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千々に乱れる

 寝不足で具合が悪い。夕方、ムーチョ村松こと村松規幸君に楽器屋さんへ行くのに付き合ってもらう。新宿駅南口で待っていると、村松君は購入したばかりのシビックで乗りつけてきた。車の中には、デザイナーの吉田りえちゃん、ハイレグの母体となるサークルの一つ、騒動舎出身のお笑い芸人、マンションズのアキラ君とツヨシ君がいた。若いマンションズの二人を両脇に座らせ、マダム気分でイシバシ楽器へ。以前酒癖の悪かった私は、酔うと男女問わず接吻をしてまわっていた時期があった。その頃、よく知らないツヨシ君に接吻をしようとして拒まれ、「馬鹿か、お前は!」と怒鳴っていたことがあると、小林愛ちゃんに聞いた。記憶がないとはいえ、何故そんなことをしていたのだろうか。まるで気狂いだ。馬鹿は自分である。心の優しいツヨシ君は、そんなこと忘れたかのように親切にしてくれる。好青年だ。
 楽器屋で目当ての品の値段の相場を調べる。色々見て回るうちに、とても素敵な代物を発見。4万1千円。使いこなす自信がないのに、いいのだろうか。 迷っているうちに、吉田りえちゃんとマンションズの二人は人力舎のライブに行かなければならないとのことで、村松君が3人をライブハウスまで送りに行ってしまった。店員さんに質問をしたり、目当ての代物をいじっているうちに「買います」と何度も言いそうになる。ぐっと堪え、ほかの売り場で時間を潰す。間も無く、村松君が戻ってきた。アキラ君が私の欲しがっているモノを持っていて、譲ってもいいと言っているとの事。私の欲しいモノの色はとても素敵な青色。アキラ君が持っているのは何色なのだろう。買い物をする時、村松君は店員の回し者のように勧める癖があるらしい。一緒にいると、どんどん買いたくなる。とりあえずアキラ君に、何色を持っているのか確認してから決めることにする。「楽器をひくにはとりあえず見た目は重要だよ。」などと購買意欲をそそられる言葉を呪文のように聞きながら、イシバシ楽器を後にする。
 私達がライブハウスへ行ったのは、ほぼ終わりのころであった。お腹が空いたので、みんなで牛タン屋の「ねぎし」へ行く。食事をしながらアキラ君に色々 質問。アキラ君の持っているものは、茶色だそうだ。しかし、茶色でもかなり素敵なのだ。吉田りえちゃんにも、最初はそんなに出費しない方がいいよとアドバイスされる。冷静な言葉がありがたい。10日後くらいに実家に行くついでに取ってきてくれるという。それを見てから判断するということで、話は落ち着いた。アキラ君には何も、いいことをしてあげたことなど無い。それなのに結構高価なものを譲ってくれるなんて、なんという好青年なのだろう。ある意味、4万出して買うよりまじめに練習しなくてはいけない気持ちになる。もしも、私が青色にこだわった場合、それは村松君が譲り受けることになった。心が千々に乱れる。

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