黒光りする男
「西へ行く女」を観に下北沢本多劇場へ。
電車の中で、人の話に聞き耳を立てる。酔っぱらって電車に轢かれそうになった話をしていた。朝まで飲んでいて、始発で友達の家へ行こうとしていたら、友達はまだ帰宅してない。しばらくベンチで寝ていて、いつのまにかホームに落ちたらしい。何となく人に蹴られた覚えもあったが、そのまま寝ていたら、いきなり激しい衝撃。目をあけたら、砂利とレール。駅員さんに見つけられ、引き上げて貰ったそうだ。駅員さんに時刻表を見せられ、「あと2分遅かったら死んでたよ」と言われたらしい。そのまま死んでいたら、○○大法学部学生、酔って死亡、と馬鹿扱いして叩かれただろう、と言う話だった。上には上がいると、安心した。
「西へ行く女」は難解だった。はじめの方はとても面白かった。しかし、次第に筋が分からなくなり、周りの人は分かっているのかもと、不安になった。後で聞いたら、元々筋がはっきりしている話ではなく、皆分からないらしい。ほっとした。でも、部分的には楽しめる所が沢山あった。宝生舞さんが舞台に出ているのを観るのは2回目だったが、とても素敵だった。ああいうアプローチ出来る女優さんはそういない。生まれ変わるならこんな人になりたい。ミステリアスな安沢さんも、新鮮だった。私もミステリアスになりたい。長塚圭史君も、たたずまいが自然で良かった。私もそんな風になりたい。渡辺いっけいさんは、いるだけで面白かった。素敵。憧れを持って観られる芝居だった。
終演後飲みに行く。はじめは安沢さんと個人的な飲みでいいと思ったのだが、彼女が気を遣ってくれて、ケラさん、圭史君、渡辺いっけいさん、いのうえひでのりさんのいる飲み会に誘ってくれた。みのすけさん、藤原よしこちゃん、今奈良君も一緒だった。テーブルが離れていたので、なじみの人としか話さなかったが、生の渡辺いっけいさんを間近でみられたのが嬉しかった。
ケラさんと圭史君は別の飲み会へ行くため早めに店を後にした。安沢さんと今奈良君が帰る時、一緒に帰ろうと思ったが、「いい調子で飲んでるから、残った方がいい」と置いていかれる。しかし、その直後にお開き。これなら安沢さんについて帰れば良かったかしら、と思っていると、みのすけさんに「もうちょっと飲む?」と聞かれた。「行きます」と即答。
合流した先にケラさんと圭史君がいた。「飲み会とみれば付いてくるんだから」と、忌忌しく思われないだろうか、と懸念しながらも、「それならそれでいいや」と開き直る。
そこには竹中直人さんがいた。全体的に日焼けして黒光りしていた。
席についた途端、それまで飲んだことの無い「カティ・サーク」というお酒が気になった。
「カティ・サークって飲んでみたいけどおいしいのかな」とつぶやくと、竹中直人さんが「この店の君が座っている所で優作がいつも飲んでたよ」と言った。優作とは松田優作の事らしい。思わず腰が浮いてしまう。それまで飲んだ事もないのに、急に飲みたくなった事が不思議だった。
「この席にはカティ・サークを飲みたいっていう残留思念が残っているのかもしれませんね」と、言ってみたが、聞き流された。
竹中直人さんは6日連続で朝6時起きらしい。それなのに物凄く元気で、エネルギッシュだった。独壇場でしゃべっているものの、取り残される人がいたらいけないと思うのか、全員になにがしか話を振る。「オキーフを知っているか」などと聞かれても名前しか知らないので「いいえ」としか言えない。「山崎ハコと、中川比佐子に似ている」とも言われたが、あまり顔も覚えていないので「え~、そうですかね~」としか答えられない。気を遣って話を振ってくれなくても、観察してるだけで楽しいですからと心苦しくなった。有名人のパワーは通常の人の100倍位あるようだ。ああいう人を見ると圧倒されて、「自分は凡庸な人生を地道に生きて行くしかない器なんだな」と思う。
竹中直人さんが帰り、落ち着いた飲み会になったが、そのころにはすっかり酔ってしまった。タクシーで帰ろうとも思ったが、家の近い方の好意に甘えて泊まらせて貰う。人の家に行くのは大好きなのだ。あまり寝ていないのに私一人元気でしゃべり続け皆に寝られてしまう。修学旅行でも、興奮して最後まで起きている性格だった。もっと落ち着きのある人間になりたい。
電車の中で、人の話に聞き耳を立てる。酔っぱらって電車に轢かれそうになった話をしていた。朝まで飲んでいて、始発で友達の家へ行こうとしていたら、友達はまだ帰宅してない。しばらくベンチで寝ていて、いつのまにかホームに落ちたらしい。何となく人に蹴られた覚えもあったが、そのまま寝ていたら、いきなり激しい衝撃。目をあけたら、砂利とレール。駅員さんに見つけられ、引き上げて貰ったそうだ。駅員さんに時刻表を見せられ、「あと2分遅かったら死んでたよ」と言われたらしい。そのまま死んでいたら、○○大法学部学生、酔って死亡、と馬鹿扱いして叩かれただろう、と言う話だった。上には上がいると、安心した。
「西へ行く女」は難解だった。はじめの方はとても面白かった。しかし、次第に筋が分からなくなり、周りの人は分かっているのかもと、不安になった。後で聞いたら、元々筋がはっきりしている話ではなく、皆分からないらしい。ほっとした。でも、部分的には楽しめる所が沢山あった。宝生舞さんが舞台に出ているのを観るのは2回目だったが、とても素敵だった。ああいうアプローチ出来る女優さんはそういない。生まれ変わるならこんな人になりたい。ミステリアスな安沢さんも、新鮮だった。私もミステリアスになりたい。長塚圭史君も、たたずまいが自然で良かった。私もそんな風になりたい。渡辺いっけいさんは、いるだけで面白かった。素敵。憧れを持って観られる芝居だった。
終演後飲みに行く。はじめは安沢さんと個人的な飲みでいいと思ったのだが、彼女が気を遣ってくれて、ケラさん、圭史君、渡辺いっけいさん、いのうえひでのりさんのいる飲み会に誘ってくれた。みのすけさん、藤原よしこちゃん、今奈良君も一緒だった。テーブルが離れていたので、なじみの人としか話さなかったが、生の渡辺いっけいさんを間近でみられたのが嬉しかった。
ケラさんと圭史君は別の飲み会へ行くため早めに店を後にした。安沢さんと今奈良君が帰る時、一緒に帰ろうと思ったが、「いい調子で飲んでるから、残った方がいい」と置いていかれる。しかし、その直後にお開き。これなら安沢さんについて帰れば良かったかしら、と思っていると、みのすけさんに「もうちょっと飲む?」と聞かれた。「行きます」と即答。
合流した先にケラさんと圭史君がいた。「飲み会とみれば付いてくるんだから」と、忌忌しく思われないだろうか、と懸念しながらも、「それならそれでいいや」と開き直る。
そこには竹中直人さんがいた。全体的に日焼けして黒光りしていた。
席についた途端、それまで飲んだことの無い「カティ・サーク」というお酒が気になった。
「カティ・サークって飲んでみたいけどおいしいのかな」とつぶやくと、竹中直人さんが「この店の君が座っている所で優作がいつも飲んでたよ」と言った。優作とは松田優作の事らしい。思わず腰が浮いてしまう。それまで飲んだ事もないのに、急に飲みたくなった事が不思議だった。
「この席にはカティ・サークを飲みたいっていう残留思念が残っているのかもしれませんね」と、言ってみたが、聞き流された。
竹中直人さんは6日連続で朝6時起きらしい。それなのに物凄く元気で、エネルギッシュだった。独壇場でしゃべっているものの、取り残される人がいたらいけないと思うのか、全員になにがしか話を振る。「オキーフを知っているか」などと聞かれても名前しか知らないので「いいえ」としか言えない。「山崎ハコと、中川比佐子に似ている」とも言われたが、あまり顔も覚えていないので「え~、そうですかね~」としか答えられない。気を遣って話を振ってくれなくても、観察してるだけで楽しいですからと心苦しくなった。有名人のパワーは通常の人の100倍位あるようだ。ああいう人を見ると圧倒されて、「自分は凡庸な人生を地道に生きて行くしかない器なんだな」と思う。
竹中直人さんが帰り、落ち着いた飲み会になったが、そのころにはすっかり酔ってしまった。タクシーで帰ろうとも思ったが、家の近い方の好意に甘えて泊まらせて貰う。人の家に行くのは大好きなのだ。あまり寝ていないのに私一人元気でしゃべり続け皆に寝られてしまう。修学旅行でも、興奮して最後まで起きている性格だった。もっと落ち着きのある人間になりたい。
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