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おめでたい人間

忘年会シーズンで、へとへと。何をするのもしんどい。
しかし、夕方芝居を観に行く。
東京デスロックの「余力」に、「みつばち」で圭史君の代役をやっていた山形涼士君が出演しているのだ。
彼には、酔った時嘔吐物をかけてしまった。何としても、観に行かなければと思っていた。
しかし、本多スタジオの場所が分からずに遅刻をしてしまう。
おどおど中に入ると、隣には佐藤治彦さんがいた。
先日醜態を見せてしまったので、照れ臭くなる。
芝居には動物電気の伊藤美穂ちゃん、森戸宏明君、多田淳之介君も出演していた。
多田君が予想外にしぶい本を書くのに驚いた。
山形君は代役の時、圭史君にそっくりだったので、似た芸風なのかと思っていた。
しかし、今日は全く似ていなかった。爽やかでナチュラルなお芝居をしていた。

終演後、アンティークの着物屋さんへ。
素敵な店員さんにアドバイスされ、半襟、半幅帯、帯締め、帯留めを購入。
すっからかんになる。
お金を下ろして、ガチンコラーメンを食べに行く。しかし、店は坦々麺の店になっていた。
仕方なく坦々麺を食べる。
隣の女性3人グループの会話を盗み聞きする。
その内の一人が不倫をしているらしい。
相手の旦那と奥さんはサークル仲間。
奥さんは浮気ばかりして、その自慢を彼女にしているような仲だったそうだ。
旦那の事は一番好きという訳では無いが、経済力と、いいお父さんになる事を見込んで結婚したと、言っていたという。
ある時、彼女が旦那と飲んで、彼が奥さんを物凄く信じているので可哀想になって関係を持つようになったらしい。
それが奥さんにばれて、彼女はひどい剣幕で怒られ、サークル仲間の集いも出入り禁止になった。
奥さんにも謝り、一件落着と思いきや、夫婦仲はうまく行かなくなる。
そのとばっちりで今も、奥さんから怒りの電話やメールが来るので、着信拒否にしたりして逃げ回っている。
旦那は本当は彼女の所に行きたいと言っていたらしい。
しかし、彼女にその気は無い。
だから、旦那は家にいてくれるのは奥さんだけだと、結婚生活を続けて行くつもりらしい。
彼女は奥さんが目を光らせなくなったら、また旦那と会うと言っていた。
友人二人は微妙な相づちを打っていた。
どうも、旦那が一番可哀想な気がした。
どちらにも、それほど大事に想われていない。
恐らく、彼女は奥さんの浮気自慢を聞く度にむかついていたはずだ。
旦那を寝取られる女の立場に落としてやりたい気持ちもあったのだ。
奥さんは、女として自分より劣ると、安心して自慢をしていたのだ。
子分に裏切られたみたいな気持ちになっているに違いない。
旦那とは無関係な感情のもつれで泥沼になっている。
旦那は可哀想だが、女を見る目は無いのだろう。
そういう男はこんな目に会っても仕方がない。人を信じるのは美徳のように言われている。しかし、根拠も無い事を信じるのはただのおめでたい人間だ。

すっかり疲れて帰宅。
レンタルビデオの返却日が今日だったので、慌てて「耳をすませば」を観る。
観ている途中に何件も電話が入る。
父親に家電が故障しっぱなしの事を怒られる。
一番困っているのは私なのに怒られて、割に合わない気持ちになる。
ビデオは大変素晴らしかった。
中学生で、結婚の約束をしていた。自分の青春にこんな一コマは無かった。
切ない気持ちになる。
先程、人を安易に信じる事を否定したが、すっかり気持ちが変わる。
稀に、自然に信じられる相手がいるものだ。
主人公とボーイフレンドは10年以上離れて暮らさなければならない。
どうせ、お互い身近に新しい相手を作るに違いないと思ってしまう自分を、世間の垢に染まったようで、慌てて封じ込める。
いつまでも夢見がちでいたいものだ。

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