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黒い涙

 モーニングコールをくれると言った東君から電話は来なかった。昨日かなり、酔っていたようだったので、寝過ごしているのかもしれない。こちらから電話してあげようかと思ったものの、やめる。前日遅刻した私は、他にも遅刻者が出たら自分の落ち度が僅かだが軽減するような気がしたのだ。遅刻して恐縮している人を見るのは、 少し楽しい。わくわくしながら劇場についた。彼の姿が無い。ロビーにいた前田君と土屋君にモーニングコールの有無を確認。すると、二人とも起こしてもらったというのだ。馬鹿な! いないと思っていた東君は既に楽屋にいた。「どうして電話くれないのよー。ひどいなー」と抗議。東君は謝りもせず「ひどくないよー。前田君が9時で土屋が9時半って言ってたけど、新井さん何時だったか思い出せなかったんだよ」 とのたまう。私は9時とお願いしていた。わからなくても、とりあえずかけてくれればいいのに。昨日は他の二人には忘れても、新井さんにはかける、今日みたいに遅刻しないようにとさえ言っていたのに。後で聞いたら、前田君は9時半にお願いしていたのに、9時にかかってきたそうだ。
  マチネにハイレグの制作の麗ちゃんと衣装の清水さんが来る。麗ちゃんに役者としての魅力を感じられなかったと駄目をだされ、ツケまつげを着けた目から黒い涙を流す。そのまま写真撮影。元々、自分が役者だという自覚はあまり無い。よく出してくれる舞台があるものだ、と不思議に思っている。必要とされると嬉しくて、よく分からないまま続けていた。気がついたら10年たっていた。何故か始めて2年のアコーディオンには、下手なくせに自分はアコーディオン弾きという自覚を持っている。ハイレグも解散したことだし、特筆するような仕事が在るわけでもない。次第に、どこからも呼ばれなくなり、なんとなくやめるようになるのかもしれない。そういう人生の予感を感じた。しかし、大病もせずになんとなく楽しく暮らせるのなら、別にどうでも いい。自分で人生を切り開いたりするバイタリティは無い。せいぜい呼んでくれる舞台が在るうちに、素敵な思い出作りをしよう。呼ばれなくなったら、ガラスの仮面を熟読してやった気になるのも手だ。
 ソワレには、野村朋子さん、以前ハイレグに出演してくれた筧尚子さんが来てくれた。野村さんはボクシングの試合で礒野さんと会った事があるらしく、二人の再会を祝してすずめのお宿へ。以前あるワークショップでご一緒した粟根まことさんもいらした。粟根さんと共通の知人の話で少々肝を冷やしたものの、楽しく過ごした。

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