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さようなら43人

楽日。
もっと皆と話したりしたかったが、今日で最後。
自分の社交性の限界を初めて実感した。
嵐のような日々。自分にとってインパクトの強い公演だった。
人が多いし、稽古期間も短い。
京都に稽古に行った日から20日で大阪公演、東京公演も終わってしまう。
嫌という程しつこく演出されて飽き飽きする事もあるが、野放しにされると不安でもある。
短期間でうまく自分を出せるか、という事が命だ。
自分の芝居に特にスタイルを持っていない為、そういう現場では度胸がなくて、色々試したり出来ない。
もっとやれると思ったのにと、がっかりされていないだろうか・・・ヘボ役者と思われていないだろうか・・・と、何度も卑屈な気持ちになった。
その度に、これだけ人も多いし、誰もいちいちそんな事気にしていない筈、と自分に言い聞かせた。
私は開演して2時間後に出る。
そこでアングラめいた事を語り出すのだが、いつも「そろそろ終わりそうな雰囲気なのに、違うの?」「何が始まったんだ」と、お客さんが困惑しているのを感じていた。
それが少し面白くなっていたのだが、この状況を生かした事が言えないか・・・と、ずっと考えていた。
度胸が無くてずっと言えなかったのだが、言えないままだと負けてしまった気がする。
言おうか言うまいか悩んでいるうちに出番が近づいてしまった。
自分の動悸がはっきり解る程緊張したのは久しぶりだった。
アドリブは苦手だし、楽日だから調子に乗って芝居を変える役者も好きではない。
だが、今度胸を出せないと、落ち込むに違いなかった。
ただ、芝居の尺を伸ばしてはいけないので、余計な事を言う分全体をタイトにしなければならない。
そんな事を考えながら、舞台へ上がった。
結局計画通りに言うことは出来た。
より受けた訳ではないが、雰囲気が悪くなったりはしなかった。

バラシの後、庄屋で打上げ。
話したいと思っていた、千田訓子さん、宮川サキさんは終電で帰るというので、早めにお話に行く。
だが、はりきり過ぎて、今話さなくても良い、自分の恋愛遍歴を語り始めてしまう。
まだ序章のところで、本番を見ていた高木珠里ちゃんが訪れた。
二人とも珠里ちゃんに席を譲っていなくなってしまう。
もしや引かれてしまったのでは・・・と、しょんぼりする。
しょんぼりを引きずって、珠里ちゃんともまともに話せなかった。
お話をしたいと思っていた久保田浩さん、美津乃あわさんの所には常に人が沢山いたので割って入る元気も湧かず、諦めた。
トイレに行く時に久保田さんとすれ違ったので「私は久保田派です」と、怪しい人のよう告げた。
「え、そんなのあるの?」
「ええ、色々あるんです。伊達派、岸派って感じで。でも私は久保田派ですから」
久保田さんは困惑していたようだ。
私は言った事に満足して、しばらくぼんやりしていた。
そんな私にも、親切に話しかけてくれた人もいてとても有り難かった。
明日は昼から稽古。しかも通し。
時折、ソフトドリンクを入れて延命をはかった。
二次会へは行かず帰宅。

初め、43人の芝居なんてどうなるんだろう?でも、大阪行けるし、そんなに大変では無いだろう、と軽い気持ちだった。
だが、43人で芝居がきちんと成立する事も、その人数で仲間意識のようなモノが芽生えた事にも驚いた。
また、自分が見当もつかない芝居をまとめ上げた石原マジックに感動も覚えた。
坐る場所も無いほど混み合う不便な生活が、かえって楽しかったりした。
大体、普通の芝居は1ヶ月以上稽古する。人数も10人程度だ。
それほど飲まなくてもある程度興味は満たされる。
だが、まだこれからもっと仲良くなったりなれる可能性がある人とも、それほど話せていない。
恋の途中で引き離されてしまったような寂しさが残った。

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