青春はいつも脂ぎる
アコーディオンのレッスン日。
4月の発表会に向けて練習していた曲「アディオス・ノニーノ」を譜面通りに弾いていたのだが、どうにも気に入らない。元々一台の楽器で弾くには不向きな曲なのだ。
バイオリン、バンドネオン、ギターなどで合わせて弾くはずの曲なのに、アコーディオンの譜面に全てのパートが無理やり入れ込んであるのだ。
飾りとメロディー部分の区別がつかない状態になっていた。
先生も少々頭を抱え、余計な音は削った方がいいという事になる。
結局、二人でCDを聞き、耳コピーしながらアレンジした方が良いのではないかという結論になる。発表会まで後一ヶ月と数日。間に合うのだろうか。
夕方にお友達のみゆきちゃんと飲む約束。
小田急のシャネルの前で待ち合わせ。シャネルというだけで緊張する。
小汚い格好しかしていないので、近寄る事さえ避けてきた。
しかし、みゆきちゃんは「ちょっと見て行こう」と店の中に入ってしまった。
旅行帰りのようなリュックを背負いながら、ドキドキしながら入る。
普通のデニムのスカートが十二万円くらいして驚く。
子供の頃ランドセルにつけていたようなキーホルダーにシャネルのマークが入っただけのものが二万円位。
どこが素敵なのかいまいち分からないが、世の女性の憧れのシャネルだ。
私に分からないだけなのだろう。
ブレスレッドなど800円で買えそうに見えるのは気のせいに違いない。
お金持ちになったらはしゃいで買いに行くのだろうか?と必要の無い心配をする。
みゆきちゃんと「月の滴」という個室がある居酒屋で、密談。
男の人の話は大体自慢話、不倫やすったもんだを繰り返す人は好きでやっているという達観した意見を関心しながら聞く。
確かに自慢話をしない男性の方が少ない。
私はいつもムカムカして、その自慢に水を差してプライドを傷つける事に夢中になっていた。
いまいちもてないのはそのせいかもしれない。
これからはムカムカした気持ちを押さえて、おだててみようと決めた。
帰りの電車内で、バイオリンを持った男女4人組がいた。
一組はカップル。
残りは「私、家まで帰る電車のがしちゃった」と話す女の子を、無言ながら明らかに自分の家に連れて行こうという決意しているような男の子。
青春はいつだって脂ぎっている。
別なカップルの会話も盗み聞く。
女の子は自転車を撤去されて彼氏に同情を求めていた。
男の子はどうでもいい生返事。
しかし、「チェーンだって切られちゃうんだよ」と聞いた途端彼氏は豹変。
「お金は払ってもいいけど、チェーンは弁償してくださいと言えよ」
「何の権利があって、人の物を壊すんだよ、器物破損じゃねえか」
「大体、駐輪所作ったりしないで何やってんだって話だよ」
「おめぇ、絶対チェーン代1800円返してくれって抗議しろよ」と猛然とまくしたて始めた。
彼女は困った様子で「うん」と言っている。
ただ「ついてなかったねぇ、可哀想に」と言ってもらいたかっただけに違いない。
チェーン代を要求しなければ堪忍してもらえないような羽目に陥った事にひたすら困惑していた。
深夜にビルディで書き物。
目の前にはやはりカップル。酔って眠りこけた彼氏の髪が絡んでいるのを、彼女が退屈を持て余しながら整え続けている。
サルの毛繕いを思い出した。
4月の発表会に向けて練習していた曲「アディオス・ノニーノ」を譜面通りに弾いていたのだが、どうにも気に入らない。元々一台の楽器で弾くには不向きな曲なのだ。
バイオリン、バンドネオン、ギターなどで合わせて弾くはずの曲なのに、アコーディオンの譜面に全てのパートが無理やり入れ込んであるのだ。
飾りとメロディー部分の区別がつかない状態になっていた。
先生も少々頭を抱え、余計な音は削った方がいいという事になる。
結局、二人でCDを聞き、耳コピーしながらアレンジした方が良いのではないかという結論になる。発表会まで後一ヶ月と数日。間に合うのだろうか。
夕方にお友達のみゆきちゃんと飲む約束。
小田急のシャネルの前で待ち合わせ。シャネルというだけで緊張する。
小汚い格好しかしていないので、近寄る事さえ避けてきた。
しかし、みゆきちゃんは「ちょっと見て行こう」と店の中に入ってしまった。
旅行帰りのようなリュックを背負いながら、ドキドキしながら入る。
普通のデニムのスカートが十二万円くらいして驚く。
子供の頃ランドセルにつけていたようなキーホルダーにシャネルのマークが入っただけのものが二万円位。
どこが素敵なのかいまいち分からないが、世の女性の憧れのシャネルだ。
私に分からないだけなのだろう。
ブレスレッドなど800円で買えそうに見えるのは気のせいに違いない。
お金持ちになったらはしゃいで買いに行くのだろうか?と必要の無い心配をする。
みゆきちゃんと「月の滴」という個室がある居酒屋で、密談。
男の人の話は大体自慢話、不倫やすったもんだを繰り返す人は好きでやっているという達観した意見を関心しながら聞く。
確かに自慢話をしない男性の方が少ない。
私はいつもムカムカして、その自慢に水を差してプライドを傷つける事に夢中になっていた。
いまいちもてないのはそのせいかもしれない。
これからはムカムカした気持ちを押さえて、おだててみようと決めた。
帰りの電車内で、バイオリンを持った男女4人組がいた。
一組はカップル。
残りは「私、家まで帰る電車のがしちゃった」と話す女の子を、無言ながら明らかに自分の家に連れて行こうという決意しているような男の子。
青春はいつだって脂ぎっている。
別なカップルの会話も盗み聞く。
女の子は自転車を撤去されて彼氏に同情を求めていた。
男の子はどうでもいい生返事。
しかし、「チェーンだって切られちゃうんだよ」と聞いた途端彼氏は豹変。
「お金は払ってもいいけど、チェーンは弁償してくださいと言えよ」
「何の権利があって、人の物を壊すんだよ、器物破損じゃねえか」
「大体、駐輪所作ったりしないで何やってんだって話だよ」
「おめぇ、絶対チェーン代1800円返してくれって抗議しろよ」と猛然とまくしたて始めた。
彼女は困った様子で「うん」と言っている。
ただ「ついてなかったねぇ、可哀想に」と言ってもらいたかっただけに違いない。
チェーン代を要求しなければ堪忍してもらえないような羽目に陥った事にひたすら困惑していた。
深夜にビルディで書き物。
目の前にはやはりカップル。酔って眠りこけた彼氏の髪が絡んでいるのを、彼女が退屈を持て余しながら整え続けている。
サルの毛繕いを思い出した。
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