にも名前を聞いてきた。
しかし、聞くのはユキゾウの事ばかり。
彼女は英語を話せないのかという問いにノムコが今勉強中と答える。
「いつから勉強しているのか?」
「今」
「もし、彼女のその気があるなら、自分はフランス語、スペイン語、英語を教えることができる。フランスに行きたくはないか?」
「行きたい」
「いつ来るのかい?」
「そのうち」
「フランスに来たら、僕が案内してあげる」
という感じのやり取りが行われる。
レオンは自分のメルアドをノムコの地図に書き、ユキゾウに気が向いたら連絡くれるように言っていた。
彼と別れてひとしきり
「フランス人は凄いね~。いい男だったじゃん。ジャン・レノみたいで」
「ユキゾウ抜きで二人でフランスに行ったら面白いね」
「私らまるで通訳と子供だったよね~」
などと冷やかす。
だが、ユキゾウは異国で見ると日本人離れしてゴージャス。
チンケなジャップには見えない。つれていて鼻が高い。
ノムコは海外放浪をしていただけあって、かなり話せる。
ユキゾウは私と同じでほとんど話せないが、分からなくても卑屈にならず堂々としている。
私だけが、海外で貧相になる典型的な駄目日本人だ。
曖昧に笑い、英語が話せないのをごま化す為に絶えず謎の音声を発している。

バリ飯に少々飽きはじめた我々はピザやパスタのある店で昼食。
インドネシア語の
「すいませ~ん」
を初めて使ってみる。ノムコが「プルミシ」と、呼びかけてみると、不審な顔をされる。
店員では無く客だったのだ。

夜はサレン王宮へ行きレゴンダンスを観る。
生で観るガムラン演奏に興奮していると、踊り子が出てくる。
どんな踊りより艶っぽく今にも天に飛び立つ天女のようだった。
獅子舞のような踊りも素晴らしかった。
こちらでは生活に神様が密着している。
踊りにもよく神様が出てくるのだが、猿のバナナを欲しがったりおよそ神様らしくない。
西洋人でロン毛のカメラマンが盛んにショーの写真を撮っていた。
「あの人カッコ良くない?」と、ノムコに耳うち。
ノムコははっとして「ハミルさんみたい」と言った。
「ガラスの仮面」の登場人物だ。
紅天女の稽古に励む姫川亜弓に魅せられ「ヘイ、亜弓!」と、言いながら写真をとっては邪魔がられているカメラマン。
確かに似ていた。
ハミルさんに美人な彼女がいた。どちらにせよ、全く関係ないのだが興ざめする。
大層素晴らしいショーだったが連日の疲れのためか、時折気が遠くなる。
ガムランがまた眠気をそそるのだ。後で聞くとノムコもそうだったという。
このことは一番興奮しているユキゾウには内緒にしようと話し合う。
ダンス

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バリ四日目

805117f0.JPGトランベンへ。沈没船のあるダイビングポイント。
サヌールから車で2時間。
本日はノムコもユキゾウも一緒。
ノムコはダイビング、ユキゾウはシュノーケリング。
昨日のAさんと、裕福そうで社会的地位もありそうなおじさま。
アブダビで仕事をしているそうだ。
ライセンスを持っているノムコはおじ様達と一緒に行く方が、深い所にも行ける。
だが、課題をこなす私とサエさんとバディを組む事を選ぶ。
本日は海岸から歩いてのダイビングなので、ボンベや重りをしょって陸を歩くのに四苦八苦。
アコーディオンより重い。水に入ると、楽になる。

少しずつ潜って進むと大きな岩棚のような物があった。
その下に細長い2匹のサカナが夫婦で住んでいるらしい。
そのサカナを観察して更に進んでいくうちに、岩棚だと思ったものが沈没船だと分かった。
すっかり珊瑚や砂に覆われていた。
想像していたものとは大分違ったが、沢山のサカナの住処になっていて見応えがあった。
下の方に大きなサカナがいると思ったら、他のダイバーであった。
我々はまだ18メートルしか潜れない。
深い所も楽しそうだ。
初めは高さで想像して深い所に行くのは怖いのではと思った。
潜るうちに水面も見えなくなり、ただ中をさまよっている感じになって行った。
だが、まだまだ不自由。
沈みたいのに浮いてしまったり、浮上したいのに沈んでしまったり。
肺やBCDの空気量を調節しても、実際に浮いたり沈んだりするのに時間差がある。
しかも水面に近づくと浮力が倍になる。
遅れをとっても焦って泳ぐと進まない。
水中では焦るのは禁物。サカナを見る所では無い。

一本目を終え、浜へ戻る。
陸に上がると重力が足にかかって歩けないほど重く感じた。
昼食。
Aさんは、もう一人のおじ様がこちらのグループに話し掛けるので、昨日とはうって変わって話し掛けてくるようになった。
だが、ユキゾウは初シュノーケリングで荒波に揉まれ、ぐったり。
しかも今日は透明度が悪くあまり見えなかったらしい。
私も慣れないダイビングでぐったり。相手は元気なノムコにしてもらう。

2本目の方が透明度が上がる。
サエさんがサカナにえさをあげる振りをしたら、黒いカラスのようなサカナに囲まれ見えなくなる。まるでサエさんが食べられているようで少々怖かった。
今度は沈没船の中まで入った。
狭いトンネルをくぐるようなコースは時折渋滞したが、大層楽しかった。
子供の頃の探検ごっこを思い出す。
ユキゾウは早々にシュノーケリングをやめていた。
彼女が入った頃は透明度も悪く、何も見えなかったのだ。
いつかリベンジするそうだ。

帰り際にAさんが集合写真撮りましょう、と言う。
バディを組んだおじさまやY・スキューバのスタッフさんと撮りたいのか、我々も入った方が良いのか分からない。集合と言うからには全員なのだろうか。
Aさんの顔を伺うが、意思が読み取れない。
ふと、「ユキゾウの写真が欲しいのでは?」と、思った。
旅先でユキゾウほどゴージャス美女と会うことなどそう無い。
ただの推測だが、そんな気がした。
私もノムコもうすら笑いを浮かべポーズを取っていた。
ユキゾウだけは真深に帽子を被り、口しか見えない状態だった。
もしユキゾウの写真が目当てだったら彼もしょんぼりだろう。

帰り道は朦朧とする。
途中でステキな町を発見。チャンディ・ダサという町だった。
すっかり何度もバリを訪れる気持ちになっていたので、次はきっとここに泊まろうと誓い合う。
本日をもって無事ライセンスを取得。気を張っていたので、安心する。

やっとのんびり旅を楽しめる。
夜ご飯を食べる場所を相談していると、さえさんが、プーちゃんと呼んでいる河合我聞似のスタッフさんに聞いてくれる。
昨日行ったお店の近くを教えてくれた。
サエさんと後で合流する事にした。
車が壊れたらしくプーちゃんがプリクラパまでタクシーで送ってくれる。
優しくていいコだと皆で感動する。
彼の意向は一切無視して、タイプかどうか好き勝手に話し合う。
「凄い可愛いけど、弟みたいな感じで恋愛は無理かな」
と、ノムコとユキゾウの意見が一致。
そこで私は
「私はタイミングさえ会えば全然大丈夫だな」と、守備範囲の広い所を見せつける。
だが、タイミングというのが一番やっかいなのだ。
窮地で助けられるとか劇的な事が起きなければならないのだ。
寝言のような会話は楽しい。

ジャランジャランのあと、夕食。
しばらくしてからサエさんがお友達と一緒にやってきた。
お友達もアグースさんという。こちらに多い名前らしい。
彼は少々古いが太川洋介に似ていた。
海に潜るという意味のインドネシア語を教わったり、手で食べるのを伝授してもらう。
真似て右手のみで鶏肉などを食べようとするが、こぼして服を汚してしまったり、つい不浄と言われる左手を使ってしまったり。なかなか難しい。
もう一軒お店へ行ってArackを飲もうかと言う話にもなったが、明日はチエックアウトの日。
すごすごとホテルへ戻って荷造り。

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バリ三日目

395964cf.JPGパタンバイへ。バリで有名なダイビングスポットらしい。
今日はもう一人日本人男性、Aさんも一緒だった。
少々秋葉系。ダイビング暦は長いようだ。
私には分からない機材のメーカーの話などしていた。
ひそかに、もしステキな人と一緒だったら困るとシミュレーションしていたが、心配は皆無だった。ちょっと困りたかった。
パダンバイには物売りがたくさんいた。
今日は2度潜る。初心者なので準備にもテンパる。
だが、「安い、可愛い、魚模様、綺麗」などと言って布を売りつけてくる。
こちらには余裕が無い。
「No,Thank you」と、言っても 「後で?」と、言って立ち去らない。
「かわいいね~、ジャパニーズ?」などおべんちゃらも言ってくる。
なんとか無視。

いよいよ出発。
今日は船で5分ほどのポイントへ行ってダイブ。カンカン照り。
昨日習った課題を海の中で行う。
水の中では話せない。
やれといわれている事が分からなかったりとても不安。ゼスチャーの世界。
ハワイでやった体験ダイビングでは魚に見とれるばかりだったが、今回はサエさんに付いていくのに必死で魚を見る余裕が無い。
流れが急なところでもサエさんはぐんぐん進む。
私はどんなに頑張っても同じ場所にいるだけで精一杯。
サエさんが私の首の上にあるファーストポジションをつかんで引っ張ってくれる。
彼女が私の上になるので、姿が見えなくなる。
引っ張られているのは確かなのだが、もしや一人きりなのではと不安になる。
深さ11メートルほどの所を30分ほど潜る。

一旦浜へ戻る。
サエさんが自分のおやつをくれる。
屋台で売っているというトゥルン・ブランというお菓子だ。
甘くないどらやきという感じで大層おいしかった。
休んでいると、またもや先ほどの物売りのおばちゃんがやってきた。
日本人がよほど魚模様に反応するのか「サカナ」と、連呼。
サカナ模様の布を見せる。
私は「サカナ」と、首を振る。
サカナ模様は好きじゃないと、示した。
「サカナ?」(サカナは好きじゃないのか?)
「サカナ」(そう、サカナ模様はタイプじゃないの)
不思議と意思疎通出来た。
彼女はまたもや日本人が好きという柄をいくつも出してきた。
まったく別の布でちょっと可愛い柄があった。
ウブドに行ったらバリ舞踊も習う。腰に巻く布としても良いのではと思った。
すると代表の高橋さんが「ぶっちゃけウブドの方が安いですよ」と、小声で言う。
微妙な立場なのだろう。
彼らとは仕事で毎日会う。
彼らの邪魔はしたくないし出来れば協力もしてあげたい。
だが、たいしたものでも無いものをふっかけられている同国人に忠告したくもなるのだろう。
布はどのみちお土産などで買うつもりだった。
だが、何もダイビングの最中に買わなくても良いのではと困る。
しかも初めて深く潜り、ぐったりしていた。買い物どころでは無いのだ。
あきらかに気が乗らないのに断る精神力がなくなる。
1枚買えば終わる。
買う意思を伝えると、2枚買えと言ってきた。
甘かった。
がんとして1枚を主張。おばさんも納得した。
だが、その様子を見ていた他の物売りが私の近くに列を作っていた。
激しく動揺。
気づかない振りをしてトイレに行きたくて溜まらないジェスチャーをしながら走り去る。
物影から様子を見守ると、物売り達が立ち去る気配は無い。
隠れていると、別の物売りが寄ってきた。
仕方なく席に戻る。
今、疲れきっているのだ、話し掛けるでない!というオーラを飛ばしながら机に座ってうつむく。「No Thank you」を連呼。

次のダイブの時間になる。
2度目は8・4メートル。やはり30分。
途中で咳をしたりしたが、大丈夫だと分かった。
本日見た生き物。
エイ、チンアナゴ、ミナミウシノシタ、モンハナシャコ、ウツボ、ヘラヤガラ、デバスズメダイ、クマノミ、カクレクマノミ、ソラスズメダイ、アヤコショウダイ他多数。

事務所へ戻り学科のテスト。
いつ受けても良いのだが、落ちた場合明日も受けられた方が安心だ。
9割以上は一発で通る。
昨日復習した計算問題で滞ってしまう。
ここであきらめたら非常に悔しい。
数字を見るだけでアレルギーを起こすのを我慢して粘る。
拒絶反応の山場を超えたら、問題が分かってきた。相当時間をかけて解く。
ケアレスミスもあり、50問中、43点。だが、おまけで45点にしてもらう。
私ほど頑張らなくても、1日で軽く受かる人がたくさんいるに違いない。
努力の割に点は悪かったが、とりあえず受かってほっとした。

夜はサエさんに教えてもらった地元のお店「ワルン・クンパ」へ行く。
蚊が沢山いて見る間に刺される。
慌てて、虫よけをぬる。いかにも地元の定食屋という感じで安い。
サエさんに薦められたミークェティアォ(甘辛のきし麺状の焼きそば)、プーユンハイ(蟹玉状の蟹の変わりに鳥肉などが入ったもの)は大層当たりだった。
食べ過ぎなほど頼んで一人400円位。

夜中に首周りの痒さに溜まりかねて目が覚める。
首を虫に刺された覚えは無いが、赤く発疹が出来ていた。ウナコーワを塗り再び寝る。

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バリ二日目

d676beff.jpgスキューバダイビングのライセンス取得するために、ネットで調べたY・スキューバに申し込みをしていた。
朝食を食べた後、迎えを待つ。
褐色の妻夫木聡が迎えに来た。
「私はアグースです」と言われ、モゴモゴ「ゆうか~」と、薄ら笑いを浮かべた。
アグースさんに「バリでバリバリ楽しんでください」などと言われているうちに
事務所に到着。申し込みのメールでやり取りしていた高橋さんに会う。
彼女はこちらに4年滞在しているというのに、色白だ。美白に命をかけているらしい。
私の担当になるのは日本人女性のサエさん。
こちらはかなり小麦色。健康的でかわいらしい人なので安心する。
生理的に受け付けない人と3日間も二人きりだったらどうしようと、怯えていたのだ。
まずはビデオを見ながら学科の勉強。
誰でも受かると舐めていたら運転免許の学科を落ちたことがあるので、
真剣に授業を受ける。
4段階に分けて10問ずつテストを受けた。
満点を取りたいと意気込むが、7点や8点ばかりで落ち込む。
4段階めには少々ややこしい計算がある。
最終テストは7割5分正解しないといけない。
この計算問題が解けなくても、ほかのミスをしなければ十分受かるはずだ。
だが、ケアレスミスはつきもの。理解しようと必死になる。

昼すぎからプール。初めに装置の説明を受ける。
そして泳いだり浮いたり出来る事を示してから、訓練。
ほとんどの人が受かる資格の割にはしんどかった。
口でしか呼吸できないと分かっていても、慌てたら必ずや鼻から吸ったりしたくなる。
水中で、メガネに水を入れたり、はずして再び装着してはメガネに鼻息を吹き込んで水を出す練習。肺に入れた空気量で浮かんだり沈んだり、同じ位置にとどまったり。
水中で浮かないようにするために付けている重りや、空気を入れたり抜いたり出来るBCDというベスト状の上着を水の中で装着したり脱着したり。
何度も鼻から水が入っては苦しくなる。
途中プールの端にゴキブリが浮いているのを発見。
サエさんと足に付けるフィンなどで掻きだそうとするが逆に沈んでしまう。
「私が頼むとやってくれなから、ゆうかさんからアグースに『アグース取って』と頼んでくださいよ。そしたらきっと取ってくれるから」と、言われた。
だが、私は頼みごとが苦手。
自分のフィンを慎重にゴキブリの下に入れて引き上げた。
フィンにゴキがへばりつく。まるで生きているようだ。
その様子があまりにも気持ち悪かったので、「うわぁーーー!」と叫びながら草むらに捨てる。

ぐったりしながら、プリクラパへ戻る。
クタにショッピングへ行っていたユキゾウとノムコが戻って来た。
ステキなサンダルやシャツが驚くほど安いらしい。
買ってきた代物を着て見せてもらう。うらやましくなる。
ライセンスを無事に取れたら、私もショッピングに繰り出すのだ。
だが、旅先で買い物魂に火がついた私は自分でも驚くほど財布が緩くなる。
あっという間に二人を追い抜くかもしれない。恐ろしい。
この日手作りのサンダルを3人で購入。
はじめ一足35万ルピーと言われたが3人とも買うという事で一足20万ルピーにしてもらう。
この時ノムコが間違えて2万しか払わずに店を出てしまう。
店員さんにバイクで追いかけられ謝る。
値下げ交渉などやってくれて頼もしいのだが、たまに抜けさくになる。

こちらでは散歩をジャランジャランという。
ジャランジャランしているうちにビーチへ。
海岸沿いにはレストランが並んでいる。比較的安めな店を選び夕食。
砂浜で星を見ながら食事。
またもや選ぶのが面倒なので適当なものを注文。
串刺しの海老が5匹も来てしまう。
こんなに海老ばかり食べられないと、ノムコやユキゾウに分けて彼女達のものも貰おうと画策。二人に一本ずつあげようとするが、「ゆうかちゃんの分が無くなるよ」と、味見程度しか貰ってくれない。
これでは彼女達のも、あまり貰うわけには行かない。残念に思うが、うまかった。

ここで、ガイドのアルナワさんに聞いた、トイレはどこですか?というインドネシア語を試してみる。
「ティバナトイレ?」と尋ねると英語で「follow me」と、案内をされた。
手鼻と覚えたのだった。
こちらのトイレは様々なので緊張する。
普通の水洗式もあるが、便座も流しもチリ紙も無いところもある。
小さな浴槽みたいなものがあって、それで局部を洗うらしい。
まだ初心者なのでチリ紙で拭いてその紙をごみ箱に捨てるようにした。
皆がどのようにしているのかよく分からない。
だが、便座も足元も水浸しのところが多い。
お尻が濡れないように腰を浮かしたり、水溜まりを避けたり大変。
慣れた様式のトイレを発見すると、したくなくてもトイレに行くようになった。

食事を終えると、波打ち際に足を浸したり波とじゃれる。
ノムコが「あったかいよ!」と言っていたが夜の海は冷たかった。
ノムコは代謝が良いが、私もユキゾウも冷え性。
どこまで元気なのかと、我々が呆れ顔をするとしょんぼりしていた。

またもやスーパーへ行きバリのお酒ARACKを購入。
ノムコが栓抜きをロビーに借りに行く。
ビールで割ると言うとボーイさんに止められたという。
コーラや甘いジュースで割るように薦められる。ARACKは40度もあるのだ。
こちらの良く分からない甘いジュースで割ってみた。
ジンやウォッカ入りのカクテルに似ていた。

早起きをして、今日習った学科を復習しようと思ったが3時頃目が覚めてしまう。
もそもそ起きて勉強する。
今日理解した筈の計算問題がさっぱり分からない。
あきらめて翌日質問しようかとも思ったが、粘る。
1時間ほどうなっているうちに分かってきた。
だが、違う問題になるとまた分からない。何度も何度も繰り返し問題を解いた。
途中で椅子から落ちて腰をしたたかに打つ。
ノムコとユキゾウが飛び起きる。
へこへこ謝る。朝5時頃再び寝る。

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バリ一日目

1c5e981f.JPGバリ行き。朝6時55分新宿東口でノムコと待ち合わせ。
私にしては早くつきすぎたが浮かれいるので、待つのも楽しい。
成田エクスプレスのチケットを貰う。ホームでユキゾウと合流。
3人なので並んで座れない。
ノムコが気を遣って私とユキゾウを二人にして、自分は一人で座る。
東京駅につくと私達二人を困惑した顔で見る女性がいた。
チケットをよく見ていなかったのだが、ノムコの座っている列に2人座らなければならなかったらしい。
通路側のユキゾウをノムコの方へ座らせて安心していると、
「私窓側です」と言われてしまう。すべて間違っている。
「ごめんにゃさい!」と、3人で5,6回詫びを入れるが、取り付くシマも無い様子。
寝た振りで気まずさを紛らわすうちに寝てしまう。

搭乗手続きの事はよく分からないので、ただノムコについて行く。
荷物に付ける札をくれるカウンターで保険加入を薦められる。
スキューバなどもやるので入る事に。やや時間がかかる。
我々の次に並んでいたおば様2人組が
「私達そろそろだよね」
「何やってるのかしら?」
「ああ、保険入っているんだ~」などと苛ついていることをアピールし始める。
私達の前にも保険加入する人はいたので、私達もかなり待たされていた。
「30分以上待っているのに」などと自分達だけ特別待っているかのような振るまい。
気づかない振りをして書類にサインを続ける。
「今のアナウンスで呼ばれたの私達よ、最終搭乗案内よ」と、まくしたて始めた。
さすがに乗れないのはかわいそうだと思った。ノムコも彼女達に順番を譲る。
私もなんとなくカウンター前をよける。
おば様方は「30分以上も待っていたのよ」と、受付のお姉さんに不満をもらす。
こういう時、反射的に「保険なんて前もって入るべきなのに、いまさら手続きしてお待たせしてしまってごめんなさい」という気持ちで謝ってしまう癖がある。
だが、何か引っかかった。
ここで保険の手続きを薦められたのだから、手続きする人がいる筈なのだ。
それを見越して早く来ない方が悪いのでは・・・しかもなんだかえばっている。
すまなさそうな顔にならないよう、きりっとした顔を心がける。
おば様がたは当然の権利のような顔をして立ち去った。
順番を譲ってあげた私達が悪いと信じて疑っていなかった。
お礼も会釈もなしにドタドタ走り去った。
JALが、VISAがMASTERが、とさも旅慣れた会話をしていたのに空港からとんだ慌てっぷりだ。
その時「早く来ないのが悪いんだよ」と、吐き捨てるような低い声がする。
それまでニコニコしていたノムコだった。
カウンターのお姉さんもそう思っていたらしく笑った。
ノムコはしばらく「順番を譲らなければ良かった!」と、落ち込んでいた。

離陸はいつも緊張する。
「うわ!浮いた!」などと、叫ぶ。
だが、皆しれっと平気な顔をしている。
飛行機に慣れているのだろうか。恥ずかしくなる。
興奮したり寝たりしているうちにバリへ着く。
飛行機を降りると、そこは夏だった。
アルナワさんというガイドに迎えられる。サヌールへ。
日本人が少ない海辺の町だ。
アルナワさんの薦めるコースを断り続けているうちにプリクラパ・ガーデン・コテージへ到着。
お礼と挨拶だけ覚えて町へ繰り出す。
歩いているだけで、すれ違う人々に声をかけられる。
「タクシー?」
「かわいいね~」
「日本人?」
こんな事では決して一人では歩けないと、ビビる。
ノムコが巧みな英語でかわしてくれる。頼もしい。
こちらの店は皆大規模なオープンカフェ状態。良い店を見繕って入る。
風が気持ち良い。
メニューが読めないので適当なものを頼むが、皆うまかった。
スーパーへ寄り、ビールを購入。
コテージの部屋には、外でお茶が出来るスペースが付いている。
キャンドルの明かりで軽く一杯やり速やかに就寝。

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バリ前日、芝居のハシゴ

芝居の梯子。
マチネは下北沢オフオフシアターで、メタりック農家「尼」、
ソワレはパブリックシアターでは白井晃さん演出「ルル」。
楽しみにしていたのだが、旅支度も出来ていないので精神的に余裕の無い状態であった。

「尼」は、よく出来ていた。
今日はゲネ、プレビュー、ソワレと3公演もやるらしい。大変なことだ。
急病人が出て、作、演出、主催の葛木英ちゃんが大役をやっていた。
芝居の見せ方も凝っているのに鼻につかない。
21才が考えた世界だと考えると末恐ろしい。
ワークショップなどで教えている人達より数倍レベルが高い気がする。

バイクで下北から三軒茶屋へ移動中、後ろのバイクから怒鳴り声。
何か運転に問題があって文句をつけれているのかと動揺する。
だが、おかしなことはしていない。
よく見ると知り合いだった。
偶然会ったので驚いて必死に呼びかけていたらしい。
何も悪いことをしていないのに、自信が無いとすぐ動揺してしまう。
こういう性格は一生直らないだろう。

「ルル」は芸術という呼び名がぴったり来る舞台だった。
主演の秋山さんの一挙手一投足がエロチックで美しかった。
まさにファムファタールだった。
話自体はシンプル。
男を翻弄する女が数々の恋愛遍歴を繰り広げ、蝶よ花よとあがめ奉られているが、
落ちぶれて哀れに死んでいく。
生活、或いは快楽のため、誰にでも体を許してしまう娼婦のような女だが、
本当は純な寂しがり屋。
絶望的な孤独感だけが彼女を支配していた、といったような雰囲気。
海外で評価される芝居はこういうものかもしれない。
前衛的な演出が随所にちりばめられていた。芝居というよりアート色が強かった。
アートの事はよく分からないがそう思った。
楽屋へ挨拶に行き「美しかったです~」と、連呼して帰宅。
初日乾杯に誘っていただいたが、泣く泣く断念。
明日午前11時の飛行機へ乗るというのに荷造りがまったく出来ていないのだ。
旅は楽しみだが、荷造りは嫌い。

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帰ってきた自転車

今年に入って2台自転車をなくした。
一台目は人に貸したらなくされた。
新たに買った2台目はエッヘ・ロリータ男爵公演の打ち上げの為、一日下北に置いたら盗まれた。
不自由な日々を過ごしていると、数日前に一台目が見つかったという知らせが来た。
3月23日に中野で撤去されたらしい。
それ以前に盗難届など出していたら、撤去料金500円を払わずに済むとのこと。
なくされてすぐに当事者に防犯登録番号などを渡して、盗難届を出してもらっていた筈だ。
野方警察署へ連絡して受理番号を聞いてもらう。
だが、盗難届は出されていなかった。遺失物届けになっていた。
これでは料金免除になるかわからないと言われ、キレる。
防犯登録番号を渡したのに、何故盗難届を出していないのか、また、警察側も盗難届にしたほうが良いと言わないのか。
気を取り直して、撤去先に赴く。
かなり時間が手間取ったが料金を支払わずに済んだ。
失くした時はカギはかかっていなかったらしい。だが、カギは無かった。
大きなペンチで切って貰う事にした。
自転車屋でカギをつけ、曲がったフレームなどを直してもらう。
面倒であったが、災難続きの生活の区切りがついたようなすがすがしさを覚えた。

自転車で目白へ。スキー部の先輩であり演劇ライターの岡崎さん宅へ。
先日鍋パーティーにおよばれした時、メガネを忘れてしまったので、受け取りに行く。
バリ行きを告げたら、ウブドのカフェ・ロータス、クプクプバロンがお勧めと教わる。
ノムコとユキゾウが入念に下調べしているのに私は何もしていなかった。
この情報を言うことで少し調べているのだと、示す事ができるとくほくそ笑む。

ビッグカメラへ。
メモリーカードに写真と音楽を取り込めるというデジカメ購入。
新型機種が出たらしく大幅に値下がりしていた。
その後、歌舞伎町の一休へ。岸潤一郎君のお誕生日会。
ナオミィこと、加藤直美嬢が幹事。
9日にバリ島へ行くことの自慢ばかりしてしまう。
今年は花見をまともに出来なかった。
だが、バリの自慢ばかりしているので誰も同情してくれない。望むところだ。

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葬式はしないで下さい

理由が分からないのに、体調が悪い。
ノムコから電話。
「お願いがある」というので何かと思えば、髪を10センチほど切れないか?との事。
3年以上髪を切っていない人が海に入ると、海底に引きずり込まれるという不気味な話を聞いたらしい。
9日から私とノムコ、中坪ユキゾウの3人でバリ島へ行くのだ。
私はそこでスキューバのライセンスも取るつもり。
間違いなく3人の中で一番海にいる筈だ。
しかも、あちらは地震続き。1ヶ月以内に大きな地震が起きるという予言もされている。
最近トラブル続きな私は少々心配。
トラブルに巻き込まれやすくはあるが、不思議な程無事に済んできた。
今度もきっと大丈夫だろうとは思うが、安心する為に髪を切った方が良いのかもしれない。
尋常ではない程長く、妖怪じみているのを気に入っていた。
10センチ切ったら、この妖気は消えうせてしまう。
その方がモテるかもしれないが、気が乗らない。

もし私に何かあったら、誰が喜ぶだろうという事を想像した。
何人か思いついた。
そういう話をお友達にしたら真面目に怒られた。
喜ぶ人も確かにいるが、今のところ嫌な思いをする人の方が多そうだ。
一応申し訳程度に髪を切ろうかと悩む。

だが、もし自分に何かあったら、葬式などはしないで欲しい。
ハイレグが解散する時も、わざわざ解散したと言わないでいつの間にかやらなくなればと主張していた。
人の冠婚葬祭には極力参加する主義だが、自分は別だ。
いなくなった事を最後まで気付かれなければいいと思う。

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重心を下に落として

ヴォイストレーニングで西永福へ。
最近何故か声が枯れ気味。
花粉症では無いつもりだが、何か影響を受けているのだろうか。
今年度からはどんどん声出しを行うという。
前から気になっていたが、皆より声が出ない。
長年の酷使が祟って、声帯に結節が出来ている。
ある音域になると全く音が出ず、息しか出ない。
出しているつもりになる事が大事らしい。
息も皆より続かない。皆が一気に出す所を何度も息継ぎをしなければならない。
そういう状態の人もやっているうちに出るようになると言われた。
これは信じて続けるしか無いが、不安だ。
呼吸を見てもらうと、「吸っている息の量は申し分無いけれど、吐き方が良くない」らしい。使わない方が良い筋肉を使ってしまう癖がついている。
実際は今使っているよりずっと下の筋肉を使わなければならない。
どのスポーツでも重心の高さを指摘され続けた。
実際芝居で感情が高ぶると、首の後ろや後頭部が破裂しそうになる。
重心をもっと下げればそういう症状も収まりそうな気がする。
「今度来る時までに、もっと自分の中心を下げてきて」と、言われる。
「頑張ります」と意気込んだものの、まるで雲を掴むような気持ちだ。
前回霊感のある人に新井さんの事を聞いてあげると言われていたので、今日は期待していた。先生は何も言わなかった。忘れているだけかもしれない。
だが、あまりに酷いので言えなかったのかもしれない。
そんな風に考えると、先生が私を見る目がそんな風にも感じられる。
結局どうだったのか聞く事は出来なかった。とても気になる。

夕方新宿へ。
首、肩、骨盤の調子が悪いので整体へ。
ヴォイトレと同じ事を言われた。骨盤周りの腹筋や大腰筋が弱いらしい。
1時間治療して貰って大分楽になる。右手の腱鞘炎も痛みが和らいだ。

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発熱

ファントマ「マント」観劇。
石原正一ショーで伊藤えん魔さん、美津乃あわさん、浅野彰一さんとご一緒したご縁。
初めてだったが、独特のムードがあって素敵だった。
オープニングなど、逢う魔が時ってこんな感じなのだろうと思った。

終演後エッヘの三人と楽屋へ。
とうがらし入りの入浴剤を差し入れたら、あわさんが喜んでくれた。
初めてお会いした時はあまりの恐ろしさにビビったえん魔さんも、黒いメイクを落としながら歓迎してくれた様子。
こちらも怖かった事は忘れすっかり懐かしい気持ちになった。
飲みに誘っていただいたので、30分ほど外で待機していた。
初めからどこか喫茶店にでも入っていれば良かった。
エッヘの三人は大丈夫だったようだが、私は凍えてしまった。
しかも空腹で咽喉が痛かった。次第に吐き気がし始めた。
数年前ならこのような状態でも飲めば元気になると嘯いていた。
だが、今日はバイク。
気持ちがどんどん病人になって行く。
帰宅後熱を測る。7度5分。

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目と目で通じ合う

58926fa6.jpg発表会。11時過ぎに荻窪石橋亭へ。
アルゼンチン人ギタリストのアンヘル・ミランダさんとリハーサル。
皆1曲か2曲は彼と一緒に演奏するのだ。
アンヘルさんのギターは凄かった。
彼がリズムを刻む時、血がたぎって、魂が飛び跳ねそうになる。
牧田先生から「アンヘルと演奏する事で色々学んで」と、言われていたのが良く分かった。
芝居で大物歌手とプロのピアニストの方とご一緒した事があったが、その興奮を軽く上回った。
言葉は全く通じないのに目線で意志疎通しながら演奏。とてもセクシーな時間。
以前より生徒さんのレベルが上がっている。
ピアノをかなりやっているのか、初めて半年の人が弾いていたのは、私が最近弾いていた曲だった。
私はアコーディオンの鍵盤を激しく叩いてしまう癖があった。
ピアノの音は鍵盤の叩き方で変わるが、アコは蛇腹使いで音の強弱を使い分けるので、激しく叩いても大きい音が出る訳ではない。
ピアノをかじっていたせいで、指に力が入るのかと思っていたが、それは勘違いだったようだ。
最近入った生徒さんは皆ピアノをやっていたようだが、私のように指が硬くない。
むしろよく指が動いている。いつの間にか5年目に突入した私などより遥かに巧みだ。
関係無いが、ヴォイストレーニングでも余計な所に力が入り過ぎているので咽喉を痛めてしまうと言われている。
私にとって脱力はかなり難易度の高い事のようだ。

発表会は二部に構成されている。
一部はソロ、二部にアンヘルさんとセッション。
仙台から母、宝船スタッフの望月さん、本多さんが聴きに来てくれた。
今回は半年練習していない事もあって、テクニカル的に難しい事をするのはやめた。
今までの自分の演奏は楽器に振り回されて焦ってしまうのが問題だった。
簡単な曲をゆったり余裕を持って弾く事にした。
だが、それは両刃の剣。
難しい曲なら間違えても、何だか凄い事をして見える。
簡単な曲はミスが目立ちやすい。
結局破綻せずにに弾くのは難しいのだ。
ソロではトリだった。
簡単な曲なので、トリにふさわしくはなかったかもしれない。
だが、大きなミスはしなかった。
練習の時とさほど変わらずに弾けたので、自分としては満足。
二部に入る前に軽食タイム。
後があると思うとあまりリラックス出来ない。
母が初対面の人達と高らかに笑いながら話しているのを、はらはらしながら見守る。

アンヘルさんと演奏すると皆ぐっとレベルが上がった。
人と会わせる難しさもあるが、彼に引っ張られるのだろう。
去年始めた二十歳の男の子もまるでプロのようだった。
同期の徳永さんもカミニートの弾き語り。
皆の演奏を聴いていて気になったのは、やはり次第にテンポが上がって走りがちになってしまう事だった。
私もそれを克服しようと練習して来た。
だが、実際弾き始めると全く分からなくなる。
ただ音の溢れる世界に体ごと投げ出された。
メルセディータス、ラ・クンパルシータの二曲。
ラストはアンヘルさんがゆっくり終らせるとテレパシーのようなモノを送って来た。
目線で合図しながら気持ち良く終えた。
演奏が終って他の生徒さん達と話していると母が帰り支度をして待機していた。
宝船スタッフの望月さん、本多さんに
「何やってんだかねぇ。あの子は鈍いから。私は行動の早い人間だから・・・」
などと、笑いながら話していた。またもやハラハラする。
四人で荻窪のルミネのアフタヌーンティーでお茶をする。
母は夕方の新幹線に乗る為40分程で帰った。
人の親に対して悪く言う人はいないが、望月さんも本多さんも「面白いお母さん」「可愛いお母さん」と、言ってくれてほっとした。
後に母に報告すると
「最近は自信ない。若い人には特に。でも良い事だね」
と、喜んでいた。
中野の中華料理屋へ移動して、今日は来られなかったスタッフの工藤さんも呼んでおしゃべり。乙女チックな恋バナなどで充実する。
帰宅後自分の演奏の録音をチェック。
ソロの演奏は録音を失敗して人の演奏ばかり録っていた。
アンヘルさんとのセッションの方は録れていたが、あれほど気を付けたのに走っている個所が随所にあった。悔しい。

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開戦前夜

明日のアコーディオン発表会の為、母が家に泊まりにくる。
母は、最近コレステロールの多い食事をしていて心配だと言っていた。
動物性タンパク質は押さえて、野菜中心の食事を作る。
玄米、豆のマリネ、大根のみそ汁に酒粕を入れた物、小松菜の炒め物、大根の葉の炒め物。
だが、御浸しや煮物にすれば良かったかもしれない。
母と去年の発表会のビデオを観ながら食事。

私がアコーデオン練習をしている間、母はヘッドホンをつけてテレビ観賞。
楽器がうるさくて集中出来ないのか、私が気分を出して弾く度にヘッドホンを耳に押さえつけるようにしていた。

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プレお花見

横浜へ。
幼稚園の同級生のお父様が、福井爽人さんという日本画家なのだ。
横浜そごうで展示会を行っていた。
湖の中のような透明感のある絵だった。
しかしよく見ると、こんな所にこんな色の絵の具を!と、奥の深さを感じた。
通常の人と比べ物にならない洞察力で景色を見ているのが分かった。
シーバスに乗り、中華街へ。
肉まんをつまみ、飲茶。
黒酢、干しえび、味覇という粉末、チャーシューなどを購入。電
車賃を考慮しても安かった。

吉祥寺へ。
眠りながら行ったので、すぐついてしまった。
石原正一さんが15時頃からお花見をしているというので、合流。
桜は殆ど咲いていない。寒いという事もあって、いせやにいると言う。
「天使だらけの傷」で一緒だった、千代田君、根岸さん、山本裕子ちゃん、今奈良君、飛び入りで拙者ムニエルの山岸君というメンツ。
山岸君は下戸なのだが誰よりもテンションが高く、ギャグを炸裂させていた。
お店を出て、井の頭公演を回る。
一つ二つしか咲いていない桜を皆で写メール。
ただ池を一周しただけだが、そういう人も多かったのか公園は賑わっていた。

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